大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年8月2日(火) 10:15 ~ 10:42
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
本日の閣議では私の方から御報告する案件はございませんが、なでしこジャパンが大変活躍をされたということで、すでに官房長官からも国民栄誉賞について報告がございましたが、大変明るい話題として報告されました。
 その他として、国土交通省関係で2点御報告申し上げます。フラット35Sという大変評判の良い制度がございますが、当初2年間継続しようと考えておりました1%の金利引下げについて、非常に利用者が多く、予定しておりました6,235億円という2年間の予算がございますが、これをほぼ使い切る状況になりました。
このため、従来は今年の12月末までとしておりましたフラット35Sの金利引下げ幅拡大の申込期限を9月30日までとすることにさせていただいたところです。
当初予定していた期限前に終了することについては、実施主体である住宅金融支援機構において、住宅の新築や購入を検討されている消費者の方々に混乱が生じないよう、取扱金融機関やホームページ等を通じて周知を図るとともに、窓口対応に遺漏のないよう取り組むこととしております。
なお、後ほど詳細については事務方に聞いていただきたいと思います。
お手元に資料があると聞いておりますが、住宅金融支援機構のフラット35Sは、当初10年間の金利引下げ幅を0.3としておりましたが、緊急経済対策により、これを1.0に拡大する措置を平成22年2月から実施していました。
しかし、利用者が多いということで、受付期限を今年の12月末としておりましたものを、前倒しで終了するということを皆さんに御報告します。
 もう一つ、航空管制事務の適正化について御報告を申し上げます。
過日、航空管制業務を行っている当事者等に緩みがあるのではないかという事象が散見されました。
したがって、航空管制事務の適正化を目指していきたいということを御報告いたします。
昨年10月に福岡航空交通管制部において部外者に無線交信を行わせた事案に続き、先月には、東京航空交通管制部においても部外者の不適切な見学受入れを行い、さらにこれに関し管制官がインターネット上に極めて不適切な文書を掲載するという問題が発生しました。
この他にも、今年5月には福岡空港事務所において、二重に離着陸許可を発出するという重大なインシデントが発生するなど、航空管制事務に関わる深刻な問題が頻発する状況となっております。
このような状況に鑑み、航空管制事務に関わる諸問題について、第三者の視点から調査・分析を行い、それを踏まえた抜本的な航空管制事務の適正化策を検討し実施するため、外部有識者からなる「航空管制事務適正化検討委員会」を国土交通省に設置するとともに、来週早々にも第1回を開催して、9月末を目途に御意見を取りまとめていただくことといたしました。
また、検討委員会の設置に併せて、航空局に対して、同検討委員会の調査検討作業を補助するため、航空局長を本部長とする「航空局航空管制事務適正化対策本部」を設置させることといたしました。
さらに、検討委員会の開催に先立って、8月4日に、全国の航空地方官署等の管理者に対して、現在の航空管制事務に関わる深刻な事態を認識させるとともに航空の安全確保に対する意識の徹底と現場での確実な実施を図るために、「臨時航空管制官署等会議」を開催することといたしました。
「臨時航空管制官署等会議」の詳細については、後日、別途配布させていただきます。
私も、最近この種の話が多いものですから、大変気に留めておりました。航空管制事務は、往々にして画面と人間の対話という事務になりがちですが、その画面の一点は飛行機で、そこに多くの命があるということを忘れてしまっては困るわけでありまして、人間の命というものを扱っている仕事だということを強く認識していただきたいという思いでございます。
そのようなことから先日、東京航空交通管制部へ視察に行ってまいりました。
体育館のような非常に広い部屋がございまして、そこに多くの管制官が仕事をしていたわけですが、改めて管制官の皆さんには、非常に重要な職務を行っているという強い認識を持っていただきたいという思いを持ちました。
管制官の皆さんに特に声を掛けたわけではなく、管理者の方々に対し、このようなことが何故起こるのか、日常の管理において不十分な点があるのではないかという趣旨のお話を申し上げて、重大事故に繋がらないように、緊張感を持って職務に当たってもらいたいという要請をしてきたところであります。
いずれにしても、「臨時航空管制官署等会議」には私も出席をして、管理者の方々に、改めて緊張感を持って航空管制に当たっていただきたいという要請をしたいと思います。

