大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年7月13日(金) 9:11 ~ 9:31
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。
「平成30年7月豪雨の被災地の視察について」であります。
まず、今回の豪雨によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
明日7月14日から16日にかけまして、平成30年7月豪雨で被災をした広島県、岡山県、愛媛県を視察いたします。
広島県では、広島市安芸区矢野東の土砂災害箇所や国道31号・JR呉線の被災箇所などを、岡山県では、岡山市東区の砂川被災箇所や倉敷市真備町の小田川被災箇所など、愛媛県では、宇和島市吉田町の国道56号法面崩壊箇所や大洲市東大洲の肱川被災箇所などを視察をいたします。
また、広島県では、湯崎知事や松井広島市長、新原呉市長などと、岡山県では、伊原木知事や大森岡山市長、伊東倉敷市長などと、愛媛県では、二宮大洲市長や管家西予市長などと、それぞれ意見交換を行う予定であります。
なお、牧野副大臣は、明日7月14日から15日にかけて、岐阜県と京都府の被災地を視察いたしますので、併せてお知らせいたします。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)冒頭発言のあった西日本豪雨について、現在把握されている被害状況や今後の対応について教えてください。
(答)今回の豪雨により、多くの箇所で浸水被害や土砂災害等が発生し、今もなお多くの行方不明者がおられます。
海上保安庁におきましては、人命を第一に、巡視船艇や航空機による救助活動等にあたっております。
また、大規模な浸水など被害が発生している地域に、TEC-FORCEをのべ3266名、排水ポンプ車等をのべ1086台を全国から派遣をいたしまして、岡山県倉敷市真備町では、約1200haの浸水を3日間で概ね解消するなど、全力で災害応急対応にあたっております。
更に、被災者の暮らしの安全・安心を確保し、被災地の経済活動の早急な回復を図るためには、インフラを迅速に復旧させる必要があります。
このため、激甚災害の迅速な指定に向けまして、TEC-FORCEについて、昨日更に追加派遣をいたしまして、約450名を超える体制で被害状況調査を加速化し、被災自治体が速やかに災害復旧事業に着手できるよう支援をしてまいります。
また、被災地では、今もなお多くの方々が避難生活を余儀なくされております。
今後しばらくは暑い日が続き、被災地域では屋外はもとより、屋内でも熱中症に注意をしていただきたいと思います。
国土交通省におきましては、7月9日に設置をいたしました国土交通省被災者生活支援チームを通じまして、政府全体の取組と連携し、省内の関係部局が一体となって、被災者の方の生活支援を強力に進めております。
具体的には、被災者の住まいを確保するため公営住宅等約7000戸、UR賃貸住宅約8000戸、国家公務員住宅約2000戸、民間賃貸住宅約5万4000戸をまずは確保しまして、住まいに関する情報は、昨日ホームページに公表いたしました。
公営住宅やURへの受付等は既に開始されておりまして、300戸が入居決定しております。
民間賃貸住宅につきましても不動産業界団体と被災自治体との協議を開始いたしました。
更に、被災者への旅館・ホテルの提供、避難場所としての提供でありますが、現在約900人分の部屋が受入可能となっておりまして、既に20数名の方が入所され、更に増える予定と聞いております。
支援物資輸送につきましては、必要な物資が被災者に迅速に届くよう、物流事業者の協力のもと、関係省庁と連携し対応しているほか、国土交通省所有の船舶や巡視船艇による輸送を行っています。
海上保安庁では、巡視船艇・航空機により孤立地域の患者等66名を搬送したほか、断水地域で巡視船艇及び港湾局の船舶により約284トンの給水支援を実施いたしました。
今回の豪雨で記録的な大雨となった地域では、今もなお土砂災害への警戒が必要であります。
激甚な土砂災害が発生した地区では、土砂災害専門家等を派遣いたしまして、土砂災害危険箇所等の調査を実施するとともに、二次災害防止のため必要な箇所に監視カメラ等を設置しております。
国土交通省としては、一日も早い被災者の生活再建と被災地の復旧支援、復旧復興に全力で取り組んでまいります。

