大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年7月18日(金) 11:00 ~ 11:29
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
2点報告をさせて頂きます。
1つは、7月6日から11日にかけまして、台風8号に伴い全国で発生した被害に対する国交省の対応についてでございます。
まず、長野県の南木曽町における、土石流災害についてです。
国交省では、発災後速やかにリエゾンを派遣をいたしまして、国土技術政策総合研究所、土木研究所これらから専門家を派遣したり、TEC-FORCE、延べ人員にしますと79名を現地に派遣をいたしました。
これによって、迅速な被害状況の把握や、或いは氾濫防止のための大型土のうの設置を行うとともに、土石流で寸断された県道を復旧するために、中部地方整備局が持っております仮橋を貸与しまして、報道でも見られた方いらっしゃると思いますが、その仮橋が設置を16日にされて通行が確保されるということになりました。
また、砂防堰堤に土砂が堆積をしておりまして、二次災害の恐れがあるということで、本日から堰堤に貯まった土砂を除去するという工事を開始いたします。
さらに、土石流が発生した渓流周辺の住民が、より適切に避難できますように、監視カメラ、あるいは土石流センサー、雨量計を順次設置して、情報提供を行うと、そして監視を更にしていくという体制をとっているところです。
また、南木曽町とともにもう1箇所、山形県の南陽市でかなり大雨が降りまして、吉野川とか織機(おりはた)川が氾濫しまして、多くの家屋や農地等の浸水被害が発生をしました。
これに対しては、東北地方整備局が対応して直ちにリエゾンを派遣するということに加えまして、(山形)県側の要請を受けまして、迅速な災害復旧に向けた支援を行っているところです。
一日も早く安心して生活をして頂けますよう、国交省としての組織力と技術力を十分発揮して、二次災害の防止に全力を上げていきたいと思っているところです。
もう1点は、中央新幹線、リニアの環境影響評価書の国土交通大臣意見についてであります。
中央新幹線の環境影響評価書につきまして、この度、国土交通大臣意見をとりまとめました。
本日、鉄道局からJR東海に対してこれを手交いたします。
国交大臣意見の概要は以下のとおりとなっておりますが、まず、6月5日の環境大臣意見の中で示されました措置を講じることを求めています。
また、国交省として、今後の工事実施計画に関する手続き等、鉄道事業を所管する観点や、河川や道路などの社会資本の管理者としての観点から、合計8項目の措置を講ずるよう求めています。
具体的には、地域住民等に対する丁寧な説明、河川水の利用への影響の回避、建設発生土の有効利用等、これら8項目になります。
JR東海は、本日の国土交通大臣意見を受けて、環境影響評価書を補正の上、確定することとなります。
国交省としましては、JR東海の補正の作業を注視するとともに、意見の中の措置が適切に講じられるよう指導してまいります。
具体的な措置の内容等については、この後、事務方より説明をさせます。
私の方からは以上です。

