大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年8月5日(金) 10:33 ~ 10:53
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日の閣議では特に国土交通省関係で御報告すべき案件はございません。

質疑応答

(問)昨日、霞ヶ関中で大きな話題になりましたが、経済産業省は幹部の更迭と称して、大幅な人事の刷新を断行いたしました。
この件については、今年の5月に枝野官房長官が震災対応ということを理由に挙げて、中央官庁の幹部人事は凍結するという大きな方針を示していたのですが、経産省に限らず、最近いろいろな役所で幹部級の人事が次々と行われつつあるわけです。
この動きに対して大臣はどのようにみていらっしゃるのか。それから、国土交通省の幹部人事に対してはどのようなお考えでいるのかお尋ねします。
(答)人事の話でございますが、3月11日の大震災を受けて、政も官も力を合わせて、被災された方々と地域の復旧・復興に全力を挙げるということをしなければならない情勢にございますので、そういう中で、基本的に、人事というものは一つのめどがつくまでは現体制でいこうという官房長官のお考えは一つの筋が通ったものだろうと考えておりまして、私ども国土交通省としても、この状況の中で、現在、幹部人事を行うという状況ではないと私も感じております。
経済産業省の幹部人事がございましたが、これは3月11日の大震災以来、原子力発電所の事故対応等々で今日の状況に至っているわけでありますが、原子力事故によって、広範囲にその被害が広がっておりますので、どこかで一つのけじめをつけなければという思いがあったのだろうと推察をしております。
そういうことから、今回の人事については、様々な社会的な要因等もあったと思いますが、これは海江田大臣が自ら決断をして、一つの人事について発表をされましたが、ここのところは私も諸情勢から理解できると受け止めているところです。

(問)8月2日に住宅生産団体連合会が今般の震災の経験に照らしてということで提言をまとめております。
その中で、8月中の完成ということで、ずいぶん建設を急いでおりました仮設住宅の問題について、これは緊急対応ということであれば、今後は備蓄を考えたらどうなのかという備蓄制度の創設について提言をしております。
この問題について、大臣はどのようにお考えになっているのか、御見解をお願いします。
(答)今回の大震災を受けて、国土交通省としては、人命救助ということを第一に考えて全力で取り組んでまいりましたが、その最中に明らかになったことがいくつかございます。
それは避難所、例えば、公民館や体育館とかが実際に使われたわけでありますが、その避難所として使われる所の環境が整っていなかったということでした。
そういう避難所として使われる可能性のある所では一週間分程度の水、食料、あるいは電源、ガソリンも含めて、どのようにするかでありますが、今回の震災を受けて備えておくことが必要ではないかということがまず一つであります。
もう一つは、仮設住宅建設で一番困ったことは用地でございまして、これもいろいろな首長さんがおいでになるたびに申し上げているのですが、皆さんの所で被災した場合、仮設住宅をどこに建設するのかということ、日常からおおよそこの場所には仮設住宅が作れるなという所を想定して、住民に対するハザードマップとはまた別の次元でありますけれども、自治体としての備えを重点とした、そういう体制が必要なのだろうと思います。
仮設住宅については、被災後、即、おおよそ2か月間で3万戸を準備してほしいという要請をしたところでございますが、仮設住宅を建設するに当たって、住宅関係者の皆さんには大変な御協力を賜りました。
そういう意味では、仮設住宅の部材を、大量にということは無理ですから、各自治体で少しずつ、可能であれば備えておくということも一つなのではないかと思います。
各自治体で少しずつ備えていただければ、いざというときに、それぞれの被災した所にその部材を各都道府県が連携して持ち込めば、必要な材料はそろうわけでありますから、これも一つの考えであろうと思います。
ただ、長期間保持すると腐る恐れのある木の杭等、長期間保持するには馴染まない物もありますので、そうした物は除いて、長期間保存できるような物については、自治体の理解が得られるのであれば、そうしたことも一つではないかと思います。
いずれにしても、この仮設住宅の部材を備蓄することについては、国土交通省内でもいろいろと検討してまいりたいと思います。

(問)急速な円高で、日本経済への悪影響が懸念されることを受けて、昨日、政府・日銀が市場介入を行いました。
このことについて大臣の受け止めはいかがですか。
(答)どうしてこのようなことになるのかというと、被災をして製造の力が随分そがれました。
物を作る工場が被災して生産がダウンしたわけでありますが、それにも関わらず円が買われるということは、ドルとユーロと円を比較した場合、その地域の中で、どれがより望ましいのかと言うと、ドルもいろいろと問題がありますし、ユーロにも問題があると、比較論で円が買われているという話を私も伺っております。
したがって、今の水準は日本の経済力に相応しい水準かというと、異常な高水準であると私も考えておりまして、そういった意味では政府が為替介入を行ったことは、私は妥当であると思います。
この件について、今、いろいろな論評がされているところであります。アメリカ・ヨーロッパ筋から単独介入に関するいろいろなお話が出ていたり、学者の方々からの提言が、いろいろ出ておりますけれども、逆に言えば、円高を背景として日本としても打って出る備えを同時に行って、円高を放置するとアメリカもヨーロッパも困ると、こうした環境を作ることが、今、必要なのではないかという感じもいたします。
為替介入は一つの手段でありますし、同時に円高を背景として世界に打って出るという構えと行動を行うことが、今必要なのだと思います。
そういった意味ではそうしたことを行って、アメリカあるいはヨーロッパの方々にも、このまま円高を放置すると、私達も困ることになるという状況を、同時並行的につくっていくことが必要だと思います。
いずれにしても現段階で日本の経済的な現状を遙かに上回ると言いますか、無視する形で、異常とも言える円高の是正に入ったことは、私は妥当ではないかと思います。

