大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年4月1日(金) 10:41 ~ 11:10
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

それでは、今日の閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日は大震災からちょうど3週間目になるわけでありますが、この間、様々な関係者の皆様の御努力でここまで進めてまいりました。
いずれにしても、これからまた様々な困難に直面いたしますが、みんなで力を合わせてこの困難を乗り越えて、国土交通省として国民の命と暮らしを守るという姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
今日の閣議では、特に私の方から皆様方に御報告すべき案件等はございません。

質疑応答

(問)千葉県等で道路や住宅の液状化ですとか、地盤沈下が問題になっていますが、国土交通省として支援策とか対応について教えてください。
(答)前にも申し上げたかもしれませんが、この液状化現象というのは埋立地で起こる現象で、広範囲にわたる被害が出ておりまして、対策が非常に難しいということであります。
私もいろいろ聞いたところ、最近では液状化対策のための施工方法等も関係者の皆さんの技術的な研究の中で出てきておりますので、それを踏まえて、対応方法については国土交通省として提供して、対応策が取れるようにしたいと思います。
また、液状化で傾いてしまった御自宅とか建物をどういう形で復旧すべきなのか、これについてもケースバイケースで対応しなければならないと思いますが、国土交通省として持つ技術面でのサポートはしてまいりたいと考えております。

(問)今年度予算の執行に当たって、公共事業とか施設費について5%をめどとして執行を留保しましょうという方針が示されましたけれども、国土交通省の対応方針はいかがでしょうか。
(答)これは今日の閣議で示されたわけでありますが、このような状況でございますから、全体的に5%ぐらいの予算の執行は仮止めしておいて、そして全体的な復興のための予算ということに振り向けることも含めて今後検討するという指令でありますから、国土交通省としてもそのようなことで臨んでまいりたいと思います。
ただ、5%の執行を留保するということでありますが、全体的な計画もありますので、基本的には全体として進めながらこの5%分だけは留保しておいて、それをどういう形で執行するかということは今後の検討の結果に委ねたいと考えております。

(問)今後、震災復興に向けた補正の議論が本格化すると思いますけれども、現時点で補正予算に対するお考えがあれば教えてください。
(答)先ほどもこの記者会見に臨むに当たって、どういう補正があるのかということを少し検討いたしました。
皆さんも御存知のとおり、道路の被害というのは大変甚大でありまして、道路の補修、それから港湾もかなりの被害を受けておりますので、港湾の復旧、それから河川もかなり多数にわたって被害を受けておりますから、その多数箇所の復旧。
また、私どもも写真を見せていただきましたけれども、地面が1mくらい下がってしまって、海水が中に入ってきているという状況について、海岸線沿いが多いわけですが、この海岸の保全をどうするか、これは非常に面積も広い範囲でございますが、そういうものをどのような形で利用できるような土地に復旧していくのか、そういうものを含めて、国土交通省として補正予算の中に加えるべきものはそのようなところかなと考えております。

(問)今の公共事業予算の5%留保ですが、全体的に5%とされるのか、比較的必要度の低い事業は見送るなど、ある特定の部分を代えるのか、その辺を教えてください。
(答)留保というのは、例えばいろいろな事業がありますが、緊急性の無いものについては留保しておくということになると思います。
いろいろな工夫が必要だと思いますが、平成23年度の予算全体を見ると、公共事業関係でも急ぐもの、あるいは少し遅れてもいいものといろいろと全体的に見なければならないと思います。
いずれにしても、5%ぐらいは留保しておいてそれをどうするか、あるいは補正予算も含めた全体の中で結果的にはこれも執行するということもあるかと思うのですが、とりあえず今日の指示は、5%程度留保しておいてほしいという要請ですから、全体的なものをこれから見て、留保する部分をどうするかということは検討したいと思います。
まだそういう段階です。

