大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年7月20日(金) 9:14 ~ 9:38
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から2点御報告がございます。
1点目は「G20観光大臣会合の開催日程について」であります。
北海道倶知安町で来年開催することとされましたG20観光大臣会合につきまして、倶知安町・北海道などとも調整を進めてきた結果、2019年10月25日(金)・26日(土)に開催することを決定いたしました。
会合で議論するテーマにつきましては、今後決定されますG20全体のテーマと整合させながら、観光政策の面で参加各国の関心の高い課題などを反映させていきたいと考えております。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
2点目は「東海道新幹線車内殺傷事件等を受けて新幹線において緊急に講ずべき当面の対策について」であります。
先月9日の東海道新幹線車内殺傷事件を受けまして、鉄道事業者や警察による警戒強化などについて関係省庁で協議を進め、事件後1ヶ月時点での鉄道事業者の取組状況等を踏まえ、当面の対策をとりまとめましたので、御報告いたします。
鉄道事業者における取組といたしまして、警備員や社員等による列車内の自主警備の強化、防犯・護身用具、医療用具の適切な車内配備などを行うほか、適切に梱包されていない刃物類の車内への持ち込みを明文で禁止いたします。
これらの対策を逐次実施に移すとともに、東京オリンピック・パラリンピックも見据え、関係省庁と連携し、内容の充実を図ってまいります。
詳細は後ほど資料を配布いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)昨日与党の検討委員会で、九州新幹線長崎ルートへのフリーゲージトレインの導入が正式に断念され、代わりとなる整備方式については先送りされました。
フリーゲージトレインの導入断念について、国の責任を問う声もありますが、大臣の受け止めと、今後の国土交通省の対応についてお聞かせください。
(答)九州新幹線西九州ルートにつきましては、昨日、与党PT九州新幹線西九州ルート検討委員会におきまして、中間とりまとめが行われたと承知をしております。
中間とりまとめでは、基本的な考え方としまして、西九州ルートは新大阪まで直通することを前提として整備が進められてきたところであり、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならないということを確認した上で、フリーゲージトレインについて、新大阪までの直通を前提とする西九州ルートへの導入は断念せざるを得ないこと、フリーゲージトレインについて、沿線自治体や住民の理解、期待が大きかったにも関わらず、ここにおいて断念せざるを得ないことは遺憾であり、この開発を進めてきた国においては、これまでの経緯を踏まえ、今後の対応に当たるべきこと、新大阪駅まで直通可能な方式であるフル規格及びミニ新幹線の2つの整備方式の得失を総合的に検討した上で、いずれかを選択する必要があること、とされたものと承知しております。
今後、検討委員会におきましては、中間とりまとめを踏まえ、引き続き関係者の意向を十分に踏まえつつ、西九州ルートの整備のあり方について検討を進めていくものと承知しております。
国土交通省といたしましては、今回の中間とりまとめの内容を十分に踏まえた上で、与党における検討作業に適切に対応していきたいと考えております。

(問)IR整備法案が本日成立する見込みですが、大臣の受け止めと、法律施行に向けた今後の国土交通省の対応について教えてください。
(答)IR整備法案につきましては、一昨年末に成立いたしましたIR推進法におきまして、政府に必要となる法制上の措置を講じることが義務付けられたことから、本年4月27日に閣議決定の上、今国会に提出したところであります。
私といたしましては、IR担当大臣ということで、この法案を担当する立場から、今国会での成立を目指し、衆・参両院における御審議に誠実に対応してまいったところでございます。
今国会中の成立をぜひお願いしたいと考えております。
IR整備法案が成立した後は、IR担当大臣と国土交通大臣の両方の仕事がございますけれども、カジノ管理委員会の設立や関係政省令の制定、また、IR区域の整備のための基本方針の策定等、所要の準備作業を着実に行っていく必要があります。
また、今後、単なるカジノ施設ではなく、わが国を観光先進国へと引き上げる原動力となる「日本型IR」のイメージを具体的に共有させていただき、また、様々な弊害防止対策を講じていることを説明させていただくための「全国キャラバン」を実施してまいります。
国民の皆さまに丁寧に御説明しながら、依存防止対策などに万全を期して、世界中から観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

