大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年12月7日(金) 10:45 ~ 11:13
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

12月2日に発生した中央道笹子トンネル事故について御報告をさせて頂きます。
残念ながら、この事故により9名の方が亡くなられてしまいました。
亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害にあわれた皆様にお見舞いを申し上げます。
 道路の安全を確保することが我々の使命であり、笹子トンネルでの今回の事故は、私も翌日現地調査に入りましたが、大変な事故だと改めて認識をしたところであります。
ネクスコ中日本に対しては、警察と消防と連携し、被災者の救急、救助活動に全力であたるように、また、亡くなられた方々、被害にあわれた方々への対応について、相談窓口の設置も含めてしっかりと対応するように指示を出してきたところであります。
 国土交通省としては、今回の事故を受けて、笹子トンネルと同型の構造を持った、国及び高速道路会社が管理するトンネルについて、点検をすぐに実施するように、事故発生翌日に指示を出したところです。
今月12日までに回答を集め、来週中を目途に、結果を公表したいと考えております。
 また、事故の原因究明と再発防止については、早急に行わなければならないと考えており、4日には学識経験者による調査委員会を立ち上げました。
何故このような事故が起きてしまったのか、点検のあり方も含めて調査委員会でしっかりと検証して頂き、再発防止策について早期にまとめていきたいと考えております。
 加えて、笹子トンネルの通行止めの影響が広範囲に及んでいることもあり、本日、事務方及びネクスコ中日本に対して、下り線のトンネルの安全確保方策、交通運用方法、通行止め解除の目途についての検討を早急に行い、一両日中に公表するよう指示をしたところであります。
 また、今回のトンネル事故への直接的な対応のみならず、この事故が国民生活に与える影響や、社会資本の維持管理のあり方に至るまで、幅広く問題意識をもって対応に当たることが必要と考えております。
このため、私から、これまで設置していた中央道笹子トンネル事故対策本部を発展的に解消し、新たに「中央道笹子トンネル事故関連施策に係る連絡検討会議」を設置するよう指示し、昨日第1回会合が開かれたところであります。
 今後とも、関係部局の緊密な連携の下で、国土交通省の総力を挙げて適時適切な取り組みを進めて参ります。
 次に、本日の閣議におきまして、「豪雪地帯対策基本計画」の変更が決定されました。
これは、本年3月の豪雪地帯対策特別措置法の改正と、昨年・本年の大雪で明らかになった課題に対応するため、国の基本計画を変更するものです。
 閣議において、関係閣僚に対し、新たな計画に基づく豪雪地帯対策への協力を要請したところであり、国土交通省としても、地方公共団体や関係機関とも密接に連携を図りながら、しっかりと対策を進めて参ります。
詳細については、事務方にお問い合わせ下さい。
 こちらからは以上です。

質疑応答

(問)大臣は先ほど(事務方及びネクスコ中日本に対し、下り線のトンネルの安全確保方策、交通運用方法、通行止め解除の)目途の検討について指示をしたと仰いましたが、大臣としてはいつ頃までに笹子トンネルの下り線の通行止めを開放するべきだとお考えでしょうか。
(答)これについては出来るだけ早くできればいいと思いますが、今緊急点検をしている最中です。
この緊急点検の状況、安全対応についての状況等をしっかりと把握した中で進めていきたいと考えているところであります。

(問)具体的に日付けを示していつまでという感じではないのでしょうか。
(答)まだ今は緊急点検の最中でありますので、それが終わると徐々に分かってくるのではないかと思っております。

(問)昨日、首都高速道路株式会社が羽田トンネルの吊り天井の撤去工事の前倒しを公表されましたが、他にも随分吊り天井のあるトンネルがたくさんあると思いますが、そうしたトンネルへの対応を大臣はどうお考えでしょうか。
(答)この緊急点検については、事故発生の翌日から笹子トンネルと同様の吊り天井板を有する全国49トンネルの高速道路会社ならびに直轄管理のトンネルを対象に緊急点検を実施しております。
地方公共団体及び地方道路公社が管理する全国12トンネルにおいても、国と同様の緊急点検を実施済み又は実施予定と聞いておりまして、御指摘の吊り天井板を有するトンネルについてはしっかりと点検をしていくということです。