質疑応答

(問)先月末の着工分で住宅版エコポイントの受付が終了しました。
この制度についても非常に評判が良くて、予定を前倒しして終了という形になったわけですけれども、この制度について、住宅業界などから同じような制度を何とか続けることができないのかという声も挙がっていると聞いております。
この点について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
(答)7月末で住宅エコポイント制度が終了したわけでございますが、ポイント制度というのは日本人に好評でございまして、日本の内需拡大といいますか、国内の経済の下支えのためにこれは継続すべきだという御指摘をいただいていることも事実であります。
住宅エコポイントについては、昨年3月の申請受付開始以来、今年7月末までに、新築で42万4千戸、それからリフォームで46万9千戸の申し込みがありまして、合計で1,550億ポイントの申請を受け付けました。
住宅エコポイントの導入をきっかけに、新築住宅に占める省エネ住宅の割合が50%程度となるということで非常に効果があったと思っておりますし、既存住宅の省エネ改修についても窓の改修を中心に大きく進んでおります。
このようなことから住宅エコポイントは、住宅の省エネに大きな効果があったと受け止めているところであります。
今後どうするのか、という御質問ですが、来年度の概算要求、あるいは補正予算においてどのような施策を講じるべきか、現在検討中でございます。
ヨーロッパの例を見ましても、リフォーム市場というものは大変大きな市場でございます。
この市場の活性化ということを進めるために、このようなエコポイント制度的なものを国土交通省としても検討を進めているところでありますが、これも概算要求段階、あるいはこれからの補正予算の中でどうするかということについては検討しているところであります。
私としては、このような制度は国民も求めておりますし、この円高による海外との関係で非常に大きな経済的な影響も受けておりますので、内需拡大を進めるという意味では非常に重要な施策ではないかと思っております。
そのような観点も含めて更に検討を進めていきたいと考えているところであります。

(問)先週末に、「空港の運営のあり方に関する検討会」において最終報告書が出されましたが、民間への運営委託を行う際の外資規制に関する考え方が示されておりませんでした。
日本の安全保障にも関わる外資規制へのあり方について、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
それから、空港経営の効率化に努めてもなお赤字が発生して、民間の受託者も見つからないという場合、これは国による赤字補填の支援が必要となると思われますけれども、これについても大臣のご見解をお示し下さい。
(答)二つの御質問をいただきました。一つ目の空港の運営のあり方に関する検討会の報告書において、外資規制の考え方が示されていないのではないかという御指摘でございますが、今御指摘のように、その点については触れておりませんけれども、空港は、今回の東日本大震災のときにもその機能を発揮しましたように、大変重要な位置付けでありますし、安全保障、あるいは災害時等の対応において、大変大事な役割を担っているわけであります。
そのようなことから、この空港の位置付けというものをどう見るかでありますけれども、いずれにしても、自治体の様々な状況の中で、自治体の方々の御意見をいただきながら、「空港経営改革の実行方針」に基づいて進めることとしておりますので、私は結果的には、懸念されているような形にはならないような空港運営がなされるものと考えているところであります。
また、赤字の空港はどうかという御質問でありますが、かつての飛行機というものの日本の社会の中での位置付けと、今日の社会の中での飛行機の位置付けというものが大きく変わりました。かつては飛行機というものは非常に高価な乗り物であって、国民にとってはバスや電車が主流であったという時代とは大きく異なりまして、ビジネスマンの方々も非常によく活用しております。
逆に言いますと、地域における経済にも大きな影響を与えるものでありまして、そういう意味から、空港が赤字だからそこはもう自由市場に任せるということにはいかないと私は感じております。
したがいまして、当然ながら、空港の運営の効率化、あるいは収益力の強化ということは行っていただかなければなりませんが、現在、赤字となっている空港の赤字幅を縮減するという観点からも、空港の経営改革は必要でありますし、国としてもここについては御支援をさせていただきます。
同時に、赤字だから空港は自然体で閉鎖してしまうということにはならないと思いますので、これについては自治体の方々も大変熱心に空港の継続を求めておられますから、地方自治体の方々の御意見を伺いながら、そしてその空港が地域の経済に大きな役割も果たしているという実態を踏まえて、国土交通省としては支援をしてまいりたいと思います。
ただ、冒頭に申し上げましたように、赤字を放置するというわけにもいきませんので、どうしたらその赤字幅を少なくすることができるのか、あるいは黒字経営ができるのかということについては、いろいろと御相談させていただきながら、私たちとしてもテコ入れをして、何とか運営が継続できるように努力をしていきたいと考えているところであります。

