大臣会見

繰り上げ石井大臣会見要旨

2016年1月4日(月) 10:01 ~ 10:22
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から1点御報告がございます。
昨年12月27日から29日まで、ラオスに出張し、我が国の円借款により整備されるビエンチャン国際空港ターミナル拡張事業の起工式に出席するとともに、トンシン首相及びブンチャン公共事業運輸大臣と会談を行いました。
ビエンチャン国際空港は、これまで我が国の無償資金協力により国際旅客ターミナルビルが整備されるとともに、我が国企業が運営に参画するなど、我が国と関係が深い空港です。
ラオス建国40周年、日ラオス外交関係樹立60周年、ASEAN経済共同体発足という節目の年に、同空港のターミナル拡張事業に着手することは、日ラオス両国の友好関係を深め、地域全体の発展を図る上で極めて意義深いことであり、ブンチャン公共事業運輸大臣からも、我が国の「質の高いインフラ」に対する期待の言葉が述べられました。
トンシン首相及びブンチャン公共事業運輸大臣とは、質の高いインフラ整備、地域の連結性強化への貢献など、幅広く意見交換を行い、両国間の協力関係を強化することで一致しました。
今回の出張によって、本年のASEAN議長国であるラオスと我が国との友好関係を確認するとともに、今後の協力について相互理解を更に深めることができたものと考えております。
詳細は、事務方にお問合せいただきたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)今年最初の会見でもありますので、今年の抱負や国交省としての重点施策についてお伺いいたします。
(答)昨年は様々な自然災害や事件がありましたが、「一陽来復」を願い、本年が丙申に相応しい、様々な事柄が前進する年になるよう、国土交通行政を前に進めていきたいと考えております。
まずは、復興の加速化であります。
本年、東日本大震災の発災から5年が経過し、復興・創生期間という新しいステージが始まります。
復興の一段の加速化、「実感できる復興」へとしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
また、昨年9月の関東・東北豪雨を契機に打ち出しました「水防災意識社会」の再構築に本格的に取り組んでまいります。
そして、観光であります。
昨年、訪日外国人旅行者数は1900万人台に達し、2000万人の目標達成が十分視野に入ってまいりました。
次の時代に向けた新たな目標の設定とその達成に向け、官民総力戦で観光立国を推進していきます。
また、人口減少時代でも、社会のあらゆる生産性を向上させることで、経済成長を実現することができると思っております。
そのため、社会資本整備の進め方を「賢く投資・賢く使う」インフラマネジメント戦略へ転換し、「ストック効果開花プロジェクト」への重点投資やi-Constructionを進めます。
また、建設産業やトラック事業など、今後、中長期的に人手不足が懸念される産業界におきましても生産性が向上する様々な施策を講じてまいります。
私は、本年を「生産性革命元年」と位置付けまして、国土交通省の総力を挙げ、生産性の向上に向けた取組みを進めたいと考えております。
更に、今年の春には、今後10年間の住生活の方向性を定める新たな住生活基本計画を策定いたします。
そこでは、少子高齢化等の課題に対応して、若年世帯・子育て世帯が望む住宅を選択し確保できる環境整備、高齢者が自立した住生活の実現等に向けた具体的な方向を打ち出したいと思っております。
今月6日、国土交通省は発足15年を迎えます。
今後も、強みである現場力を活かしまして、先頭に立って様々な課題に取り組んでまいりたいと思っております。

