大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年3月18日(金) 11:57 ~ 12:16
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から冒頭に何点か御報告を申し上げます。
国土交通省としてこの一週間、全力で、いわゆる復旧工事、作業をやってまいりました。
その結果として、道路で言えば、東北自動車道は災害対策利用としては100%通行可能、一般道としては12%、それから国道4号も100%災害対策用として使用できるし、一般利用としても、これは100%復旧工事が終わりました。国道45号は97%ぐらいが一般利用も災害利用もできるということでございまして、おおよそ復旧工事としては峠にさしかかってきたと、こういう感じを持つところであります。
 それから鉄道の方でありますが、東北新幹線は非常にダメージを受けておりまして、現在、東京から那須塩原駅までの25%にとどまっております。
秋田新幹線、山形新幹線はまったくまだ不通状態、上越新幹線と長野新幹線は100%復旧が終わりました。常磐線は11%ぐらいの復旧でございます。
東北線も39%の復旧、いわて銀河鉄道は100%復旧工事が終わりました。青い森鉄道も100%終わったということであります。
 空港については、災害対策用としては、13の飛行場のうち13の飛行場を使えるということになりまして、一般利用は13の飛行場のうち12飛行場を一般利用可能というところになりました。
仙台空港のみ現在、一般利用は不可能ということで、自衛隊と米軍関係は利用できるということになったわけであります。
 それから港湾でありますが、茨城まで入れて15の港がありますが、そのうち5つの港だけが災害用に利用できるということでありまして、一般に開放して使えるというのは15の港のうち1つ、青森港のみ利用という状況でございます。
災害対策のためにも港の利用というのが非常に大事なわけでありまして、今現在、必死になって、災害の復旧、復興のための港の拠点を整備しているところであります。
仙台港が非常に大事な所でもございます。
仙台港についても災害用としては使えるということになってきましたので、物資輸送等では大きな力を発揮するのではないかと期待しているところであります。
 計画停電の関係でございますが、鉄道利用者の皆様には大変御不便をお掛けし、また御迷惑をおかけして申し訳ないと思います。
これも昨日の夕方に、海江田経済産業大臣から、非常に需要が伸びてきて、このままで供給が追いつかなければ関東エリアが停電になるおそれがあるということで、鉄道のダイヤを更に減便してほしいという要請がございました。
そういうことから、できるだけ鉄道関係者の皆さんにも更に御協力を頂いて、昨日は関東エリアの大停電ということには至りませんでしたけれども、この辺についても御利用いただくお客さんには大変迷惑を掛けまして本当に申し訳ないと思います。
それから、エレベーター、道路の利用についての注意喚起や水力発電量を増やすという形で一生懸命頑張っているわけでありますが、特に水力発電については水利権という、1日にこれだけしか使えないというような枠もありますが、しかし発電能力があるのであればこの際弾力的に運用してはどうかということで、いろいろ工夫をしているところでございます。
いずれにしても、電力の確保ということで努力をしているということでございます。
 次の課題は風評被害の問題でありますが、福島の原発事故等により現在、国際海運に関して一部外国船の会社が東京寄港を回避する動きがあります。
また国際航空についても欧州系の航空会社を中心に発着する空港を変更する動きがございます。
このままでは、データに基づかない風評被害等により我が国経済や国民生活に大きな影響が生じるおそれがありますので、国土交通省といたしましては、東京都と横浜市による放射線の計測値を国土交通省や外国船舶協会のホームページにおいて英文で公表し、東京港及び横浜港の近辺における放射線の正確な情報の発信を行っていくこととしています。
 さらに、昨日の政府緊急災害対策本部において、英語での正確な情報の発信の必要性について、閣僚の皆さんにもお願いをしたところであります。
また、今日の閣僚懇の中で外務省が在京の大使館のメンバーに対して、正確な原子力に関する情報を発信すべきというお願いをいたしました。
外務省としても既にやっておりますが、更に正確な情報を在京の大使館のメンバーに伝えるように努力するというようなお話もあったわけであります。報道の皆さんにおかれましても、海外への影響も考慮し、正確かつわかりやすい情報発信に努めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
今後とも、円滑な救援、支援活動や早期の復旧工事、あるいはその意向も考えた対策をしてまいります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