質疑応答

(問)昨日南海トラフと首都直下地震に関連して、より具体的な対策が各局から示されました。改めて今後の国交相としての意気込みをお聞かせください。
(答)南海トラフ巨大地震・首都直下地震についての対応につきましては、4月1日に策定しました2つの地震に対する対策計画について、今後重点的に取り組む対策を決定をいたしました。
1つ1つ、災害の規模がどうだとか項目がでておりますが、何をどこまでにやっていこうという方向性を出した訳です。
その中で、重点的なこととしまして、例えば、首都直下地震については、なんと言っても道路の啓開ということが国交省としては大事な任務になると思います。
そういう意味では、道路上に車両が放置されたままということになりますと全く道路自体が使えないという状況になりますから、これをいかに効率的に除去するかという迅速な緊急活動のここが鍵になっています。
このため、7月14日、4日前でありますが、首都直下地震啓開計画検討協議会を立ち上げまして、議論をスタートさせております。
昨日も示したところでありますが、8方位同時進行で啓開するという流れを作りまして、具体的に実効性のある道路啓開計画を昨日は時間を区切っておりませんでしたが、年内に策定するよう検討を始めたというのが現状でございます。
また、南海トラフの地震につきましては、大津波からの避難体制の確保がなんといっても大事なことになります。
スピーディーな避難行動につなげるためには沖合に震源地に近い観測点のデータを取るということが大事でありますので、平成26年度に約20箇所、平成27年度に約30箇所、新たに取り込むということによって、緊急地震速報では最大で数秒早く提供できるように、また津波観測情報では、最大で10分程度早くということを目指して提供したいと思ってます。
更に、被災情報や被災地から携帯端末等を用いて送られてくる画像、これら非常に膨大なものでありまして、これを迅速に集約するシステムを構築します。
電子地図を用いて、防災機関で情報を共有できる電子防災情報システムを平成27年度から新たに導入をいたします。
具体的なイメージを理解して頂くために、是非ともデモンストレーションを見て頂きたいと思います。
改めて防災センターを御覧頂いたりという機会を設けて、是非とも御理解を頂きたいと思っています。
今、災害情報というとそれぞれのところからの携帯端末から情報提供を頂くということは極めて大事なことでもありますし、老朽化対策でもそうしたシステムは非常に大事なことだと思います。
一層こうしたことに力を入れて被害想定をビジュアルに国民に伝えて、危機意識を国民の皆様と共有しながら取り組むようにしていきたいと思っているところです。

(問)リニアの件でお伺いします。
先程、環境大臣意見の措置を講じることということを仰いましたが、国土交通大臣の意見としては、これはJR(東海)が出してきている評価書が十分なのか、それとも足りないところがあるのか、事業の見直しを求めるようなものなのか、それともこのまま進んで行って構わないというものなのか、その辺の御判断をお願いします。
(答)仕組みとしては、知事の意見というものがJR東海にそのまま出されます。
そして、またそれらも踏まえてこちらに環境影響評価書を出される。
それを受けて、私としてはそれを環境大臣に評価ということについて求める、それを私たちのところに持ってくる、そしてそれをまとめて今回はJR東海に出すと、知事からのものと、それから私と環境大臣ということから来るという二つのそうした流れになって、それを受けてJR東海が対応するということになります。
これは非常に大事な事業でありますものですから、特に多量の建設発生土があるということで、生活環境や自然環境への影響、あるいは、事業に伴う水環境への影響、多岐に渡る分野での影響が指摘をされています。
このため、私の国土交通大臣意見では、環境大臣意見に示された措置を講じ、環境保全への適切な配慮を求めるとともに、国土交通省も独自の観点から8項目の措置を講ずるよう求めていくというものです。
とりわけ、多量の建設発生土について、地元の懸念が大きいということから、建設発生土の有効利用と運搬時の環境負荷の低減に関する措置を求めることと致しました。
今後、JR東海がこれらの措置を適切に講ずるよう指導していきたいと思っているところです。
(問)そうするとですね、JRが出してきてる評価書で今後その着工が、例えば来年以降にするとか、スケジュールを延ばすようなそういう内容は今回はないということでしょうか。
(答)これはですね、環境影響評価ということで、意見を受けて、そして検討を加えて、JR東海として評価書を補正する。それをこちらに出してくると、こういうことになります。そしてその後に工事実施計画の申請ということが行われ、この工事実施計画の申請時期は、JR東海の判断ということになります。
まずは、今日の国交大臣意見について、しっかりと検討を行って頂き、環境影響への懸念が払拭されるように、補正の作業が適切に行われることが重要であると、その後に工事実施計画の申請時期があるということです。

(問)ウクライナでの航空機撃墜に対して、大臣の御見解等はございますでしょうか。
また、現在の運航状況について教えて下さい。
(答)昨日の夜、アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空機がウクライナ東部で墜落したとの報道については、承知をしております。
今朝の会議でも報告を頂きました。本事案の原因や邦人の安否など、現在政府として詳細を確認中であります。
国交省としては、これ自体もこれは確認をするという作業を政府として受けるわけですが、日本の航空会社JAL、ANA、NCAの定期便はウクライナ上空を飛行しておらず、現在も通常運航を行っているという状況になっているということを付け加えておきます。
引き続き情報収集に努めて参りたいと思っています。

