大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年4月8日(金) 11:16 ~ 11:45
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

それでは、閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
閣議の中での課題ということは特にございませんが、冒頭、私の方から3点、皆様方に御報告を申し上げます。
 まず、最初に、昨日の深夜でございますけれども、午後11時32分に発生した地震についてでございます。
これについては、国土交通省としては、深夜でありますが0時30分に国土交通省の災害対策本部、これは事務次官を中心とする事務方の会議でございますが、この会議を行い、実情の把握に努めました。
今朝から、防災ヘリ2機を飛ばしまして、被害状況の調査を実施したところであります。
状況については、まず、道路関係でありますが、高速道路5路線、補助国道5、地方道16の区間での通行止めが実施されております。
岩手県、宮城県、山形県内の道路では、路面の段差等により一部通行止めもいたしております。
それから鉄道についてでありますが、東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線も安全を確認するために、運転を見合わせということであります。
JRの在来線についてでありますが、東北地区を中心として、主な原因は、路線の損傷ではなく、東北電力の電力が今ダウンしておりますので、そういうことから運行を見合わせているということで、同時に、安全の点検も実施しているということでございます。
空港については、いずれの空港も、運航に差し支えはないということであります。
それから、フェリー等も運航中、河川については12箇所でのクラック等が発生しておりますが、今回の東日本大震災の対応等々で行っていると、こういう状況であります。
港湾、バス、海岸、砂防、下水道については、現在調査中でございますが、特に大きな破損等の報告は現段階では入ってきておりません。
これがまず第1点の御報告であります。
 それから、2点目でございますが、仙台空港の民航機の就航再開についてでございます。
この仙台空港は、皆さんもよく御存じの通り、大変大きな被害を受けました。
この仙台空港復旧作業を進めてきたところでありますが、民航機の就航のための当面必要な設備の準備が整ったということで、4月13日、来週の水曜日より、仙台空港の民航機の就航を再開することといたしました。
就航路線のダイヤ等につきましては、別途事務方から聞いていただきたいと思いますし、各航空会社からも発表されると思いますが、就航便については、当面、羽田線、それから伊丹線を考えているところであります。
なお、旅客ターミナルなどは、本格的に復旧しておりませんので、利用者の方々には、引き続き御不便をお掛けすることとなりますが、仙台空港への民航機再就航が今回の大震災からの復興の1つの大きなステップとなることを願っているところであります。
それから、今のことにふえんすれば、仙台市から飛行場へのアクセス鉄道は、まだ復旧しておりませんので、バスで代行させる、または民間のタクシー等の公共交通機関でお願いするということになっておりますが、いずれにしても、仙台空港を再開するということになりましたので、御報告を申し上げました。
 それから3点目でございますが、日本の荷物を中国で受入を拒否したというような形が実態としてありました。
そこで、国土交通省としては、東京港、横浜港、川崎港及び千葉港において、その近傍の大気中の放射線量を国土交通省のホームページにおいて情報提供をしてまいりました。
それに加えて今回、日本から出発する船の荷の放射線量を測定するということを加えることとし、港湾における放射線対策の充実を求める声にお応えしていきたいと思います。
国土交通省としては、次の4点のガイドラインというものを策定して、横浜港を含む京浜港において、対策を実施したいということであります。
どういうことを行うかということですが、1つは、荷物の放射線量を測定するための機器、コンテナの測定箇所等、放射線量の測定方法というものをまず決めたいと。
2つ目には、国際機関の基準値に準拠する、放射線量の安全性に関する基準値というものを定める。
3点目には、検査日時、コンテナ番号、測定結果等の、コンテナの放射線量についての証明書の内容及び発行方法について定めるということにします。
4点目には基準値を超えたコンテナを検出した場合の対応方法についても定める、こういう4つの内容のガイドラインを策定しまして、まずは横浜港を含む京浜港において放射線測定を実施する。
こういうことで、この日本での積み込んだ品物が海外に搬出されたとしても、その安全性というものを担保するように、国土交通省としては対策を実施・強化したいということであります。
詳細については後ほど事務当局から話を聞いて頂きたいと思いますが、いずれにしても風評被害を防ぐために、日本から搬出されるコンテナの安全性というものを、国土交通省としても担保して、諸外国に正確な情報を基に受け入れていただくように対応をしたいと思います。
なお、本日皆様方に御報告したものについては、外務省、官邸を通じて在京の大使館や外国のプレスの皆さんにも周知を図っていきたいと思います。

