大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年1月8日(金) 11:15 ~ 11:43
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見をさせて頂きます。
まず、今日の閣議で通常国会の会期が組まれました。
18日から開会をして150日間ということで、6月16日までということでございます。
もう一つ私から申し上げるのは、新千歳空港への外国航空機乗り入れ時間帯の再設定についてということで、お話を申し上げます。
私は成長戦略の要として観光というものを非常に重要視しておりまして、海外から日本へ来るお客さんを増やしていくためにということで人気の高い北海道の拠点空港である新千歳空港の枠の拡大を、防衛省、防衛大臣にお願いをしておりました。
皆様ご承知の通り、自衛隊の基地もございますので、この枠の拡大については防衛省と緊密な相談をするということが前提となっております。
この度、長安政務官と長島政務官に鋭意話をして頂きまして合意に至りましたので、皆様方にご報告をさせて頂きます。今までは、平日についてでございますが、平日の昼間時間帯でございますけれども、水曜日の午前11時20分から午後1時50分までに限られておりましたけれども、これを火曜日及び水曜日の正午から午後4時までに拡大をするということで、これによって今まで組みにくかった2泊3日とかいった旅行が組みやすくなるということで、特に北海道への外国からの観光客が大幅に増加するのではないかと期待をしております。
なお、これにつきましては、IATA夏期スケジュール期間ということで、平成22年3月28日から、その運用開始をさせて頂くということでございます。私の方からは以上です。
 

質疑応答

(問)日航の問題を巡って、今朝、菅副総理が平野官房長官と協議をされていたと思うのですが、どんな内容だったんでしょうか。
(答)現在、国土交通省で企業再生支援機構、日本政策投資銀行、JBIC、メガ三行と話し合いを進めておりますし、またそういった方々が当事者間で実務的にお話をされておりまして、今どういう状況なのかということについて報告をさせて頂きました。また、政府として企業再生支援機構を介した公的整理を行う訳でございますので、政府として機構に対して、しっかりと許可申請をする際の政府としての思いというものもまとめさせて頂くということでお話をさせて頂きました。具体的には前回の記者会見で皆様方に申し上げましたけれども、現在、日本航空は年金の減額というものの同意を取り付ける努力をされている訳でございますけれども、どのような整理の方法を取るかどうかは別にして、折角OB、現役含めて3分の2以上の同意を取り付ける努力をされている訳でありますので、仮に1月12日の時点で、そういった同意を取り付けられるのであれば、そのスキームを尊重してもらいたいということは政府として機構側に申し上げているところでございますし、また海外での取り引き、商取引債権の保護、例えばジェット燃料とか、保険といったものでありますとか、マイレージの保護とか、そういった諸々のことについて、どのような企業再生支援機構による公的整理が行われるにしても、我々、特に私はJALを飛ばし続けながら再生を行うということを申し上げて参りましたので、そういった観点で機構との話し合いをしている訳でありますけれども、そのことについて改めて関係閣僚で集まって腹合わせをしたということであります。
 
(問)法的整理で決着という一部報道もあったのですが、これは決着はしていないのですか。
(答)企業再生支援機構による公的整理を行うということでは我々は一致しておりますし、繰り返し申し上げておりますが、法的整理か私的整理かに関心が集まっているきらいがございますけれども、私共が関心があるのは、どうやって飛ばし続けながら再生をしていくのか。しかも、自民党政治で先送りされ続けてきた日本航空の体質改善というものを政権交代を機に本気で成し遂げるためにはどういった形が良いのかということで話をしておりまして、法的整理ありき、私的整理ありきの話をしている訳ではありません。
どうすれば飛ばし続けながら抜本的な再建が行われ、そしてオープンスカイ、空港整備勘定、観光立国といったものと併せて日本航空が他の航空産業と同様に発展をするような素地を作っていくかということで、我々政府としては話を進めていることであります。
 
