大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年7月28日(金) 10:54 ~ 11:13
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議におきまして、「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」を閣議決定いたしました。
人手不足が深刻化し、今後更に少子高齢化が進む中、物流がわが国の経済成長と国民生活を支える役割を引き続き果たしていくためには、その生産性の大幅な向上を図り、強い物流を構築することが重要であります。
新たな大綱は、6月27日に有識者検討会からいただいた提言を踏まえて策定されたもので、2020年度までの政府全体の物流施策の基本的方向を示すものであります。
今後は関係省庁とともに、この大綱に基づく諸施策を総合的かつ一体的に推進してまいります。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
このほか、私の方から3点御報告がございます。
1点目は、港湾及び空港におけるヒアリ対策についてであります。
まずは空港における特定外来生物ヒアリの点検結果についてでありますが、航空局におきまして、7月7日に国際定期便が就航する29空港の管理者に対して、ヒアリに関する緊急点検を行うよう要請しておりましたが、点検の結果、今回はヒアリは確認されませんでした。
また、港湾につきましては先日発表したとおり、コンテナヤードの舗装の隙間を埋める工事を緊急に行うこととしておりますが、全国68港湾のうち、昨日までに12の港湾において現地工事に着手しております。
更に、本日54の港湾において現地工事に着手いたしました。
残る2つの港につきましても、本日までに現地調査を開始しまして、早急に現地工事に着手いたします。
2点目は、タクシーの事前確定運賃に関する実証実験についてであります。
8月7日から10月6日まで、東京都23区、武蔵野市、三鷹市におきまして、配車アプリを活用してタクシーに乗車する前に利用者が乗り降りする場所を入力し、運賃を確定させる事前確定運賃に係る実証実験を行うこととなりました。
事前確定運賃は、渋滞や回り道等により運賃が高くなるかもしれない、また、到着するまでメーターを気にしなくてはいけない、といった利用者の不安感をなくし、タクシーをより使いやすくすることを狙いとしております。
今回の実証事件では、事前に確定した運賃が実際の走行に照らして適切であったかどうかの検証や、利用者アンケート等を行いまして、その結果を踏まえて必要な制度を検討していくこととしております。
こういった取組を通じまして、配車アプリの利便性を高め、普及を促進させることによりまして、タクシーの空車走行を減らし、生産性を向上させることを目指してまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
最後の3点目でありますが、自治体等が主催するツアーについてであります。
自治体等が主催する子ども向けサマーキャンプが、旅行業法に抵触する可能性があるとして、催行を中止する事例がありました。
また、かねてよりボランティア団体等が主催する被災地へのバスツアーの旅行業法上の取扱について、明確化が必要となる事例が生じております。
このため、これらのツアーについて、事業性等の観点から解釈を明確化し、社会通念にも照らして必要なツアーが円滑に実施できるよう、都道府県に対して本日通知を発することといたしました。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)自治体が主催するツアーの件でお伺いします。
この問題ですが、安全を確保するための法律が自治体において認識不足で正しく使えていなかったと、こういったことになるかと思いますが、今回の現状をどう見ていますか。
今回のケース、問題を総括していただきたいと思っております。
(答)全国各地で開催される予定であったツアーが、旅行業法に抵触する可能性があることを懸念して中止になった事例がございましたことは、旅行業法の解釈が必ずしも明確でなかったことが1つの要因と考えられます。
これによって、夏休みにサマーキャンプが中止となり、旅行の中止を余儀なくされたお子さんがいらっしゃったことについては、大変残念に思っております。
この度は、自治体が関与するツアー実施に係る旅行業法上の取扱を明確にすることで、こうしたさみしい思いをするお子さんがこれ以上出ないように努めてまいりたいと考えております。
都道府県に対しましても、個別のツアーの実施について、安全面での対応を始めとして適切な助言を行うよう通知するとともに、国土交通省といたしましても、丁寧な対応を心がけまして、自治体の担当の方の旅行業法に対する理解を深めていきたいと考えております。