質疑応答

(問)仙台空港について、まずお伺いします。これは部分再開だと思うのですが、全面的な復旧については、これからどれ位の時間がかかるのでしょうか。あるいは、めどは立っていないものなのでしょうか。
(答)御指摘のように、今回は部分再開でございまして、ダイヤ等も別途発表されると思いますけれど、とにかく、あれだけの大被害を受けましたから、まず運航を再開することが大事だろうということで可能な範囲で始まったということでございます。
それから安全性を担保するために明るい時だけ、日の出から日の入りまでということにしておりまして、そういう意味では暫定的に始めたということですから、この詳細についても、事務当局に聞いていただければと思います。

(問)私の質問は完全に元通りに戻るのには、めどは立っているのですかということなのですが。
(答)質問はわかりますが、まだそれは未定であります。
今、一生懸命復旧に努力しているところです。

(問)月曜日で震災から1か月になります。
この1か月間の取組の総括と、今後特に課題となる点、インフラ整備とか、どの辺がポイントとなってくるのか、あるいは取組を急がなければならないのか、その点についてお伺いします。
(答)御指摘のように11日で丸1か月が経過するところであります。
私ども国土交通省として、まず最初に人命救助というものを第1にして対応してまいりました。
そして次には水、食料、ガソリン等の生活に必要な資材が現地に届くようにということで、道路、鉄道、空港、港の整備に全力で当たってまいりました。
この1か月間、被災地の被災者の皆さんには大変御不便をお掛けしたわけでありますが、私どもとしては、できるだけ、生活を支えるために全力で行動をしてきたところであります。
同時に、仮設住宅の建設に着手いたしまして、4月7日1時時点でありますが、6,282戸を着工予定並びに着工済みというかたちまで、積み上げることができました。
しかし、目標の必要戸数が62,290戸ということですから、まだ1割程度でございますが、これについても全力で当たってまいりますし、最初の2か月間で3万戸、そしてその後の3か月間では、あと3万戸積み上げて6万戸ということでも努力をしてまいるところであります。
それから、この1か月の間に様々な御要請を頂いたり、地域の実情についても、いろいろと詳細を東北地方整備局あるいは様々な形で自治体の皆様からも情報を頂きました。
これについても、誠実に対応してきたところであります。
これからは復旧・復興という段階に入るわけでありますけれども、この復旧・復興というものをどういう形で行っていくのか、政府が、今、中心となって、復旧・復興の道筋をつける組織を立ち上げましたので、私どもとしては、三井副大臣を中心として国土交通省として、復旧・復興会議に向けての基本的な考え方、あるいは、何をどうするのかということを整理して、その会議に持ち込みたいと考えております。
この三井副大臣を中心とする省内会議には関係者、学会の皆さんにも入っていただいて、どのような形で復興をすべきなのか、これについてはマスコミの皆さんも、評論家の皆さんも、こうすべきだという御指摘をテレビ等でも随分頂いておりまして、私の所にも来ておりますが、いずれにしても、東北地方の打撃を受けた経済の立て直しということも組み込んでいくことが必要だと思いますし、その大前提の中に、地震、そして津波に強い国造りというものがしっかりと入っていなければと考えております。
国土交通省としても、被災された皆さん、そして特に、昨日までの報告では2万7千名近く、亡くなった方、行方不明の方を合わせるとその程度までなっているということでありますが、その皆さんの悔しい思いというものを踏まえた復旧・復興、まちづくりが必要だと思いますので、そういうことを十分に踏まえて、ハード、ソフト両面にわたって復興が成されるように努力をしてまいりたいと考えております。

