大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年1月20日(金) 9:59 ~ 10:23
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。
トルコの出張について、簡単に報告させていただきます。
1月17日から19日まで、トルコ共和国に出張し、エルドアン大統領、ユルドゥルム首相及びアルスラン運輸海事通信大臣と会談を行いました。
エルドアン大統領との会談では、安倍総理からの親書をお渡しするとともに、世界で最も長い中央径間長の橋梁を含むチャナッカレ海峡大橋プロジェクトのトップセールス等を行いました。
ユルドゥルム首相及びアルスラン運輸海事通信大臣との会談でも、このプロジェクトのトップセールス等を行ったところです。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
私からは以上です。
 

質疑応答

(問)本日、米国でトランプ大統領が就任いたします。
具体的な政策はまだ明らかになっていませんけれども、国内雇用の創出やインフラ整備強化など、国土交通省の政策に関連する部分を含めて大まかな方針が明らかになりつつあります。
改めて、米国の新政権に期待することは何か、関係づくりにどのような点に重点を置いて取り組んでいくのか、具体の考えをお聞かせください。
(答)本日、トランプ氏が大統領に就任されますが、この点について国土交通省では、これまでカリフォルニアやテキサスでの高速鉄道、ワシントンDCからボルティモアを結ぶリニア鉄道構想をはじめ、航空、自動車、道路等といった幅広い分野において、良好な日米間での協力関係を築いてきたところです。
今後、トランプ政権下において打ち出される具体的な政策を見守りつつも、チャオ次期運輸長官との間におきまして、引き続き、これまでの良好な関係を維持し、一層発展させていきたいと考えております。

(問)文部科学省で天下り問題が出ましたが、関連してお尋ねします。
国土交通省では過去に監視委員会から2件の指摘があったかと思いましたが、それ以外にこうした不正の事案はないのでしょうか。
また、国土交通省内での不正防止の対策があれば、お聞かせください。
(答)国家公務員法では、国家公務員の退職後の再就職に関して、現職の職員によるあっせん等の行為が禁止されており、国土交通省においては、このような事案はございません。
国土交通省においては、こうした再就職規制の内容について、職員に対して様々な機会を捉えて周知徹底を図っており、適切に対応しているところです。
具体的には、再就職規制の内容について、省内イントラネットを通じた周知、毎年行っております管理職員や人事担当者向け各種研修・講習会、退職する職員に対する個別説明等、政府内で再就職違反が発生した際は、その度に事案の概要と併せて職員への周知等により、周知徹底を図っているところです。

(問)埼玉県の京浜東北線蕨(わらび)駅で、盲導犬を連れた男性が転落して死亡した事故についてお伺いします。
今回、駅員があらかじめ男性に気付いていたにもかかわらず声かけをしなかったということですが、昨年12月にまとめた対策が駅員に徹底されていなかったという報道もあり、対策を徹底する必要があると思うのですが、大臣の所感と国土交通省の対策について、お伺いできればと思います。
(答)1月14日午前7時過ぎに、JR東日本・京浜東北線蕨駅において、盲導犬使用者である視覚障害者の方がホームから転落し、列車と衝突して亡くなるという大変痛ましい事故が発生しました。
お亡くなりになりました方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に哀悼の意を表したいと思います。
国土交通省では、昨年8月の視覚障害者の方の転落死亡事故を受け、省内に「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を設置し、再発防止に向けた検討を行い、昨年末、ハード・ソフトを含めた総合的な対策をとりまとめたところです。
このとりまとめにおける駅員等のソフト対策としては、誘導案内希望の申し出があった場合には誘導案内を実施すること。
また、申し出がない場合であっても、介助者のいない視覚障害者に気付いた際は、声かけを行うこと。
声かけをし、乗車降車の誘導案内を希望されない場合でも、可能な限り乗車するまで見守ること。これを行うこととしております。
これを踏まえ、JR東日本に確認したところ、改札の職員が視覚障害のある当該旅客を認識はしていたが、日常的に利用されており、健常者と変わらない様子で中央寄りの改札を通過したため、声をかけなかった。
また国土交通省の検討会の中間とりまとめが出された以降は、既存のマニュアルに措置内容が記されていると考え、改めて現場への周知徹底は行わなかったとのことでした。
なお、JR東日本においては、今回の事故を踏まえ、早急に改めて現場への周知徹底を行うとのことです。
また、他の鉄道事業者においても駅員等が行う措置について、現場への周知について具体的な行動手順を整理している段階の会社が多い状況でありました。
このため、今回の転落事故を踏まえ、早急に視覚障害のある利用者に気付いた駅員と他の駅員との連絡の取り方等の行動手順を整理の上、現場への周知・徹底を図るよう、1月18日付けの文書で各鉄道事業者に要請をいたしました。
また今月末までにその結果の報告を求めたところです。駅ホームにおける転落事故の防止は、大変重要な課題であり、検討会におけるとりまとめの周知徹底をはじめ、最大限の取組を進めてまいりたいと考えております。