(問)今御説明のあったタクシーの事前確定運賃ですが、渋滞などで料金が変わる不安を解消できるということですが、どういったお客さんのニーズを叶えるというふうに想定されているのかという点と、これは1つのアイデアだと思いますが、タクシーの利用を促進させたり、生産性を向上していくために、このほか必要なことだったり課題があれば教えてください。
(答)国土交通省では、昨年の4月にタクシーのサービス、安全・安心、生産性を向上させ、利用者に選ばれるタクシーを実現するための取組としまして、「タクシー革新プラン2016」をとりまとめております。
これを受けて、タクシー業界も昨年10月にサービスの活性化に向けて今後新たに取り組む11項目をとりまとめています。
その取組の第1弾として、本年1月末から東京のタクシーの初乗り運賃の引き下げを実施しておりまして、今回実験いたします事前確定運賃は、タクシーサービスの向上を目指した取組の第2弾として実施するものでございます。
そのほかに、タクシー業界の方でとりまとめた事項としては、例えば相乗りですとか、あるいはユニバーサルデザインのタクシーの導入ですとか、そういった11項目がまとめられているところであります。
事前の確定運賃は、それぞれの事業者の配車アプリを利用して、利用者が乗り降りする場所を入力すると、地図上の走行距離や予測所要時間などから運賃を算出し、事前に運賃が確定するサービスであります。
この実証実験におきましては、事前に確定した運賃額が実際の走行に照らして適切であったかどうかの検証を行うとともに、運送実績や利用者アンケート等を通じて利用者の反応を把握する予定であります。
こういったことによって、利用者にとってはタクシーに乗車する前に運賃が確定するため、渋滞やメーターの動きを気にせずに安心してタクシーに乗ることができるようになると考えておりまして、そういうニーズのある方へのサービスということになろうかと思っております。
(問)例えば外国人の旅行者とか、そういったイメージでしょうか。
(答)これは外国人の旅行者に限らず、いくらかかるか分からないと、だからなかなか乗りにくいと、そういうタクシーに乗るハードルをなるべく引き下げていこうということが狙いであります。
内外を問わず、ということであります。

(問)観光立国実現のための財源についてお尋ねします。
出国税などの新財源を検討との報道もありますが、現在の検討状況はいかがでしょうか。
もし検討しているのであれば、具体的な手法としてどのような選択肢が考えられるのか、併せてお願いします。
(答)昨年3月にとりまとめられました、明日の日本を支える観光ビジョン及び本年6月にとりまとめられました、日本未来投資戦略2017におきまして、次世代の観光立国実現のための財源を検討することとされております。
これを踏まえまして、観光庁において観光先進国の事例を参考にしつつ、財源確保策を検討している段階であります。
報道では出国税という報道ぶりもございますが、具体的に何かターゲットを定めて検討しているということではございません。
他の観光先進国の取組で申し上げれば、例えば、米国においては、ビザを持たない外国人から渡航認証システムの申請手数料を徴収している事例がございますし、オーストラリアにおきましては、航空機、船舶で出国する旅客から、出国税を徴収している事例などがあると承知をしております。
現在こうした事例を参考にしながら、幅広い選択肢を検討している段階でございます。

(問)先日、与党PTの検討委員会で、JR九州がフリーゲージトレインによる西九州ルート運営は困難と表明しました。
大臣の受け止めと、今後の対応をお聞かせください。
(答)九州新幹線西九州ルートにおきましては、25日の与党検討委員会において、JR九州からヒアリングが行われまして、JR九州からはフリーゲージトレインの安全性に係る問題の解決には年単位の時間を要し、対面乗換方式による運営の長期化が懸念される、また、経済性の検討の結果、収支採算性が成り立たず、現時点ではフリーゲージトレインによる運営は困難である。
更に、西九州ルートの整備のあり方については、委員会で検討いただきたいとの意向が表明されたと承知しております。
JR九州の意向表明を受けまして、フリーゲージトレインの導入につきましては、特に収支採算性が鍵になってくるものと受け止めております。
また、本日、与党検討委員会が開催されまして、佐賀県及び長崎県からもヒアリングが行われる予定であります。
与党検討委員会におきましては、これらの関係者からヒアリングを行った上で、今後の対応について検討が行われるものと承知しておりまして、国土交通省といたしましては、技術評価委員会の評価結果や与党検討委員会における議論を踏まえまして、適切に対応していきたいと考えています。

(問)追加でフリーゲージのことについてお伺いしたいのですが、このフリーゲージトレインの技術自体は西九州ルート以外にも使える技術だと思うのですが、仮に西九州ルートでの導入、現状は非常に困難となっておりますが、西九州ルートに導入しないということになれば、フリーゲージの税金を投入しての開発はやめるのか、それとも西九州ルートの採用如何にかかわらずフリーゲージの開発は続けていくおつもりなのか、考えをお聞かせください。
(答)現段階においては、西九州ルートについてのフリーゲージトレインの導入をどうするか決まった段階ではありませんので、仮定の質問にはなかなかお答えしにくいですが、現段階においては、引き続きフリーゲージトレインの検討を進めていくという立場です。

