大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年5月31日(火) 9:43 ~ 10:17
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
閣議関係では特にございませんが、最近の状況の中で二つ御報告を申し上げます。
一つは、昨日の委員会でも報告をさせていただきましたが、仮設住宅の進捗状況について、今日は5月31日でございますから、一つのけじめとして報告をさせていただきます。
本日の完成分を含めた本日時点で、仮設住宅は2万7千2百戸となる見込みであります。
この内数は、現在3万7千戸が着工されまして、そのうちの2万5千4百戸が完成し、建築工事が終了したものを含めると2万7千2百戸ということでございます。
私としては5月31日までに3万戸の建設を完了させようと努力していたところですが、大変申し訳なく思いますが、2千8百戸ほど足りないという状況でございます。
この背景でございますが、昨日も委員会で御指摘を賜りましたが、私としては5月2日の時点で3万戸を超して発注することができましたので、1か月くらいあればおおよそ完成するのではないかと考えて、5月31日までには3万戸を突破するのではないかと思っていました。
最初に発注した所は平地でございましたけれども、徐々に土地の確保が難しいということで、土地の造成にかなり時間がかかるという場所まで含めて、5月2日時点での3万戸の発注ということでありました。
非常に建設が難しい土地まで入っているということで、土地の造成にかなりの時間を要して、結果的には、避難所での生活をされている方々にとっては大変申し訳なく思いますが、本日時点で3万戸建設することが出来なくなっているところでございます。
およそ1週間程度でこの3万戸は完了すると思います。もう一つ私としては、昨日、自由民主党の長島議員からも御指摘いただきましたが、避難所生活をされている方々が1日も早く避難所での生活をしなくても済む状況にしていただくことが大変大事だと。したがって、総理が一つの目標として示されましたように、お盆頃までには希望者の方が全員仮設住宅に入れるようにということで、4月ころに5月末までの完成見込みを市町村別で明らかにしたところですが、次は6月、7月を含めて、すべての仮設住宅をどのような形で市町村別に完成させるのかという見込みの表を作りまして、それを市町村に示し、避難所の方々に、お仕事がある方は避難所からお仕事に行かれる方がおられるわけでありますが、自分はいつ位にはここにできる仮設住宅に入れるということを明らかにして、高齢者の方には、仮設住宅にはいつころ入れるという権利を担保した上で、その間は温泉地等の旅館などでお過ごしいただくということができないかということで、今事務方に話をして、実現に向け努力をしていただいているところです。
いずれにしても、昨日の委員会でもありましたが、避難所において熱中症で体調を悪くされるような方が出ないようにということで私も取り組んでまいりたいと思います。
 もう一つの御報告でありますが、国際バルク戦略港湾の選定結果についてでございます。
これについては、皆さんにも国際バルク戦略港湾の選定結果について、という資料をお渡ししていると思いますが、次のような結果になりました。
5月26日に行われました第15回国際バルク戦略港湾検討委員会のとりまとめを踏まえ、昨日の政務三役会議におきまして、国際バルク戦略港湾の選定について審議を行い、選定港湾を決定いたしましたので発表をさせていただきます。
穀物については、全国の主要な輸入港25港のうち6者7港から応募があり、このうち「鹿島港」、「名古屋港」、「志布志港」、「水島港」、「釧路港」の5者5港を選定いたしました。それから鉄鉱石でありますが、全国の主要な輸入港13港のうち3者4港から応募があり、「木更津港」、「水島港・福山港」の2者3港を選定したところであります。
それから石炭でありますが、全国の主要な輸入港38港のうち3者4港から応募があり、このうち「徳山下松港・宇部港」、「小名浜港」の2者3港を選定致しました。結果として、穀物、鉄鉱石、石炭の3品目を取り扱う全国の主要な港55港のうち、9者10港に「選択と集中」を行うことを決定したところであります。
なお、穀物に応募のあった「清水港・田子の浦港」につきましては、次世代大型船舶による名古屋港をファーストポートとして、これと連携しつつ対応を図ることとする旨、コメントを付することとしました。清水港・田子の浦港も大変大事な港でありますから、名古屋港を中核として、次世代の大型船舶についてもバックアップするような形で位置付けたいということでコメントを付したところであります。今回選定された港湾におきましては、概ね3か月以内を目途として、国際バルク戦略港湾育成プログラムをまとめていただくことといたしました。
育成プログラムは、港湾管理者が提案に関わる企業と協働し策定していただくこととしております。計画の具体化に向けて、港湾管理者、地元関係者が一丸となって集中的に取り組んでいただくことを期待しているところでございます。
それから、国際バルク戦略港湾検討委員会において、目標達成年次の2020年まで、計画の達成状況をモニタリングしていただきたいと考えているところであります。
以上を持ちまして、国際バルク戦略港湾の選定作業は一応の区切りとなりますが、バルク貨物輸送に関する国際競争力強化への取り組みは、まさにスタート台に立ったところでありまして、選定された港湾の関係者の皆さんには、国際的な大競争時代に入っておりますが、これを契機として、力を入れて、十分な体制を築くように取り組んでいただきたいと考えております。
国土交通省としても、関係者の皆さんと力を合わせて、国際社会の中で十分な拠点港として整備されるように取り組んでまいりたいと思います。
以上2点、御報告を申し上げました。