(問)G20の観光担当大臣会合についてお伺いします。
開催地となる北海道の倶知安町ですが、近年、訪日外国人客が著しく増えておりまして、外国人の移住だとか、コンドミニアムなど高級宿泊施設の建設なども相次いでおります。
そうした町で開かれることの意義について、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)倶知安町はパウダースノーということで、特に冬期のスキーシーズンに多くの外国人観光客の方がいらしたことがきっかけとなって、非常に多くの外国人の方がいらっしゃっているということかと思いますけれども、特に来年秋の開催ということで、雪はございませんけれども、一方で紅葉等、秋の北海道を楽しんでいただくことで、北海道のPRになると思いますし、全体のPRにもつながるということで、大いに期待をしているところでございます。

(問)日本貨物航空についてお伺いしたいと思うのですが、今朝一部の報道で、事業改善命令を出す方針という報道があったのですが、大臣のこれに関する受け止めを教えてください。
(答)報道があったことは承知しております。
日本貨物航空においては、航空事故として取り扱うべきものが適時に報告されなかったことなど、航空機の構造修理にかかる不適切な整備処置が複数行われていたことから、国土交通省では、5月22日から数次にわたり立入検査を実施しました。
その結果、整備記録の改ざんが確認され、同社において、広く過去の整備記録の確認を進めていたところ、航空機の構造修理以外の整備記録の改ざんが確認されたと報告がありました。
国土交通省において、これらの入手した情報の整理・分析を行ってきた結果、航空法第104条の整備規程及び同法第20条の業務規程に基づかない不適切な整備処置が実施されていたこと、不適切な整備処置を適切な整備処置をしたかのように整備記録を改ざんしていたことなどが判明しました。
これらは、航空の安全に影響を及ぼす重大な違反行為であるとともに、自らが問題点を調査し、原因を究明した上で、適切に再発防止策を講じることができておらず、現行の整備体制下では、航空機の運航の継続的な安全性が確保されないおそれがあると認められます。
安全を最優先すべき航空運送事業者におきましては、このような不適切な行為が行われたことは誠に遺憾であります。
このため、国土交通省では本日14時、同社に対して、安全管理体制の適切な整備、整備記録の適切な記録、航空機構造に係る適切な整備の実施、耐空証明の有効期間の変更などを求める事業改善命令及び業務改善命令を行う予定であります。
国土交通省では、同社による措置を確認しまして、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き厳格に指導監督を行ってまいります。

(問)九州新幹線のフリーゲージ関連なのですが、北陸新幹線への導入計画が今あるのですが、その今後の対応について教えてください。
(答)北陸新幹線へのフリーゲージトレインの導入につきましては、今回の与党PTの中間とりまとめ等も踏まえつつ、改めて検討を進めてまいりたいと考えております。

(問)九州新幹線西九州ルートのことで伺いたいのですが、そのフリーゲージの導入断念の背景には、度重なる技術開発の遅れがありました。
国土交通省としては、多額の予算を付けて開発を促進してきたわけですけれど、その責任については、どうお考えでしょうか。
(答)責任と言いますか、フリーゲージトレインというのは、なかなか難しい技術だということかと思います。
元々車軸というのは固定をするものである所で、それを柔軟に車軸の幅を、車輪の幅を変えて、なおかつ高速運行に耐えるようにするというのが想像以上に難しい技術的なハードルがあったということかと存じます。
ただし、フリーゲージ自体は、西九州ルートに関わらず、このレールの幅の異なる線区を接続するということでは有効なツールでありますから、他の線区にも十分活用可能な技術であると認識しておりまして、これまでの技術開発が決して無駄になるわけではないと考えております。
例えば、近鉄では、レール幅の異なる京都線と吉野線の直通運転にフリーゲージトレインを活用することが検討されておりまして、国土交通省としては、これまでの技術開発の成果や今回の中間とりまとめを十分踏まえた上で、フリーゲージトレインの今後の技術開発の進め方について検討してまいりたいと考えています。

