大臣会見

前田大臣会見要旨

2011年12月9日(金) 9:39 ~ 10:08
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございませんが、一点御報告がございます。
国土交通省の政策参与を昨日付けで3名の方に発令をいたしました。
すでにお手元に資料が配られていると思います。
先月15日に「持続可能で活力ある国土・地域づくり」を行おうということで、この基本方針の策定及び省内体制の整備について御報告させて頂きました。
主に課長の皆さん14人を政策官に任命しております。
それに加えて、昨日お示しした資料の通り、外部有識者3名を政策参与として任命させていただきましたので、御報告申し上げます。
3名の政策参与の役割ですが、若手幹部の課長さん達で、8つの方向について検討チームで検討を始めています。
例えば断熱まちづくりであったり、あるいは国際貢献、タイのケースなどもそうなのですが、そういったチームは、内部の課長さん方ばかりですから、外部の実務者の方々と意見交流することで刺激を与えて欲しいというところがあります。
それぞれ今から御紹介いたしますが、それぞれの分野で非常に経験豊富な視野の広い方々ばかりです。
東北復興の中での具体的なプロジェクトで実行可能なものが出るようにというニュアンスも多少考えております。
3名の方ですが、1人は植村公一さんです。
株式会社インデックスコンサルティング代表取締役社長です。
この方は建築系の方で、建築まちづくり、いわばプロジェクトマネージャーを長年行われてきて海外経験もございます。
プロジェクトマネージャーというものは、意外に日本には少ないのです。
いろいろな分野を連携させてプロジェクトを効率的に、透明性をもって進めていって、マネージメントとして、結果としてコストベネフィットも上げるということです。
次に鈴木大隆さん。
この方は北海道の独立行政法人である北海道立総合研究機構建築研究本部というものが旭川にありますが、北海道の寒冷地において、断熱住宅であったり、断熱建物であったり、そういったもので非常に成果を収めておられて、国交省においても、鈴木さんを中心とする北海道立総合研究機構建築研究本部のいろいろな知見を、今までも取り入れ、相談に乗ってもらっております。
同本部の北方建築研究所環境科学部長です。
もう1人は田中謙司さんです。
この方は東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻の助教です。
なかなか難しい分野のようでございますが、要するに、技術というものはずいぶん進むわけなのですが、実際に社会に適用していく場合、まちづくりであろうと、あるいは防災システムであろうと、いろいろな分野があると思います。
社会システムということになってくると個別の所をいくら行っても限界があって、むしろ社会システム全体の観点からシステム設計を行ってマネジメントを行っていくと、一種の技術革新のようなもので効率的な良いものができるという、このような研究をしている方です。
マッキンゼーなどにもおられたようです。
このお三方に政策参与に加わっていただきます。
さっそく昨日の夜、2時間半にわたって意見交換会を行いました。
今後、こういった方々と政策官との間で意見交換会を設けて、持続可能な地域づくり、国づくり、そしてそれを復興でモデル的にも実現する方向にいけば非常に有り難いと思います。
もちろん12月中に方向の出る日本再生戦略会議に向けて、すでに持続可能な低炭素循環型社会というようなものを、その方向の中に入れておりますから、その具体例を出していきたいと思います。

質疑応答

(問)八ツ場ダムの問題についてですが、昨日、民主党の部門会議で意見がまとまりました。
これに対する大臣のお考えをお願いします。
また、今後、民主党の政務調査会との関わりあいがあると思いますが、それについてどうやって調整を進めていくのか、その二点についてお願いします。
(答)熱心に議論された結果として、しっかり受け止めて参りたいと思います。
この部門会議の部門意見は国土交通部門会議に設置された「八ツ場ダム問題分科会」における6回の会合をはじめ、党において熱心に議論された結果であると認識しており、勿論しっかり受け止めさせていただきたいと思います。
その上で大臣として判断していきたいと思います。

(問)民主党の中では、前原氏が、「国交省からきちんとした回答がない限りは八ツ場ダムの建設は認めない。」というかなり強行ともとれる発言がありましたが、それに対する大臣のお考えをお願いします。
(答)発言内容を確認しているわけではありませんが、前原氏御自身はマニフェストも先導された方ですし、そのような意味で思いを持っているものと思います。
政調でどのようにまとめられたかということについてはまだ正式には受け止めておりませんが、我々の方からも、政府として、政調のご意見を承りたいということで申し込みはしております。
まだ、会談の段取りは整っていないということです。
いずれにせよ予断無き検証を重ねてきて、その最終段階にあるわけです。
その検証のスキームは昨年の9月に有識者会議の中間とりまとめとして最終的にまとめられたものです。
そのスキームをまとめるにあたっては、前原大臣の時に12回くらい有識者会議を重ねて結論を出しているわけです。
その12回のうち11回は前原大臣がスキームの設計にかかわっておられるわけです。
そして委員長をはじめとして、人選をされているということです。
それをバイブルにして、以降の馬淵大臣、大畠大臣もそのスキームに則って行ってきているわけで、私もその結果を大事にして、そのスキームに沿って行ってきております。
そのスキームによると、本省に上がってきたものを有識者会議にかけて御議論いただいてその評価を受け取った上で、最終的には内閣の担務である国土交通省の政務間で議論するということになっております。
最終的に決めるのは大臣ということになります。