(問)先ほど御説明のあった横浜港を始めとする京浜港の放射線量の対策ですが、いつ頃から始める予定なのでしょうか。
(答)私はできるだけ早くやるべきだと思います。
体制が整えば、4月のできるだけ早い時期に始められるようにと要請をしておりますので、そのような形でスタートすることになると思います。

(問)先ほどの、今後の取組みに関してなのですが、今回の地震で、1981年の建築基準法の改正前の耐震基準で建てられた建物、例えば、九段会館などがかなり崩壊していますが、そうした改正前の耐震基準で建てられた構造物に対して、今後、見直し等を含めてどういった対応をされるのかお聞かせ下さい。
(答)今、例として挙げられました九段会館で、天井が崩れて、大変残念ながら2名の方が亡くなられたということであります。
新しく強化された耐震基準に基づかない建物については早期に強化しなければならないことは当然でございますので、全国にたくさんあると思いますが、民間の住宅もそうですし、公共物、それから様々な建物がございますが、まずは耐震チェックを行って、特に公的なものについては早急に改修をしなければならないと思いますし、民間の住宅についても、是非、何らかの形で耐震の強度を増すことができるような仕組みを、私共としても考えていかなくてはならないと思います。

(問)今の段階では、増改築を除いて、耐震化の義務はないのですが。
(答)このことも実態をよく調査させていただきますが、義務化の問題も含めて、対応はいろいろと検討していきたいと思います。

(問)昨日の高速道路の有識者委員会におきまして大臣が御挨拶されて、高速道路に対する大臣の評価、感想というものは良く分かったのですが、一方の高規格高速交通網である新幹線については、震災という面から見てどのように見てらっしゃるのかということを教えていただけますでしょうか。
(答)新幹線については詳細に聞いてませんが、今回の震災で大きな被害を受けることがなかったのも、地震を予知して、実際の地震が発生する前に列車を止める操作に入っていたという話を聞いているところであります。
これだけの大きな震災を経験したわけでありますから、鉄道についても、これは鉄道も飛行機もそうでありますが、多くの乗客が乗っているわけですから、それの安全を確保するために、さらに何が必要なのか、今回の事例というものを良く分析して、不足するところがあればそれを追加して強化するように努めたいと考えております。

(問)整備新幹線の未着工の部分についてはまだ判断されてませんけれども、復旧財源を確保する面から見て、今のところどのようなお考えでしょうか。
(答)これは鉄道だけでなく高速道路もそうなんです。
着工中のところもございますから、これもあり方検討会の中で料金、あるいは高速道路そのものの役割というものも検討していただくわけでありますが、同時に、高速道路の建設、あるいは管理というものをどういう形の仕組みでやっていくのかということも含めて検討していただきたいと思います。

(問)新幹線の件ではいかがでしょうか。
(答)新幹線についても、従来からそうでありますが、道路と同じように全体の計画の中で結びついていないと効果が出ませんので、単にそこのところを延伸したからどういう効果があるかと、部分的な検討だけではなく、大きな意味での検討を進めて、どういう所に必要なのだろうかということを考えて、それは財源も含めて、どういう形で建設をしていくかということは当然考えていかなくてはならないと思います。
このことについても、高速道路と同じように、私も真剣に新幹線についてもどのような形で最終的に形作るのかということは詰めていきたいと思います。

(問)リニア中央新幹線小委員会が震災を受けて中止になっていたのですが、ちょうど今再開されて行われているのですが、こういう地震があると尚更早く造ってもらいたいという部分もあるのですが、一方で、沿線地域から地震時本当に安全なのか、それから電力不足については大丈夫なのかという声が聞かれるのですが、再開に当たって小委員会には大臣としてどのような姿勢で臨まれますでしょうか。
(答)3月11日という起点をベースに、いろいろなものの考え方も新たな視点を入れていかなければならないと思っております。
いずれにしても、このリニアについては現状をいろいろと御検討いただいておりますので、今回の3月11日からちょうど1か月経つわけですから、よく状況を分析して、安全性、あるいは将来性を加えて、私自身も検討したいと思います。