(問)先日来話題になっております、トラックの東北地方の無料開放に関する悪用の問題についてですが、国土交通省の業界団体への要請にも関わらず、場所を変えているのか、いまだに那賀インターでの悪用が目立つという話があるのですが、いまだに悪用が続いていることについて、大臣はどのようにお考えなのかということと、先日、9月以降の制度の打ち切りも示唆されましたが、9月以降の扱いについて、どのようにお考えでしょうか。
(答)御質問いただいた件は、私も夜のテレビ等で、マスコミの皆さんがその現状について報道していただいたものを見ております。
調査を行った結果、どうやら水戸インターについてはトラック利用者の14%くらいが、いわゆる今回の制度の趣旨とは違った形で使っているのではないかという報告を私も入手いたしました。
トラック業界の方々もいろいろ調査に入ったり、あるいはそのような悪用は行わないように指導を始めているようですが、これが止まらないようであれば、8月末で打ち切らざるを得ないと考えております。
これは個人で運転しているのではなく、おそらく企業所属の車でありましょうから、その企業の方々が、この制度は被災された方々と被災地の支援のための制度なのだということを正しく御理解いただいて、正しく制度を使用していただきたいと思っておりますが、これが止まらないということであれば、私どもの趣旨と異なりますから、8月末をもって打ち切らざるを得ないのではないかと現状では思っております。
いずれにしても、今月中旬から後半にかけての状況をよく検証したいと考えております。

(問)先ほどの幹部人事についてですが、今は行う状況ではないとおっしゃいましたけれども、大臣は人事異動を行っても構わないと、復興対策に一定のめどがついたと考えるタイミングというのは、例えば3次補正とか概算要求がまとまったときですとか、具体的な時期というのはありますでしょうか。 
(答)幾つかのタイミングはあると思いますが、今は通常国会の最中です。
ここのところは様々な形で現在進行形ですから、それは一つ大事な期間だと思いますし、今、第3次補正予算の積み上げを行っているところでもあります。
また、8月31日で通常国会が終了して、9月初旬にも次の臨時国会が招集される可能性もございます。
これは前からいろいろと御指摘いただいているように、災害対策のために国会は休んでいる場合ではないという国民の皆様からの御指摘等もございますので、そういうことを考えますと非常に難しいのではないかと思います。
皆さんの会社でもそうだと思いますが、企業を活性化させるために人事ということは大事だと思いますので、それはそれとして考えますが、やはり実務に支障があってはならないと思いますので、そういうことも考えながら行っていくべきだろうと私は考えております。

(問)大臣の在任中は今の体制でいくというお考えでしょうか。
(答)政界というのは一寸先は闇で私自身もよく分かりませんから、そういう意味では臨機応変に対処していきたいと考えております。

(問)来週の8月12日ですが、日航ジャンボ機墜落事故が起きた群馬県上野村で追悼の慰霊式典と慰霊登山が行われる予定です。
昨年は当時の前原大臣が所管大臣として初めて慰霊登山をされたのですが、今年の大臣の予定はいかがでしょうか。
(答)今後の日程等についてはまだ決めておりませんけれども、坂本九さんを始め、大変な思いで犠牲になった方々が沢山おられまして航空機事故を二度と起こしてはならないという気持ちは一緒であります。
したがいまして、過日、航空管制官の幹部の方に集まっていただいてどこか緩んでいるのではないですかと、画面を通して見ると、管制での飛行機は赤い点なのか分かりませんが、そこに200人とか300人の命が詰まっているのですよと、緊張感を持ってやってくださいというお話を申し上げました。
この事故を二度と起こさないという決意のもとに管制官の方にはお願いをしたわけでありますが、国土交通省も大臣もそういう思いは一緒であります。
したがいまして、昨年が25年目だったので前原大臣が参加されたということは伺っておりますが、どういう形で事故を未然に防ぐのか、私自身もどうすべきかということは検討したいと思います。
まだ予定は決まっておりません。

(問)昨年、その追悼慰霊式典で前原大臣は、航空機や鉄道など交通機関の事故被害者家族を支援する法案の作成に着手して、2012年の通常国会で成立を目指すという考えを示されているのですが、これについての進捗状況をお聞かせください。
(答)少し調べさせていただいて、来週お答え申し上げたいと思います。

(問)管制事務の関係ですが、羽田空港ですと半年前から子ども達が楽しみにしていた見学なども今は実際に中止にされて、現場では一部混乱している状況なのですが、当面の見学禁止の期間的なことはどのようにお考えでしょうか。
(答)これは緊張感を持って行っていただくことを徹底することが大事なので、半年とか1年間、一切のことを止めるということではありません。
夏休みのときに子ども達が楽しみにしているというお話がありましたが、その実情をよく教えていただきながら、早急にこれについての徹底を図り、管制業務に当たる方々の意識改革がおおよそ行き渡ったということが確認された段階で、見学も管制室に入るということではなく管制の業務には支障がない形で適切に実施できるような方法もいろいろと検証したいと思います。
それがおおよそ確認された段階で、楽しみにしているという子ども達の夢を実現できるようによく状況を見て対策したいと思います。

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