(問)先程来の大臣の発言をお聞きしていると、前原氏がスキーム作りに関わっているので、昨日の前原氏の会見での発言は意外だと受け止めていると言うことでしょうか。
(答)今は政調会長であるとともに、党の政治家として、党の執行部の重鎮であります。
従って、行政の担当ではないわけですから、当然政治家としての御意見があって然るべきだと思います。

(問)今後の協議ですが、大臣御自身が政調の責任者である前原氏との間で直接的に会談をもたれるという理解でよろしいでしょうか。
(答)そういう機会があれば出て参りますし、あるいは違う形になるかもしれません。
そのことについては私の方に届いておりません。

(問)この間2回開かれた有識者会議で、委員の先生方から、有識者会議の役割は中間とりまとめの枠組みに則って検証することである。
さはさりながら、例えば斜面の液状化などで安全性に疑問があるのではないかとか、水需要についても過大ではないかという問題提起があったと思います。
事業評価委員会などでも、妥当であると認めたものの、例えば検証の前提となる洪水規模についてはまだまだ説明が足りないという意見もありました。
そういう意味では検証のスキーム以外でもいろいろな問題提起がなされていると思います。
中間とりまとめが金科玉条のようになっているが、例えば震災があったらコストを重視するという中間とりまとめはあり得なかったと思いますが、大臣としてはあくまでも中間とりまとめという考え方を重視するということは震災があってもかわらないと、信念というかそういう思いはかわらないということでしょうか。
(答)ちょっと違いまして、私は震災の結果をどのように受け止めるかということにかなりこだわって事務次官のところにタスクフォースを作っていただいたわけです。
しかし、そこはスキームから外れて行えということではなくて、あくまで私は、中間とりまとめで、検証の行い方、全国83事業について、このような手続きを経て検証していくんだよというスキームを作っていただいたわけですから、そのスキームは大事に守っていきますよということを申し上げているのであって、3・11のことについては、スキームの中でそれをどうこうというよりも、別途事務次官のところで資料を集めていただき、また、幅広く、地震学者であったり火山学者であったり危機管理の専門家であったりそういう方のヒアリングを行っていただいているわけです。
客観性を持たせるために、私は入っていません。
それに応じていろいろな資料を集めていただいているわけです。
大きなダムが崩壊した外国の事例であったり、火山の噴火でどのような可能性があったかどうかとか、そういったことを含めてとりまとめていただいて、それは非常に幅広い見方が入っております。
それを一昨日の有識者会議で俯瞰的に眺めていただいたというわけです。
これはアディショナルで検討のスキーム、アディショナルな有識者会議ということで議論していただいたわけです。
いろいろなコメントが出ておりました。
そのようなことも踏まえて、最終的に私が判断するときの一つの参考にはなるなと、こう思っております。

(問)年内に大臣が判断するということは来年度予算にということだと思いますが、これは歴代の国交相の方がおっしゃってきた期限約束ということがあるので、大臣もある程度縛られているということになるかと思います。
事業評価委員会から有識者会議と、スピーディーに行ってきたと思いますが、かなり議論が消化し切れていないのかなという印象も受けますが、年内に判断という大臣の判断はかわらないのでしょうか。
(答)これは先代、先々代の大臣以降、ずっと公約になっておりますから。
約束になっておりますからこれは守りたいと思っております。

(問)明確な説明という意味で、昨日の意見書には4つの意見がありましたが、意見として読んでいると、分科会の議論を勘案して対応されることを望むという意見は、後ろについている発言内容などにも当然何らかの説明を求められたという認識なのでしょうか。
(答)まだ正式に私どもの所に提出されていないのですが、そのようにお聞きはしておりますので、誠実に答えていくということで対応させていただきます。

(問)事務局にそのような指示をされているということでしょうか。
(答)もちろんそのようにしております。

(問)有識者会議の件ですが、二回目の有識者会議では3・11のことについて話し合われたのですが、総じて言うと、ダムの重要性を否定するような意見は有識者からは出されなかったと私は認識しておりますが、大臣の受け止めはいかがでしょうか。
(答)私もそのように感じました。
特に、ダムの計画論としてどういう位置づけになっていて、構造計算がどうだ、治水がどうだ、利水がどうだということは既に検討の場で行っており、また、事業評価監視委員会で継続妥当であると出てきたものを10月1日の有識者会議でかなり読み込んだ上で既に評価をされていますので。
一昨日の会議は、そこからちょっと離れて、それぞれの有識者、非常に見識の高い先生方が、しかもあの先生方はタスクフォースの、事務次官がまとめてくれた資料を読み込んでおられて非常に深い場におられたと思うのですが、そこでの御意見になっていて、なるほどなという見方、観点、社会科学系の先生方も何人かおられましたし、そういう意味では非常に私には参考になりました。

