大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年3月28日(金) 9:21 ~ 9:40
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 閣議案件で、一点御報告がございます。
これから資料を配布致しますが、本日の閣議で、4月1日付けで気象庁長官に西出則武気象庁予報部長を任命することについて、御承認を頂きました。
 一点御報告をさせて頂きます。
この度、新たな「国土のグランドデザイン」の骨子を取りまとめましたので、公表致します。
新たな「国土のグランドデザイン」は、2050年を視野に入れまして、今後の国土づくりの理念や考え方を示すものです。
今後の国づくりにおいては、本格的な人口減少時代の到来、そして異次元の高齢化、グローバリゼーションの進展、巨大災害の切迫、エネルギー制約やICTの急激な進化など、様々な潮流を踏まえる必要があります。
特に、約6割の地域で人口が2050年には半分以下になると、こう言われておりまして、しかも約2割は人が住まなくなると推計をされているところでありますが、そのときに人々の暮らしはどうなるのか。
地域が消滅するという危機に、手を打っていかなければなりません。
また、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など巨大災害の切迫が指摘されていますが、これが国が衰亡するという事態を生じさせてはなりません。
私は、このような危機意識を国民の皆様と共有するとともに、今こそ国民の叡智を結集して未来を切り開いていくために、このグランドデザインの骨子をお示しし、そして危機感の下で更に論議を深めていきたいというふうに思っているところです。
まず、基本的な戦略は、様々な機能をコンパクトな拠点に集約して、ネットワークでつないでいくという「コンパクト+ネットワーク」であります。
この考え方を一つは大都市、そしてもう一つは地方都市、更には中山間地まで適用して、人々の暮らし、医療、福祉、日々の買い物などを守るというそうした意味での「コンパクト」、そしてそれに加えて今まではそういうことが指摘をされて動き始めている訳ですが、それに加えて集積の効果によって新たな活力、価値・イノベーションを生み出すという「攻めのコンパクト」ということを目指していきたいというふうに考えています。
また、交通という側面におきましては、50年単位のリニアやあるいは自動車の自動運転、あるいは北極海航路そしてパナマ運河再拡張等の物流の流れの大きな変化という、その大きな50年単位の「交通革命」の始まりや、ICTの劇的な進歩によります「新情報革命」が国土構造にもたらす影響も極めて大きいというふうに思います。
その意味では今まではいわゆる二次元の平面の国土に対してどう働きかけていくかということでありましたが、準天頂衛星そしてそれを受けるICTの様々なものにより、センチメートルの単位での測位社会ということを想定し、情報空間が一体となったいわば「三次元的な国土」というものを構想する必要があるというふうに考えております。
また、今物流のことも申し上げましたが、ユーラシアダイナミズムのような、我が国の国土の地政学上の位置付けの変化や、災害に強い国土づくりの観点からは、伝統的な地域区分にとらわれない、より広域的な発想が重要になります。
具体的には、日本海側と太平洋側の連携という視点からの「日本海・太平洋2面活用型国土」や、リニア中央新幹線の開通により三大都市圏が2050年には一体化するという世界最大の「スーパー・メガリージョン」の形成ということが考えられます。
このようなことに加えて、先程申し上げました中山間地ということでいきますと、集落と集落を結ぶ真ん中に小さな拠点を置くという「小さな拠点」構想、そして地方都市においては「コンパクトシティ」、そしてコンパクト化した都市と都市をネットワークで結んでいくということ、そしてそこに新しい集積をもたらすという、今までは一つだけの地方都市をコンパクトシティにし、そして公共交通や道路網でつないでいくという交流という考え方、これはこれとしてやりながらも、今度は都市と都市というのを結びつけていくという「交流」ではなくて「連携」という新たな概念をつくって「高次地方都市連合」を構想する。
更に大都市部におきましてはエネルギーということも考えた「スマートシティ」、「スマートウェルネス住宅・シティ」という構想など様々なコンセプトを提示しているところでございます。この骨子を元に、今後、広く地方の御意見なども伺いながら更に検討を進めて、本年夏頃には一定の取りまとめを行いたいと考えているところでございます。
詳細については、この後事務方から説明をさせます。
私の方からは以上でございます。

質疑応答

(問)平成26年度予算が先程成立しましたが、こちらの執行について数値目標を設定するというお話が出ているかと思います。
こちら公共事業の大半を担う国土交通省としても役割は大きいと思いますが、この数値目標の達成に向けて国土交通省の取組を教えて下さい。
(答)平成26年度予算につきましては、景気の下振れリスクに適切に対応して、その後の持続的な経済成長を実現する観点から、今日の閣議でも財務大臣の方から、本年6月末までに4割以上、9月末までに6割以上、が実施済みとなるよう、要請がございました。
国土交通省としましては、予算が年度内に成立したことなど昨年度との違いを踏まえていくならば、十分達成が可能であると、また(達成)しなければいけないと考えておりまして、早期執行に更に努力をして参りたいと思っております。
具体的には、労務単価につきまして、昨年4月に引き上げたことに続きまして、今年2月に再引き上げを実施したこと、あるいは資材については、毎月の市場調査をもとにした単価を適用するなど、最新の単価により予定価格を設定するように徹底する、それによって入札不調ということが無いようにしていく、そして今後とも、これら最新単価を反映した予定価格の設定やあるいは事業執行の際に現場で出てきます発注ロットの大型化、あるいは入札・契約手続きの簡素化というあらゆることを総動員して、公共工事の円滑な施工確保に努めていきたいというふうに思っています。
執行ということは極めて重要だということを年頭から私は思っておりまして、これについては既に準備をしてこれまで体制を組んでいるところでありますが、更にこの本年6月末までに4割以上、9月末までには6割以上というところを実現出来るように強い姿勢で臨んでいきたいと考えてます。