(問)吊り天井を今後も維持していくべきだとお考えでしょうか。
それとも今排ガス規制が厳しくなったので必要は無いのではないかと道路会社の判断があると思うのですが、その辺りの大臣のお考えをお聞かせください。
(答)吊り天井についてですが、自動車の性能も良くなってまいりまして、排出ガス規制があり、排気のための通気口等が必要無いのではないかということで、撤去出来るものが出てきている。
羽田トンネルの吊り天井については、過去の定期点検の結果及び自動車排出ガスの改善状況等を踏まえて、天井板の撤去工事を含めたトンネル耐久性補強工事を昨年度から予定しており、年内に工事着工と聞いております。全国で排ガス規制等で徐々に吊り天井のようなものが必要ない状況になってきて、(排出ガス排出)ファンも大変強力なものが出てきており、そういう危険なものはなるべく撤去出来れば、撤去した方がいいと思います。

(問)トンネル事故に関連してもう一点お願いします。今回の笹子トンネルと同じ構造の吊り天井型の点検は指示されて、今(緊急点検を)やっておられますが、今後同じ構造でなくても、かなり供用開始から年数が経っているトンネルなり他の橋梁等について、緊急点検を指示する考えがあるのかをお伺いします。
(答)社会資本の維持管理というものは普段から検討を進めてきたところであり、しっかりとこの事故を踏まえながらもやっていかなければならないと思いますが、今までもやってきてますので、これをしっかりと進めていくということです。

(問)今日一部報道で、吊り天井でない富山のトンネルにおいて照明灯が落ちた事故がありまして、その辺の設備についても緊急点検を実施するお考えがあるのか教えてください。
(答)基本的には、今老朽化している物、特に吊ってある物ですとか、事故に繋がりやすい物、こういう物についてはしっかりと点検をしていかなければならないという思いを持っておりまして、それについても検討をさせて頂いている所であります。
今朝、早急に点検するという検討を既に事務方に言っておりますので、詳細についての発表は後ほどあると思います。

(問)本体の維持管理費用について、道路公団民営化の時に(維持)管理費を3割削っていると思うのですが、それとの因果関係についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)道路公団の民営化に際して、政府与党協議会の方針に基づいて、(維持)管理コストを平成14年度に比べて3割縮減ということで縮減してきたところであります。
縮減にあたっては、指標を設けて道路の安全且つ円滑な交通を確保する為の管理水準を維持した上で、科学的な検証を行いながら水準を上回るメニューについて縮減しているため、今回の事故に直ちに影響があったということは考えておりません。
(問)その時の管理水準は維持されてきているというお考えでしょうか。
(答)こちらとしては、維持されていると思っております。

(問)(トンネル)事故の調査委員会の方ですが、今後どのようなスケジュールで調査を進めていき、報告等はいつ位にまとめるとお考えでしょうか。
(答)この笹子トンネル事故関連施策に係る連絡検討会議ですが、具体的な中身は今回のトンネル事故を受けて、事故対策、事故による社会経済への影響の提言、そして社会資本の維持管理のあり方まで検討をしていただこうと思っておりまして、事故関連施策について、関連情報の共有と必要な対策の検討を行っていただいております。
第1回目の会合が行われた訳でありますけれども、まずは事故対策の進捗状況の確認や、経済活動への影響などの把握を行った所と聞いております。
なお、何時までと期限を設けて対策を取りまとめるのではなく、必要な対策を順次迅速に実施していくことであります。
また開催についても、情報共有の必要性や各部局での検討状況等を踏まえながら、適宜適切に開催をしていきたいと思っておりまして、年内にも第2回を是非実施して頂きたいと思っております。