(問)民泊法の施行から15日で1ヶ月となります。
現状の評価と見えてきた課題、今後の見通しと対応について、お聞かせください。
(答)住宅宿泊事業の届出等の状況につきましては、7月6日時点で、国土交通省が把握しているところでは、住宅宿泊事業の届出の提出件数が5397件、うち受理済み件数が3938件、住宅宿泊管理業の登録の申請件数が1021件、うち登録済み件数が867件、住宅宿泊仲介業の登録の申請件数が43件、うち登録済み件数が29件となっております。
住宅宿泊事業の届出件数につきましては、現在においても1日約100件程度、増えておりまして、コールセンター、ポータルサイト等の利用者も相当数おりますことから、今後も届出件数は継続して増えていくものと考えております。
国土交通省としては、引き続き、コールセンターやポータルサイト等を活用した制度等の分かりやすい周知に努めることによりまして、円滑な届出の促進に取り組んでまいりたいと考えています。
また、住宅宿泊事業の届出に関して、手続きの煩雑さが、届出が伸び悩んでいる一因になっているとの指摘もありますことから、関係自治体に対しまして、電子申請システムの利用促進や添付書類の簡素化等について検討を要請したところであります。
更に、違法民泊対策に関しまして、民泊仲介サイトに掲載されている物件について、所管の省庁から関係自治体に対し、できるだけ速やかな違法性の確認を依頼しております。
今後、その結果を踏まえて、違法な物件については仲介業者に対し掲載の削除を要請するなど適切に対応してまいります。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁や関係自治体と連携しまして、住宅宿泊事業法を適切に運用しまして、健全な民泊の普及に努めてまいりたいと考えております。

(問)倉敷市が平成29年度に作製したハザードマップによりますと、今回、災害に遭われました小田川周辺の多くの部分が浸水想定地域となっておりまして、この度、国土地理院の方も今回の豪雨による浸水の深さを推定したものと、この倉敷市が事前に作製したハザードマップとほぼ一致しているという結果もされているようです。
このように事前に予測されていた災害で30人近い方が被害に遭われたのですが、なぜ事前に防ぐことができなかったのか。
可住地域を広げすぎてしまったのか、それとも堤防決壊対策を二の次にしてしまった結果、与党の治水政策の失敗、国土交通省河川政策の人災との声もあがっておりますが、大臣の受け止めをお願いします。
(答)洪水ハザードマップは、地域の水害のリスクや水害時の避難に関する情報を住民等にお伝える道具でありまして、作製したハザードマップを住民に周知し、いかに浸透させるかということが重要な課題であります。
ハザードマップの周知については、各市区町村におきまして、印刷物の配付等に加えて、説明会の実施や避難訓練での活用等、多様な手段で行われており、同様の取組が倉敷市においても行われていたと聞いております。
今回の水害では、倉敷市真備町を始めとして多くの地域で犠牲者が生じたという状況に鑑みまして、ハザードマップの住民への周知について、市区町村とともに課題の抽出を行うなど検証を行って、改善すべき点は速やかに改善を図ってまいりたいと考えております。

(問)IR実施法案についてお伺いします。
IR法案では、カジノ事業者に貸金業を兼ねた特定金融業も認めているとのことです。
顧客にお金を貸してギャンブルさせるということが可能になるわけですが、この法案の中には、一定金額をカジノ業者に預託できるという、日本人に限った、また富裕層に限ったという条件はあるようなのですが、他方、日弁連の会長等は、顧客をギャンブル依存症に陥らせる弊害が多いというようなこともいわれています。
また、一般の金融業に適用されている、年収3分の1以下とする貸金業の総量規制の適用外とされています。
このようなギャンブル依存症の対策とは相反するような法案について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
(答)まず、貸金業法におきましては、かつて多重債務が非常に社会問題化したことを受けまして、複数の貸金業者による過剰貸付によって多重債務が起こらない、それを防ぐために総量規制が定められたものと承知しております。
一方でカジノにおける貸付につきましては、まず貸付業務を行う者はカジノ管理委員会の免許を受けたカジノ事業者に限定しています。
カジノ事業者以外は貸付はできません。
貸付対象は日本人等については、一定以上の金銭をカジノ事業者に預託できる相当の資力を有する者に限定する。
この辺は今後決めますけれども、参考にしているのはシンガポールで、シンガポールは10万シンガポールドルということで、約800万円、日本円に相当すると、その額を参考にしてやるということですから、相当の富裕層に限定するということがあります。
それからカジノ事業者は、無制限に預託できた方に貸せるというわけではなくて、個々人の資産、債務の状況も踏まえて、顧客一人一人について個別に貸付限度額を定めると、これを義務付けております。
従って、無制限に貸せるということではございません。
それから、カジノ事業者はお金を貸し付けて利益を得るのを防ぐため、無利息による貸付を義務付けておると。
そういったことから、貸金業法とは対象が異なっていると、一定のきちんとした限度を設けているということでございます。

