大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年3月9日(金) 8:34 ~ 8:46
参・本会議場 中庭側廊下
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

 閣議案件ですが、特に報告することはありません。
私の方から3点御報告いたします。
 まずは、東日本大震災からいよいよ1年が来るわけでございます。
国土交通省の緊急災害対策本部と東日本大震災復興対策本部の合同会議を昨日開催いたしました。
これは特に東北地方整備局と東北運輸局とは、テレビ会談のようなことでつなげて行ったわけです。
これまでの取組を後世に残す記録や今後の復旧・復興の取組をまとめるとともに、大震災を教訓とした防災対策の強化等について議論をいたしました。
今後の復旧・復興の取組については、これからが本番だという認識に立って、被災自治体に対する支援も含めて、国土交通省の総力を挙げて取り組んでまいります。
一方、大震災を教訓とした全国の防災対策の強化については、津波対策以外の分野でも最大クラスの外力を想定した予防対策を講ずることや、陸海空の連携により、人流、物流の広域的なバックアップ体制を構築してまいります。
以上のことについては、後ほど事務方から説明をさせますが、特に重要なことは、喫緊の課題である首都直下型の地震であります。
ここ数日来、報道等されているわけです。ちょっと断層の所が浅くなったということで、震度が大きくなると。
国土交通省に求められる機能を発揮できるように準備をしておく必要があるということで、既にこれは指示しております。
緊急対応計画というべきものを策定していくということで、もう作業に入ったところです。
 次に、災害に強い物流システムの構築ということで、昨年12月に直下型地震などを念頭に、民間の活力を活用して、災害に強い物流システムを構築するための協議会を各ブロックごとに設置して、協議を始めております。
そのとりまとめが既に各ブロックごとにあがりつつあって、今日は関東と近畿でとりまとめを行います。
具体的な内容としては、官民の連携、協力体制の構築や災害時に活用可能な民間の物資拠点のリストアップを行っておりまして、全国で約400箇所くらいが予定として挙がってきております。
国交省としては、とりまとめた内容が各種防災計画等に適切に反映されるよう、内閣府等の関係機関と密接に連携を図り、災害に強い国土・地域づくりに活かしてまいります。
詳細については、本日午後に開催予定の協議会の終了後に記者発表をさせていただきます。
 それから、シールドトンネルの事故が岡山のコンビナートでありました。
同様の事故の再発防止のために、設計・施工に関する安全面など技術的な検討を行うこととして、学識経験者を含めた協議会を設けることといたしました。
詳細は資料を配付しますので、御覧ください。
以上です。

質疑応答

(問)間もなく震災1年ということで、世の中的には政府のスピード感が遅いであるとか、復興がなかなか進まないという声があるのですが、そういった声に対してどのように思われているのかということと、今後そういった声に対してどのようなことを行わなければならないのか、国交省としてどういった事を考えておられるのか教えてください。
(答)一つは災害の復興のスピードが遅いという声についてですが、これはもっともなところがあると思います。
国土交通省的に言えば、直轄については発災直後からスピーディーに万般の対応を行っているつもりです。
やはり何と言っても被災を受けられた方々の地域のまちづくり、コミニティーがもう一度立ち上がってきて、そして未来に向けて希望の持てるまちづくりを行っていかなければならないわけですが、御承知のとおり、これはそう簡単にできるものではありません。
特にまちづくりの段階になってくると、計画のみならず、土地の調整であったり、金融関係等、いろいろな支援措置を講じているわけですが、個人にとっても自治体にとっても初めての経験ですから、それを最も効果的に組み合わせて、どう行ったら良いのかは、やはり相談にのる熟練のまちづくりの専門家等も必要なわけです。
そういった意味ではどうしても時間がかかるということは否めません。
実際には3月5日時点で、全体の約9割、38市町村が復興計画を策定済みだと聞いております。
ここに至るまでも国交省から直接、あるいは各自治体からも派遣していただき、そしてURからも派遣しております。
やはりそういったまちづくりというものは、大きな施設である道路であれ、堤防であれ、港であれ、直轄と関連するところもありますので、直轄事業の実施体制をさらに強化して、できるところから支援を行いますし、被災自治体の復興まちづくり支援については、今申し上げたように、既に行っているわけですから、これを更に強化していきます。
具体的に言うと、地元が一体となったまちづくりの計画案が出てきたら、それをURのようなところにアウトソーシングする。
そういったことも、今、実施をし始めているところです。
とにかく実施体制を万般進めていきたいと思います。
全国から総動員します。
人的支援やアウトソーシング、それから技術的支援としてガイダンスなども作って提示しております。
その他、入札不調問題であったり、労務単価の問題であったり、これらについても既に対応し始めています。
とにかく復旧・復興の事業を促進するように国土交通省をあげて対応していきます。

(問)シールドトンネル事故の協議会なのですが、過去に同様の組織を立ち上げたことがあったのかということと、今回の事故では5人亡くなられておりますが、どういったところを協議会に期待して設置するのかということについてお願いいたします。
(答)私自身、過去のシールド協議会のことについて具体的には知りませんが、私の印象では、そういった大きな事故は無かったと承知しています。
それだけ日本のシールドは非常に実績がある事業です。
ただ、私が個人的に感じるのは、シールド工事は、道路であったり、トンネルであったり、公共の交通施設で行う場合が多いのです。
そういった場合には、かなり厳密な検討と施工の監督が行われているわけですが、今回の場合には、工場内の事業であったという点で、多少懸念は抱いておりました。
そのようなことがあるだけに、ここで技術的な検証をしっかり行い、5人の犠牲者を出しているわけですから、今後二度とこのようなことが起こらないように、しっかり対応させたいと思っております。

(問)先般、首都高が大規模な老朽化対策を打ち出しました。
首都高の老朽化についてのお考えをお願いします。
また、多額の財源が必要となりますが、国交省としての支援などについてのお考えもお願いします。
(答)昭和39年のオリンピックが始まる時には、既に、現在首都高の一番コアになっているところができていました。
最初にできたのが銀座付近だったでしょうか。
私もすごいものができたなあと言って乗ったことを覚えています。
あれから50年近く経過しています。
その間に地震など随分といろいろなことがあったわけですが、大きな事故も無く、ここまで来れたのは、維持・管理がなされてきたからです。
しかし、50年も経過しているわけですから、耐用年数が来ているものも多くあるわけで、いかにこれを更新し、寿命を長らえることができるものは長寿命化して、維持・管理が必要であると思います。
これは首都高のみならず、日本の国のあらゆる社会資本を担っている国土交通省が突きつけられている大きな課題です。
これは、今までの建設を前提としていたあり方を大転換させなければいけないものです。
どのように行っていくかというシステムやファイナンスや人材等の全てです。
また、それをどこが受け持つかということになります。
一つのキーワードは「地域主権」だと思います。
なぜかというと、施設というのは、造ったときには国などの直轄レベルのものは全国一律の基準で行っていたわけですが、それから50年が経ち、それを更新する場合、50年前と地域の構造から、求められる機能まで全然違ってきているはずです。
更にこれから、先を見通して、新たに更新するということになれば、端的に言えば、地方に行けば人口構造なども全く違ってきているはずですから、そのようなことになると地域の構造の変化、ニーズの変化が機能の変化につながります。
そういうことをしっかり受け止めて行おうと思うと、地域主権といいますか、地域の中から大きな受け止めが必要になり、そこにまた官民連携ということも出てくると思います。

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