大臣会見

石井大臣就任会見要旨

2015年10月7日(水) 22:50 ~ 23:20
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

質疑応答

(問)今後の抱負、それと重点的に取り組みたいと考えておられる政策についてお聞かせください。
(答)皆様も御承知のとおり、国土交通省は我が国の経済そして国民生活に関わる幅広い分野を担当しています。
来年1月には国土交通省発足から15年を迎えるという状況でございますので、これまでの実績をしっかりと引き継いで、責任を果たしていきたいと思っております。
具体的な課題としては、まず、東日本大震災からの復興の加速、また国民の安全・安心の確保、これは今年の秋も関東・東北豪雨災害がございましたし、また毎年のように各地でいろんな災害が起きております。
そういったものへの対応、防災・減災対策、インフラ老朽化対策をしっかりと取り組んでいきたいと思います。
また、社会資本の計画的な整備、観光立国の推進等通じまして、豊かな国民生活の実現、特に地方活性化、こういったものに取り組んでいきたい。
また、領土・領海を堅守していくと。こういう様々な課題に国交省の持つ現場力また総合力を最大限に発揮して取り組んでいきたいと思います。

(問)大臣就任に当たって、安倍総理から直接どのような点に力入れてほしいという指示がありましたでしょうか。
総理会見では、国交省は地方活性化の要であるという言及もありまして、そのことを踏まえてお願いします。
(答)総理から御指示いただきましたのは、まずは国土強靱化の取り組みを進めて、その取り組みを地域経済の発展に繋げるようにと、呼び水にするようにという御指示がございました。
特に、地方を結ぶ交通網の整備、これは地方創生の起爆剤になることを留意しながら取り組んでほしいという指示がございました。
特に出生率を上げていくということに関して、3世代の近居・同居を促進する住宅政策を検討し、実施するようにという御指示もございました。
また、インフラ・システム輸出におきましては、とりわけインド、東南アジアなどにおける輸送システムの輸出に向けて体制を強化するようにとの指示がございました。
その他、観光振興、航空輸送の安定・安全の確保、海上保安体制の強化、領土・領海の警戒警備、水循環に関する施策の推進について、御指示をいただきましたのでしっかり進めていきたいと思います。

(問)今お話あったインフラ輸出の話ですが、先月インドネシアで高速鉄道の案件で中国案が採用されることになりました。
この教訓を生かして今後のインド、タイなどの計画が進んでおりますけれども、戦略をもう少し詳しくお聞かせください。
(答)今回のインドネシアが、いったんは日中両国の提案を受け入れないという形にしたところ、最終的に中国の提案の方によってしまったということについては、我々としては、残念だと思います。
今回の件を十分に分析した上で、引き続きそれぞれの国の事情が異なりますから、各国の事情を踏まえた働きかけをしていきたいと思います。
特に昨年10月に(株)海外交通・都市開発支援機構(JOIN)を設立いたしましたので、総合的に活用しながら海外展開を促進したいと思います。

(問)ここ近年の自然災害ですが、これまでの想定をはるかに上回るものが相次いでおりまして、国交省としてもそれへの備えというのが不可欠だと思いますが、そういった点について大臣のお考えをお願いします。
(答)今年の通常国会において、水防法の改正を行いました。
そこでいわゆるハザードマップが、想定しうる最大の降雨量に対するハザードマップを作って、要するに河川の堤防を造る時の降雨量と避難の時の降雨量を分けて考えるということを、ある意味画期的なことをやりました。
東日本大震災の時も想定し得なかった大変な津波があった。
そういうことを踏まえて大きな災害の時、必ずしもハードだけでは対応しきれないこともありますから、ソフトといかに組み合わせてやるかと。
そういったことの先進的な取り組みが水防法の改正だったともいえます。
ハード・ソフトうまく組み合わせながらやっていきたいと思います。

(問)訪日外国人観光客の急増についてですが、それに伴って例えば宿泊施設が足りないというような負の側面というのが目立ってくるようになってきたと思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)負の側面というか嬉しい悲鳴というところですが、当面は調べてみますとホテルはかなり稼働率が高い、旅館はまだ稼働率が低いところがありますので、旅館を積極的に活用したい。
あるいは東京、大阪の近県の宿泊施設を活用したい。
そういったところの情報がなかなか海外から来る方には、よく伝わっていないところもあると思いますから、情報提供もしっかりやりながら、当面は宿泊施設の確保等にも取り組んでいきたいと思っています。

