大臣会見

前田大臣会見要旨 

2012年4月3日(火) 10:10 ~ 10:37
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で御報告することは、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づく特定船舶の入港禁止措置について、一年延長し、平成二十五年四月十三日までとすることが閣議決定されました。
以上です。

質疑応答

(問)消費増税法案に絡んで、民主党から相次いで辞表が出るという状況ですが、これについてどう思われているか、また、消費増税について改めてどうお考えか、お聞かせください。
(答)税と社会保障の一体改革、これは野田内閣、特に野田総理のリーダーシップで進めてこられたことであります。
私も内閣の一員として野田総理を支えてこれを実現する、進めていく責任がある訳です。
それから党の役職についてはあえてコメントしませんが、副大臣・政務官で4人の方々がやめられました。
それぞれ政治家としての判断ですからね。
今慰留というか、首相は慰留をしているところだろうと。
私も自民党を出て以来、新生党、新進党、太陽党まで作った。
私は羽田孜先生、奥田敬和先生なんかと一緒に政治改革をずうっと戦ってきたわけです。
今から歴史みたいな話ですが、あの当時できたばっかりの鳩・菅さんの民主党と新進党というのがどうしても矛盾を抱えてうまくいかなかった。
それを一緒にする接着剤になるためにということであえて、羽田、奥田敬和さんと私も一緒に太陽党を作ったわけですね。
そして見事に一年後に新しい民主党につながったということになった。
その時々、本当に政治家が命を懸けて、信念に基づいて、ただしこれはあくまでも国家・国民のためにという一点で行動をされるということであればそれはそれで政治家の責任においてやられることだと思います。
ただ短期的視野で行動するということになると、後にそれが却って誤ることになる。
その辺が政治家の本当にそれぞれの歴史上の評価ということになるか思います。

(問)消費税の関連でいうと住宅分野について藤井税調会長は消費税の分割払いとか、エコポイント復活ということも言われているわけですが、大臣のお考えを聞かせていただけますか。
(答)私もそれは直接聞いたわけではないのですけれども、非常に難しい問題があります。
住宅というのは、消費税的にいえば関係する付加価値を高めていく段階が随分あるわけです。
それから、大和の常識でいうと何百年と使える住宅を本当に造っていかなくてはいけない。
今国交省においても低炭素まちづくりという持続可能な国造りの一つの基本として住宅の長寿命化、ストックとして住宅を考えているが、そこでこの消費税というものをどう整合させるか。
住宅そのものは生活の根本でもありますので、いかに負担を緩和していくか。
これはこれからの国交省の知恵の出し用だと思います。もちろん閣議決定の時に住宅についてはちゃんと配慮するということが、まとめる時の、閣議決定の時の条件となっておりますから。

(問)もう一点、エイプリルフールではないということですが、一日の新名神の凍結解除の件ですが、改めてその建設再開の理由と、今後のスケジュールを教えてほしいのですが。
(答)理由についてはあの場所におられた方がよくご承知のとおりです。
古くは私も若い頃はずうっと京阪神をうろうろいておりましたので、あの辺りをよく承知しているんです。
京阪国道という国道一号線があるわけですが、その線がちょっと少なかったのだけれども、第二京阪の工事が盛んになってきて、その結果相当混雑が緩和するのではないかとかという議論があった中で新名神が凍結されたわけです。
第二京阪が出来て、こないだ私も第二京阪を通って京都に行き、現場、更にはその後京都にも行きましたけれども、結果としては混雑は解消されるどころか、今、随分あそこは交通量が増えているわけです。
全国でも第2位だと聞いております。
しかも、京都縦貫というものがもうすぐできてくるわけです。
更には西の方の新名神に当たるところですか、あそこの事業も進んでいますから、これも混雑はどんどん増えるだろうと思います。
その上に、有名な地震学者の土岐教授という方がおられますが、数か月前に、国交省でも1度幹部を集めて講義をしてくれましたけれども、直下型の断層型の地震というものが相当危険度を増しているのです。
関東の直下型ということも言われていますけれども、要するに、プレートが動くということは、どんどんどんどんひずみがたまってきて、最後にパーンといくわけだけれども、その東海、東南海、南海という連動地震が間近に迫っていると言われているのは、ひずみがたまりにたまっていると、たまっているこのプレートの上にある弱い断層というものはその前に随分と断層型の直下型の地震が起こるらしいです。
これはもうずっと調べていくと、そういうことになっているらしいです。
そういうことで、今の名神ですが、京都から大阪山の山科の所を通って大津に至る、あの辺りに大きな断層があるらしく、これが一番危ないということをその講義の中でも指摘されておりました。
もしもあの名神がその区間でやられると、東西のそれこそ一番ののど元みたいな所が止まってしまうわけです。
という意味では、第二名神というものは早く整備をしておかなければいけないということは、私も痛切に感じているのです。
そういう知見と言いますか、認識というものは、この凍結したときには無かったはずです。
やはり3.11の後で、これはやはりきちんと対応しておかなければ、日本が大変なことになるということは、ミッシングリングだとか、多重防御とかよく言われるのですが、その中の典型的なケースだと知事さん方も言われますし、私もそう認識しています。
加えて、4月1日、これまたエイプリルフールではありませんが、関西国際空港会社と大阪空港会社が統合したわけです。
統合して、いよいよやがて7月と言いますか、今年中にはコンセッションを渡して、新しいPPP的な段階に入っていくわけですから、これは関西にとっては非常に大きな意味を持っております。
関西経済が随分沈下していった中で、ここがまた復興していく、そして阪神港なども統合していく、そういう中でこの道線というものの持つ経済的な意味というものは、非常に大きいと思います。
この2点から、多重防御という安全面、交通混雑の解消、それはすなわち、経済的な面から言ってこれは非常に重要な道路だと思います。
ただし、まだ用地や測量もしていないわけですから、これは調査から入って、用地買収をやり、そして設計をやり、工事をやるということですから、やはり多少の年月が掛かるのです。
なるべく早くつないで欲しいと思います。