(問)有識者の事故調査検討委員会の取りまとめはどのようにしていくのでしょうか。
(答)今のは連絡検討会議のことでありまして、事故調査の方の原因究明・再発防止についてでありますが、国土交通省においてトンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会を設置し、第1回の検討では現地調査に加えて緊急点検の状況や今後の調査の進め方について熱心に御議論を頂いたところであります。
今後更に検討を進めて、出来るだけ早く落下発生の原因、再発防止策について知見を頂けるように鋭意努力していきたいと思っております。
(問)いつまでというのは決まっていますか。
(答)まだそこまでは決まっておりません。

(問)北朝鮮のミサイルの関係ですが、今日破壊措置命令が出たと思うのですが、国土交通省の来週以降の対応とか何かありましたら教えて下さい。
(答)12月1日の総理大臣指示を受けて、国土交通大臣として以下の指示を発出してきたところであります。
[1]引き続き、情報収集に万全を期すこと、[2]船舶・航空機の安全確保の観点から、引き続き迅速かつ的確な情報提供等所要の措置を実施すること、[3]万一の落下物等に備え、海上保安庁等において所要の態勢を取ること、[4]落下物があった場合には、落下物のため立入制限区域が海上において設定されたときには、海上保安庁はその確実な実施を図ること、そして12月3日及び4日にIMO(国際海事機関)及びICAO(国際民間航空機関)から北朝鮮からの衛星発射予告及びその危険区域等についての通報があり、国土交通省としてもこれを受けて航行警報の発出、関係事業者等への周知徹底・注意喚起を行う等、船舶及び航空機の安全確保を図ってきたところであります。航空関係においては、防衛大臣による破壊措置命令の発出を受け、本日午後に防衛省より国土交通省に対して、我が国の飛行情報区、福岡FIR全域を対象に注意喚起を行うとともに、沖縄本島・石垣・宮古の一定の空域について、有視界飛行機の飛行自粛を内容とする航空情報の発出依頼がなされる予定であり、航空局において対応することとしております。
国土交通省としても関係省庁等と連携して、今後とも情報収集等に万全を期すとともに、国民の安全安心の確保に万全を期していきたいと考えているところです。
北朝鮮からの人工衛星と称するミサイル発射、この予告が12月10日から12月22日まで、朝7時から昼の12時までという限定をされておりますので、国交大臣としても朝7時から昼の12時までは10日から省庁で待機ということになります。

(問)事故調査の検討委員会でまだ原因究明がなされていない状態で、笹子トンネルは下り上りともに構造や開通の時期もほぼ同じですが、下り線だけ開通させるというのは安全という面から通しても大丈夫なものかどうかということについては、どのようにお考えでしょうか。
(答)しっかりと点検をした上でということになります。
(問)しっかりと点検をすればそれで十分だということでしょうか。
(答)点検をして安全を確保出来るということが大前提となります。

(問)万里の長城のツアー客、日本人3名が死亡した事故ですが、ツアーを主催しましたアミューズトラベル社が12月20日に事業を廃止すると言ってきています。
国土交通省としては近々に行政処分する考えがお有りでしょうかということと、今回の事故をどのように教訓として調査した内容をまとめていくのかということは何か御検討されていますでしょうか。
(答)廃業と行政処分に係る判断との間に直接の関係はありませんが、行政処分に関する作業を早急に進めていきたいと考えているところであります。
あとは、やはり旅行業界等との連携を取りながら今後このようなことがないようなことをしっかりと検討していかなければならないと思います。
(問)何か報告書等を作られるお考えはお有りでしょうか。
(答)報告書という形になるかどうかは、まだ分かりませんが、しっかり周知・徹底していかなければならないという認識は持たせていただいております。