(問)JALが昨日、2017年度の事業計画の中で、羽田-ニューヨーク便の開設を正式に発表しましたけれども、8.10ペーパーが今年度末で期限を迎える中で、国土交通省としては来年度以降、この羽田-ニューヨーク便も含めてJALの新規就航や新規投資に制限をかけない方針かどうかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)昨日、日本航空が本年4月1日からの羽田-ニューヨーク線の新規就航を発表したことは承知をしております。
国土交通省といたしましては、日本航空から当該路線就航に関する事業計画の申請がなされた段階で、航空法に基づいて適切に審査を行ってまいります。
今御指摘のありました、いわゆる8.10ペーパーにつきましては、日本航空による新規投資、路線開設等を監視し、必要に応じて指導、助言を行うこととされていますが、これらの措置はJALグループ中期経営計画の期間である本年度末までとされています。

(問)今年度末ということで、羽田-ニューヨーク便については国際線の事業計画が提出された段階で判断されるということですが、今年度末に8.10ペーパーの期限が切れた後の方針についても、その時点で方針について明らかにされるということでしょうか。
来年度以降も制限されるかどうかについて。
(答)国土交通省としては、8.10ペーパーは今年度末までの措置であるという認識でありまして、新しい年度に8.10ペーパーに相当する文書を出す予定はございません。

(問)時限的な方針、ガイドラインのようなものは、期限を迎えても必要性がある場合、延長されるようなこともあると思いますが、ただ単に期限を迎えたということだけではなくて、期限どおりに今年度で終わるというのは、JALとANAの競争環境に照らしてはどのようなお考えでそのように判断されたのでしょうか。
(答)これまで8.10ペーパーに基づき、日本航空に対しては、投資や路線計画について報告を求めてまいりましたし、また羽田空港の発着枠の従来の配分等を通じて、健全な競争環境の確保が図られてきたという認識です。

(問)8.10ペーパーというのが、羽田の発着枠の傾斜配分の根拠にもなってきていたと思うのですが、8.10ペーパーが今年度で終わりということは、今後は羽田の発着枠について、競争環境を理由にした傾斜配分というのはしないということでよろしいでしょうか。
(答)今後はいわゆる8.10ペーパーというのはなくなるわけですけれども、健全な競争環境の確保というのは常に重要なことでありまして、その都度、航空会社間の健全な競争を通じて利用者利便の向上を図るとの原則に基づいて判断をしていきたいと思います。

(問)熊本地震の関係でお伺いしたいのですが、今、国の方が直轄で被害調査中の南阿蘇鉄道ですが、復旧に対する見通しと熊本の復興の中における南阿蘇鉄道の位置づけについて教えてください。
(答)南阿蘇鉄道については、昨年4月の熊本地震により、全線で運転を休止しました。
このうち、比較的被害が小さかった、東側の区間、中松駅・高森駅間については、昨年7月31日より運転が再開されています。
一方、甚大な被害を受けた西側の区間、立野駅・中松駅間については、現在国が直轄でトンネル周辺の地山の変動や橋梁の部材の健全度等についての調査及び被災した構造物の復旧方法の検討等を行っているところです。
私も昨年6月に現地を視察し、トンネルの変状や橋梁の変状の被害の大きさを確認するとともに、復旧に向けた地元の強い思いを直接伺いました。
南阿蘇鉄道の1日も早い復旧は、南阿蘇地域の復興や観光振興に欠かせないものと考えており、今年度末までにとりまとめられる調査の結果や沿線自治体の御要望等を踏まえまして、関係機関と協力しながら適切に対応していきたいと考えております。

