大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年8月21日(金) 10:21 ~ 10:54
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議での報告事項はございません。

質疑応答

(問)鹿児島県の桜島で噴火警戒レベルが4に引き上げられて、規模の大きな噴火が発生している可能性が高まっています。
大臣の御所見をお願いします。
また、国交省としての御対応、対策などがあればお願いいたします。
(答)活発な噴火活動を続けている桜島におきましては、近年、火山活動に高まりが見られることから、平成22年10月に、噴火警戒レベルを3に引き上げておりました。
本年1月以降、火山活動が更に高まりを見せている状況にありまして、8月15日午前7時過ぎから火山性地震が急増し、また、急激な地殻変動、山体膨張等が観測されました。
このため、気象庁において、10時15分に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを4に引き上げたところです。
警戒が必要な範囲は、南岳山頂火口及び昭和火口から概ね3km程度としているところです。
現在、火山性地震については、15日と比べ減少している状況でありますが、山体膨張の状況は継続しているところです。
8月19日未明には、桜島で頻繁に観測されております火映現象というのがありまして、これはマグマの熱が表面に出て明るくなるというような現象ですが、それと小規模な噴火がありましたが、引き続き、火山活動が高まった状況にあり、厳重な警戒が必要だという認識です。
なお、本日午後1時から、火山噴火予知連絡会拡大幹事会を鹿児島市で開催し、桜島の火山活動の現状について評価していただくことになっております。
気象庁では、引き続き、厳重な観測・監視を行って、火山の専門家や地元自治体等の関係機関と密接に連携して対応していきたいと思っています。
観光客が大変に多い状況にあるということですが、海を挟んだ鹿児島市市街地等の、いわゆる桜島として山のあるところから海のあるところが繋がったわけですが、その桜島島外では通常どおり観光を楽しむことができ、観光施設等も通常どおり営業しているという状況にあると聞いているところです。
旅行者の安全確保を図るべく、8月15日に、旅行業協会及びJNTO(日本政府観光局)に対し、国内外の旅行者及び旅行予定者への正確な情報提供を依頼しました。
正確なということは、毎日のようにホームページ等で発表しておりますから、現状というのはこうだということをこちらも情報提供をしていくことと、そして認識をしていただくということで国内外の旅行者等にそのことを知らせるということです。
警戒が必要な範囲は、桜島島内の南岳山頂火口及び昭和火口から概ね3km程度であるということ。
これを受けまして、避難勧告が出された桜島島内の地域にはホテルが2軒あり、何れも避難は完了しているという状況です。
また、先ほど申し上げたように、鹿児島市市街地等の桜島島外では通常どおり観光を楽しむことができるという状況です。
今後とも、旅行者の安全確保が最重要であることを踏まえながら、観光に与える影響を最小化するため、現地の意向をよく伺いながら、正確な情報を提供したいと考えているところです。
(問)現地では、フェリーの乗客が減って、例えば飲食店の売り上げが減ったりとか、避難勧告が出されて避難を余儀なくされているという人もいるようです。
現地の観光業の様々な影響について、御対応として更に御意見があればお願いします。
(答)現状を正確に国内外にその状況を発信するということが一番大事で、そのために、本日午後1時から火山噴火予知連絡会拡大幹事会を鹿児島市で開催し、この現状についての評価をする。
そして、そこで得られたものを正確に情報発信していく。
毎日のようにそのことを旅行業協会や旅行業者等が受け止めて、それをそのまま国内外の旅行者等に発信するということが一番大事だと思います。
現在は、その3kmということでありますから、それ以外のところでは同じように観光に差し支えないということで、そして3km以内のところでは、避難については完了しているということです。