(問)今の質問に関連してなんですけれども、マンションの空き部屋等を宿泊施設として活用する民泊というものがあるのですけれども、今後、外国人が増加すれば、対策を整えていかないといけないという意味で、この民泊という新しい宿泊スタイルについての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)民泊というのは非常に面白いアイディアだと思いますけれども、ただこれを一時的にやるならともかく、継続的にある意味で事業としてやるとするのであればですね、やっぱり一方で課題もありますよね。
防災面だとか安全面だとか、そういった課題もありますから、関係省庁とよく相談しながら検討していきたいと思っています。

(問)公明党では、政策の最高責任者を務めていらっしゃいました。
国土交通の行政に関わらず、安全保障とか消費税など公明党支援層と自民党との考えには違いもあるかと思います。
公明党から1人入閣したわけですけれども、公明出身の国務大臣として閣内でどういうふうに、そういった意見を反映させていくのか、あるいは党あるいは大臣の考えというのを発信していくつもりなのか、その辺りのお考えをお聞かせください。
(答)私は、公明党を代表して本日入閣させていただきました。
私の使命は国土交通大臣としての職務をしっかりと果たしていく。
そのことによって、自公連立政権の絆も深まると思いますし、国民に対して裨益をしていくと思いますから、まず自らの職務をきちんと果たしていくということが重要だと思います。

(問)海上保安体制についてお伺いします。
尖閣諸島や小笠原諸島周辺の違法操業など、現在の取り巻く領海警備や海洋秩序の現状について、どのような認識をお持ちなのか。
また、今後の海上保安行政について、どのように進めていきたいとお考えなのかお聞かせください。 
(答)昨年、小笠原諸島に中国漁船が大量に押し寄せてきまして、貴重なサンゴ等を採取してるんじゃないかという事案がございました。
今は収まっているようですけれども、これもまたいつ再燃するか分からないということですから、しっかりと警戒は続けていかなければならないと思っております。
また、尖閣周辺も、引き続き、領海侵犯や接続水域等に中国公船が来るという事案も、最近あまり報道されませんけれども件数は引き続き来ておりますから、そういった点もやはりしっかりと油断なく取り組んでいくという意味では、海上保安体制に戦略的な体制を引き続き、しっかりと構築していきたいと思います。

(問)先程も官邸で質問があったのですけれども、改めて北陸新幹線の福井の先行開業についてお伺いします。
前任の太田大臣は、福井先行開業に関して、一貫して非常に厳しいという認識を示されていたわけですけれども、石井大臣は現時点で北陸新幹線の先行開業について、どのようなお考えをお持ちなのかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)厳しいと言いますか、まず最大の使命は金沢-敦賀間が平成34年度ですか開通目標にしていますから、それを着実に達成することがまず第一の目標だと思っています。
それも、できれば、できるだけ前倒しをしていくということが最優先の課題だと思いますので、その中で当然、福井も一緒に開業していくわけですから、そういった中で取り組まなければいけないと、この件については与党側も熱心に検討されていますから、与党ともしっかり連携しながら引き続き検討していきたいと思います。

(問)TPPについて、全閣僚がメンバーのTPP対策本部の立ち上げについて、国交相として、一閣僚としてどのようにお考えでしょうか。
(答)TPPは皆様も御承知のとおり、アジア太平洋地域において新しい投資・貿易のルールを作る。
これはこの地域における経済の発展に大きく繋がる非常にインパクトのあるものだと思います。
そういった意味においては、基本的には促進させるべきものだと思いますが、一部で農業分野等を中心として、それに対する影響というものも考えられますから、いろんな意味でまだTPPの中身が十分に承知されておらず、国民の皆さんもいろんな御心配があろうかと思いますので、そういった国民の皆さんにしっかり御理解いただくためにも、政府を挙げてTPP総合対策本部を作るということは、私は非常に大きな意義があると思います。

(問)小さな拠点、コンパクトシティ、農村支援対策及び国土政策対策をどのように進めていきたいとお考えでしょうか。
(答)これからの地方創生を進めていく意味で、地方創生は、「ひと・まち・仕事」という3つのキーワードがありますけれども、そのまちづくりという中においては、どうしても人口がやっぱり減っていくことは間違いないので、その減り方を何とか抑えようということは努力していかなければいけないけれども、やっぱり一定数は減っていくわけですよ。
そういった本格的な人口減少の中で、いかにそれぞれの地域のまちづくりを考えていくかということになるとやっぱり、日本のまちというのは、今までは、どんどんどんどん郊外に広がっていくという方向だったけれども、人口減少社会というトレンドの中においては効率化をしていくということが求められていく。
そういった意味でコンパクトシティとか、小さな拠点づくりというのは、今後の大きな人口のトレンドを踏まえた上で、やらざるを得ない方向であると思っています。