(問)航空管制の問題ですが、福岡での部外者の無線交信ですとか、東京航空交通管制部の不適切な見学ですとか、そういったいわゆる意図的にやったことと、福岡での二重許可や旭川ANKの問題のように、職務上のヒューマンエラーという、二つの問題が一色担になって論議されているような印象を受けるのですが、大臣としては、こういった二つの問題が関連しているとお考えなのでしょうか。
(答)今の御指摘の点ですが、確かに、それぞれ事象が違うと言えば違うと思います。
一つは、福岡の事例のように、見学者を入れて、管制などの資格がない人に体験させたという事例、それから着陸しようとしている飛行機があるにもかかわらず、二重に離陸許可を出してしまったりということ、これらはヒューマンエラーと言えばヒューマンエラーなのかもしれません。
それから、北海道で起こりました、あと1秒で大惨事になったかもしれないという事例、これもヒューマンエラーと言えばヒューマンエラーかもしれません。
それから、東京航空交通管制部で見学会を行ってしまったと、これはモラル上の問題かもしれませんが、航空管制は油断をしますと大惨事になることは外国の事例でも明らかであります。
今回はたまたま大惨事には至らなかったわけでございますが、しかし、緊張感がどこか欠けているという意味では、ヒューマンエラーの部分も、それから見学者を入れてしまったということもどこか共通項があるかもしれないという認識を私は持っております。
職場全体に緊張感があれば、このような形にはならないわけです。
したがって、部外者を規則に反した形で内部に入れてしまうという緊張感の無さがひょっとしたらヒューマンエラーを生んでいる可能性もあるわけです。
そのことについても是非専門家の方々の御意見を頂いて、どこにどのような問題点が潜んでいるのかということを分析していただきたいと思います。
御指摘のように確かに、ヒューマンエラーと、いわゆるルールを逸脱せずにモラルを維持することという二つの要素があるかもしれませんが、これも含めて、よく検討をしていただいて、事故を未然に防止するという観点から、航空管制の事務関係の全体を見ていただいて、適切に御指導賜りたいと感じているところです。

(問)カジノの話を伺いたいのですが、先週、カジノ法案の大綱が超党派でまとめられたようなのですが、その中に、国交省が所掌事務を行うような話が出ております。
大臣としては、カジノについて、観光振興などの面からどういうふうに考えられていますか。
(答)カジノというと、ラスベガスという世界でも有数なカジノ地域があって、ここはディズニーランドとカジノが一緒になったような街で賑わっていることは私も承知しています。
これをどうするかということは、いろいろな観点から検討しなければならないと思います。
確かにカジノというものがその地域の振興に役立っているという事例は諸外国にあるわけですが、カジノというものが社会的にどういう影響を及ぼすのかということも、同時並行的に検討していかなければならないし、日本になじむのか、なじまないのか、逆に言いますと、なぜ日本にはカジノというものがこれまでオープンに開放されてこなかったのかという、日本人独自の文化というものもあるのかもしれません。
そういうことも含めていろいろ検討していただきたいと思います。
国土交通省管轄ということは私もよく中身を見ておりませんので、勉強していきたいと思います。

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