(問)昨日、安倍首相とお会いになってお話をされたとのことですが、どのようなお話をされたのでしょうか。
(答)特段凄いことはお話ししておりません。
一つは、今日、水循環政策の本部第1回会合が行われまして、5月20日に私が担当大臣に任命されまして、その後準備をしてきて7月1日にスタートを切ったと。
今日が第1回目の会合になって、8月1日には、「水の日」の行事が行われるということで、今日は総理が本部長でありますものですから、出席を頂くということで、現在の準備状況、そして今日の会議ということについてのこと、そして8月1日の水の日には、総理からのメッセージを頂きたいというようなことを昨日は申し上げました。
もう一つは、7月4日に「グランドデザイン2050」~対流促進型国土に向けて~を発表させて頂きました。
これは非常に中身もしっかりしたものができたと思っておりますし、それから、これから地方の創生であるとか、個性あるまちの創生であるとか、あるいは人口減少ということにどう対応するかということは、政府全体として大事な取組でもありますから、このグランドデザインを全体的に説明をしたほうがいいと思いまして、昨日は御説明を申し上げたということです。
7月4日に発表したものですから、すぐ総理が外国に行かれて、予算委員会もあったものですから、昨日報告ということになったということです。

(問)観光庁の事業の関係ですが、総務省から今の国際観光ホテル制度であるとか、ビジット・ジャパン事業についてですね、効果を疑問視する勧告が出たかと思うんですが、その受け止めと今後の対応について教えて下さい。
(答)今日の閣議で総務大臣から外国人旅行者の受入環境の整備に関する行政評価・監視に基づく勧告について、発言がありました。
勧告ではビジット・ジャパン事業の効果的な実施などが求められているということです。
国交省においては、外国人旅行者数2,000万人の高みを目指すために、先月決定したアクション・プログラム2014に基づいて様々な実行措置を取っていると、指摘をされた勧告は法務省のこともありますが、国交省としては、ビジット・ジャパン事業の効果的な実施ということが一つ、もう一つは外国人旅行者の受入環境の整備、ホテル等ですね、これが一つ、この二つです。
ビジット・ジャパン事業の効果的な実施ということについては、これは外部専門家が参加するマーケティング戦略本部を観光庁に設置して、戦略的なプロモーションを既に行っている状況にありますので、その勧告も受けて、更に一層これを進めていきたいと思っているところです。
それから外国人旅行者の受入環境整備ということについても、ホテルや様々なところでの色んな外国人対応ということについて、おもてなしとかあるいは多言語表示とか色んなものがありますので、それについてはむしろ勧告よりも幅広く、私は昨日もアクション・プログラム2014の中におもてなしという項目が一つ欠けていると、それは今までずっと言ってきたが、並びが違うものですから、しかし色んなことを考えると日本人が時間に非常に正確であるとか、優しいとか、あるいは(まちなみが)きれいだとか、あるいは盗難が少なく安全だということであるとか、そういうことは一つ大事な取組であると、それは受入環境の整備ということを更に一層進めることが大事だということで、昨日もこの項目についてはもう一つ大事な項目だから、観光庁としてもしっかり対応しようということについて私の方からも指示をしたところです。

(問)先程のマレーシア航空機の墜落の件で念のための確認ですが、日本のエアラインはウクライナ上空では飛んでいないという先程のお話だったと思いますが、ということは今の時点では日本のエアラインに対して注意喚起であったり、何か指示をしていたりとか国交省からそういった対応を求めている等、何かしら特別な対応を求めているということは無いという理解でよろしいでしょうか。
(答)現時点では国交省としてはございません。
全体的な状況がよくまだ情報が分かりませんものですから、その辺の掌握に努めているということです。
これは政府を挙げてということです。

