大臣会見

太田大臣就任会見要旨

2012年12月26日(水) 25:25 ~ 25:57
国土交通省会見室
太田 昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 国土交通大臣を拝命しました太田昭宏です。
「防災・減災ニューディール」ということを我が党として主張して、ひとつは巨大地震に備えなくてはいけない。
地震活動が世界的に活動期に入っていることを踏まえ、巨大地震に対しての対応を急いでやらなくてはいけない。
そして同時に、笹子トンネルの事故で改めて感じたところですが、昭和39年の東京オリンピックを前にして第1号の首都高速が部分でありますができあがったという、37年はちょうど50年前です。
経年劣化をしているということについて対応しなければならない。
併せて、一番、安倍内閣、また私が現場を回って考えてきたところの景気経済を高めるという要素を含めて、今3つ申し上げましたが、「防災・減災ニューディール」ということで安全な国道を作り経済を活性化させるということは喫緊の課題であるということを主張して参りました。
国土交通省の職員の皆様は東日本大震災でも東北地方整備局をはじめとして、本当に啓開作業、そして今は地盤沈下をどのように復興するか、様々なことで努力をして地道に現場で一番大事な仕事をする、この国土交通省がより日本の安全とそして経済活性化と双方に向けて、総力を挙げて出発できるように、私としては出来るだけ総合力を発揮できる省庁として一層頑張って頂けるようにと、私も奮闘したいと思っています。
最初に申し上げるのは以上でございます。

質疑応答

(問)今回、安倍総理から国土交通行政を今後進めていく上で特にどのような点に力をいれて取り組んで欲しいというような指示がございましたでしょうか。
(答)内閣全体としては、第一に経済活性化。第二に全大臣が復興大臣のつもりでということ。
第三に防災・減災、そして危機管理。これは全ての大臣に共通事項としてお話がありました。
国土交通省としては、それぞれの国交省の各局に関連するものですが、項目は全部で6項目ほどありますが、学校や公共施設等の耐震化、そして通学路の安全。
そして震災に鑑みて、コンビナート対策、液状化対策、密集市街地の整備、老朽化した上下水道対策、ゲリラ豪雨・治水対策などの「都市防災」について力を入れるということ。
そして笹子トンネル天井板崩落事故を踏まえ、老朽化した交通インフラの整備をしっかりやって貰いたい。
魅力ある観光地の整備等に力を尽くして頂きたい。
そして航空産業をめぐる環境の著しい変化を踏まえて、航空輸送の安定と安全の確保や、航空産業の発展に積極的に取り組んで貰いたい。
鉄道分野を始めとするインフラ・システム輸出を進められるよう、民間企業の支援を始め、機動的に対応を行うこと。
そして我が国の主権と領土・領海を断固として守るために、関係大臣と協力して、国内法や組織・機関を整備し、海上保安庁の体制強化を図るということ。
さらに尖閣諸島の警戒警備については、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って臨んで貰いたいと、それが直接言われたことでございます。
全体的にかなり網羅的だと思いますが、急所は先ほど私が申し上げたことではないかと思います。

(問)公明党が「防災・減災ニューディール基本法」を既に策定されておられまして、自民党が「国土強靱化法」と内容や規模が多少違いますが、今後両党で調整して一本化し、国会提出するお考えがありますか。
もし提出するお考えがあるならば、その時期はいつ頃を目途とするのかお考えをお願いします。
(答)このあたりは自民公明両党とよく協議をしてやっていくということが大事ではないかと思っております。
私どもが主張したのは「防災・減災ニューディール」でありますが、自由民主党は「国土強靱化」ということで、もう少し昔でいいますと国土軸というようなこととか、中央集権的なものではなく分散的な発展を促すようなまちづくり。
或いは両党一致しておりますがコンパクトシティということ。
ですから対象とするものをかなり狙いを定めてやっているのが、公明党の「防災・減災ニューディール」であります。私は地震や笹子トンネルの天井板落下などについて大変危機感を持っております。
しかし全体的に国土強靱化するということよりも、そこにある意味では狙いを定めているというところが公明党の特徴ではないかと思っておりますが、今は大臣という立場ですから、両党とよく調整をしたり話を聞いたりということで、どうするかも含めて今後の問題に委ねたいと思います。