(問)IR実施法ですが、現在の週刊文春の方に、アメリカのカジノ業者が自民党の麻生大臣であるとか野田大臣、それから西村官房副長官などのパーティー券を購入していたというような記事が出ております。
災害対策よりもカジノ法案なのかというような批判の声も上がっておりますが、このような特定の業者に対する利益優遇のために災害対策を二の次にして、IR法案の実施の審議をしているのではないかという批判の声が上がっておりますが、大臣の御所見をお伺いします。
(答)まず、週刊誌の記事につきましては、パーティー券の購入等という記事だったと思いますけれども、私自身は政治資金規制法を担当しているわけではございませんので、個々の週刊誌の記事についてコメントすることは差し控えたいと思います。
なお、災害対応とIR法の審議ということでありますが、災害対応につきましては、国土交通省も7月3日に非常態勢を取りまして、その後、省内に非常災害対策本部を設けて、連日のように会議を行い、必要な指示を私は行わさせていただいています。
また、委員会に出席しているときにも、常に秘書官が私に連絡を取れるようにしておりまして、必要な情報を入手し、また必要な指示ができる体制におりましたので、災害対応に万全を期しているところでございます。
また、法案を提出している立場でございますので、法案の審議には真摯に向き合う必要があるというふうに考えております。

(問)愛媛県西予市の避難所で避難された方が1人亡くなられました。
それに対する受け止めと、国土交通省だけでできることではないと思いますが、このような方々がまた出ないためにどのような取り組みをしていくのか、大臣の所見をお伺いします。
(答)避難所で亡くなられた方の原因等を詳細に承知をしていないところでありますが、政府の非常災害対策本部におきましては、総理から避難者の方の生活支援ということで各省強力に推進するようにというご指示をいただいております。
国土交通省としては特に物流関係、避難所への生活緊急物資の輸送等と関係しておりますので、経済産業省や農林水産省等々関係省庁と連携して、緊急物資、生活物資の供給ということで遺漏無きようにつとめていきたいと考えております。

(問)先ほど話がでましたみなし仮設の関係ですが、国土交通省のホームページにも掲載されていまして、内容を見ると、被害の大きかった広島や岡山や愛媛という辺りの地域の住宅は限定的にみえるのですが、被災者のニーズに合わない懸念もあるかと思いますが、この点いかがでしょうか。
みなし仮設の確保の狙いとともにお願いします。
(答)すいません、ちょっとよくわからなかったのですが。

(問)URや民間の賃貸住宅を合計7万戸あまり確保したという話の関連ですが、被害の極めて大きかった地域、たとえば広島、岡山、愛媛とか、そういった辺りの物件数が限定的にも思えたのですが、そうなると被災者のニーズに合わないような、そういった懸念もあると思うのですが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)広島市等は相当、民間の物件もございますので、今後、被災自治体と不動産業界団体等との協議の中で民間の賃貸住宅等の活用も進むのではないかと考えております。
一方で、愛媛県等については、南予地方については、なかなか民間賃貸住宅が少ないということで、見なし仮設ではなくて、通常の仮設住宅にならざるを得ないのではないかという見方もございます。
いろいろな手法を活用して、避難者の生活支援、住まいの確保ということはやっていきたいと思っています。

(問)関連ですが、こうしたみなし仮設については、過去の災害でも、入っている被災者の方の孤立なども課題にあがったことがありますが、この点についてはいかがでしょうか。
(答)避難者の方が分散するということで、なかなか情報等の連絡が行き届きにくくなるという課題があったかと思います。
そういった点もしっかり踏まえて、今後みなし仮設に入っている避難者への対応というのも心がけていきたいと思います。

(問)JR北海道ですが、今、2030年までの国の支援が求められていると思いますが、当面、2019年度、2020年度の2年間に限定するという報道もありますが、現段階での検討の進捗状況を教えていただけるものがあればお願いします。
(答)これまでも記者会見等で申し上げているところですが、JR北海道の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について、この夏頃までに大まかな方向性についてとりまとめたいということを申し上げてまいりました。
現在、関係者と調整を行っているところでございまして、具体的な内容については現段階ではコメントを控えさせていただきたいと思います。

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