(問)今日の閣議で、新卒採用の人数の削減が決まったと思うのですが、国土交通省はだいたい約半分ということですが、感想をお願いします。
(答)総務省において、近々、最終的な採用人数が各省ごとに発表するということになっておりますが、内々お聞きしているところでは、国交省は非常に辛いところなんですけれども、省内でも本当に出血の調整をやっているのです。
なぜなら、航空管制官、そして海の治安の海上保安官、ここは一定の定数を確保しないと、国の安全、安心に関わる問題ですから、そういう意味では、何とかぎりぎりのところまでやって欲しいと希望しており、そのために国交省の中では、その他の組織については本当に出血の定員抑制というものをやっております。

(問)今の新規採用抑制の関係で、実際、国交省の業務に今後どのような影響が出てくる可能性があるとお考えかということと、こういう新規採用を抑えるという手法、やり方、そのものについてはどのように見ていらっしゃいますか。
(答)業務ということですから、今申し上げたように、治安を守る、特に領海の問題については、今非常に、国民の関心事というよりも、実体上としてこの複雑な国際関係の中、特に日本の領海をめぐるいろいろな問題が出てきています。
それだけにここはもう絶対確保しなければいけない。
要するに、海上保安学校であり、海上保安大学に新規に入学してくる人たちが、いわば新規採用になるわけですから、一方で、大量の退職が出始めているのです。
特に、海上保安官などは定年を延ばして対応できる職種ではございません。
というような意味においては、絶対確保しなければいけませんし、航空管制官もそうです。
数年にわたる非常に専門的な厳しい訓練を受けて、初めて空の安全を守ることができるわけです。
だから、国交省としては、こういう非常に重要な欠くべからざる人材をかなりの量、確保していかなければいけない上に、陸海空あらゆる分野に組織があるわけで、そういう意味で、定数的に非常に厳しいです。
だから出血と言ったわけです。
そういうことになってくると、もちろん業務の効率化と一言で言うことになるのですが、業務のあり方、組織のあり方までやはり改革をしなければいけないと思っております。

(問)新名神のことですが、そもそも凍結された理由は採算性が厳しいということであったと思うのですが、今回この決定の中で、採算性とか交通需要予測の再検証をされたのかということと、その結果、採算性という課題は解消されたとお考えなのか、お聞きしたいと思います。
(答)もちろん採算性などは、もともと整備計画の中で、ちゃんと新名神の採算性などは検討していたわけです。
その時から、既に随分高い採算性があったようです。
今、実際に検討結果、詳しくはデータを間違うといけませんので、B/Cなどは2以上あります。
2つの区間がありますよね。
さきほど私が説明しましたが、採算性が悪いから凍結したなどは一言も言っておりません。
そうではなくて、むしろ混雑というものの解消のために、当時、新名神が計画されたわけです。
このままでは名神だけではちょっと無理だなと。
それで新名神を計画していきました。
しかし混雑という意味では阪神間の交通が当時非常に多かったので、第二京阪というものが、どんどん事業が進んでいって、これが完成すると、その混雑はかなり解消できるのではないかというのが一番大きな理由であったと聞いています。
それは実は解消されなかったということです。