質疑応答

(問)地震の発生から今日で1週間経ちますが、インフラは大体整備が徐々に復旧し始めているということで、あとは物流、燃料の不足の課題に対して国土交通省としてどういうことができるかということをお願いします。
(答)復旧、あるいは今後のことの復興において、現段階ではガソリン、重油、軽油等の不足というのが非常に足かせになってきていることは事実であります。
私のところにも、お医者さんをやっている方からガソリンが受けられないので医療行為に支障が出ているというお話ですとか、今朝も5時半頃に近くのスーパーマーケットに行ったのですが、牛乳等が不足している状況を見て、レジをやっている方のお話によると、牛乳もガソリンがなかなかないものだから搾乳しても運べないとか、廃棄しているというような話も聞いてまいりました。
いずれにしても、現段階で一番重要なものの一つとしてガソリン、重油、軽油というものがあると思います。
特に、復旧作業をしている中で重油の不足ということで十分に事業ができないのではないかというお話も頂きましたので、この作業を進めていく上で、各地域からのガソリン、重油の不足がどのくらいあるのかと、あるいはこのくらい供給してもらいたいということを一括して一部署で集めまして、それを経済産業省の方に話をして復旧のための事業に差し障りがないように確保にも努めていきたいと思うところであります。
いずれにしても、燃料の確保ということが峠を越える上で、大変大事な要素になってきましたので、国土交通省としても経済産業省の担当部と十分話をしながら、確保して復旧のための峠をなんとしても乗り越えていきたいと、そのように考えております。

(問)高速道路の新料金の件ですけれども、政府与党内で新料金の割引財源について震災対策に充てるべきだというような声も出ています。
実際に、先日公表した案を4月から実施するのかどうか、状況について教えてください。
(答)この件も今御指摘頂きましたように、国土交通省としてこういう形で実施しますということは既に公表しているわけでありますが、こういう状況に至りましたので、どうすべきなのか、民主党の幹事長の方とも話しをしているところでありますが、幹事長の方で各党と話し合って、今後どうするかということを考えているようでありまして、その各党との話合いの結果に基づいて、私どもとしては対処しなくてはならないと思います。
ただ、今はそういうシステムにしているわけでありまして、これを4月1日以降やろうとしていたものを変更するのであれば、システム変更が必要なのでなかなか大変ですが、いずれにしても来週の中頃くらいまでに、最終的に4月1日以降、どういう形にするのかということを党の方とも話し合いながら、また、党の方は野党を含めた各党と話し合っていただいて、4月1日以降、どのような政策にするかということは、その結果をみて、国土交通省としても柔軟に対応していきたいと考えているところであります。

(問)先ほどの、東京と横浜の数値をホームページに英文で情報を公開するというのは、もう1度何かということと、いつからということを教えて下さい。
(答)英文で情報発信するところは何かというと、日本国内における復興工事、道路、鉄道、空港、港湾の復興の状況というものの英文版と、今申し上げたように、原子力に関する線量というものがどういう状況にあるのかということを英文で明らかにすると。
それから、経済産業省の方に要請しているのは、刻々と変わる原子力に関する情報を、正確に英語版で表現することと、こういうことを要請いたしました。
どこまで正確に表現できるかでありますが、いずれにしても、経済産業省として、福島の原子力に関する情報を正確に、英文でもホームページの方で表現できるように努力したいということでした。
また、外務省の方も、同じく英文の情報発信を行っていきたい、それから、在京の大使館のメンバーにも、原子力に関する正確な情報を毎日発信したいということであります。

(問)国土交通省として何かやるというわけではないのでしょうか。
(答)これは政府としてやっておりますが、国土交通省としても、日本政府観光局というものがございまして、この日本政府観光局が外国から日本に来ている人、あるいは日本の情報を正確に知っていただくために、日本政府観光局のホームページにもこのような情報を載せるということを1つの対策として取るということを決めたわけであります。