(問)その関連で、被災すれば存亡の危機になる今のローカル線の実態について、大臣はどのような御認識なのでしょうか。
(答)鉄道は各地域において住民の足であったり、あるいは経済活動を支える輸送機関としての役割を果たしておりますが、地方鉄道の路線の中には、利用者の減少により運営赤字が生じるなど、厳しい経営状況に置かれている路線もあると認識してございます。
こういった中、国土交通省としましても、地方鉄道の維持・活性化に向けまして、鉄道の安全輸送確保のための投資に対する補助ですとか、あるいは新駅の設置やICカードの導入など利用者の利便性の向上に資する施設整備に対する補助といった支援を行っております。
また、この地方鉄道の維持に関する問題は、やはり利用促進をはじめとして、活性化に向けた取組を、鉄道事業者のみならず、沿線の自治体等、あるいは関係者等を巻き込んで、地域の実情に応じた鉄道のあり方について、地域公共交通活性化再生法の枠組なども活用しながら、十分に御議論していただくことが重要ではないかと考えます。
実際に地域によって観光のために色々な工夫をして利用者を増やしていくというような取組をやっている事例もございます。
国土交通省といたしましても、鉄道のあり方も含めまして、地域の実情に適した地域公共交通のあり方について、関係者の間で十分に議論がなされるよう、必要な支援をしてまいりたいと考えております。

(問)文部科学省の天下り疑惑についてですが、今日午前中に監視委員会の方の調査結果と処分が公表される見通しですが、その中でも、特に今回文部科学省の場合ですと、あっせんについて非常に組織的にやっていたということが言及される見通しですが、他省庁のそうした組織的にやっていたということについて、大臣の所感をお伺いします。
(答)これについては再就職等監視委員会からの報告がなされると承知しておりますので、その報告の内容を踏まえて、国土交通省としても色々と対応してきたいと考えております。

(問)具体的に現段階での対応というのは、今のところ周知徹底を含めてやられる予定というのは考えていないのでしょうか。
(答)先ほど御説明しましたように、国土交通省としては、職員に対する研修等をしっかりやってきていると判断していますが、その上で更に今回の再就職等監視委員会からの報告を受けて検討していきたいと考えております。

(問)昨日、民間の不動産経済研究所が発表した2016年の首都圏マンション発売戸数ですが、リーマンショック後の2009年を下回って、24年ぶりの低水準ということで、マンション市況が低迷している様子がはっきりしました。住宅政策を担う国土交通大臣としての受け止めをお伺いします。
(答)昨日、不動産経済研究所から発表されました、昨年の首都圏における新築マンションの発売戸数は、約3万6000戸ということで、平成4年以来の低水準であったと承知してございます。
その要因について、同研究所によれば、「販売価格が高止まりしたことでエンドユーザーの動きが鈍くなり、業者が販売を絞る動きが広がった」との分析がなされているところであります。
消費者の方々が無理のない範囲で、良質な新築住宅を取得できることは重要でありまして、引き続き新築マンションの市場動向を幅広く注視してまいりたいと考えております。
一方、同研究所は、マンションにおいては、「新築と中古を横並びで考える人が増えてきている」とも分析しております。
実際に、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)による首都圏における中古マンションの成約件数を見ると、昨年は約3万7000件と、新築マンションの販売戸数を上回っておりまして、増加傾向にございます。
既存住宅流通市場の活性化については、住宅ストックの有効活用、市場拡大による経済効果の発現などの観点から、重要な課題として取り組んできておりますけど、少なくともマンションについては新築住宅との選択肢となり得るほどに、既存住宅流通市場が育ちつつあるものと認識しております。いずれにいたしましても、新築住宅、既存住宅全体として、消費者がニーズに応じた選択のできる住宅市場となるように、環境整備に努めていきたいと考えています。