(問)近く発表されると思うのですが、箇所付けとの関連はどうなるのでしょうか。
(答)箇所付けは3月11日以前の状況の中で考えてきましたから、この箇所付けは箇所付けとして、基本的には執行できるような体制を取りますが、その中で、それはそれとしながらも、おおよそ留保すべきところはどういうところかと、このことは別立てで考えていきたいと思っております。

(問)大臣はこれまで委員会や会見とかで、災害に強い国土を造るんだということをおっしゃっていますが、今回の5%留保でそのことに対する影響というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)これは日本全体の公共事業における5%留保ですから、これから災害に強い体制を作らなければなりませんが、それはそれとして工夫をしなければならないと思っております。
今回いろいろと応急的に行っていただいておりますけれども、行方不明そして亡くなった方が3万人近い、2万7千人と聞いておりますが、これだけの甚大な被害を受けているわけでありますから、これに対してどのような形で地震や津波に強い国土造りを行うかというのは私たちの責務だと思っております。
そういう意味で、今回の5%留保というのは留保としながらも、復興のための補正予算の中でそのような強い国土造りということができるように私はやっていきたいと思います。

(問)今の件と若干関連するのですが、国土交通省は地震や津波対策の重要な役割を果たしていると思いますが、復興庁の組織の在り方や国土交通省としてどういう役割を果たすべきか、大臣のお考えをお願いいたします。
(答)復興庁の課題が今日の新聞等にも一部出ております。
党の方では復興検討委員会等ができております。政府としてどういう形でやるか。
私ども国土交通省としては三井副大臣を中心に復興のためのチームというものを作り、関係者の皆さんの知恵を全て集めて、この復興のための基本的な考え方はどうかという検討はスタートさせています。
政府の方で全体的な復興に関するチームができたときに、三井副大臣を通して国土交通省としての考え方を政府全体の対策の中に織り込むように努力をしていきたいと思います。

(問)仮設住宅について伺います。
当初、2か月で3万戸というお話でしたが、例えば岩手県では当初、8,800戸だったのが、仮設に入りたい希望者が多くて現在、プラス1万戸という要請が出ているように数が足りないことが予想されているのですが、国土交通省としてはこの数については増やすお考えがあるのか、また建設のピッチが遅いという声が現地で上がっているのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
(答)震災直後、皆さんにも御報告しましたが、4週間で4,800戸というのがマックスであるというお話がありましたけれども、それではとても各地域の要請に応えられないということで、2か月間で3万戸という御約束を頂きました。
しかし、御指摘のように既に3万戸を突破しておりますし、さらに増えるだろうという見込みもありますので、来週にでも関係の方々に、この2か月で3万戸というお話でありますが、それ以降、さらに上積みをするということを私としては要請をしたいと考えています。
したがって、不足していて建設が少し遅れているのではないかというような形にならないように十分対応できるような方針で臨みたいと思います。
また、遅れているというお話ですが、用地の確保がなかなか難しく、被災したところに仮設住宅というのは難しいわけでありまして、ある程度安全な場所というものを確保しなければなりませんから、各県ともそういうことを考えながら場所の確保に努めていただいております。
昨日の3時時点で37地区で3,216戸が着工済み、着工予定が275戸という状況であります。
さらに、経済産業省の協力も求めながら工業団地ですとか、あるいは委員会でも御質疑を頂きましたが、仮設住宅の場合には農地に建てることもできるということでありますから、その農地を地元の地主の方に御了解を頂いて建てるとか、あらゆる努力をして仮設住宅ができるだけ早く完成するように努力をしていきたいと思います。

