大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年1月6日(金) 11:29 ~ 11:49
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

皆さん、明けましておめでとうございます。
どうか今年もよろしくお願いいたします。
閣議案件の報告事項は特にありません。
私の方から1点御報告がございます。
来週1月11日(水)から14日(土)までの4日間の日程でインドを訪問いたします。
今後、大規模なインフラ需要が見込まれるインドにおいて、新幹線を始め、国土交通分野における我が国の優れた技術をアピールすべく、高速鉄道セミナーへの出席及びインド政府の関係要人との会談を行う予定であります。
詳細については、事務方にお問い合わせください。
以上です。

質疑応答

(問)八ッ場ダムについてですが、本体工事の予算執行の関係で、総理は官房長官裁定の2項目が予算執行の前提という考えを示しているのですが、大臣の認識はいかがでしょうか。
(答)八ッ場ダムの継続を国交大臣において決定させていただく際に、官房長官の裁定を踏まえて、利根川河川整備計画の策定と生活再建に関する法案の通常国会への提出、この二つが裁定の条件として示されたわけでございまして、これにはしっかりと取り組んでまいります。

(問)その2項目が成立した段階で、予算を執行するということですか。
(答)そういうことになります。
そういう裁定が示されたわけですから。
河川整備基本方針というものは既にできており、その基本方針というものは、かなり先を見据えた方針になっているわけです。
それに対して、粗々の工程や中途段階等含めて、どういう整備計画を練っていくのかということを決めるわけであります。
もちろん今に至るまでもかつては工事実施基本計画というようなものはきちんと作っておりましたし、そういうものにのっとって行ってきて、更に河川法の改正等も含めた上で指針を作り、そして今その中で整備計画というものを練っているわけです。
過去の蓄積等もあるわけです。
したがって、このことをスピードアップして、特に民主党政権になってからの一つの方針である「ダムにたよらない治水のあり方」ということを希求して行っていきたいと思うのです。
それから生活再建の方については、既に昨年末に省内に検討チームと言いますか、体制を立ち上げて、これから始まる通常国会に法案提出する準備を進めております。

(問)本日、政府が消費税率の引き上げを目的とした、社会保障と税の一体改革大綱素案を政府決定しましたけれども、閣僚の一人として受け止めをお願いします。
(答)先ほどの閣議において、社会保障と税の一体改革についての報告がございました。
閣僚懇談会でも非常に有意義な議論がありました。
何と言っても、徹底的な行財政改革、もちろん国会改革を含めて、定員削減といったことをしっかりやっていくということが、たゆまざる改革ということであり、我々はその方向で野党のときから頑張り、政権を委ねていただいてからもその方向を希求しているのだから、そこは更に精力的に取り組んでいくべきだという合意も、閣僚懇談会の中で随分熱心な議論で出ておりました。
私も多少付言させていただきました。

(問)総理は早期実現を目指していますが、野党は対決姿勢を示しています。
それについてどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)日本が日本だけで行っていける時代はとっくに過ぎているわけで、特に今の日本の金融、国債というものは、比較的安定しているということなのですが、それも瞬時にしてどうなるかわからないというのが今の世界の動きです。
ここは総理が言われるように責任ある政治ということで、財政改革等も実現していかなければ、後世代、子や孫の時代というよりも、いつどうなるのかわからないというようなところですから、本当に責任を持って行っていこうという総理の固い信念というものは我々もしっかり受け止めています。
現実に国民に痛みを求めるわけですから。
もちろん、税制改革の中には、低所得者層に対する配慮なども含めて対応してあるわけですが、それ以上に行政改革、無駄な支出を抑えるということも含めて、それから分権改革、そういったことをきちんと行って、たゆまざる改革を進めていくということで、理解を求めることになるのではないかと思っております。

(問)利根川の河川整備計画ですが、いつ頃までに作るという具体的な目標はあるのでしょうか。
(答)なるべくスピードアップしろということを昨年言っております。
どの段階でまとめるのかということは、これから、いろいろな識者のお話を聞かなければならないし、また、いろいろな検証も行っていかなければならないわけです。
先ほど申し上げたように、今回初めて行うのではなく、積み上げが随分あるわけですから、こういった中でなるべくダムに頼らない治水のあり方を希求していきたいと思います。

(問)これまでの長きに渡って議論してきて、なかなかまとまらなかったものをまとめようとすると、何か工夫なりが必要ではないかと思いますが、その他に目標のようなものがあるのでしょうか。
(答)もちろん24年度の予算に、きちんと計上しているわけですから、それが執行できるようなタイミングは当然あります。
整備計画の中身については、オープンに行っていくつもりですから、専門部局の随分優秀な方や学者の先生方など、いろいろな方々の意見を聴いて行ってまいります。
ただし、あくまでも方針としては、3.11の大震災の教訓を踏まえてということが一つあります。
それからダムに頼らないということもあります。
非常に条件は厳しいです。
何度かここで申し上げてて、あまり報道してくれていないようですが、利根川などは徹底的に遊水地を造ってきているのです。
荒川もそうです。皆さん方のわりと近くにあるのですが、河川敷のゴルフ場などは広いところが随分あることは御存知だと思いますが、こういう所は全部遊水地です。
そういうように先人達は努力に努力を積み重ねて行ってきているのです。
その上に我々が、また知恵を出して、そして流域の方々にも理解を頂いて行っていく必要があります。
1点だけ申し上げると、今までの治水のあり方について、私も多少これはいかがかなと思うことは、どうしても流域の住民の安心感を損なってはいけないということがあって、非常に危ないということは一切言わないで、任せておいてくれということで積み上げてきております。
しかし、実態はかなり厳しいのです。
もしも万が一、この首都圏にタイと同じようなことが再現したら、それで日本は沈没です。
日本の国の一番の中枢部が、地震や津波どころか洪水にも弱いではないかということにならないように安全というものをなんとか確保していきたいというのが一つの思いです。

