大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年11月24日(火) 11:14 ~ 11:31
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から1点御報告がございます。
本日の経済財政諮問会議において、私から説明する予定ですが、建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、更に管理に至る全プロセスにおいて、情報化を前提とした新基準を来年度より導入することとしました。
建設現場の生産性向上は避けることのできない課題です。
これまでも、機械化が進んだトンネル工事は、生産性が飛躍的に向上しておりますが、土工やコンクリート工など、生産性向上の遅れた部分が残っております。
この土工等の分野について抜本的な生産性向上を図ることで、全体として技能労働者一人あたりの生産性について、将来的に5割向上の可能性があると考えております。
このような認識のもと、生産性向上の基本的方向について、有識者や関係者の意見を集約するため、三菱総合研究所理事長小宮山宏氏を委員長とする検討委員会を近日中に設置することといたしました。
これらの取り組みをi-Constructionと名付け、一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善し、建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど魅力ある建設現場を目指していきたいと考えております。
詳細につきましては、この後事務方から説明をさせます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)土曜日正式に発表されましたが、JOINによります米テキサス州の高速鉄道計画への出資、これはインドネシアの高速鉄道計画、日本政府としては残念な結果となったのですが、それ以降に出てきた新しい動きということになります。
まず、この米テキサスの今回の案件への御所感、そして、この後のインフラ輸出全体についての御所感をお願いいたします。
(答)11月21日、海外交通・都市開発事業支援機構いわゆるJOINに対しまして、テキサス州高速鉄道事業の事業主体であるテキサス・セントラル・パートナーズ、TCPへの4千万米ドル、約49億円の出資について認可しました。
この事業は、ダラス~ヒューストン間を高速鉄道により約90分で結ぶプロジェクトで、今後、TCPにより事業の詳細設計等が行われる予定となっております。
今回のJOINによる出資によって、米国における新幹線導入が実現することを大いに期待しております。
また、他の国も含めた他のプロジェクトへの我が国の新幹線システムの導入にも貢献する効果があるというふうに考えております。
今回のJOINの出資は、事業の当初段階からの参画であり、今後は、事業の採算性、実現性等がより確実なものとなるよう、米民間事業者とよく協力して、進めていきたいと考えています。
国交省としては、高速鉄道を始めとするインフラの海外展開について、トップセールス等による相手国への働きかけの強化、JOIN等政府機関の活用、今般、ASEANビジネス投資サミットで総理から発表された質の高いインフラ整備支援策、これらを活用することによって、引き続き、精力的に取り組んでまいります。

(問)19日にデータ流用の問題で、コンクリートパイル建設技術協会から、会員社の実施調査の結果発表がありました。
その日の時点では時間的制約もあったと思いますが、会員企業それぞれのデータ流用の有無というのは明らかになっておりません。
情報開示のあり方について大臣の御所見をお伺いします。
(答)業界の実態把握の第一歩として、指示を出したことに基づきまして、19日にコンクリートパイル建設技術協会から、自主点検の実施状況等について報告がございました。
これにより、業界全体で既に約2,400件が自主点検済であることが分かりました。
協会には、この約2,400件を含め、今月の27日までに自主点検の結果の報告をしっかりと行ってもらいたいと考えておりまして、その旨速やかに指示いたしました。
会員企業ごとのデータ流用の件数については、この27日の報告に含まれるものと考えております。
報告があり次第、データ流用の件数を公表することとしておりますけれども、公表の方法につきましては、とりまとめを行う協会と調整を行いたいと考えております。

(問)テキサス新幹線のJOINの出資についてお尋ねします。
まだ計画も決まっていない段階で、本当に進んでいくのかどうかも分からない。
米国の政府も州政府も支援をしている状態ではない。
新興国ではなく先進国でのプロジェクトであるといういろんなことを考えますと、なぜここに出資するのかというところが、他との比較でもう少し説明が必要かと思いますがどうでしょうか。
(答)詳細な説明は、事務方にお聞きいただきたいと思いますが、先ほどから申し上げておりますとおり、今回、当初段階からの参画でございますので、採算性だとか実現性がより確実なものになるように、よく民間事業者と協力して進めていきたいと思っていますけれども、今回の出資を決めたことによって、アメリカの高速鉄道における新幹線導入、これにはずみがつくということは期待をしているところでございますし、米国のみならず他の国も含めた高速鉄道プロジェクトに新幹線システムの導入を促す効果もあるという期待をしております。

(問)与党内の一部で検討が始まっている税制ですが、企業の内部留保に課税してはどうかという議論があるようですが、大臣の御所見をお願いします。
(答)これは所管外でございますので、私からは特にコメントはありませんが、与党の税制協議会でよく御議論いただいて、結論が出るものと思っております。

(問)冒頭仰った建設現場の生産性向上の件ですが、これは今問題になっているくい打ちの問題との関係はどうなっているのですか。
全く関係ないということですか。
(答)くい打ちとは直接の関係はございません。
主に土を切ったり盛ったりする土工と、コンクリート工事は標準化等をしていく、それから施工時期を平準化していくということに主にターゲットを置いてございまして、基礎工事との直接の関係性はございません。

