大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年10月15日(火) 10:30 ~ 10:47
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議におきまして、海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案が閣議決定されました。
 次に、1点御報告をさせて頂きます。
JR北海道に関する件でございます。
 JR北海道が安心して利用していただける鉄道であるとの信頼性を取り戻すためには、安全対策で先行する他社のノウハウを活用する必要があります。
このため、既に7月の段階で、JR北海道にJR東日本の技術協力を求めるように、指導しておりました。
これを受けまして、両社の間で、これまで安全推進部門や車両整備部門での意見交換が行われてきたところであります。
この度、この関係を更に拡大するということで、JR東日本からJR北海道に人材を派遣するという方向で、両社間で調整に入ることになりました。
基本的な考え方と致しましては、安全統括管理者である鉄道事業本部長を補佐する人材を派遣します。
この派遣者は、派遣チーム全体を取りまとめます。
これとともに、各分野の担当部に課長クラスを派遣するということに致しているようであります。
これらの派遣チーム全体で、JR北海道のメンバーと一緒になりまして、実態把握を行い、また、対策の策定・実行を行うというものと聞いているところです。
具体的な派遣の内容や時期につきましては、両社間で調整を行い、決まった段階で、両社の方から発表されることになります。
私からは以上です。

質疑応答

(問)JR北海道について、今お話のあった件ですが、(10月)12日まで追加の特別保安監査があったと思いますが、この結果と今後の方針について、今仰ったところもあると思うんですが、他にあればお聞かせ下さい。
(答)10月9日から12日まで4日間、特別保安監査を行いました。
今回は初回の監査と同様に、経営、土木、電気、車両、運転の分野を対象に監査を実施しました。
特に、安全対策の実行体制の確認のために、委託先を含めた安全管理体制や経営問題についての更なる調査、そして前回の監査後に発生したトラブルにつきまして、それぞれの部門において必要な現場への立ち入り、実態の把握、これらを重点的に実施を致しました。
また、社長など、経営幹部から安全に関する経営方針等を聴取致したところです。
現在、追加のこの特別保安監査で確認した事項も含めて、これまでの監査全般について整理・分析を行っているところです。
昨日も分析を行っておりまして、いくつか明らかになった点がありますので御報告をしておきたいと思いますが、1つは安全推進委員会、これはJR北海道における安全対策を幹部が議論するという場です。
この安全推進委員会等を中心とした安全管理体制が機能していない、またそこで十分な議論がなされていないということ、また、枕木の腐食や老朽化に対しまして、現場毎に管理が統一されていなく不統一であるといった点が明らかになっています。
いずれにしましても整理、分析をしっかりやっていきたいと思っております。
監査結果の取りまとめ時期につきましては、広範な分析が必要のために具体的に明示できる段階ではありませんが、いずれにしましても利用者に安心して鉄道を利用して頂くために必要となる抜本的な対策の検討を急ぎたいと思っております。
また、(10月)4日にはこの監査について改善指示をさせて頂きましたが、これについては全体的な監査の取りまとめ如何に関わらず、必要である事項については直ちにその点については行っていきたいと思っているところです。

(問)福岡の病院火災について伺います。
先週、国土交通省も現地に職員を派遣したかと思いますが、これまでにいくつかの法令違反等も見つかっているかと思いますが、調査の結果の内容と国土交通省として何か対応を取るお考えであればお願いします。
(答)10月11日に発生しました福岡県の診療所火災において10名の方が亡くなられ、5名の方が負傷されたことは誠に遺憾なことで、犠牲になられた方の御冥福、そして負傷された方々に御見舞いを申し上げたいと思います。
国土交通省としましても、11日及び12日に福岡市と共に職員が立入調査を行ったところです。
現時点では、1階から4階までの各階の階段には、防火扉が設けられておりましたが、少なくとも1階、2階、4階は開いたまま、3階は不明という状況になっています。
この建物は建築確認の届け出をせずに増築が行われており、その際に煙感知装置に改修すべき防火扉が温度ヒューズ式のままとなっているなど、建築基準法違反となっている部分が生じていると、これらが確認されているところであります。
今後、その防火扉が閉まらなかった原因等について引き続き調査を行うことにしておりますが、少なくともこのことが被害の拡大につながったと考えていることから、特に今回の建物のように入院患者等が利用する病院及び診療所で一定規模以上のものについて、緊急点検を実施することを本日中に通知するということにしております。
今後、さらに原因究明等が進んで更なる対応が必要となった場合には、消防庁や厚生労働省とも連携して、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