質疑応答

(問)バルク港湾についてなのですが、結果的には、絞り込みというわりにはそれほど絞り込みをしていないようにも見えるのですけれども、選定に当たっての基本的な考え方として、何故この選ばれた港湾になったのかということと、鹿島や小名浜が震災で被災していますけれども、ここに対する予算は今後重点化されていくと思いますが、どのような形を前提に重点化を図っていくのかということを含めてお願いします。
(答)一つ目の御質問ですが、委員の皆さんがいろいろ努力をしていただいて、皆さんのお手元にも成績表という資料がお配りされていると思います。
一度全体的な整理をして絞り込んだ後に最終的な絞り込みということで、当初、76港くらいが国際バルク戦略港湾でありましたが、そこから絞りまして、今回の対象になったのは15港、ですから76港から15港に絞って、その15港の内から今回10港に絞ったということですから、私としてはかなり選択と集中という形になったのではないかと思います。
今後どういう形で進めていくかということでありますが、確かに今回選定されました港の中には、今回の大震災の津波等で被災したところも入っております。
そういう意味では、小名浜港、あるいは鹿島港等が被害を受けているわけでありますが、大震災の復旧・復興計画に基づいてこの2つの港についても復旧を急いでいきたいと思いますし、更には選定された港についても、言ってみれば学校の入学試験にパスしたわけでありますので、それから勉強してもらわなければいけませんから、これから大いに世界の港というものを手本にしながらブラッシュアップしていただいて、まさに選択と集中という対象になった港として整えることができるように努力していきたいと思います。
港の育成については、今後、国土交通省としても力を入れて応援をしていきたいと思いますし、韓国や中国などは既に先を行っているわけでありますので、それを意識しながら育成していきたいとそう考えているところであります。

(問)被災地でこれから大雨が心配されるところでありますが、土砂災害や高潮等への対応についてお願いします。
(答)一昨日くらいから悪天候が続き、東北地方に大雨が降りまして、私も映像等を見て心配をしている課題でございます。
今朝もこの課題について担当局とも話をしたところでありますが、応急的な対策はピッチを上げて行っておりますし、暴風雨や台風の襲来というには少し早い状況なので、こちらも慌てているところでありますが、こちらの応急対策が進まないために二次災害的な形で被災することがないように、国土交通省としても全力を挙げて防災対策を進めたいと思います。
かなりの対象箇所になっておりますのでなかなか難しいところもあるのですが、3月11日以降、道路、鉄道、港湾、空港の復旧工事を行ってまいりましたけれども、それと同じようなテンポで、河川関係、あるいは海岸の防御など、地元自治体の方々の協力を求めながら適切な形で対応が取れるように全力を挙げたいと考えているところであります。