(問)先月までの7ヶ月間の訪日外国人旅行者の累計が、統計開始以降最も早く1000万人を超えました。
これについて大臣の御所見をお願いいたします。
一方で、最も多くの人が訪れる中国では景気の減速が指摘されております。
中国人旅行者の動向や消費活動への影響、先行きに懸念はないのか、お考えをお聞かせください。
(答)7月の時点で、前年同期比で47%増の1106万人を達成したということで、史上最速で1000万人を突破ということになったことは大変良いことだと思います。
これは、昨年来の円安の継続に加え、ビザ緩和とか消費税免税制度の拡充であるとか、航空ネットワークの拡大、特に昨今増えたものの中では、関空等のLCCを使って入るというのが、かなり多くなったというようなことがありまして、そうした航空ネットワークの拡大やクルーズ船が増えていることがあります。
また、継続した訪日プロモーションも功を奏していると思います。
政府一丸の取組みが奏功したと考えているところです。
そして人民元について、中国当局が8月11日から3日間、対米ドル為替レート基準値の調整を行った影響で、現在は、1元19円台前半で推移していると承知しています。
これは、6月、7月に少し上がったのですが、実はこの水準は、今年の3月から5月中旬までの水準がほぼそのぐらいであったことからいきますと、その頃から既に中国の方達が来るということが継続していることから、現時点では、訪日ツアーへの特段の影響は見られないという判断をしているところです。
この旅行者の動向については、かなり様々な要素が影響を与えるものであって、為替の影響がどう影響するか、一概には言えないと思いますが、よくその辺は注視をしていきたいと思っています。
併せて、なんと言っても私たちが今努力をしているのは、空港容量やホテルが足りないということも国内のビジネス客を含めてありまして、空港容量の拡大あるいは宿泊施設を確保すること。
そして貸切バスの供給の確保、無料Wi-Fi環境や多言語対応の一層の拡充、空港・港湾のCIQ体制の充実、そして地方における免税店の拡充、これらの受入環境の整備を加速化することが大事だと思っておりまして、それをもって2000万人時代への備えに万全を期したいと考えているところです。

(問)札幌の丘珠空港で19日に発生した小型機が胴体着陸する事故がありましたが、その中で国交省の試験官も同乗していたということで、試験飛行中の事故でもあり、それについての大臣の受止めと今後の対応について教えてください。
(答)8月19日15時39分頃に、丘珠空港において操縦ライセンスの試験中でありました小型機が胴体着陸し、滑走路上にかく座するという事故が発生しました。
この件は胴体着陸による損傷の程度が、当初考えていたことより大きいことが分かり、航空事故と認定しました。
そして認定したこともありまして、運輸安全委員会が事故調査官を派遣したところです。
この飛行機には、国土交通省の航空従事者試験官が同乗していました。
操縦士の免許をとるということでの試験の飛行であったわけですが、受験をしているパイロットと教官と国交省の試験官の3人が乗っていて、あくまでテストしているという状況です。
国交省の試験官が同乗していましたが、ライセンスの試験には、非常時を模擬した項目もありまして、日頃より研修等を通じて、安全確保に細心の注意を払うよう職員に教育をしている状況です。
そうした中で今回このような事案が発生したことは、誠に遺憾だと思っています。
そこで試験を行う職員に対しまして、安全運航の確保を大前提として、特に不慮の事態に対する警戒の配慮を怠ることがないようにということを改めて周知・徹底しました。
通常のものとは違いまして、先ほど申し上げました非常時を想定した項目は、非常時が発生したということで、できるだけ着陸のときも、出力を絞ってグライダーのように飛ぶというものが試験項目としてあるわけですが、そういう場合においても特に改めて安全運航の確保を大前提としてやるように周知・徹底したところです。
また、再発防止に向けまして、航空局においても今回の事故に関しまして、運輸安全委員会による事故調査とは別に、試験方法が適切であったのか、胴体着陸を回避する手立てがなかったか等をできるだけ早く検証作業を行って、これらの結果を踏まえて、必要な対策を講じてまいりたいと考えています。