(問)6月に山陽新幹線で発生した車両の連結部分の破損の事故がありましたけれども、今月18日JR西日本の方から改善・再発防止策の報告がなされたと思います。
それについての大臣の受け止めをお願いします。
(答)本年6月14日、JR西日本・山陽新幹線「のぞみ176号」が博多-小倉駅間で人と衝突し、その衝撃で先頭車両の連結器カバーが破損したまま、新下関駅まで運行するという事案が発生いたしました。
本事案につきましては、6月18日、JR西日本に対し、今回の運転取扱いが適切であったのか、線路内に人がどのように入ったのか等について検証し、再発防止策を取りまとめ、報告するよう指示をしていたところであります。
これを受けまして、7月18日に、JR西日本から国土交通省に対しまして、当該列車の運転士は異音を感知したものの、鳥や獣などとの衝突は指令への報告は必要ないと認識していたため、指令への報告は行わなかったこと、小倉駅の係員は先頭車両のボンネットの血痕と連結器カバーに違和感を覚えたものの、割れているとは認識せず、運転に支障がないと判断し、当該列車を出発させたこと、線路内への進入については、用地の柵と点検のはしごが近接していたために、何らかの方法で点検のはしごに取り付いてよじ登ったと推定されること等の検証結果の報告がありました。
また、今後の再発防止策としまして、異音を感知した場合は、安全上問題がないと判断したとしても、例外なく指令に報告するとともに、安全上問題がないと判断できない場合は、速やかに組織的対応により安全の確認を行うことを徹底する、このため、運転士に対しては、シミュレーターを活用した訓練項目に「異音を感知した場合」を盛り込んで、駅係員に対しては、映像を活用した教育を行うなど、実践的な訓練や教育を実施する、更に、線路内の進入については、進入を一層困難にする観点から、計画的な老朽取り替えに合わせ、設備の強化を行うととともに、点検はしごの位置を変更する等、必要な対策を講じる等の報告がありました。
国土交通省といたしましては、これらの再発防止策が着実に実施され、高速で走行する新幹線の安全輸送が確保されるよう、JR西日本をしっかりと指導してまいりたいと思います。

(問)二つお願いいたします。
一つは、日産、スバルの完成検査不正問題であります。
ご案内のとおり、スバルは5週間前に完成検査不正があったことを発表して、1月以内を目途ということで最終報告書を出せということだったのですが、いまだに出ていません。
日産は先週の月曜日にスバル同様の不正があったということを発表していますけれども、いよいよ旧盆のお休みが近づいているので、その辺どのように時間を切って、どのような原因究明を求め、どういう対策を指示するのかというところをお願いいたします。
もう一点は、首都高日本橋の高架についてであります。
地下化をやって、報道によると3000億円以上金がかかるということなんですけど、国も当然金を出す、道路会社も金を出す、東京都も金を出すということなのでしょうが、かねて言われているとおり、首都高を含めたインフラの維持更新費用が莫大にかかる、ついては2065年まで道路の通行料金を取り続けるということが決まっています。
こういう中で、景観を損なうということは一定の理解はあるのだろうけれども、やるべきことは他にあるんじゃないのとこんなふうに感じるのですが、ご所見をお願いいたします。
以上2点です。
(答)スバルにつきましては、完成検査全般についても調査を尽くすよう6月5日に指示をしておりますけれども、現時点ではまだ調査継続中ということで、提出時期については報告を受けてございません。
日産自動車につきましては、7月9日に日産自動車より、総点検をする中で、燃費及び排出ガスの抜き取り検査について、不適切な事案があったと報告がありました。
国土交通省におきましては、新規判明事案に対し、徹底調査をすることはもちろん、単に完成検査にかかる不適切事案がないかどうかについても、引き続き総点検を進めるよう指示しました。
現在、この指示に基づいて、日産自動車において調査中と承知しておりまして、まだ日産自動車につきましても、調査結果の提出時期については報告を受けていないという状況でございます。
それから首都高日本橋の地下化ということでありますが、首都高日本橋区間の地下化については、昨年7月に具体的な計画案を検討することとして、国、東京都、首都高速道路会社、中央区から構成される「首都高日本橋地下化検討会」を設置し、これまで地下化に向けての課題や地下ルート案について検討を進めてきました。
18日の第3回の検討会では、首都高の地下化に要する概算事業費や事業スキームについて関係者間でとりまとめ、計画の具体化を図ったところです。
この首都高日本橋の区間は、先の東京オリンピックに向けて建設され老朽化していることから、大規模な更新が必要となっております。
今架かっている橋を、また橋で更新しようとなると、一時期、工事期間中は全面通行止めにしてやらなければならないということを考えると、相当な支障が生じるということから考えると、この地下化というのは非常に現在の交通を確保しながら工事を進めることができるという点で、私は優れたアイデアだと考えております。
老朽化対策と併せて、渋滞の緩和や幅員の確保などの機能向上が図られるとともに、まちづくりと連携し、都市の魅力を向上させる、そういった観点からも重要と考えております。