(問)ラオスの出張についてお尋ねいたします。
トンシン首相やブンチャン公共事業運輸大臣とは、質の高いインフラ整備などについて幅広く意見交換を行ったとのことですが、この意見交換の中で新幹線の導入ですとか、今後の具体的な案件について何か言及したことがございましたら、明らかにできる範囲でお聞かせください。
また、ラオスの今回の訪問を踏まえて、アジア諸国の今後のインフラの海外展開の方向性について、大臣の考えをお聞かせください。
(答)昨年末のラオス訪問では新幹線導入については話題になりませんでしたが、東西経済回廊に当たる重要国際幹線道路であります国道9号線の改修事業であったり、あるいはビエンチャンにおけるバス輸送の支援の事業であったり、また共同輸送・共同配送などの物流の効率化の事業であったり、またラオス公共事業運輸省の人材育成等、幅広い課題について率直に意見交換を行いまして、今後、必要な協力を進めていくこととしたところでございます。
また今後のインフラ展開ですが、特にアジアにおいては、昨年末にASEAN経済共同体が発足いたしました。
地域の連結性強化等による経済発展が重視されておりますので、今後、ヒト、モノ等の流れがより活発になっていくことが予想されます。
空港、港湾、道路等のインフラ整備が極めて大きな役割を果たすこととなります。
このため、インフラ整備や人材育成等に対する我が国の協力に大きな期待があることをラオスの訪問で改めて実感いたしました。
こういったインフラ整備は、相手国及び地域の経済発展に貢献することはもとより、これらの地域で活躍する日本企業の効率的な事業活動を支えるとともに、海外インフラ展開を目指す多くの日本企業にビジネスチャンスを提供することとなり、日本経済の成長に大きく貢献することとなります。
ASEAN地域を中心とする旺盛なインフラ需要を巡っては、各国との厳しい受注競争もございますが、「質の高いインフラ」という日本の強みを最大限にアピールしまして、我が国のインフラシステムの海外展開を今後とも積極的に進めてまいりたいと考えております。

(問)2つ質問がございまして、まず1点ですが、2日にエア・ドゥが羽田発新千歳行きの便で管制塔の指示よりも高い高度で飛行したことが明らかになっていますが、それに対する対応や見解をお伺いしたいのですが。
もう1つは、北海道新幹線の関連で、貨物新幹線の開発を検討しているという話が明らかになったのですが、今、国交省とJR北海道とJR貨物などで検討されているようなのですが、その検討状況についてお伺いしたいのですが。
(答)まずは、エア・ドゥの件でございますが、1月2日、エア・ドゥ19便、羽田発新千歳行が羽田空港を出発して、上昇している最中に管制官から指示された高度約1,500mから一時的に逸脱しました。
高度逸脱に気付いた運航乗務員は、直ちに指示された高度に戻りまして、新千歳空港まで正常に飛行しました。
新千歳到着後、当該運航乗務員2名から報告を受けたエア・ドゥが、同乗務員が乗務予定だったその後の便の運航を取りやめたため、2日及び3日の合計4便が欠航となったところです。
エア・ドゥにおいては、乗務員2名から詳細な状況を聞くとともに、機体の運航記録を詳しく確認しているところです。
航空局からエア・ドゥ社に対しまして、事案発生時の詳細な状況及び再発防止策を報告するよう指示しているところであります。
今後、同社からの報告を踏まえ適切に対応してまいりたいと思います。
それから、北海道新幹線の関係で、いわゆる貨物新幹線ということでありますけれども、本年3月に開業予定の北海道新幹線では、青函トンネルを含む区間において、新幹線と貨物列車が我が国で初めて共用走行することになります。
この共用走行区間における貨物列車の高速走行については、平成25年3月に交通政策審議会のワーキンググループでとりまとめられた「青函共用走行問題に関する当面の方針」の中で、新幹線貨物専用列車導入案、いわゆるトレイン・オン・トレイン、貨物列車をそのまま乗せていくという案が示されまして、国土交通省を中心に検討を進めているところです。
一方、トレイン・オン・トレインにはいろんな課題がございます。
それを解消するために、報道にありましたようにコンテナ貨物を直接、新幹線タイプの車両に積載する方法を含めて、関係者間で、様々な観点から勉強が行われていると承知しております。
いずれにしましても、新幹線と貨物列車の共用走行については前例がないことですので、極めて高い技術レベルが求められます。
技術の検証と実現可能性について慎重に検討を進めているところでございます。
(問)関連でよろしいでしょうか。
前段のエア・ドゥの方ですが、適切に対応したいとのことでしたが、何らかの罰則とは言わないまでも対応する可能性というのはあるのでしょうか。
(答)それは、事案の詳細な状況と再発防止策、これが報告された上で検討していきたいと思っております。
(問)もう1点、貨物列車の方なのですが、トレイン・オン・トレインのことをお話しされましたけれども、トレイン・オン・トレインの方はなかなか難しいので、どちらかというと今後は貨物列車の方に比重を移したいというお考えでしょうか。
(答)トレイン・オン・トレインを諦めて別の方法を取ってるというわけではありません。
トレイン・オン・トレインも含めて、まだ勉強を行っているところです。