(問)日航ジャンボ機墜落から30年、その事故原因については圧力隔壁の修理に問題があったことが判明しているのですが、なぜ救援活動が遅れたのかについてはまだ十分な調査解明がされていないものがあると思います。
8.12連絡会の事務局長美谷島さんを始めとする遺族からすれば、なぜ遅れたのかについて明らかにしてほしいという思いを30年間ずっと思い続けています。
調査を担当する運輸安全委員会の後藤委員長に先日会見で伺ったところ、捜査救援の状況については、詳細な記録が残っていないのが実情ですというお答えでした。
しかしながら公営放送の特別番組等で、記者が情報公開請求を行ったところ、防衛庁などに当時の救援活動を示した記録が残っていましたし、またその救援に関わる録音された無線の資料なども残っていました。
弊社でも当時現場の調査に当たった元FAA調査官の証言等を取りまして放送しています。
運輸安全委員会の調査について、十分であったのか、また今後、改めて調査をすべきだと思いますが、それについて大臣の御所見をお願いします。
(答)事故に伴う被害の原因を究明したいという御遺族の気持ちを思いますと、本当に心が痛む思いがしています。
30年ずっと、その苦しみを抱えながら生活をしてきたということは、様々な今回の報道をされているとおりで、私も心が痛んでいるということです。
当時は、運輸安全委員会がございませんでした。
運輸安全委員会ができまして、この問題に取り組んだのが平成23年の解説書であると認識しています。
運輸安全委員会の使命は、事故の再発防止・被害の軽減というところにあります。
そしてその再発防止・被害の軽減ということの中でも、調査の重点は、技術面に関して科学的・客観的な観点から行うものでございます。
その観点から、当時の捜索救難に関する技術について科学的・客観的な状況を分析しまして、GPS等がなかった当時の捜索救難技術においては、墜落位置の正確な特定は困難であったことを平成23年に解説書でまとめました。
一方、報道番組の指摘する、どこの地点が現場なのかというようなことで違いがあったとか連携がどうだったのかという問題については、これは県警と自衛隊との連携の問題ということになると思います。
こうした運輸安全委員会が担う技術的な検証とは別問題として、それぞれの機関の検証にここは委ねるべきであると思っています。
このような観点から、誠に心が痛むわけではありますが、運輸安全委員会においては、技術的なこともGPSがもしあればそういうことがなかったわけで、現在はGPSがあるということも踏まえると、今、運輸安全委員会が乗り出して行って、そこでどう再調査をするかという対象範囲が、運輸安全委員会のものでは科学的・技術的側面から言って、平成23年の解説書で尽きているのではないかと思っておりまして、心が痛むわけではありますが、運輸安全委員会においては、再度調査を行うことは考えていないという状況にあると思っています。
そういうことではありますが、現時点で再びそういうことのないようにGPSがしっかりしているとか、いろんなことについての再発防止ということについては、運輸安全委員会とは別に、航空局も含めて対応は常にしていかなくてはいけないと思っています。

(問)外国人旅行者の数が右肩上がりになって、その人達の消費が日本経済を下支えしていると言われている中で、去年、消費税の免税対象を拡大しましたけれども、今日の一部報道に来年度の税制改正要望に家電などの一般物品を購入する際に、免税対象となる金額を今の1万円以上から5千円以上に引き下げることを盛り込むという報道があったんですけれども、それについて事実関係がいかがなのか教えてください。
(答)今、平成28年度の税制改正要望というものをいろいろこのことに限らず検討している状況にございます。
まだ検討途上でありまして、確定したものではありません。
ただ、今、5千円という数字は、これから動くかもしれませんが、また折衝の状況とかいろんなこともありますが、少しこれを引き下げるということはできないかというような検討を行っている過程である状況で、確定しているものではないんですが検討していることは事実です。
(問)引き下げる方向で検討しているということは言えるということですか。
(答)検討というか勉強というか、これが財務省や与党との連携もありますから、そういことができないかという勉強、研究、検討というものを行っているということでございます。

(問)3日前のJR立川駅近くの高架下で、ケーブルから火が出て停電が起きて、運転見合せが広がったお話なんですが、現状認識と国交省としての対応あるいは大臣の指示、また残念ながら京浜東北線の架線が切れたりと、トラブルがJRは最近多いので御所感をお聞きしたいと思います。
(答)この案件については、国交省としては、翌日19日朝に運輸局職員2名を現地に派遣して、状況の確認等を行ったところです。
昨日まで警察と消防による現場検証が行われておりましたが、原因は明らかにされなかったとのことです。
このため、JR東日本は、昨日、鉄道総研に原因究明のための調査を委託したとの報告を聞いています。
また、JR東日本は、当面の対策として、19日に当該ケーブルと同時期に設置された三鷹~立川駅間の15箇所のケーブルについて緊急点検を実施して、異常がないことを確認したとの報告を受けています。
国交省としましては、本件の原因究明が行われ、再発防止対策の徹底が図られるなど、輸送の安全・安定が確保されるよう、適切に対応してまいりたいと考えています。
また、JR東日本においては4月の山手線の電化柱倒壊とか、4月29日の東北新幹線郡山駅での架線の切断であるとか、あるいは8月4日の京浜東北線桜木町駅での架線切断とかトラブルが続いています。
私も、そうした経緯を踏まえて1つ1つについては原因は違うということは十分認識はしていますが、社全体としてトラブルが続いているということについて手立てをしっかりとしなくてはいけないのではないかということを考えておりまして、この観点からJR東日本を再度指導するように、鉄道局長に指示をしたところでございます。