(問)先月末で終わりました溝畑長官の代わりに、新たに井手憲文元海事局長が就かれました。
ちょうど東北博覧会が始まった折でありますが、大臣の期待についてお聞かせください。
(答)井手長官は、観光関係の政策には、今まで随分経験もあります。
加えて、鉄道あるいは航空、そういった交通行政に非常に詳しい。
そして内閣官房にも行っていて各省の調整の経験があるものですから、要するに観光庁というものは国交省の一外局ではありますが、政府の全ての観光関係の政策を、ここで統合して進めようというために作った庁です。
ですから国交省だけというよりも、もちろん国交省の中の交通、鉄道、港湾、総合政策も、あらゆる分野を束ねて横串をさして、政策を進めてきていただいているわけですが、それを超えて各省庁横断的な国としての観光政策、これが観光立国に繋がっていくわけです。
ということで内閣官房ともきちっと連携していかなければなりません。
そういった意味では適任だと思います。
加えて、海外経験を相当されていて、米国運輸省などにもいかれています。
それから在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部にもいっています。
そういった意味ではインバウンドなども、営業というよりも、組織的な政策として期待しております。

(問)新名神についてですが、B/Cが今現在どうなっているのかは、着工前に公表するお考えはありますか。
(答)B/Cが2.1というのが高槻から城陽の間で、これが10キロだったと思います。
それから、城陽から大津が25キロだったと思いますが、これが2.6と出ています。
平成23年に再評価したものです。

(問)第二京阪開通前の評価でしょうか。
(答)今は手元にないので、後ほど事務方に聞いて下さい。

(問)全国軽自動車協会連合会という団体がありますが、北海道内の事務取扱所で車検証の窓口手続きの際に、軽自動車の所有者から40年間に渡って、政令に定めのない協賛金を徴収していたことが分かりまして、徴収額は過去10年で10億円以上に上るのですが、国交省も平成10年3月に止めるように指導していたが止めていませんでした。
全軽自協は受け取っていた協賛金を返還しない方針なのですけれども、国交省として協賛金の返還を促す考えがあるのかということと、返還すべきとのお考えなのかをお聞かせ下さい。
(答)2年くらい前から是正せよという指導はしてきたと聞いておりますが、すでにそれは止めたと認識しております。
止める前の話についてはもう少し調査してみないと分かりませんが、私も古い運転免許者なのですが、安協というものがあると思いますが、安協の手続きで運転免許証を更新するときに、多少の金額を払うと思いますが、似たような問題があったと思います。
詳しくは分かりませんが、あんまり不当なことであれば当然民事にもなると思いますが、まずは実態が全国的にどうなっているかということを調査しているというところです。

(問)岩手県のJR岩泉線が、JRの方で復旧を断念するということを発表されたようなのですけれども、大臣の受け止めをお聞かせ下さい。
(答)鉄路復旧を断念せざるを得ず、バスで地域交通を確保したいということを発表したわけですね。
これはすぐに廃止届けを出すのではなく、地元に丁寧に説明をしていく意向だと聞いております。

(問)赤字路線ですから、経営を理由に切り捨てることがあれば、JRの社会的責任のこともありますし、地元の方でも観光的に必要だと思います。
(答)私は、随分前にあの辺に行ったことがあります。
日本一の鍾乳洞のあるところです。
地形、地質的に非常に困難なところであるらしいのですが、多分、そういうことも影響して断念せざるを得なかったのではないかと、私の記憶を手繰っていくとそういう感じがします。
普通だと、何としても復旧しますよね。
ですから、よほど何かの事情があったのかなという感じはしておりますけれども、いずれにしても、地元にしっかりと丁寧に説明をしてほしいと思っておりますし、JRも直ちに断念というよりも、地元にきちんと説明をして協議をしていくということであると承知しております。

(問)新名神の件ですけれども、凍結をされた当時、猪瀬直樹さんなどは、新名神を作らずにNEXCO中日本の借金返済に充てたり料金を下げるなどを考えたらどうかというお話をされていたと思いますが、そのような選択肢というのは検討はされていないのでしょうか。
(答)それも検討しております。
NEXCO中日本の前回の整備計画を立てるときに、新名神も入れて経営計画を立てているようです。
今御質問にあったように、B/Cの値は非常に高いのです。
あくまでも国交省としては、NEXCOがこれをやりたいと申し出てくれてGOサインを出すことになるわけですけれども、NEXCO自体が経営上、ベネフィットが出るプロジェクトであるというように十分に自信があるから出してくるのだろうと思います。
結果としては、償還計画などにむしろプラスになる判断だろうと思います。

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