(問)補正予算の編成がまず喫緊の課題であるかと思いますが、国土交通大臣としてはどういった事業を補正予算に盛り込んでいけるとお考えでしょうか。
(答)今、申し上げたようなこと。それから国交省のみならず、例えば天井といえば、学校の構造物自体は、学校の耐震化を進めてきまして、国交省にも協力を願って7年位前から進めてきて、ほぼ今年の夏休みまでには、学校の耐震化は9割という所まで来ました。
次は非構造部材の耐震化ということを思っております。
これは文科省になる訳ですが、そうしたことも総合的に含めて緊急を要する物にかなり狙いを定めて、この補正予算の中に、国交省のみならず、防災・減災ということについて、狙いを定めてやりたいと思っておりますが、これは今後の具体的なことは今日の今日ですから、よく幹部の皆さんとも相談して、また、内閣全体とも相談してやっていきたいと思っております。

(問)野田政権で国有化された尖閣諸島の経済的な面も含めての活用、それから島への人員の配置、海上保安庁の対応などについて安倍総理から何か方針が示されたのかという事と、尖閣諸島の管理について大臣御自身がどのようにお考えになっているか見解を伺いたいのですが。
(答)安倍総理からそうした下命はありません。
私が安倍総理と総理になる前から話をしてきて、まず前提として日中関係は極めて大事である。
そして第一次安倍内閣の時に、「戦略的互恵関係」という言葉を使って、積極的に日中関係を築くということに努めてきたというのが、当時私はカウンターパートでありましたのでやってきました。
そのことについては、この安倍内閣もまず日中関係は大事である、そして「戦略的互恵関係」を発展させるという事が基本的な方針。その元で国交相という立場で言うならば、先ほど安倍総理からこういうのがあったという報告をしましたが、警備という事について、しっかりした体制を作るという事が今日の時点で全てでございます。

(問)海保の体制整備というのは、緊張感をもってやりたいということですが、今尖閣の方に集中して巡視船を配備してますが、中国公船は断続的に来ている、長期化して来ている中で、どのような体制が必要か、今どのように考えられているかお願いします。
(答)もう少し私どもよく実情等を調べてからしか正確にはお答え出来ませんが、海上保安庁の人達が尖閣諸島の接続水域をはじめとして、今日もなお非常に緊張感の中で奮闘しているという状況だとお聞きしてます。
それらも踏まえて、増強という、例えば言葉を使うのならば、どういう形で増強ということが現実的であるのかということも踏まえて、今後検討したいと思っています。

(問)先ほど公共事業、老朽化したインフラのお話もありましたけれども、公共事業費全体は政府で、(前の)自公政権の時も削減はしてましたけれども、ここ数年かなりの割合で減っては来ていると思いますけれども、今後の公共事業費の額的な面については、右肩下がりのような傾向にありますけれども、その辺りどのようにお考えでしょうか。
(答)私が意識していた10年前位は、大体公共事業というと9兆円というような一般会計の金額だったと思います。
それが7兆円前後となって、そして7.1兆円という形で麻生政権時代というものがあったと思います。
これが7.1兆円というのが、1.3兆円削るということで民主党政権の中で、前原国交大臣の最初にそのようなことがありまして、更に削られて2.5兆円削って4.6兆円というような事態に今なっていると思います。
私は公共事業というのは、防災・減災ということを私が申し上げたのは、具体的に中身という物を詰めて、皆さんが納得出来るというようなものについて、きちっと積み上げて行くことが大事だと思っておりますので、先に公共事業の金額があるのではなくて、公共事業について正に現場で、ここはこうしなくてはいけませんね、ここもこうした方がいいですね、それは先ほど申し上げました公共事業本体とは違いますけれども、非構造部材の学校の耐震化ということもそうですし、或いは高速道路ということでいうならば、どこが弱点かということについては、阪神大震災の後に、私が強く主張して、橋脚の部分については折り鉄筋を巻いて、そういう作業が行われて皆さんも御承知かと思いますが、しかし橋桁と橋脚の部分の接点が非常に弱い、それぞれの構造物にはどこが弱点かというのがありますから、そのところを多くの人に納得をいただける形で積み上げていくという形での公共事業というのが結果として予算になっていくというのが、現段階で私は、国民の納得性のある、そして命を守る公共事業ということの思想性を表す上でも、そういう形が望ましいのではないかと、私は今、思っている所です。

(問)先程行われた官邸での会見で、八ッ場ダムについては民主党政権時代の決定を尊重するというお話だったと思うのですが、例えば熊本県の川辺川ダムですとか、民主党政権時代に計画が中止になったものについての取扱は如何でしょうか。
(答)ダムについては、一つ一つのダムで対応、効果、様々な物が違うということを具体的に今検証していると聞いております。
従って今日の時点で、どのダムがどうかということについて、お答え出来るという段階にはないと私は承知しておりますが、ダムについては一つ一つ、具体的に検証をしているという今の作業が、これからも続けられるということが、大事ではないかと思います。

