大臣会見

前田大臣会見要旨

2011年12月6日(火) 10:35 ~ 10:56
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、私の方から特に申し上げることはありません。

質疑応答

(問)昨日、関空と伊丹の経営統合に向けた新会社の設立委員会の初会合が開催されましたが、新会社に対する大臣の期待などと、会議では経営トップに民間人を起用すべきという意見が多かったようですが、大臣のお考えをお願いします。
(答)関西国際空港については、収益性の良い大阪国際空港と経営統合をして、民間的手法に基づく経営を進めて、我が国の国際拠点空港としての再生強化を図っていきたいということが基本です。
私自身も関空の奈良県側で、金剛山を越えたところに五條というところがあるのですが、そこは私の実家があるところでございまして、政治家を志した頃から関西国際空港に対して非常に大きな期待を持っておりました。
経営を統合化して本当に関西の発展の、特に国際展開という意味では、やはり日本の中でアジアに一番近い大きな拠点になるわけですから、大きな期待を持っております。
民間の手法という意味でそのようなご意見が出たということは当然のことでございまして、是非、経営手腕に優れた方が選ばれて、すばらしい経営を行って欲しいと思います。
ただ、そこに至るまでにはいくつかのステップがあるわけですから、今の段階ではあまり確定的なことを言うわけには参りません。

(問)八ッ場ダムの有識者会議が明日開かれますが、有識者会議の結論については、大臣の判断にどのように影響するのでしょうか。
(答)前原大臣の時に中間とりまとめという形で、検証のあり方、そういったスキームを作って下さったわけです。
技術的な内容、あるいは、八ッ場ダムという治水利水の施設の中身の合理性であったり、代替案との比較であったり、そのようなことを関東地方整備局に設置された、検討の場で積み重ねて来て、そこには一都五県の自治体も入って継続妥当という結論が出て、しかも、事業評価監視委員会というものがありまして、これは必置義務で各地方整備局に設置され、部外の方々が入っているわけですが、そこでも現地の視察を行っていただいたし、二度ほど学者の意見も聞かれました。
これは全部関東地方整備局においてですが、その結果として、検討の場のプロセス、方法、比較検討は全て瑕疵はないということで結論付けて本省にあがってきました。12月1日に有識者会議を開いて、本省にあがってきた関東地整の結果について、いろいろな角度から御議論していただいたわけです。
私も同席させていただきましたが、非常に幅広い観点をお持ちの有識者の先生方でありましたから示唆に富む話が随分ありました。
結論的には、検討の場の結果というものが妥当であると認められたわけです。
このプロセスで一応、前原前大臣の時に作っていただいた中間とりまとめによる検証の進め方、スキームに則っての手続は終えたわけです。
したがって、そのスキームによれば、八ッ場ダムの建設を続けて行うことが妥当であると、他の案に比べても治水、利水の面で妥当であるし、地質の面等いろいろな指摘も踏まえた上で、有識者会議の御議論の中では、何度も申し上げておりますが、これが妥当であるという御意見でした。
明日行っていただくことは、事務次官を長として設置したタスクフォースから説明を受け、3.11東日本大震災の、未曾有と言うか、想像を絶する自然の猛威というものがあり得るわけで、「災害に上限は無い」、あるいは「人間の命が第一」という、そういった観点の教訓を踏まえて、どんな事態を想定するかというよりも、やはりいろいろな立場の専門家、いろいろな分野の専門家の御意見をお聞きするものです。
そしてまた資料なども今まで何十年間の蓄積があるので、資料の見方ということも、そういう幅広い方々の見方に応じて活かされるわけでありまして、そういう資料、調査の結果、あるいはいろいろな立場の専門家の含蓄に富んだ御意見等をまとめていただきたいと思っています。
そこには恣意的なものは一切入っていないのです。
ある程度、見やすく要約していただいた資料を提供するわけです。
有識者会議の先生方がこれを俯瞰的に見ていただいて、多分非常に深い、幅広い御意見が出てくるだろうと期待をしています。
八ッ場ダムが妥当であるというプロセスは既に済んでいますから、今度の有識者会議では、500年に一度だとか、千年に一度だとか、あるいは万一の時にはどのような危機管理の体制があり得るのか、いろいろな御意見を聞かせていただけるものと思うのです。
そういうことを踏まえて、最終的に私が、政務の方々と一緒に議論をした上で判断をすると、こういうことになります。

(問)これまで長く検証のプロセスを、スキームに則って行ってきて、さらに3.11を踏まえた検証もされるということで、それは大臣としても重く受け止めるということでしょうか。
(答)検証のプロセスということは、あくまでも中間とりまとめにまとめていただいたスキームで行っておりますから、12月1日の有識者会議で完了しているわけです。
むしろ私が判断する時に、手続がきちんとなされているし、有識者会議においてもこれは継続妥当であるという結論が出たから、私がそのままということではなしに、それに加えて、やはり3.11のあの結果というものをどのように受け止めるかを、行政の長であると同時に、やはり政治家として考えた上で判断したいと思うのです。
必ずしも、数量的な合理性ということだけではあり得ないと思っているものですから。
そうなると、明日の有識者会議において俯瞰的に見ていただいて、いろいろなコメントを付けていただけると、それを私は期待しております。
あくまでも最終的には行政の長に加えて、政治家として、今の国交省の現状の中で、私はよく言っているのですが、要するに国交省の良心をかけて判断したいと思っております。
そこに、そういったコメントなどが私の頭の中にいろいろな影響を与え得るとは思います。
しかし、結果をどうこうと、ここに期待しているわけではありません。