(問)先ほどの天下りの問題について追加でお伺いしたいのですが、先ほど大臣は国家公務員法違反に当たる事案がないと仰いましたけど、何か具体的な調査をしてそう仰っているのか、そう仰る根拠をもう少し教えてください。
(答)今回の事案を踏まえて、改めて事務方に確認をしたところ、そういった事案は国土交通省としてはないという報告を受けているところでございます。

(問)事案の発覚からまだ1週間経っておりませんが、その間に調査をしたということでしょうか。
(答)そういう事案があればそれは分かっているはずですから、改めて調査をしたかもしれないですが、そういう事案はないと報告を受けているところでございます。

(問)今後、監視委員会から改めて調査に入りたいですとか、何か働きかけがあった場合はどのように対応される見通しでしょうか。
(答)仮定の質問でありますけれども、現在、監視委員会からそういった働きかけがあると承知しておりません。
今後、仮にあった際には適切に対応していきたいと思っております。

(問)蕨駅の事故の関係ですけれども、前提としてJR東日本の今回の対応について問題があったのか、なかったのか、その点について大臣の見解を教えてください。
(答)JR東日本は、検討会の中間とりまとめ以降、既存のマニュアルに同じ内容が記されているということで、改めて現場への周知徹底を行わなかったということでありますが、これは国土交通省としては、やはりきちんと現場に具体的に周知徹底をしていただきたかったと思っております。
改めてJR東日本においても、現場への周知徹底を行うと聞いております。

(問)周知の点に関してではなく、昨年12月に国土交通省と鉄道事業者でとりまとめた内容に照らして、駅員の対応はどうだったのかという点についてお伺いしております。
(答)今回の中間とりまとめの中身を正確に対応していただければ、今回の駅員さんの対応も変わっていたのではないかと思っております。
                             
(問)13日に米国の司法省が、タカタの元幹部3人を詐欺罪で起訴しましたが、この点に関する大臣の所感と国土交通省の今後の対応についてお願いいたします。
(答)個別企業の役員の訴訟案件でありますから、具体的なコメントは控えたいと思いますが、いずれにしましても、タカタにおいてはエアバックについて、リコールが相当出ている訳でありますから、早急に自動車メーカーに対してリコール対象車両の改修をするよう引き続き指導していきたいと考えております。

(問)2つお願いします。
天下りのあっせんの件についてですが、賀詞交換会でびっくりしたのですが、前自動車局次長の和迩さんが日本自動車工業会の常務理事に天下っていましたが、これはあっせんはなかったのかどうか。
もう一つは、自賠責保険については私はこだわりがあるのですが、昨日ありました自賠審で自賠責保険が4年ぶりに値下げがあって皆喜んでおりましたが、中身を見ると、激変緩和で2回値上げした4年前の値上げは何だったのか、それから昨日も総連の相原委員も仰っていたのですが、まだ6100億円あまりが一般会計に貸し出したままだと、一方で、財務大臣は返すのも返さないのも、のらりくらりと会見で仰っていると。
石井大臣が就任されたときにも聞いていると思うのですが、平成30年度はいい加減、国土交通省も物分かりがいいままでは済まないだろうと、それを続けていると、もはや自賠責という強制保険の枠組み自身にひびが入る可能性すらあると委員が指摘したにもかかわらず、金融庁サイドも国土交通省サイドもそういう委員の意見に関してはスルーだったと。
改めて平成30年度の話ですから締め切りまで1年を切っていて、おそらく石井大臣がその判断をなされるのではないかと私は期待しているのですが、物分かりのいい大臣にならないでいただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。
(答)国土交通省で、国家公務員法で禁ずる再就職のあっせん等があったのでないかという御指摘ですが、そのような事実はございません。
また、自賠責保険については、今御指摘のあったとおり、平成6年度から平成7年度にかけて、自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた約1兆1000億円につきましては、利子相当額1000億円を含め約6000億円が繰り戻されていない状況でございます。
残念ながら、平成29年度当初予算における繰り戻しはなされませんでしたけれども、平成22年12月の財務大臣との合意により定められている期限である平成30年度までに、着実に繰り戻しが行われるよう財務大臣に対して求めてまいりたいと考えております。


 

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