(問)北海道JR石勝線で特急の脱線事故がありましたが、事故に対する大臣の受け止めと、再発防止策ですけれども、国土交通省として検討委員会を設置するという話がありましたが、それ以外で何か現時点でお考えのことがあればお聞かせください。
(答)このことにつきましては、乗客の皆様に大変申し訳なく思います。
私は2つあると思うのですが、今朝もマスコミの情報を聞いておりましたら、これと似通った原因の事故が過去にも何回か見受けられたということで、事故を起こした車両について、専門家の方々に集まっていただいて事故再発防止対策協議会というのを設置していただきまして、この中でなぜあのような事故が起こったのかということについては、機械的なことも含めて、全て洗い直していただきたいと思います。
もう1つは、事故があった車両から乗客をどのような形で安全に誘導するのかということについて、国土交通省としても、JRに対してどのような手順で行ったのかと、ここについては乗客の皆様のお話等々が入ってきておりますけれども、何か安全対策として不適切な部分があったのではないかという認識も持っておりますので、JR北海道に対して、車内の事故対応時の手順書といいますか、マニュアルみたいなものをもう一度見直すことが必要ではないかと私は感じておりますので、事故原因究明と非常時の事故対応マニュアルの2つの見直しが必要だと思います。
なお、鉄道局から既に通知が出ておりますが、同じような動力伝達装置を持つ車両については点検を命じているところでございます。
したがって今回の事故で、乗客の皆様には非常に大変な思いをさせてしまい申し訳なく思いますが、国土交通省としては二度とこのような形でお客様を危険にさらすことがないような対応を取るように全力を挙げたいと考えております。

(問)バルクで2点お伺いしたいのですが、1点目は成績表で1,000点満点で5割を切っているところまで選んでいるというのは、沢山取り過ぎではないかなと思うのですが、改めてその点についてどういう考えでこれだけ沢山取ったのかということ、コンテナの戦略港湾を決められたときは、対前年比で2倍程度の潤沢な予算を付けたような覚えがあるのですが、バルクに関してはどのような予算どりをしていくお考えなのか教えてください。
(答)まず点数の方でございますが、穀物、鉄鉱石、石炭とも、今5割という話がありましたが、学校でも今は大体60点で可、70点で良、80点以上は優になります。したがって学校の優良可で言えば、60点以下のものについては不可で500点というものはないと思います。
大体600点以上しか選んでいないと思います。
そういう観点で行っておりますので、これは1,000点満点でございますが、100点満点というふうに見れば、大体60点以上のところが選ばれたということでありますから、おおよそ理解はできるかなと思います。
バルクについては、日本国内で言えば石炭ですとか穀物が非常に多いわけですが、石炭で言えば、火力発電所用の石炭が多いのではないかと思いますし、穀物で言えば、飼料関係が非常に多いです。国内の流通との関係もありますから、その整備については、国土交通省としてもしっかり行っていきたいと思います。
特に今年の夏のピーク電力をどうカバーするかという意味では、火力発電所が非常に大事な役割を果たしていただけるものと思いますので、十分な体制を採りたいと思いますし、また、日本の酪農や畜産関係でも飼料というのは非常に大事ですから、国土交通省としてもしっかりとサポートとしていきたいと考えているところであります。

(問)内閣不信任案ですが、与党内にも同調する動きがあるや無しやと伝えられておりまして、この点についての大臣の御所見をお聞かせいただきたいのですが。
(答)これは国土交通省の範疇の仕事ではありませんから、特にここでコメントすることは控えさせていただきたいと思います。
それでなくても、仮設住宅も造らなければならないですし、いろいろたくさん案件がございますので、また個別にあればお話しますが、また別の機会にさせていただきたいと思います。

(問)バルク港湾のことで伺いたいのですが、「清水港・田子の浦港」、両港の位置付けについてもう少し説明を頂きたいことと、この両港については予算措置はされるのか、教えてください。
(答)この記者会見の中で付言させていただきましたけれども、穀物に応募のあった「清水港・田子の浦港」につきましては、次世代大型船舶について名古屋港をサポートする形の位置付け、言ってみますと、兄弟分という位置付けです。ここも大変大事な役割を果たしています。今回の大震災のときにも、清水港と田子の浦港から陸揚げして震災の所に支援物資等も運んだということもありますし、私としては、三つの拠点が連携しながら、名古屋港を中心として、日本の拠点の港となるよう支援したいと思っているところです。
予算を伴わない支援というのはなかなか考えにくいわけですから、予算等も考えていきたいと思います。