(問)マンションの建替えの要件を緩和するという報道が一部ありましたけれども、その点の御所感をお聞かせください。
(答)マンションの建替えに必要な所有者の合意の数を、現在の8割以上から2/3以上へ引き下げるという報道があることは承知しております。
高度経済成長期に大量に供給された住宅団地の中には、建物や設備の老朽化が進み、建替、改修を含めた再生が必要なものが多くなっています。
特に、古い住宅団地について、地域の再生の拠点として再開発しようとする場合であっても、例えば、複数棟の団地において土地が共有である場合、これは都市再開発法上、その共有者全員が1人の組合員とみなされてしまうということから、この再開発を進めるためには、民法の全員合意の原則から非常に合意形成が難しくなることが課題となっております。
そこで、通常国会提出を今、検討しているのですが、都市再開発法の改正によって、土地の共有者のみで組合を作り、市街地再開発事業を行おうとする際に、土地の共有者1人1人を組合員とカウントして、2/3以上の合意で事業が可能となることとする措置を講じることによって、地方公共団体が都市計画による市街地再開発事業として住宅団地の再生を行うことを促進することを検討しているということでございまして、一般の区分所有法の改正ということではなくて、再開発の中での要件ということを検討しているところでございます。
今後、既存の建物を活かしつつ、市街地を整備することを可能とする措置などの再開発事業の改正事項と合わせて、本日招集の通常国会への提出に向けて調整を進めてまいりたいと考えております。

(問)昨年末、大臣がラオスに行かれたということですが、今、ラオスまでの定期便はないと思いますが、どういうルートで行かれたのでしょうか。
(答)バンコク経由で行ってきました。
(問)タイ航空でですか。
(答)バンコク―ビエンチャン間はタイ航空を使いました。
(問)ラオスですが、後ほど航空局にお聞きしますが、日本と航空協定があるのでしょうか。
直行便乗り入れの規模はあるのでしょうか。
(答)昨年1月に航空協定を結びまして、国会に提出をしておりましたが、継続審議になっているという状況です。

(問)横浜のマンションの件ですが、昨年末に有識者会議の方で、三井住友建設の元請けとしての責任がとても重いという判断と、その説明責任が果たされていない、この2点について大臣はどう思われるでしょうか。
(答)これは昨年、12月25日に対策委員会で、再発防止策の中間とりまとめが行われまして、今、御指摘の内容についてもその中に盛り込まれたところでございます。
それについては、我々も同じ認識を持っているところです。
(問)そうしますと、これまで我々が大臣にお伺いしても、説明責任については、民民の関係なので大臣の方から特に御所見は伺えなかったですけど、改めていかがでしょうか。
説明責任を果たすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
(答)それは、いずれにしましても説明責任はしっかりと果たしていただきたいと思っております。

(問)車に関してお聞きします。
昨年、自動車はなかなか売れなかったと、消費増税の影響で売れなかったとかいろいろと理由はあるのですが、一つは国民のユーザーの車関連の負担が大きいということですが、今月末には定例の自賠審があって、金融庁マターとは言っても、その自賠責の保険料が上がる上がらないという議論もあると思います。
加えて税関連でも、総務省から環境性能課税の問題も出ていると。
車に対するユーザー負担について、税は重いと考えているか、税はこんなものだと思っているか大臣のお考えを教えていただけませんでしょうか。
(答)なかなか、他省庁に関係することなので、コメントはしにくいところなのですが、複雑であることは間違いないかなと、これはなるべく簡素化した方が望ましいということは一般的には言えるのではないかと思います。
(問)税を含めたユーザー負担については重いでしょうか、重くないでしょうか。
(答)なかなか評価は難しいと思います。

(問)先ほど、インフラの開花プロジェクトに言及されたのですが、開花プロジェクトというのは、開通間近のものに集中投資して経済効果を高めるというようなものだと思うのですが、今、お考えになっている重点的に整備すべき、若しくは優先的にやるべきと考える道路や港湾とはどういうものですか。
(答)それは、新年度の予算付けと絡む話ですので、これから具体的に検討していきたいと思いますが、昨年の経済財政諮問会議で私が事例として挙げたのは、東九州自動車道です。
ここで残っている区間を整備すると北九州~宮崎まで繋がるといった事例を挙げましたし、熊本の八代港だったと思いますが、その整備の事例も挙げたと思っておりますが、今後、具体的に新年度におきましてどういうところを行うかは、これから取り組んでまいりたいと思っております。
 

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