(問)リニアの件でもう一点お願いします。
意見書はもう既に発出されたのでしょうか、それともこれからされるということでしょうか。
それから、住民への説明というところで、環境大臣も強調されておられましたが、地元から色々と懸念がかなり出ている状況ではありますが、国土交通大臣として改めて住民への理解というところで、どのようなところを重視していきたいとお考えでしょうか。
(答)(意見書を)手交するのはこれからです。
それから私の方から、住民への説明とか理解を得るということは非常に大事なものだと考えておりまして、そういう点ではいつから工事着手、スタートみたいな話が出ておりますが、まず大事なことは今日意見書として出したということを十分に検討してもらいたいというのが私の今日の時点での一番大事なことだと思っています。
(問)これまでのJR東海の説明は十分だったかどうか、その点はいかがでしょうか。
(答)十分であるかどうかということについては、色んな御意見もありますが、こちらとしても随時指導をしたり、話をしたりということもあります。
十分かどうかということはどこまでいっても十分ということは無い。
政治家としては私は常にどこまでも説明をするということがあらゆる事象について大事だと思いますし、リニアについては初めてのことでもありますので、地元ということは知事ということでしょうから、その意見については、知事の意見が出て約1ヶ月後にそこで評価書が出てきてという流れになっておりますが、その間も4月、5月、6月、7月とずっと対応をしっかりしてくるようにということについては申し上げているところです。

(問)大臣意見をまとめるに当たって、大臣の方から特に強く指示をされたこととか、今回の文書に強い思いを持って指示されたことはありましたでしょうか。
(答)私は特に一番最初に申し上げましたが、これまで聞いてきたものの中には、指摘された問題は多岐にわたると思います。
しかし一番多い問題は環境とか水ということへの影響、それから残土の問題ということが特に大きかったと思います。
これだけの残土というものがどういうふうにこれからなるのかということについて、住民は非常に心配をしている。
それから私の方から環境大臣と違うことで加えたことは、残土を今度は運ぶとかいうことの中の、そこでの地域への影響ということ。
残土そのものをどこに持って行くかということだけではなく、残土が動くということの中での環境や住民への影響というような地域のそうしたことについて、よく配慮していかなくてはいけないというようなことについては強調させて頂いた項目の一つでございます。

(問)先程、残土の有効利用というようなことを御発言されたと思いますが、有効利用としては今どのようなことを、例えば先だって羽田空港の機能強化に向けて新たな滑走路の建設等も考えられていますが、残土の有効利用先としてはどのようなことをお考えでしょうか。
(答)現時点でまず、JR東海が造成する車両基地等に利用されるというのが22パーセントぐらい、全部で残土が5,680万立方メートルある中で、車両基地として22パーセントの1,260万立方メートルということがありますが、その後、沿線の地方自治体や民間事業者からその発生土利用先に関する情報収集が行われておりまして、現時点で全体の約8割に相当する約4,500万立方メートルの発生土利用先の候補地の情報提供としてはあると。
ですから加えますと全体のそういうこと(発生土利用先)については一応の数は出ている。
しかし、今度は私も土木屋なものですから、実際に利用出来るかどうかについては、建設発生土の発生時期とどこに持って行くか、時期の問題とそれから土質の問題というのがあります。
この土は良い土、悪い土というような利用するには土質の問題があり、東京方面に近いところの土質と、そしてかなり岩盤ということで使いたいというようになるようなところと色々土質が違って、遠いところにあんまり運ぶというのも、本当は今羽田の例えばの話がありましたが、そこにはどういう土質のものが良いかということもあります。
発生時期や土質、運搬距離あるいは利用先の地元との調整、こうした条件をきっちり合わせていく必要がありまして、こうしたことを今後精査をしていくという状況だと思います。
私の意見の中では、工事実施前から利用先については十分検討して可能な限り早期に利用先を確保するように求めたということでございます。

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