(問)バルクで確認なのですが、採点の考え方はわかったのですが、港の数を全部で10港も選んでいるということは、アジアを代表する港を選ぶという趣旨からすると、10という数は多すぎるのではないかという指摘はあってしかるべきだと思うのですが、これについてはどうお考えですか。
(答)今回、穀物、鉄鉱石、石炭、それぞれの分野で、穀物については五つの港、鉄鉱石では三つ、石炭では三つと。こういう意味では、それぞれ分野が異なりますから、私としてはおおよそ三つ程度選んだという位置付けです。
石炭もそうでありますし、鉄鉱石もそうでありますし、穀物もそうでありますが、おおよそ三つから五つと、だいたい三つをベースとして選んで、穀物については、いくつかの地域がありますから、それで五つ選んだということで理解いただきたいと思います。

(問)国交省としては、バルク戦略港湾に指定して、どのような港を造ろうとなさっているのか。中国、韓国に追いつけとなると、かなり大きな投資をして、かなり大きな工事が必要になるかと思うのですが、今、大臣が選んだ今回の港に対して、どういう投資をどのくらいの規模で行おうとしているのでしょうか。
(答)もちろん日本国内サイズで考えたのでは国際港湾になりませんから、ターゲットは中国、韓国です。それと同等の港を造ることが必要だと思います。
特に、以前申し上げたと思うのですが、かつてはアジア地域の経済力が強い国というのは日本でした。したがって、日本の港がアジアで一番優れていたと言いますか、巨大な港が日本にあったのですが、いつのまにか中国と韓国に日本を上回る巨大な使い勝手の良い港ができてしまったというわけです。
そういう意味では、日本の自分達の国の内部だけでものを考えるのではなくて、国際的な港湾というのはどういう状況にあるのかということを強く意識して、もう一度アジアでナンバーワンの港を目指すと、日本にまず立ち寄って、そこからアジアに向かうというような形になることが目標だと私は受け止めています。

(問)それに向けてどういった投資をして行こうと考えていますか。10港もあると、それぞれアジアで拠点港となるような港湾整備が可能なのでしょうか。
(答)10港という話でありますが、穀物、鉄鉱石、石炭とありまして、この中でそれぞれ先ほど申し上げたように、石炭は3港ですし、鉄鉱石も3港、穀物は5港です。
当然ながらこの中から国際的に競争力を高めなければならないということですから、この中で平等に行うということにはならないと思います。
やはり、ある程度、濃淡を付けながら、中国、韓国に対抗しうる港を築いていくということは大事だと思います。
私としては、10港すべて平等に支援ということではなくて、この中でも濃淡を付けてやっていくことが必要だと思います。

(問)来年度の予算措置はどういったことを念頭に置いていらっしゃるのでしょうか。
(答)念頭に置くのは、中国、韓国です。私も国土交通大臣になって、日本の港がアジアで一番優れているのではないかと思いましたが、いつのまにか韓国や中国の方が性能的に優秀になりました。
造船技術も進んだことも事実だと思うのです。
巨大なタンカーなど貨物船が造れるような時代になったのです。
中東の方でも巨大な船を国際的にどう受け入れるかということで、それに合わせた形で整備も始まっておりますので、そういう意味では、巨大な船という時代の流れを受けて、日本でもそれを受け入れるような港を造るということを当然ながら考えていかなければならないと思います。

(問)その関連で、例えば、瀬戸内のように、鉄鉱石の一番大きいVLOC船がそもそも入らないような計画をあげててもいけますよというのは、ちょっと趣旨がやはり違うのかなという気もするのですが、その辺は広く国交省としては認めてあげようという考えがあったのでしょうか。
(答)日本は非常に細長い国でありますから、やはり地域、地域で、そのことも考えていかなければならないし、穀物、鉄鉱石、石炭ともパナマックスとかケープサイズなど、そういう所のサイズに合わせて、大きな船ができ始めております。
岸壁の水深などもケープサイズの船だと19メートルの水深が必要と、これが2020年になってくると、今度は23メートルの水深が必要という、そういう世界の流れがあるわけです。
ですから、そういうことも見ながら行わなければならないのですが、今の御指摘については、やはり自然の状況というものもありますから、その自然の状況の中で、最大限活かせるような形で対応していくことが必要かなと、私は今の時点ではそう思います。
改めてよく調べてみたいと思います。

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