(問)先ほどの丘珠空港の胴体着陸の件ですが、基本的に回避する手立てがなかったか検証していくというお話でしたが、教官が回避をすることが断定付け出来ないものだと思うのですが、試験官も言い得た可能性があって、そういうことについて検証していくということでよろしいでしょうか。
(答)テストをしており、緊急事態も含めてということで、あえてそういう状況でのテストをするということがあるわけです。
そこで、試験を受けるパイロットと教官とそれを見ている国交省の試験官という3者が乗っていたわけですが、そこで口出しを試験官がするということになると、その試験ではもうその時点で免許(取得)は終わりということになります。
しかし、危ないと言った場合に試験官がそこを指摘したらそれでもう不合格ということになりますから、ぎりぎりの特殊な状況にあるということです。
そういう中でも安全ということをよく考えて、その国交省の試験官というのがどこまで口を出せるか、瞬間の判断になりますが、この同乗する試験官も安全確保するために注意をしなくてはいけない訳ですが、その辺のことがどうであったのかということと、口出しのタイミングなどいろんなことについて調査をしているという状況にあります。
そして、こうあるべきだということがこの事案を受けて明らかになったらそうした対応をしたいと思っているところです。
テストの特殊な状況ということと、3者の特別な関係という中での出来事でありますので、その辺をよく調べたいということで運輸安全委員会を派遣しているところです。

(問)特定整備路線についてお伺いしたいのですが、今日、板橋区の大山ハッピーロード(特定整備路線補助第26号線(大山中央))で分断の差し止め住民提訴が行われることになっていますが、これに対する大臣のお考えをお聞かせください。
この特定整備路線をめぐっては、他の地域でもいろいろと住民が運動を起こしたりしています。
この計画が作られたのは相当前に作られたものもあり、当時と今とは状況が違うということで、住民がもう一度調査をし直すことも求めているところもいくつもあるようですが、このあたりのお考えはどうなのかお聞かせください。
(答)ハッピーロードがどういうふうになっているのかということについては、詳細は承知しておりません。
ただ、この問題は、防災ということも含めて、東京都が事業主体となって実施している特定整備路線ということになるわけですが、木造の住宅密集地域の防災性向上ということを目的としてこれは重要な事業であることは間違いないです。
そこがどういうふうに影響を与えるかということでいろいろ調整が行われていることについては、承知をしているところですが、このハッピーロード自体について、私は十分よくわかっておりませんので、答弁ということについては控えさせていただきたいと思っています。
いろんなことがあるということは、私の地元においても承知しています。

(問)国土形成計画及び国土利用計画が閣議決定されました。
最終的には、国交省の当初の案が大半を占めていますが、報道などでも言われてますとおり、「国土の均衡ある発展」という点で最終的にそういう文言が入ったと。
大臣はかねてより、「国土の均衡ある発展」からコンパクトシティなどそういったものへの方向性が大事だという御発言もありましたが、その観点を含めて御所見はいかがでしょうか。
(答)新たな国土形成計画では、それぞれの地域が個性を磨いて、個性の異なる地域が連携して活力を持つという、私達が昨年7月4日に出しました「グランドデザイン2050」に基づき、その対流促進型国土形成ということをこれまで私自身も推進をし、言ってきました。
この対流促進型国土形成を目指して、各地域の個性を活かし、豊かさを実感して幸せに暮らせる地域づくりを行うためには、基礎的な条件整備を行うことも必要であります。
特に東日本大震災などでも国土が脆弱であることが明らかになったことを踏まえて、安全・安心な国土をつくるため、国土の強靱化というのは必要であり、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化にしっかり取り組む必要があると思っています。
そういう意味では、国交省が進めてきました地域の個性と連携を重視する対流促進型国土形成というのがあくまで中心で、この国土形成計画はつくられているところですが、併せて全国いろんなところで災害と国土の脆弱性ということについては、この各地域の個性を活かしながら、これからの時代ということを考えるとそこの国土をある意味では、基礎的な部分について均衡ある発展を含めたものが必要だというふうに考えているのが今回のことでございます。
そういう意味では、個性を活かしてということで、それぞれまだら模様になるというわけではなくて、特に防災・減災ということについては、全国きちんとやっておかなければいけないという意味で使っているところで、東京と同じようなものを全国につくっていくという国土の形成ではありません。
対流促進型国土ということであくまでやっていくのですが、だからと言って、まだら模様ではなくて防災・減災という角度ではきちんと全国をやっていかなくてはいけないという趣旨です。

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