(問)現在、国会などで、一川防衛大臣の進退をめぐる議論がさかんに行われていますが、大臣はこの問題をどのようにとらえていますでしょうか。
(答)一川防衛大臣の出処進退について、コメントする立場にはないので、控えさせていただきたいと思います。
なかなか意が伝わらないということがあるのです。
私は一川さんをよく知っている親しい友人なのですが、性格は朴訥ですし、行政経験なども非常に広く深く行っておられます。
御批判を受けておられるようですが、なかなか御自身の持っているすばらしさや、一所懸命取り組んでおられることが伝わらないものなのだなと、逆に言えば私自身も、しっかりと、緊張して行っていかなければならないと思っております。

(問)地元が撤去を進めている県営荒瀬ダムについて、昨日、九州地方整備局が撤去の許可書を県に交付しました。
全国初のダム撤去ということなのですが、依然として県は資金不足を抱えていて、国に支援を要請しています。
大臣は就任時に国交大臣の許可を得て運営をしてきたので、そういった意味の責任は大きいということで、財政支援に前向きなことをおしゃっていましたけれども、その後省内で財政支援に向けたどのような議論が進んでいるのか、工事は来年度から始まるのですが、来年度の予算で何らかの検討をされているのかお聞かせください。
(答)施設そのものは、いわゆる許可工作物と言われる物であって、国交大臣の許可を得て熊本県が設置した物ですから、そういった意味では一義的には熊本県の施設であり、熊本県に撤去も含めた施設管理の責任があるという建前になっております。
ただし、今言われたような事がありますし、中間取りまとめのスキームにより、予断なく検証していくということで、既に19ダム位の検証がなされているのでしょうか、そのうちの6つ位が停止ということになったと思いますが、このダムなどは実際に施設を撤去するという初めてのケースになると思いますので、国と熊本県が協力して、その対応のための検討会議的なものを設置して進めていくということになっております。

(問)来年度に工事着工するのですが、来年度の予算措置について何か検討されている事はありますでしょうか。
(答)そこまでは深く承知しておりませんが、検討会議が設置されたという事までは承知しております。

(問)八ッ場の関係で改めて確認したいのですが、八ッ場の最終決定は、やはり年内に出されるおつもりでしょうか。
(答)私はそのように思っております。

(問)民主党の意向、判断は、大臣の判断に関わってくるのでしょうか。
(答)私は、党の判断についてどうこういう立場にはありませんが、あくまでもそのスキームに則っていくと、大臣において判断するということになっているので。党は党としての見方というものが当然あるわけです。
そういうことも受け止めた上で判断するのが大臣だと思っております。

(問)再検証を行った最終的な結果次第では、マニフェストの建設中止という方針が覆ることもあるというご認識なのでしょうか。
(答)予断なき検証を踏まえた上で最終的に判断するわけですから、それで全てが尽きていると思います。

(問)本日、一部の報道で、八ッ場ダムのパブリックコメントについて埼玉県議会の議員連盟が動員をかけたという報道がありましたが、それが事実であれば、パブリックコメントの趣旨を踏みにじることに繋がりかねないことだと思います。
今後、この件について調査を行う予定などはありますでしょうか。
(答)パブリックコメント自体は、今言われたようなことを恣意的に行うこと自体が、今のパブリックコメントのスキームからすると少しずれてしまうところがあって難しいところなのですが、この件については、あくまでも透明性を持って、どういうパブリックコメントが来ているかということが分かった段階で全部オープンにしておりまして、結果的には報道されているようなことがあったのかもしれませんが、それについて国交省として調査をするとかという立場ではありません。
パブリックコメントそのものについては、全くオープンにしており、また学者の方々の御意見も聞いておりますし、そういう意味では、今の段階ではしっかりと行ったと思っております。

(問)パブリックコメントもスキームの中の一連のものであるということですが、そのスキームの流れに基づいて、パブリックコメントの内容も考慮して結論が出てきているわけですが、そこに問題があることが今分かったのだから、遡ってそのスキームのやり直しをしなければ、スキーム自体に問題があるということにならないのでしょうか。
(答)パブリックコメント自体に問題があったとは思っておりません。

(問)ただ、報道でそのような指摘がされているわけです。
その途中に問題があったわけですからそこに問題があるかどうかを確認しなければ、スキームそのものが崩壊してしまうわけです。
それに基づいて結論が出ているのに、途中に問題があれば、それから導き出された結論は正しいのかという議論になりませんか。
(答)論理としては理解しますが、パブリックコメントの結果だけで決めているわけではありません。

(問)それだけではないですが、今まで100%全てを尽くして結論を出すとおっしゃっていたはずです。
(答)そのパブリックコメントの件で、ある埼玉県の推進派議員の方々だと報道されておりますが、そういう方々がパブリックコメントにおいて、そういう御意見を多くの方々と一緒に出したとすると、今のパブリックコメントは全てオープンで、出された意見は全て受け止めます、拒否はしませんというスキームになっているわけですから、そういう意味でのパブリックコメントのスキームとしては間違いはないと思います。

(問)パブリックコメントの方法はそうですが、その内容を参考にして今までの結論を出しているのではないのですか。
(答)数でどうこうということではありません。
数は全く関係ありません。
あくまでも中身の話です。

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