(問)先ほど放射線量の計測地点として、東京港と横浜港とおっしゃったと思うのですが、先ほど大臣がおっしゃったとおり、ルフトハンザなど、一部の外国の航空会社が成田を回避しているところがありまして、成田周辺でないと、より誤解を招きかねないと思いますが、その辺の放射線量を出すというお考えはありませんでしょうか。
(答)東京港及び横浜港の近辺における放射線の正確な情報の発信を行う、ということであります。
また、飛行場の周辺の件については、検討をさせていただきたいと思います。
確かに、東京を避けて関西の方に飛んでいるという話も聞いておりますので、東京近辺の正確な情報というのは大事ですから、検討させていただきたいと思います。

(問)高速道路の料金の件ですが、割引がなくなってしまうという可能性もあるということでしょうか。
(答)このような非常時ですので、民主党が、どういう形で各党と話をするのかということになると思うのですが、ただ、システム的には織り込んでおりますので、急に変更はできないので、現在の計画しているものを急に変更して、国民の皆さんにご迷惑を掛けても申し訳ございませんから、いずれにしても、来週の中頃までに4月1日以降どうするかということを明確にして、システム変更できるものはやりますが、ただ、今のところは急に変更するのは難しいかなと思いますが、来週の段階では、その辺は明確にしたいと思います。

(問)今のところで整理したいのですが、党の方との検討は、あくまでも無料化の財源を使っている話なのでしょうか。
(答)無料化の社会実験のところももちろん入ります。
それから平日2,000円、土日1,000円とあります。
割引財源の方も含めて、これは各党でいろいろな御意見がありました。
それも含めて、今は幹事長のところで、どういう形で復興のための財源を捻出するかということを検討されているようでありますから、与党の民主党の方から野党各党に話合って、この問題をどうするかという話合いに入っていると思います。

(問)一週間経って、今回、原子力発電所の事故というのは置いておいて、大規模な津波災害ということで、これまで復旧活動をするにあたって、これまでの災害と違って苦労なさったようなところがあったら教えていただきたいのですが。
(答)私も金曜日の14時46分に地震が起こりましてから、ずっと災害対策を担当させていただきましたが、どういう影響があったかという全体の被害状況をつかむのに大変困難を極めました。
それは単なる地震というものでも大変なのですが、マグニチュード9.0と、これはマグニチュード8.8とマグニチュード9.0は何が違うかというと、エネルギーが倍違うということで、日本の観測史上最大の地震だったわけですが、これだけでも大変なのにそれに加えて津波というのが加わりまして、この津波も一部には10mあるいは15m、17mくらい観測されたのではないかという話もございますが、この津波の被害というのが非常に甚大と、それに加えて福島の原子力発電所での事象が重なりまして、いわゆる、地震と津波と原子力の3つが複合的に入ったものでありますから、非常に復旧事業も困難を極めているということで、国土交通省としても6万人の職員が、自ら被災をした東北地方整備局約3,000人、東北運輸局約560人、家族の方とまだ連絡取れない方もおられますし、家を失った方もおられます。
しかし、そういう自分の心の中の悲しみや苦しみを抑えて一所懸命やっていただいてます。
そういう意味では、想像を絶する状況の中でここまで一所懸命歩んでまいりましたが、私は国土交通省の職員の皆さんにこれまでの行動は非常によくやっていただいておりますので感謝したいと思います。
今日の災害対策本部でも、峠に差し掛かっていると、皆さんもガソリン、燃料が無くて苦しいかもしれないけれども、みんなで何とか工夫をして、着の身着のままで避難されている国民の皆さんもおられますので、その方のことも考えながら、何とかみんなで乗り越えていこうという話をしたところであります。
従来の地震や津波というのも大変だったわけですが、そういう意味では3つの要素が組み合わさって更に大きな状況になっていますので、ここまで歩んでくるのは大変だったわけですが、私はよく国土交通省の職員も一所懸命対応していただいたと、そんな感想を持っております。

(問)確認ですが、先ほどの東京湾と横浜湾の放射能のデータを出す主体は国土交通省という理解でよろしいのでしょうか。
(答)東京都と横浜市が独自に放射線の計測をしておりまして、そのデータを国土交通省としてHPに英文で表示をするということであります。

(問)飛行機の件ですが、東京に入らず関西に行っているという航空会社について、具体的に国土交通省で把握している航空会社というのはどこでしょうか。
(答)後で事務方から報告させます。

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