(問)JR北海道が路線の大幅な見直しを表明してから29日で1年ということで、弊社(北海道新聞)で、JR北海道が単独では存続困難と表明した10路線13区間の沿線自治体55市町村にアンケートしました。その結果、路線の維持コストをどこが主に負担すべきかと聞いたところ、4割以上の25市町村が国とお答えになりました。
それから、更にその他と回答した18市町からも国からの抜本的支援が必要ということで、非常に国の積極的な関与を求める意見が目立ったわけですが、国にとってはちょっと主張が相容れないような意見がかなり相次いだのかなと思いますが、大臣の御所感をまずお聞かせいただければと思います。
(答)通常国会でもかなりいろいろな議員からも御質問をいただいたところありますが、現在、JR北海道が置かれている状況は、地域の人口減少やマイカー等の他の交通手段の発達により、路線によっては輸送人数が大きく減少し、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加していることに起因するものであると認識しています。
このため、現在、JR北海道が鉄道を持続的に運営するための方策や地域にとってより効率的で利便性の高い交通サービスのあり方などについて、地域の関係者の方々との協議を開始しつつあるところです。
国土交通省としては、北海道庁と連携しながら、こういった協議に参画をし、地域における持続可能な交通体系の構築のために必要な方策につき検討してまいりたいと考えているところです。
(問)追加の質問ですが、今の質問に対してアンケートに対しての御所感が抜けているかと思いますので、大臣の言葉がありましたらお願いしたいというのと、沿線自治体から厳しい回答が非常に相次いだというのは、1987年の分割民営化の際にJR北海道は498億円の赤字が出ると国が認定し、6822億円の経営安定基金を積んだという経過があったわけですが、これが低金利によって30年間で運用益が4300億円以上減ったということが沿線自治体から見ると、経営問題の本質だと捉えているということが、このアンケートの結果に大きく出ていると思います。
沿線自治体から見ると、やはり国の対策の不足分を地元が穴埋めしないといけないのかという不満があるのが実態だと思います。
こうした考え方というのはおかしいのでしょうかということを伺いたいのと、国が問題の本質に向き合って抜本的な対策を取るべきだと改めて思いますが、いかがお考えでしょうか。
(答)アンケートの結果は御紹介いただきましたけれども、いずれにいたしましてもJR北海道、そして地域の皆様方、そして国が一体となって検討していくことが重要であると考えております。
それから経営安定基金につきましては、元本をJR北海道に渡した後はJR北海道において自主的に運用されるものでありまして、その運用益が金利によって変動することは、当初から想定された仕組みであると考えられます。
一方、金利情勢によっては様々な変化がある中で、長期的な情勢の変化に伴って、運用益が減少していることから、国土交通省としましてはこれまでJR北海道に対して、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸付など、累次にわたって支援を行ってきているところです。
そもそもJR北海道が厳しい経営状況に置かれているのは、経営安定基金の運用益が減少していることのみならず、むしろ地域の人口減少やマイカー等の他の交通手段の発達により、路線によっては輸送人数が大きく減少し、鉄道特性を発揮しづらい路線が増加していることも大きな要因であると考えています。
今後、JR北海道による鉄道事業の運営を含め、地域における持続可能な交通体系を構築していくことが重要なことであると考えています。

(問)発言のあったヒアリの関係で伺いたいのですが、全国29の空港で今回の調査・点検では確認されなかったということですが、今後港だけではなく、空港においても引き続き定期的な調査をするとか、今後継続的に警戒に当たっていくという理解でよろしいでしょうか。
(答)引き続き、国際定期便が就航する各空港におけるヒアリに対する注意体制を継続するとともに、万が一ヒアリが発見された場合には環境省等と連携をし、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

(問)昨日ですが、都議選の大敗を受けて民進党の蓮舫代表が辞任を表明されました。
また陸上自衛隊の日報隠蔽問題を巡って、稲田防衛大臣が辞任する意向を固められました。
それぞれについて大臣の受け止めを教えていただけますか。
(答)政治家の出処進退というのは、自らが判断をするべきものと考えておりますので、それぞれの御判断はそのまま受け止めているということです。
(問)重ねてですが、稲田防衛大臣を巡っては東京都議選で、かなり違法性の高い発言をされたということで、その間も安倍首相は庇われるような姿勢を見せていましたけれども、安倍首相の任命責任について、どのように受け止めていますか。
(答)それは私はお答えする立場にないと考えております。
 

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