(問)先程も質問がありましたが、八ツ場ダムについては、本格工事に取りかかるというお考えはお有りでしょうか。
(答)私は前田元国交大臣がちょうど1年前に継続ということを決定したということを尊重するということまでが、今日の時点で私が言えることだと思っております。
あえて言うならば、早期完成に向けた取組みを進めていくということです。

(問)八ツ場ダムの関係ですが、前政権は官房長官裁定という形で河川整備計画を決めて策定するという形でダムの本体着工の前提としているわけですが、この前政権の裁定というのはどのように踏まえていかれる予定でしょうか。
(答)河川整備計画を策定して進めていくということについては、方向性は私は結構だと思います。
むしろそれは早く決めていくということではないでしょうか。
(問)スケジュール感のようなものはお持ちでしょうか。
(答)現時点で私が答えるだけの十分な調査をしているという段階にございません。

(問)防災・減災についてですが、国土強靱化担当大臣は、古屋国家公安委員長が就任されました。国土交通省の業務との棲み分けについては、どのようにお考えでしょうか。
(答)まだよく整理されておりません。
今日、立ち話程度ですが、古屋国家公安委員長が国土強靱化担当の大臣となりましたので、よく連携を取ってやらせて頂きたいと、私に話がありまして、その中味やいろいろなことについてはこれからだと思います。

(問)インフラの話で整備新幹線の関係ですが、民主党政権が今年の6月に未整備の3区間の着工を決めて着工されていますが、公共事業の無駄遣いという指摘がある反面、北海道新幹線だと完成までに24年掛かるということで、非常に工期が長すぎる、工期を短縮して欲しいという話もありますが、大臣はこの問題について、どのようにお考えでしょうか。
(答)我が党は、北海道の新幹線で推進役を果たしてきました。今私が新幹線を始め3区間、そして北海道新幹線については、与党とよく相談をしてやっていきたい、相談したいということを今日はお答えするに留めたいと思います。
(問)大臣御自身としては、前倒し出来るならした方が良いというお考えでしょうか。
(答)予算とか様々なことがありますから、これからよく検討をさせて頂きたいと思っております。

(問)海洋開発や領土問題については、山本一太議員が特命大臣でご担当されることになっておりましたが、これも国土強靱化と同じでまだ役割分担は整理されていないのでしょうか。
(答)まだ話をしておりません。

(問)TPPの交渉参加について、大臣の御所見をお願いします。
(答)これは今まで我が党が申し上げてきた、現段階で私から申し上げられることは、情報開示ということ、そして聖域なき関税撤廃ということで、大事なのは外交交渉力であると、そして情報開示であると申し上げてきたのは我が党であったと思っております。
それ以上のことについて私が今日国土交通大臣という立場で申し上げられることはありません。
これもよく今後内閣全体の問題でもありますから、よく協議をさせて頂ければと思っております。

(問)整備新幹線の関係で、北陸でも自民党の方から整備新幹線については、敦賀まで前倒しするべきだという声も結構出ているのですが、先程の北海道と同じように、北陸も前倒しについては与党とよく相談したいということで考えてよろしいでしょうか。
(答)はい。

(問)建設業界ですとか企業が疲弊している状況が続いているのですが、建設業界の今後の戦略というのを、産業の発展をどのようにお考えなのかをお教え下さい。
(答)我が国の建設業ということの、一般的に言われる役割ということにプラスして、3.11の東日本大震災の時に、重機等がなかなかなかったり、昨年1月の雪害の時もそうでした。
今も大雪ということで対応するのは、建設会社がやっていたりします。
また、先程予算ということの話がありましたが、それを実行する職人さんを含め、また若い人が建設業界から離れてきているというのが、7.1兆円から4.6兆円に公共事業予算が削られてきているというような、色々な側面がありますが、業界にとってそのようなことだと思います。
非常に物を作るという意味での建設という業界というだけでなく、防災や減災や、あるいは緊急時での役割というのを担って頂いた、そうした業界がもう少し落ち着いて良い仕事が出来ると安心して頂いて、若い人が建設業界にも入って頂けるようなそのような方向性というものが見えれば良いのではないかと思っております。
今、日本経済全体に企業の体力は弱ってきているという状況だと思っていますが、建設業界はその中でもかなり疲弊しているという認識をしているところです。

(問)笹子トンネルの事故について伺います。直接的な責任というのは管理者にあると思いますが、指導する立場にある国土交通行政として今回の事故に対する責任を大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。
(答)今回の具体的事案については、調査をしっかりして頂ければと思っておりますが、構造的な問題ということに因を置かれるということもあるかもしれませんが、私が今日の大臣就任の時点で申し上げられることは、まさに、さきほどから申し上げているように、例えばコンクリートにしても、あるいはその中心となっているメタルの部分についても、あるいは接着の部分についても、経年劣化というものが様々な形でできているということについて、行政全体としては防災・減災の観点から、全体的に調査をするということが大事なのだなという認識をしています。