(問)自動車安全特会についてですが、当時の野田財務相と馬淵国交相の覚書については、来年度はゼロ回答しか得られなかったことについてどのようにお考えでしょうか。
野田総理は、「税と社会保障の一体改革で、将来につけを回してばかりでは国民の信頼は得られない。」というように話していますが、この6,000億円の件については、国交省は信頼を得られている対応になっているのでしょうか。
(答)今の御指摘ですが、かって再保険を引き受けていた特別会計があったわけです。
それが平成14年度に解消して、実際には特別会計から一般会計にお貸ししたのが平成6,7年頃だったと思います。
それについてどのように返してもらっているのかという御質問だと思いますが、御承知のように、まだ全額は返してもらっていない状況です。
確か、当時の野田財務大臣、馬淵国交大臣との間で覚書を交わしております。
これは平成30年度までに返すということになっているわけですが、残念ながら、この24年度においては、非常に厳しいこの状況ですから、一部でも返していただくというところには至らなかったということです。
これについては残念なことではありますけれども、30年度までの間には財政等の好転ということもあるでしょうし、そういう中で、何とか覚書通りに実現したいと思っております。

(問)プライマリーバランスの目標を達成するためには、さらに消費税のアップも必要ではないかということも言われている中で、30年度までに6,000億円を返すことができるのでしょうか。
(答)それは粘り強く求めていかなくてはならないと思っております。

(問)道路整備についてお伺いします。
震災後、道路の代替え整備とか完成ということについて改めて見直されて、ミッシングリンクの解消ということが求められていると思うのですが、財源の制約がある中で、具体的にどのような優先順位で、全国の未整備区間を繋いでいくのか、お考えはありますでしょうか。
(答)今御指摘のとおり、予算を決めるときに、正しくそういう基準を作って行ったわけです。
一つはミッシングリンクを繋ぐという意味で、好意的に報道していただいておりますが、実は絞りに絞って行っております。
そして、ミッシングリンクについてもすべての高速道路を完成させるという意味ではなくて、既存のかなり規格の高い国道のバイパスなどがあるところは、それをきちんと使い、その先、どうしても新たにここは高速道路を作らないと繋がらないというところを重点的に行っているわけです。
それから、その重点性ということについては、先ほどの東京首都圏の話と多少関連しますが、外郭環状も実は、数十年間なかなか進まずに来ていました。
これがいかに首都東京、しかも、国際的に国際都市の競合・競争の時代になっているにもかかわらず、基本的な外郭環状が繋がっていないが故に、西の方から来た大きな交通が、都心を抜けて東に行かざるを得ないというようなことでは、首都東京の国際的な競争力が維持できません。
ですから、ここはしっかりと行うぞということで決めました。
もちろん環境問題等、今までできなかった要因があるわけですから、今、技術革新が進んで、大深度地下ということで対応できるという確信を得たものですから、これを行うということで、絞りに絞って行っていることを御理解いただきたいと思います。

(問)利根川の本体工事の着工の件で確認させていただきますが、予算執行の前提は、河川整備計画の策定が前提になるのか、それとも、計画をスピードアップさせつつ、予算執行もしていくということになるのでしょうか、お考えをお願いします。
(答)最終的には、担務の大臣がこの二つの示された官房長官の裁定をきちんと対応できているかどうかを判断して、ということになるかと思います。

(問)来週のインドへの出張について、新幹線の売り込みなど、意気込みなどがあればお願いします。
(答)総理が年末にインドに行かれましたが、その時にも、高速鉄道や高速道路など随分と日本に対して期待があるのです。
これはシン首相が「高速鉄道に関して、日本が到達した水準の高さを良く承知している。
インドとしては、日本との協力の可能性を探っていきたい。」と、総理に対して発言されています。
それから、鉄道大臣が、「インドでは、第12次五カ年計画において、インフラ整備に1兆ドルを支出することとしている。
インドの鉄道を第4世代に持って行きたい。
日本の新幹線に関心があり、日本の安全の経験から学びたい。」というような発言をされています。
今回は、13日にインドで、高速鉄道関係の大きなセミナーがあるということでございまして、そこでプレゼンを行うことが主目的ではございますが、もちろん、関連の海運大臣、鉄道大臣、計画委員会の副委員長、道路交通大臣、都市開発大臣などと個別にお会いして、日本のインフラパッケージということで、お手伝いできることがあれば、大いに一緒に行ってまいりましょう、という話し合いをしてまいりたいと思っております。

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