(問)前任の太田大臣は、総理からの指示でIRの整備を担当されていましたけども、総理から今回、IRについては、国交大臣としてどういう指示を受けたのでしょうか。
(答)IRにつきましては、一応、担当してくれということになってございます。
(問)重ねて、それについては、公明党の中においては、依存症の問題など、かなり懸念があって、審議入りにもなかなか難色を示されておられたのかなと思いますが、少し難しい立場に立たされることになるのかなと思いますが、どのようなスタンスで臨まれるのでしょうか。
(答)私の立場としては、今、党の立場とはまた別の立場でございますから、IR法案も衆議院に議員立法で提出され、継続審議されているという状況ですから、今後の国会の動きや、あるいは、国民の理解はどうするのかということは見守っていかなくてはいけないと思います。

(問)新国立競技場について、計画が白紙撤回されてから国土交通省もプロジェクトに深く関わるという形になりまして、現在JSCで事業者の募集選定を進めているところですが、2020年に間に合わせて且つ質の高いものを作るために、国土交通省としてどのような役割を果たしていけばいいのか。
時間も限られている中で難しいハードルもいっぱいあると思いますが、大臣のお考えをお願いします。
(答)これは今、オリンピック・パラリンピック担当の遠藤大臣の下で、政府を挙げて取り組んでいこうということでございますから、国交省としても官庁営繕を始めとして、大きな施設を作ってきたというそういう実績とか経験とか、仕事がありますから、そういうことは惜しまずに協力していきたいと思っています。

(問)社会資本整備について、国交省が所管している建設業のあり方について、御所見をお伺いしたいです。
(答)建設業は、今は復興需要等、あるいは経済自体が活性化してますから、仕事量も増えてきておりますけども、少し前を振り返ると、長年に渡る事業量の減少ということでは業界自体が、疲弊をしてきたということはあると思います。
特に担い手の育成がなかなか進められなかった。
若い方を採用して、育てようということができなかった。
その弊害が今、非常に出てきていると思います。
やっぱり、長期間に渡って仕事量をきちんと確保していくことによって、先の見通しができるわけですから、先の見通しが立った上で、やっぱり人を育てていこうとか、設備投資をしようとか、技術開発をしていこうという動きが出てきますので、やはり長期的に安定した仕事を確保していくということが重要ではないかと思います。

(問)来年3月の北海道新幹線の開業について、大臣の開業に向けての期待と、東京―新函館間の所要時間で、政府与党内では3時間台での運行を求めていますが、これについての大臣のお考えをお願いします。
(答)これは北海道の皆さんにとっては、新幹線が北海道に来るという非常に大きなインパクトを与えるのではないかと思います。
まず国交省としては、来年3月の開業予定に着実に達成ができるよう全力で取り組んでいきたいと思います。
到達時間は短い方が当然良いんだろうけど、御承知のとおり、青函トンネルが貨物と平行しているだとか、そういう課題もございますので、いろいろ検討していきたいと。
短くする分にはいいのですが、技術的な課題もあると思いますので、今後よく検討していきたいとこのように思っています。

(問)先ほど、民泊の話もありましたが、自家用車のライドシェアの合法化に関して御所見をお聞かせください。
(答)それは、業務用としてやるかどうかというところで、仕事としてやるかどうかということで、営業車との違いをどう出すのかとか、乗客の方の安全性の確保とか、そういう課題は出てきますよね。
仲間内で乗り合うというのならともかく、業務としてやるのであれば、それなりにしっかりとした検討が必要になるのではないかと思います。

(問)JR東海のリニア中央新幹線が着工したと思いますが、これに対する期待感と、名古屋以西についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)リニア中央新幹線、これは非常に大きなインパクトをもたらすと思います。
最終的には大阪まで開業の予定ですから、東京圏、中部圏、関西圏を非常に短い時間で接続することになると、この三つの都市圏が一つの大きなメガ都市圏になるくらいのインパクトを持つのではないかと。
そういう意味では、非常に大きな期待をしております。
名古屋以西はまだ気がちょっと早いと思います。
まずは、東京―名古屋間をしっかりと着実に整備するということが最優先だと思います。