(問)スカイマークが茨城空港を発着する定期便全てを30日から4月3日まで欠航すると発表しています。
スカイマークは、原発の事故の影響を考慮して、エンジンを洗浄するためという説明をしていますが、外人機長が乗務を嫌がっていると、それが運航できない原因だという一部報道がありました。
虚偽報告に当たるおそれも出てくると思いますが、この件について大臣は把握されていますか。
(答)把握はしておりませんでしたが、過日、イギリスの航空会社の社長がおいでになりまして、自分自身の目で日本の現状を把握したいということで来たと。
一時、仁川の方にワンクッションおいて、成田に乗り入れていたわけでありますが、自分の目で東京、成田を見て、日本人の総力を挙げての復旧というのが非常に進んでいると、安全であるということを確認したと。
したがって、早期に成田に直行便を飛ばしたいと、こういうお話を頂きました。
今のお話は、日本における福島の原子力発電所の影響というものがどういう実態かということを正確に把握していただいていないためのものだと思いますので、経済産業省、あるいは私ども国土交通省としても得た、情報を明確に発信できるように英文、それから韓国語、中国語で発信する体制を整えて発信し始めました。
したがって、茨城空港における放射線量等についても是非把握をし発信して、各国の方にも安全性というものを御理解いただいて、もしもそういうことが背景にあるとすれば、御理解いただくように努力をしたいと思います。

(問)スカイマークの外国人機長が拒否しているという話なのですが。
(答)それは私も聞いておりませんでしたから、よく調べさせていただきます。

(問)仮設住宅の件ですが、今のところ被災地に用地確保をしておりますけれども、どうしても用地確保が難しければ、県外に拡げるというお考えはあるのでしょうか。
(答)それもひとつの考え方だと思います。
現在、地域の方々の基本的な考え方をできるだけ尊重しながら、また首長とか県の考え方をお伺いしながら、その用地については県の方で定めていただいております。
その中で県外にというようなお話があれば当然、県の方で御検討いただくことになると思いますが、いずれにしても県や自治体、そして避難されている方々のひとつの考え方を大事にした形でこちらはバックアップすると、こういうことになると思います。

(問)福島第一原発が廃炉になる可能性が濃厚になったわけですが、八ッ場ダムの建設によって吾妻川等の全発電量が大幅に減少するという試算があるかと思います。
この試算で、今後、八ッ場ダムの建設の是非に関する政治判断に影響を与えることがあるのかどうかお願いします。
(答)事実関係を調べさせていただきます。

(問)大臣は、日立製作所時代に原子力発電所プラントの設計、建設業務に従事なさっていたと思います。
国際的な議論になりつつある原子力発電の今後のあり方も含めて、大臣個人の率直な御感想をいただきたいと思います。
(答)先日、柿澤議員から国土交通委員会のときに御質問をいただき、率直な話はそのときに申し上げました。
昭和30年代から原子力発電所、確か東海の第一発電所がイギリスのコールダーホール型炉というものを輸入して作ったのが一番最初でした。
日本の経済発展のひとつの大きな支えになってきたのは事実だと思います。
そして、私も含めて、原子力発電所のプラントを建設し、設計していたメンバーは、みんな日本の国のためにということで、安全な原子力発電所というものを作るために全力で頑張ってきたことは事実だと思います。
その時にも申し上げましたが、今回の地震と津波によってあのような形になったことは非常に残念でありますし、無念であるということも委員会で申し上げました。
アメリカもフランスも、いろいろな国が力を結集していただいておりますので、私は必ずや今回の困難というものを乗り越えることができるものと信じたいと思います。
今後のあり方については、今回の現象をよく分析をして、今後のエネルギー政策はどうあるべきかということは少し冷静に判断することが必要だと思います。
まずは今回の危機を乗り切るために全力を挙げている仲間の皆さんに心から感謝を申し上げますし、国土交通大臣として、今回の原子力の事故によって避難されている方々には大変申し訳なく思いますが、そういうことも含めて、国土交通大臣としてやれることを全部やって、被災された方々の救援のために尽力したいと、率直に思っております。