(問)高速道路の検討委員会のことでお伺いしたいのですが、民主党の方でも料金の議論を行っておりますが、それとのすみ分けはどのように考えているのかということと、それから政務三役の意向で会議が非公開になったと聞いたのですが、こういう公共のものを税金を使って外部の委員を呼んで話合う会議で、個人情報が出るわけでもないのに非公開にする理由は何なのでしょうか。
(答)高速道路のあり方については、これまで様々な歴史がございました。
私自身、冒頭に御挨拶申し上げましたように、今後、政権交代があったら方式が代わるとか、方針が代わるということがあってはならないと思います。
したがって、米国は米国の歴史がありますし、欧州は欧州の歴史があります。
日本は日本で、財源が無い中で日本の将来のためにということで東名がスタートして、30年経ち、償還が終わったら無償で開放して国の管理に入れるという歴史があったわけであります。
その後、様々な形で今日に来ているわけでありますが、これについてはいろいろな御意見があるのです。確かにオープンにやればやったでいいじゃないかと私も思いますが、その発言者のところに様々な形で影響があってはならないと思いますので、基本的にどのような論議がされたということはオープンにしたいと思います。
それは議事録で出すことにして、とにかく関係者が多いわけでして、そういう意味では率直な御意見を頂くために、そのような形にしましたので是非御理解を賜りたいと思います。
しかし、1回1回の会議の内容については、できるだけオープンにしていきたいと思いますので御理解を頂きたいと思います。

(問)民主党の方との料金論議とのすみ分けはどうなっているのでしょうか。
(答)これはすみ分けというよりも、決して政権だけで成り立っているわけではありませんから、民主党、国民新党、自由民主党、公明党、様々な国会の中で1つの政策が積み上がっていくわけであります。
特に現在は衆議院と参議院で体制が異なっているのも事実でありますから、ここについては是非、私としては民主党政権だからこういう政策にするとか、自由民主党政権だったからこういうことになるということ無く、まさに将来を見通すときにこういう形が日本の高速道路、あるいは料金体系についてもあるべきだろうという形で、1つの結論が得られるように努力をしたいと思います。
そういう意味で、党の中では党で論議しているのは承知しております。
しかし、これは政調会長中心として1つの考え方をまとめていただいて、これを踏まえて政府の方では方針を決定することになると思います。

(問)昨日宮城県が発表されて、今日から復興の第一歩として、被災地で建築基準法上の建築制限を設けるということを行っていて、その期限が来月の11日で、もう1か月しかないので、その延長をお願いしたいということを国に要望すると言っているのですが、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは今日の午後に宮城県知事が来ることになっておりましたが、昨日の地震があったので急遽キャンセルになりましたけれども、多分そのお話をされるのかとなと思っておりました。
確かにそういう制限をかけるというのは最大2か月ということで、それを伸ばして欲しいというお気持ちも分からないわけではありませんので、現地の状況と知事のお話、そして今後どうすべきかということはよく現状を把握しながら検討させていただきたいと思っております。

(問)東日本大震災の復興財源として、鉄道・運輸機構の利益剰余金が挙がっているようですが、基礎年金分の1.2兆円の他に、長野新幹線の債務償還だとか、鉄道政策に回す分もあったと思うのですが、これらについては今のところ見直しというのは特にないのでしょうか。
(答)いろいろ政府の方でも検討されているようでありますので、私どもとしてはこれまでのところそういう動きをよく注視します。
国土交通省として地域の実情、あるいは今回の震災等を考えても、道路や鉄道というのは大変大事な公共物でありますので、そういうことを織り込みながら何とか必要なものについては造ることができるような道筋も検討したいと思いますが、よくその件についても調べさせていただきたいと思います。

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