(問)20数年振りに古巣での仕事ということになりますが、想うことがあればお願いします。
(答)私は旧建設省から平成4年の年末に退官しましたので、正確に言うと22年9ヶ月振りくらいに戻ってきました。
しかし考えてみると、この20数年間の間に行政も非常に大きく変わっておりますし、私は旧建設省ですけれども、国土交通省というのは、旧建設省、旧運輸省、旧国土庁、旧北海道開発庁という非常に大きな役所になっております。
そういった意味ではしっかりと緊張して、また新たな決意で臨まなければいけないと新人のつもりで入ってきております。

(問)防災ということでいえば、最近は鬼怒川の決壊が非常に身近なものであったのではないかと思うのですが、この鬼怒川の決壊による教訓というか、鬼怒川水系自体の水防とか、また河川の堤防のあり方をどうみるのか、それからもう少し言えば防災に対してどう取り組んでいったらよいかということについて、大臣の御所見をお願いいたします。
(答)今回、鬼怒川流域、特に常総市で堤防が決壊して大変な被害が生じましたけれども、実は私の地元です。
私は北関東の比例区ですが、特に茨城県を担当しておりまして、つくば市に住んでいるのですが、つくば市は常総市の隣でして、非常に身近な地域ですけれども、私も大臣になる前に現場に何回か足を運びましたが、地元の皆さんの声で非常に印象的だったのは、鬼怒川が決壊するとは誰も思っていなかったと言うんですよ。
昭和13年以来なんですね。ですから、あそこの地域は東から言って小貝川、鬼怒川、利根川と河川に挟まれた地域なんですが、鬼怒川が決壊する前に、小貝川か利根川が決壊するだろうと皆さん思っていて、鬼怒川が決壊するとは誰も思っていなかったというところに、今回の降雨というのは、丁度その鬼怒川の流域に南北に渡って大きな降雨があったということですけれども、最近の災害というのは、従来の想定を超えるような災害でありますし、そういった意味では着実に整備をするのと同時に、やっぱり災害がないだろうと思っていたところに、住民の皆さんはなかなか早めに避難できなかったというところもあるらしいです。
そういった意味では、住民の皆さんに対する防災意識を高める啓発というのも重要ではないかと思います。
今回、自衛隊と海上保安庁の方が活躍して、相当な方が自宅から救出されましたけれど、まさかあんなに早く自分たちの家の周りに水が来るとは思わなくて、家に取り残された方が相当いらしたんですね。
そういったことを考えると、地元の自治体の避難指示だとか、そういったあり方も見直さなければいけないと思うけれども、やっぱり住民の皆さんの防災意識をより高めて、迅速な避難ができるような、そういうソフトをしっかり強化をしていかなければいけないなと、現地へ行ってそういった思いを強くしました。
(問)迅速な避難ということだと国交省だけだと、どうしても完了できなくて、内閣府防災とか消防庁とか他省庁との協議が必要になってくるかと思うのですけれども、そういうこともやっていきたいというお考えと受け取ってよろしいでしょうか。
(答)鬼怒川に関して言えば、直轄河川ですから、この情報をいかに自治体の方に的確に知らせて、避難指示等を出すのは具体的には地元の自治体ですから、そこをやっぱりうまくリードしてもらわないといけない。
そのバックアップを国交省がやるという立場だと思うのですね。
ですから、自治体へ促していくという意味では、消防庁とか総務省とか連携してやるということはやらなければいけないと思います。

(問)観光の観点を含めまして、空港ですとかゲートウェイ機能のあり方をどのようにお考えでしょうか。
(答)特に訪日外国人旅行客の方が多くなっていることもありまして、空港利用というのは非常に増えていますから、特に首都圏空港の発着枠を着実に増やしていかなければならないと、当面2020年までに8万回ですかね、増やそうという計画がありますけれども、それを着実に達成した上で、更にその後の検討もしていかなくてはいけないという問題意識はございます。

(問)消費税の軽減税率について伺いたいのですけれども、これまで石井大臣は公明党の政務調査会長として、消費税の軽減税率について、導入すべきだと御発言されてきましたけれども、閣内に入られて、閣内では麻生財務大臣が非常に慎重な姿勢を示していますが、年末に向けて、どのように大臣は御見解を発信されていくのか考えをお聞かせください。
(答)今、私は国土交通大臣になりましたので、軽減税率については率直に申し上げて所管外のことですから、私の方からどうこうということはありません。
ただ、年末に向けて自民党・公明党の与党の税制協議会の中で、関係している財務省も含めて、しっかりと検討して良い結論がでるのではないかと期待しております。

ページの先頭に戻る