(問)笹子トンネルの事故調査における警察との連携なのですが、今回、専門家の関連についても国交省から警察にコーディネートをしているとかそういうことはしていないということを伺っていまして、証拠の保存であるとか、事故調査で実際に前回のエレベーター事故では警察が押収して十分な事故調査が出来なかったということもあるのですが、今回警察のと連携についてはどのようにお考えですか。  
(答)しっかりと安全・安心というものを確保していかなければならないという観点からは、警察との連携をさせていただきながら、やはり同様な構造物があるわけですから、そのことも御理解をいただきながら連携していかなければならないと考えております。
(問)実際にはそうしたことを行っているということですか。
(答)しっかりと事故調査委員会も現地調査に入らせていただいておりますし、そういう意味では連携が取れていると思っています。

(問)ダムの検証について2点お伺いしたいのですが、一つは昨日熊本県に建設される国営立野ダムについて事業継続という判断を下されましたが、大雨災害もありましたので早期の治水対策を求める声もあるのですが、一方で一部市民団体とか有識者会議では、阿蘇の自然や環境への影響を危惧する声もありました。
最終判断に至る前にどういう検討がなされたのか改めてお聞きしたいのと、もう一点は、ダムの検証自体が民主党政権で進めてこられたのですが、当初から地方整備局とか道県、事業主体が自ら主体的に検証することについて疑問の声もありましたけれども、衆院選も控えていますが、現時点での総括をお願いします。     
(答)ダムの検証について民主党政権になって進められてきたわけでありますが、これについては私は良かったと思っております。
そういう中で継続になったものもあれば、中止になったものもあります。
そして条件がだんだん変わってくれば撤去するようなダムも出てきたということでありまして、これからもしっかりと検証した中で、有識者の皆さんからの御意見も伺いながら継続、中止、そしてまた撤去というようなことも含めて考えていかなければならないと思っています。
(問)立野ダムの継続の判断についてもお願いします。
(答)これはしっかりと地方整備局において、有識者の皆さんのお話も伺い、丁寧に検討してきた結果を私が受けまして、継続ということに最終的に決めさせていただいたということです。

(問)ネクスコ中日本などの道路管理者が策定している点検マニュアルの大本にある道路トンネル技術基準というものは平成元年に改訂されたまま変わっていないということなのですが、これは現在のストック型社会にしっかり対応した内容になっていると思われますか。  
(答)日本は自然災害の大変多い国でありまして、最近地震も多いということもありますし、また大雨というようなこともあって、いろいろな自然条件が大変厳しい状況になっているなという事は皆さんも肌で感じていると思っておりまして、そういう中で点検項目も含めてしっかりと今回検証をするべきだというように指示を出させていただいているところです。

(問)衆議院選挙関係について3点お伺いします。まず情勢についてどう思っているのかという事が一点、それから2点目は本日夕方に三党合意に基づく、社会保障制度改革国民会議が開かれますが、選挙後の政権の枠組みや三党協調路線についてどう考えているのかという事についてが、3点目はこのように選挙を意識させないような政府のフル稼働ぶりについてどう考えているのか、この3点をお願いします。
(答)選挙の情勢は大変厳しいと思っております。
そういう中で同志が一所懸命頑張っていると認識を持たせていただいているわけであります。
また社会保障制度というものは政権が変わってころころ変わるようでは困るわけですから、やはり国民の皆さんの安心と安全、老後の安心・安全も含めて考えば、社会保障制度は国民会議も作ってしっかりと議論していただく中で、このまま借金で社会保障を賄っていって、子ども達や孫達の代にツケを残すようなことは出来ないわけですから、そういう中でしっかりと議論をしていく必要があると考えておりまして、そういう意味では大きな社会保障とか、こういうことについては与野党を超えてしっかりと議論する必要があると思いますし、そういう中に国民会議にようなものが出来たことは大変良かった事だと思っているところであります。
また、もう一つは政府の対応ですが、行政府のフル稼働は当たり前のことでありますので、選挙はありますけれども、それとは別にしっかりと大臣としての仕事を全うするべきだと思っておりますので、政府として国民の皆さんの安心と安全というものを考えれば当たり前の行動だと思っております。

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