(問)国土のグランドデザインですが、私もその会議に出ておりましたが、問題点としては財源がない、2050年に人口1億人を割るという中でネットワークをするということに対してかなり問題点は多いのではないかと指摘されています。
特に国土交通省マターでいうとミッシングリンクをつなぐとは言っていますが、人が減ってお金がないのにどうやってミッシングリンクをつなぐのかそこをお伺いします。
もう一点は予算ですが、国会議員の何人かに伺いましたが、円滑な執行は良いんですが資材と人件費が高騰しつつある中で、果たして名目のお金に比べて公共投資効果があるのだろうかと、これに疑義を持っている人がいっぱいいらっしゃいますがその点は如何でしょうか。
この2点お願いします。
(答)2050年を目指して人口減少社会ということは一番の大きな要因として踏まえていることでもありまして、当然この財政の制約というものは考えていかなくてはなりません。
しかし財政ということからいきましても、2020年にプライマリーバランスの黒字化ということを目指して行き、この歳出という面を考えていくと同時に歳入ということの非常に経済の活性化ということも非常に大事ですから、全体的には成長の好循環というものが極めて重要だというふうに思っています。
その上で、その辺のどれだけの財政が出せれるかということは常に公共事業を中心としたものにおいては財政制約があるという認識をしていかなくてはならないというふうに思っています。
そうした今ミッシングリンクというようなお話しがありましたが、それに加えまして老朽化対策ということが極めて重要な課題にもなっておりまして、その辺は全体的な試算ということの上でやっているところでございます。
その財源をどう確保するかというこれは政府全体という観点とともに、少しでもこれを民間を活用したPPPの原則あるいはPFIを使用するとかというような手法、そして中味を吟味していくというようなことも含めて、私はそういう目標という合意を形成して各市町村も含めてどのようにその制約の範囲内でできることがあるかということだと思います。
今回のことについては、私も十分有識者の論議を聞いてそしてそれに基づいて出していることでもありまして、その辺の財源は大丈夫なのかというこれは批判というより懸念というものが出されていたというふうに思いますが、様々そういうことを含めて大きな、人口減少それ自体がというむしろそれは危機感ということだと思います。
それらを踏まえてもまちを再編していかなくてはいけないとか、大都市は都市間競争の中で世界に冠たる成長力を持つ都市にしていかなくてはならないというビジョンというものを示して、その中で優先順位を鮮明にしてやっていくということが大事だというふうに思っているところです。
かなりこれからそうしたことの、これは政府全体で、財政の問題あるいは経済成長の問題は取り組むべき問題で、このグランドデザインは危機感というものをしっかり持って少なくともこういうような事態が想定されるからそれに備えをしていかなくてはいけないということで、私は今度の骨子は大勢の方の意見を本当に聴取する中で作ってきたことでもありまして、一つの重要なたたき台になるのではないかと。
当初申し上げましたように、危機感を共有するという論議を更にこの骨子に基づいてしてもらいたいと言っているのはそういうことでございます。
2点目のこれは資材の高騰とかそうしたことについては、これは常に注視していかなくてはならない事でもありますが、私は一番その中では、資材の高騰とか人不足、今の状況の中でのことではありませんで、これから2050年というときには、建設業界のみならず、農業もそうです。
若い人がそうした作業をして下さる、あるいは技能者というものが機械でもそうです。
あるいは自動車の整備ということでもそうです。電気でも現場の作業して下さる方達もそうです。
日本の社会の中で、これから若い人たちが、いわゆるホワイトカラーというのではない現場で働いている人たちが処遇が改善されて大きな力となって頂けるかどうかということが極めて重要な課題だというふうに思っています。
私はそういうことでまず現状ということからいきますと、この労務単価の引き上げとかですね、実勢価格というようなことや、あるいはまた若い人が入ってくるようにあまり波のある予算設定をするのではないという平準化し持続的なものにしなくてはいけない様々な事で、その助走をやっと開始ができたのが去年であり今年であろうというふうに思っていますが、私が一番懸念しているのが、資材の高騰以上に担い手ということがこの建設業界に限らず、非常に大きな課題であると思っておりまして、そこも今別の有識者会議を開催しておりまして、長期的にそこに向かって推進していくというまあ検討といいますか、研究をしているところです。
これ非常に大事な重要な問題であるというふうに思っているところです。

(問)グランドデザインですが、これを今後どのように具体的に政策に反映させていくのか。
今国土形成計画という国土計画が別にありますけれども、それとの絡みを含めて具体的にどう今後活かしていくのか教えて下さい。
(答)先程私が本年夏頃というのと、このグランドデザインの骨子というものの性格はむしろ思い切ってものすごく広範にわたるものですから、中々こういうもの出せないのですが、あえて問題を提起したり一つのたたき台ということを大いに危機感を共有して論議をしてもらうという意味で出させていただきました。
そういう意味では今後地方を始めとして各方面の意見を広くお伺いをしながら、夏頃までにグランドデザインを取りまとめたいというふうに申し上げましたが、そこでは現実問題、今の目の前の問題としては、一つは国土形成計画ということについては、グランドデザインで示す国土づくりの理念や考え方を踏まえて、この取りまとめ以降には見直しに着手していかなくてはならないというふうに思っておりまして、そういうスケジュール感を持っております。
一方でこれが確定をし、そして現在の公共事業関係ということに係る事ですから、既に始まっているようなまちづくりをどうするのか、総務省や色々な所と連携をしてそういう取組を開始をしているところでもありますし、いずれは法的にも整備をして行かなくてはならないという課題も出てくるというふうに思っています。
まずはそういう意味でたたき台を提出させて頂いて、骨子という形で出させて頂いたということです。

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