(問)大臣は、全面通行止めにしなくて済むということに、かなり目方があるようなおっしゃり方ですが、それは地下化とは関係ないわけで、バイパスを造りながら工事をするというのは欧米では普通にあることですから、通行止めをせずに済むから地下化だというのは、少々無理な論脈ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
それから前段の方も、待っているというだけでは何も回答になっていないわけで、大臣は再三にわたって、この件でいっても昨年の10月から日産自動車、スバルは完成検査不正を続けているわけで、そのたびに大臣はぶら下がりやコメントを出す形で、けしからん、遺憾だとおっしゃっている。
けしからん、遺憾を半年とか1年近く言い続けていて、何か変わったんでしょうか。
変わってませんよね。
その辺についてもっと行政の長としての踏み込んだ対応をすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
(答)日産自動車、スバルについては、新しい事案が出てきたところですから、それに対してしっかりと調査をするようにということでありますので、いい加減な調査を早めに出されても困りますから、しっかりとした調査を報告いただきたいと思っています。
それから首都高については、御案内の通り、あそこの近辺は高層ビルが連続しているところですから、どのようなバイパスを考えるのでしょうか。
それは私は事実上無理だと思います。
地下化というのは非常に有効なアイデアだと思っています。

(問)2点ございます。
1点は、西日本豪雨で目の当たりにしますと、この雨量が首都圏で降ったらということを考えざるを得ません。
国土交通省の関東地方整備局のハザードマップでは、72時間雨量を計画規模で516㎜、想定最大規模で632㎜としています。
ただし、西日本豪雨ではそれを遙かに上回る1300㎜という72時間雨量を高知県の馬路村が記録していたと思います。
想定雨量を早急に見直して、対策を立て直す必要があるのではないかということと、スーパー堤防やダムよりも、現在の堤防を強化する必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
2点目は、学校の体育館にエアコンが設置されたにもかかわらず、コストがかかるから使用をできるだけ自粛しろというような指示を教育委員会が出していると。
これは文部科学省のお話ですが、国土交通省の施設でエアコンを設置したにもかかわらず、それの使用を自粛しろというような施設、特に被災地等でそういうものがあるかどうか、御存じでしたらお聞かせください。
(答)2点目から申し上げますが、全部報告を受けているわけではありませんけれども、そういった事例があるということは聞いてはおりません。
最初の御質問ですが、専門的な中身なので水管理・国土保全局から説明させていただきいたいと思いますが、私の理解だけ申し上げますと、従来のハザードマップは、計画の雨、例えば100年に1回だとか150年に1回の雨に対して、堤防が破堤した場合、どう浸水するかというハザードマップだったかと思いますが、想定最大降雨、これは少なくとも1000年に1回位の雨を想定して、それに対して、今、堤防が破堤した場合どうなるかという、ハザードマップも2段階で作っているところです。
これは順次作っていると思いますので、まだ全国で全部整備されてはいませんが、それとの関係性も考えなければいけないと思っております。
それから、スーパー堤防・ダムよりも河川ということがありましたが、これはどっちが先というよりも、両方しっかりと、スーパー堤防もダムも河川改修も、しっかりそれぞれ順次やっていかなければいけないというふうに考えています。
水管理・国土保全局からハザードマップについて補足します。
(事務方)ハザードマップの基となるリスク情報というのは、大臣が言われたように、洪水浸水想定区域というものでありまして、国においては全て想定最大規模のものが公表されております。
想定最大規模の雨につきましても、専門的な技術検討会を踏まえて、想定しうる最大のものを技術的に設定するということになっております。
今回の洪水の地域で、どういった雨が降って、どういった浸水実績があったかというところについては、想定される規模の浸水想定を含めて、確認をしていきたいと思っております。

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