(問)JR北海道に関してですが、JR東日本からの人材派遣は国からの要請なのでしょうか。
それともJR間の民間レベルでの考えなのでしょうか。
またその人材派遣の規模を教えてください。
また、当初事務方の説明では、監査結果が出て、何が必要かが見えてからの人材派遣と聞いていたんですが、それが早まったということなんでしょうか。
それとも何かある特定の理由を持って今回の派遣が決定をされたのでしょうか。
(答)これは先程も御報告しましたが、私の方から7月下旬だったと思います。
JR東日本からの派遣も含めた検討をということを指示させて頂いて、それによって話し合いが行われ、そして具体的にも調査、あるいは検討というものが8月も行われてきたと承知しています。
そこでそれが過日、JR北海道から9月の末頃になりますが、安全対策を強化するためにJR東日本からの人材派遣を要請したいとの意向が国土交通省に示されまして、JR東日本にこの事を伝えておりましたところ、この週末に応じる方向で検討したいという旨の回答があったところであります。
特別保安監査が行われているという状況もよく両社とも当然でありますが承知をしておりまして、安全というものを一刻も早く、特に技術的に支援をし、そして体制を組みたいという意向が両社間でまとまったということです。
これからそれらの規模については、具体的調整が行われると思っておりまして、先程私が申し上げました全体を統括するという安全ということの基軸は当然一人になりましょうけれども、各部門ということでそれぞれ配置につくということで調整が行われており、何人ということについては、各部門に配置することは決まっておるようですが、全体的にどの程度の規模というのは今後の話し合いということだと思います。

(問)(JR北海道について)大体時期的にはいつ位からこの人材の派遣が行われるのかということと、大臣としてこれが行われることによってどのような効果を期待されているかお聞かせください。
(答)先週末に派遣をするということが両社間で話し合いが行われて、どの部門にということについても話し合いが進められて来ているということですので、ここはそんなに遠くない時期ではないかと思いますが、そこは調整して頂けるものだと思っています。
この安全管理ということにつきましては、両社間の連携のもとに、他社の技術陣が入るということの中で、見えるものは見えてくるということは大いに期待をされてくると思います。
そういう意味ではまた、本社と現場との間の連携がもう一つ大事だということからいきまして、これら現場と本社との連携、そして具体的な電気、車両、そして軌道、それぞれについての技術的な措置、あるいはそこでのマニュアルとか実態ということについてJR東日本の現場の目線が加わるということは、極めて重要なことだと思っておりまして、安全運行ということに対して前進するということで期待をしているところです。

(問)監査に入られる前に、経営陣の安全意識の低さが問題だということを繰り返し仰っていました。
今のお話でも安全推進委員会で幹部間の議論が不十分だったということが分かったというお話もありました。
お話を伺う前に、幹部の責任というのはかなり重いと思いますが、現時点で社長なり幹部に引責する形での辞任あるいは降格というものを求める考えはないのでしょうか。
(答)一番大事なのは、私は再発防止そして安全に運行されるということが、私が強く求めているところです。
そのために具体的な事故がこの1ヶ月また2ヶ月間もありました。
また昔の話が出ているということもあります。
そうしたことをよく吟味をさせて頂いてということですから、今回JR東日本の技術陣がかなりそこに加わっていくということは、非常に重要なことだと思っておりますが、まだその辺の全体像ということをどうするかということについては私は考えていない、むしろ再発防止ということの体制を作るということが極めて大事であるという認識をしております。

(問)被災地に限らず全国的に建設現場での入札不調が起きているかと思いますが、そのことに対する大臣の認識と現在打たれている対策、あと今後考えられる対策をお願いします。
(答)復興地が特に入札不調、そして資材、人の不足というものに悩んでいるということからいきまして、ずっとそこを注視してきたところであります。
先般もそこで、仙台に行って現場の状況を視察をして来ました。
全国的には入札不調が発生している事例は聞いておりますが、過去に比べて不調の割合が際立って高くなっているという状況ではないとこのように認識しております。
また、資材の供給も安定的に推移していると認識しております。
また人の問題は、若い技術者あるいは技能者が、これは社会全体が減少してきているという、かなり構造的な問題であるということで、私は研修所に行ったり、あるいは学生さん達にもお話をしたりと、様々な手を打ってきている上に、労務単価の引き上げを十数年ぶりでありましたが、(今年)3月末に全国15パーセント引き上げという措置も取らさせて頂きました。
また、5キロ圏内においては一人の技術者が現場を管理出来るというふうにもさせて頂いておりまして、これらについては注意をしなくてはならない状況というのは、常に私はそういうふうに危機感を持っているところでありますが、更にこのことについては注視をしていきたいと思っているところです。

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