(問)空き屋とかマンションの空き部屋に旅行客を泊めるいわゆる民泊について、観光庁を所管する国土交通大臣の御所感として、今現行法が想定していないような形で、現実にニュービジネスが先行して広がっているような状態なのですけれども、ここに法の網をかけることが必要じゃないかと与党でも議論されていますが、これについて大臣としての御認識を伺いたいのが一点。
もう一点、今週金曜日に観光庁と厚生労働省が有識者会議を立ち上げて、法律の網をどうかけていこうかというのをこれから議論すると思うのですが、一部報道によると法改正を必要としない省令改正等によって新しいルールを作っていくというようなことが検討されるという報道もありましたけれども、その辺についてどうお考えなのか伺いたいと思います。
(答)民泊については、一定のニーズが認められる一方で、感染症の蔓延防止等の衛生面、治安、防火等の安全面、又は近隣住民間等のトラブル防止、それから旅館・ホテルとの公正な競争条件の確保。
こういった課題がございますので、今後、民泊に対する適正なルールについて検討していきたいと思っておりますが、今、御指摘がございましたとおり民泊のあり方について、今月末から関係省庁、有識者から成る有識者会議を立ち上げて、検討していきたいと思っております。
有識者会議の議論を踏まえて厚生労働省等々調整の上、年度内に一定の方向性が得られるよう検討を進めていきたいと思っております。
なお、報道では厚生労働省所管の旅館業法の省令を改正して、ホテル・旅館・簡易宿所・下宿に加えて民泊の営業許可を新設する云々という報道がございましたが、そうした方針は決まっておりません。
また、この報道では、省令ではなく旅館業法、法律で規定している営業許可の新設が省令で可能となるという事実誤認も見られるところでございます。
今、申し上げたように有識者会議を立ち上げて、その中でしっかり検討していきたいと思っています。

(問)3日前に、車検に絡みました独立行政法人の検査官3人が大阪府警に逮捕されておりますが、受け止めと今後の対応方針ありましたらお願いします。
(答)11月21日に、今、御指摘がありました自動車検査独立行政法人の職員3名が、大阪府警により、虚偽有印公文書作成の疑いで逮捕されました。
この自動車検査独立行政法人は、自動車が保安基準に適合しているかどうかの審査を行っているもので、厳正かつ公正な審査を行うべき職員が逮捕されたことについては、誠に遺憾であると思っております。
国交省としては、11月21日に自動車検査独立行政法人に対して文書で指示をしております。
一点目が事案の解明を進めること、二点目には実態を調査すること、三点目には適切な再発防止策を講じること、四点目には自動車の保安基準適合性審査業務の厳正かつ公正な執行を徹底すること。
これを文書で指示しておりまして、可及的速やかに的確に対応していただきたいと思っております。

(問)先週のコンクリートパイル建設技術協会の報告についてなのですが、その時に流用の数字が出ていなくて、今週の金曜日に流用の具体的なところが含まれると期待しているという話だったのですが、先週の発表の時にはまだそこまで協会として権限はないという回答だったのですが、今回は流用を含めて出してもらうという指示を出したという理解でよろしいですか。
(答)19日までと指示したのは、17日の段階で指示しましたから、あまり暇もないということもありまして、まずは自主検査の状況を報告をしてほしいということでありますけれども、今回、その結果を報告してほしいということで指示しておりますので、自主検査済みの件数の中で、データ流用等が何件あったかということの報告もあるものと思っております。
(問)先週の会見の時に、データ流用についての考え方とか、業界でどう考えているのかというのを答えるようにという話でしたが、それがなかったことについても今週末に出てくるということですか。
(答)データの流用等があったかどうかについては、コンクリートパイル建設技術協会から公にされているのではないでしょうか。
そういうふうに承知しております。

(問)先日、群馬県の安中市に小型ヘリが墜落して、二人が亡くなりましたが、それについての受け止めをお願いします。
(答)報道は承知しておりますけれども、詳細については、まだ詳しく報告を受けてございませんので、詳細は事務方にお問い合わせいただければと思いますけれども、いずれにしましても、引き続き運輸安全委員会において必要な調査が実施され、早急な原因究明を行っていただきたいと考えております。

(問)訪日外国人客を増やすということで目標2,000万人とか言われていますが、今回、ヨーロッパのパリで起こりました事件でも難民にまみれてテロリストが入ってきたというように、今のところ日本の場合、空港のCIQという警備体制、税関とか入管とか検疫の方も十分でないのに空港だけ30数か所も増やして、入ってくる外客の取り締まりもできていない。
中国の場合100人来たら10人はまともに帰らないというような事態が起こっている現状もあるわけですが、このあたり難民、旅行客にまみれていつテロリストが来るかというような現状もあり、訪日外国人客だけを増やすというだけでは間違っていると思いますが、いかがでしょうか。
(答)まず訪日外国人客の目標数は、従来は2020年で2,000万人という目標でございました。
今、新たな目標は、総理の下でのビジョン構想会議で検討しているところでございます。
パリでのテロ事件を受けまして、17日に開催されました国家安全保障会議において、総理からテロ対策に万全を期すように御指示があったことを踏まえまして、17日に私から旅行者や所管事業者の安全確保、水際対策の徹底、重要施設の警戒警備の実施等、国土交通省に関わるテロ対策を引き続き徹底するように指示したところでございます。
これを受けて、主要駅や空港における警察と連携した巡回警備、空港における航空保安対策、あるいは港における看板の掲示や港湾保安関係者による緊急会議の開催、海上保安庁による海上警備など警戒・警備の一層の徹底を図っているところでございます。
国土交通省としては、関係省庁と連携をして、引き続きしっかりとテロ対策を行っていきたいと思います。

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