(問)前政権下で国会に出された、民間活力を使った空港の経営改革に関する法案がありますが、これについてどう考えていらっしゃいますか。       
(答)航空の、今国際競争力にさらされているということからいきますと、国際競争力が強化できるようにということ、そして格安航空ということを含めて、様々な打開する鍵というものがあろうと思いますので、バランスが悪くなってしまうと私はいけないと思っておりますので、もう少し総合的に、航空を担っている局ともよく相談していきたいと思っています。

(問)公共事業の関係で伺います。新政権ができて、地方ではさっそく、もう既に凍結している巨大プロジェクトの整備促進のための決起集会が開かれるなど、90年代の景気対策並みの公共事業を期待しているという自治体、都道府県がもの凄く今増えています。
その一方で大臣がおっしゃられたみたいに、維持・管理・更新、老朽化対策という事に対して、今後莫大な費用が掛かるという推計もあります。
これら両方をやっていく財力というものは今の日本にはなかなか無いというか難しいと思うのですが、よりどちらに力を入れていくべきだと大臣は考えていますか。       
(答)防災、減災、老朽化対策ということの積み上げ型、そして多くの人達が納得できる公共事業ということについては、私は積み上げ型というものが大事だろうと思っています。
それも一つ一つの事業は非常に長い年限をかけてのものですから、そういう点では5年、10年、20年というものを見て、そして、どの事業をどの位のスピードでというようなことをよく考えて、一気にとかそういうようなことには現実的にはなかなか難しかろうと思いますから、公共事業のあり方は、5年、10年、20年、30年を視野に入れた長期的な視点、そして全体のバランスを見抜く視野というものが、私は必要なんだろうと思います。
(問)なかなか難しいとは思うのですが、新規と維持・管理という意味で言うと、今後どちらに力を入れていくべきでしょうか。
(答)まずは、維持・管理というよりは防災・減災ということに力を入れるということが大事だなと思います。
ただ具体的に、例えば密集市街地を、大地震があった、それで地域を守ろうという場合に、これを新規と言うのか新規ではないと言うのか、都市計画自体、あるいはここに道路を作るというようなことで、防災と言えば防災という観点であるが、新規と言えば新規と言えるというのがあって、むしろ防災・減災という視点からどういうふうにこれを乗り越えていくかということで、見方によっては新規であり、見方によっては維持であり、という側面が生じるのだと思います。そういう点では、私は重なる部分があって、大地震や、あるいは水害等々について、どう国土を守っていくのか、人命をどう守っていくのかという観点を常に持ちながら、公共事業は行っていくということが望ましいのではないかと思っています。

(問)東日本大震災からの復興・復旧の関係なのですが、今被災地の方で、現場に行かれたとは思いますが、どういった点が足りなくて、もしくは、どういう事を被災地の方が求めていて、これに対して国交省としてどのように対応していかれるか大臣のお考えをお伺いします。
(答)全体的には、道路をはじめとする幹線という事については進捗してきているという認識をしているのですが、高台移転という事も含めたまちづくり、特に住宅、仮設から復興住宅に変わる、こういうような事への合意形成と具体的な進捗というものについては、私は大変遅れていると思っています。
寒い2回目の冬で、我が党は追い焚きする機能をということを仮設住宅でも言ったりしてきましたが、被災している方々の心情に即してやっていくということが大事じゃないかと思いますが、その点は住宅ということについては遅れているということは指摘できると思います。
(問)そうすると住宅局の方に何らかの対応を急ぐようにという指示を出されるというようなお考えでしょうか。       
(答)ただちに今日の時点で指示ということなのかわかりませんが、私としてはそういう問題意識を持って、おそらく共有しているのではないかと思っていますが、具体的な事については今後の事になります。

(問)航空行政の関係で、オープンスカイですとか環境自体がかなり変化しているかと思いますが、このような航空・空港業界をどのように見ていらっしゃるか、あるいは国際競争力強化に向けて、どのような取り組みを今後されていくお考えがあるのか、具体的に何かありましたら教えてください。
(答)私が今ただちにこれをというものを持ち合わせているわけではありません。
しかし今質問もありました環境が変わってきているという事で、日本の国民の利便性ということと同時に国際競争力というような観点というものは、よく見ていかなくてはいけないと思っています。
それ以上のコメントが今日は十分できませんので、また改めて機会があればお話をさせていただければと思います。

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