(問)そうすると、前原氏は明確な回答を求めているわけですが、その回答というのは大臣がされるものと思いますが、二回目の有識者会議の会合を踏まえた上で回答されるということでしょうか。
(答)というよりも、正確な疑問点だとかクエスチョンがまだ届いていませんが、内々に取ったところについて、回答を用意するように事務局には言ってあります。
そのクエスチョンの中に、一昨日のどうのこうのというのはたぶんないと思いますので。
ですが、私が何らかの議論をする場合には当然、私の頭のどこかにはそういったご意見、非常に御示唆に富んだものは入っていると思います。

(問)今の段階では、建設を継続する立場から回答するという風には言えないのでしょうか。
(答)今の段階では、党の御意見を承った上で御議論をさせていただいて、その上で最終的に決めるわけですから、その最終段階ということです。

(問)整備新幹線の関係ですが、大臣は、かねがね9合目というふうにおっしゃっているのですが、一方で、税と社会保障の関係で、増税とか議論されている中で、なぜ今新幹線なのかというような意見があると思うのですが、大臣の考えをお願いします。
(答)これはあまり詳しくは申し上げられませんが、財務当局とも話を付けて、あまり税の上で御迷惑を掛けるような財政措置にはならないのです。
そのスキームは、おわかりでしょう。
そういうことにおいて、今御指摘のようなことにはならないと思います。

(問)国民から見たら、その辺はよくわからないと思います。
なぜ今、新幹線の新規着工が必要と大臣自身が考えられているのかをお願いします。
(答)これは多少3.11のこともあります。
やはりなるべく繋げるということ、そして、どちらかというと、日本海側の軸がまだまだ弱いわけですから、そちらの方で強化できるものは強化したいと。
しかもB/C等、五つの条件でしっかり分析をし、評価をしてきた結果、そういうものをほぼクリアできるところまで来ていると聞いておりますし、いよいよ党内で最終場面の議論もしていただいていると思いますので、その結果を待って判断したいと思います。

(問)昨日、前原政調会長は、八ッ場ダムについて子ども手当などと同じように、マニフェストに書かれたものなので、行政機関だけで決めるのではなく党も巻き込んで決めるべきだとおっしゃっていましたが、その辺についての大臣の御認識はいかがでしょうか。
(答)子ども手当というものはこれから初めて行う制度です。
しかも次の世代の方々のために、民主党にとっては本当に一丁目一番地のようなものです。
人間を大切に、しかも将来の世代に、あるいは働き方のあり方までに及ぶような、そして社会で子どもを育てるということです。
それに対して、今回の八ッ場ダムのことについてはある特定の流域、利根川流域は首都圏の流域です。
その流域について、長年議論して、そして既に流域の自治体とも協議の上、合意を得て、法律に基づき着工して既に何十年か経って、それこそ9割方完成に近づいている事業ですから、それと新たな政策とはちょっと同じに考えることはいかがかなと。
しかもこれは特定の流域ですから。
ここにおられる皆様方は御存じかどうかわかりませんが、利根川流域は淀川とは全く違うのです。
要するに、武蔵野台地以外は住める所ではなかった。
利根川が乱流して、荒川も、あるいは渡良瀬川も思川も全部関東平野に流れて、そして江戸湾に注いでいたわけですから。
それを家康入府以来、東に東に追いやって、人が住めるようにして、そしてここまで千何百万人の発展をしてきたわけで、かなり無理をしている流域なのです。
やはり日本の大中心なのですから、安心というよりは、安全にまで到達するには、施設ができあがって機能を評価して初めて安全だと言えるわけですが、施設ができるまではこういうものができれば安心だなという、できるまでは安心感なのだろうと思いますが、これは非常にこの流域にお住まいの方々、そして日本国にとっては、非常に重要な安心、安全施設です。
タイのバンコク、あそこは関東よりももっと大きな平野部ですから、激力をもって洪水がきたわけです。
それでも浸水していって、多大な被害を与えております。
この利根川流域は、日本一の広い平野だとはいえ、やはり激力をもっていつ洪水で破堤したり、あるいは浅間が爆発するなどいろいろ重なることがあり得るわけです。
そういう意味では、安心ということは私は非常に重要なのだろうと思っています。

(問)新幹線の件ですが、前回、着工認可を行った時は、まだ自民党政権で、そのときは政府・与党で会議が開かれて、申し合わせという形を採られていたと思うのですが、今回も同じように政府と与党で最後に会議のようなものをもたれて、申し合わせるような形になるのでしょうか。
(答)最終的にはそういうことになると思いますけれども、今は党の方のコア会議がもたれているというふうに聞いております。
コア会議というものは、党と政府が決める一歩手前の所ではないでしょうか。

ページの先頭に戻る