(問)被災地の復興計画についてお伺いしたいのですが、大きな被害を受けたところであればあるほど、復興計画の着手にいち早く取りかかることが重要になってくると思います。
過去の阪神・淡路大震災のときには、発災から3日後に、旧建設省の区画整理課長等が神戸市役所に入って、復興計画の事業の準備を手助けをするなどの支援をしていたかと思うのですが、今回も壊滅的な被害を受けたところは、一時的な対応で、行政機関だけではとても復興計画というところまでは手が回っていない状況だと思うのですけれども、こういったところに、ノウハウがあったり専門知識がある国交省のプロの職員等を派遣して、復興計画を作る準備の手助けをする考えはありませんか。
(答)御指摘のように、これまで私たちは人命救助を第一の柱にして全力で頑張ってまいりましたし、その後は、被災した方々の食料、水、生活物資をなんとしても運ぶために、道路や鉄道や空港、そして港湾について、全力で復旧に向けて取り組んでまいりました。
その結果として、おおよそ9割くらいの形で復旧が進んできたと思いますので、今御指摘のように、これからどうするのかということは、非常に大事な視点であります。
ただ、委員会でも御指摘いただきましたが、復旧すればいいと、元の形に戻せばいいという形ではないわけです。
したがって、阪神・淡路大震災のときの対応の事実関係を踏まえながらも、どんな形で津波や地震に強い町づくりができるのか、単に復旧だけでなく、漁業とか林業や農業もやってこられた方々もおられるし、生活を再建しなければならないので、仕事も作っていかなくてはならない。
街を再建するのと同時に経済といいますか、どんな形で住む方々の仕事が得られるのか、そして、商売をしたり、農業で物を作ったりという形で地域の経済がどう再建するのか、そこまで考えていかなくてはならないのでなかなか難しいところもあるのですが、当然ながら、国土交通省としてもノウハウや技術力を持った職員がおりますので、その市町村に対して、再建に当たっての技術的、制度的な問題もあるでしょう。
私共も派遣をして、再建に向けての努力は最大限させていただきたいと思います。

(問)今回は過去に例がないような広域で大規模な災害で、従来であれば、地方公共団体、自治体が復興計画として各事業を作るということになると思うのですが、今大臣がおっしゃられたようにとんでもない事態で、さらに生活再建もしないといけないという中で、例えば国が、復興計画や復旧計画や都市計画事業などを主導するという可能性もあるのでしょうか。
(答)街自体が非常に打撃を受けているという事例もございますから、基本的には、国があって県があって市町村ということで、私自身の頭の中を整理すると、やはり住民の方がいて、住民の方を束ねる自治体があって、自治体を束ねる県があって国があるということですから、まずは被災された住民の方々がどんな形で自分たちの生活の先を見通すことができるのか、こういう基本的なお考えも聞かなくてはなりません。
しかし、聞くところから含めて、なかなか手が付かないというところについては、県や自治体と話をして、直接国のメンバーも入って努力するということは当然なことだと思います。
地域の自治体の状況に応じて、いち早く復旧、復興に向けてスタートできるように、状況をよく把握しながら対応をしたいと考えております。

(問)原発の話に戻りますが、先ほどのお話を聞いていると、大畠大臣自身は、今回の事故を踏まえてしっかり検証をして安全性を高めれば、今後も原発というものは必要だというような認識に聞こえましたが、昨日、菅総理は、今後原発を増設する基本計画自体を見直したいというような表明をされましたが、現在は率直にどのようにお考えでしょうか。
(答)これは、今、中部電力ですとか、中国電力、北海道電力、東北電力、それぞれ様々な形で、多様な形態の発電施設で、全力を挙げて電気を発電して、やっと保っているわけですから、この論議はもう少し冷静に、事実関係を把握してから考えるべきかなと、私個人はそう考えております。

(問)菅総理は、今、冷静になれていないということでしょうか。
(答)そういうことは申し上げませんけれども、菅総理はご存じのとおり、20日近く陣頭指揮をして来られました。
大変なご尽力をしているわけでありますから、そういう立場でいろいろお話をされたと思います。
まずは現在の原子力の危機を、どのように力を合わせて乗り切るかと、克服するかという状況でありますから、その後の段階については、私は少し状況をよく検証をした上で考えるべきかなと思っております。

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