(問)どうやって飛ばし続けることが出来るのかという点で、法的に行われると信用不安や顧客離れによってJALの再生が難しくなるのではという議論があるがために、法的か私的かに関心が集まっていると思います。
大臣としてはどちらが妥当なのか、若しくは法的、私的の部分において大臣のご所見をお伺いしたいのですが。
(答)私は今までのスタンスは全く変わっておりません。
JALが破綻をする、私の破綻という意味は潰れて無くなるという意味でありますが、それは回避をしなくてはいけないと。
そして、日本の空、或いは海外への架け橋として日本最大の航空会社でございますので、極めて公益性の高い公共交通であるという観点から、日本航空機を飛ばしながら再生をさせていくということが大事だということを申し上げて参りました。
また、同時に自民党政権で問題の根本的な問題解決が先送りされて来たこの問題というものを政権交代を機に根本的に解決をしなくてはいけないという観点での整理の中身というものに我々は最も関心を持っている訳でありまして、そういう意味では私が任命したタスクフォースから報告書で企業再生支援機構を通じた公的整理という報告書が出て、それに基づいてJALがDBJと合わせて企業再生支援機構に所謂申請をしている訳です。
従って、その申請が受理される前提としてどのようなかたちをとれば今申し上げたようなことがしっかりと担保出来るのかということに我々としては関係各方面と調整をしながら努力をさせて頂いているということです。
 
(問)法的整理に踏み切った場合に、先程仰った一般商取引債権等を保護すれば飛行機は止まることはないという確信はまだ得られていないということですか。
(答)繰り返しで恐縮ですが、私の立場として申し上げられるのは支援決定の中身を決定されるのは機構自体であります。
我々は、機構がどのような決断をされようとも運航の安定、そして運航を続けながら再生を行っていくということ、これは5閣僚で確認をしていることでございまして、この5閣僚確認というものは生きているという確認をずっと関係閣僚でやり続けている訳でありまして、今日も菅副総理、平野官房長官含めての確認をさせて頂いたところでございますので、そのような視点で政府としては努力をしているということをご理解頂きたいと思います。
 
(問)機構は、法的、法律的な裁判所関与の下の整理でなければ支援決定はしたくないとまで言っていると思いますが、それでもなお公的というような言葉で含みを持たせられるその意味がわからないのですが、何故仰るように機構がそういう風に方針を決めているにも関わらず今そういう風に仰るのですか。
(答)私は逆に法的整理ありきで機構がお話をされていると伺っておりません。
様々な観点から調整をしながら今JALの再生計画をまとめておられるということで、我々のスタンスというのは公的整理を企業再生支援機構によって行って頂くということで、現段階においては法的整理ありき、私的整理ありきではなくて如何に飛ばしながら抜本改革を行ってJALを再生させるかということに重きを置いて関係各方面との調整を行っているところです。
 
(問)19日に支援決定するという報道がありますが、今後のスケジュール感というのはどうなりますか。
(答)今月中には行われると思いますけれども、19日に決まっている訳ではございません。
 
(問)20日位が目途という話も出ていますが。
(答)私は今月中に行われるという期待を持っております。
 
(問)先程の年金の部分を尊重して欲しいとか、或いはマイレージ、商取引に留意して欲しいというのは政府から機構にどういったかたちで伝達されるのですか。
(答)私自身も何度も西沢社長さん、瀬戸委員長さんとお話をしておりますし、その場面では菅副総理も同席をされております。
そういった場面で色々な意見交換をさせて頂いておりますし、今朝、関係閣僚、副大臣で集まった中身においても今のような政府としての要請というものはしっかりしていこうということで確認をしておりますし、また機構も尊重されると理解をしております。
 
(問)今日伝えられるという理解でよろしいですか。
(答)繰り返しになって恐縮ですが、今までにも国土交通大臣としてそういったことは機構側には伝えておりますし、今日改めて国土交通大臣だけではなくて菅財務大臣、所謂機構の担当としての菅内閣担当大臣、平野官房長官、そして松井副長官も含めて、あと辻元副大臣や峰崎副大臣、古川副大臣も含めてのコンセンサスの中で改めて機構には再度そういったものを伝えていこうということを確認はいたしましたが、もう既にそれは伝わっていることでありますし、機構も尊重して頂けるものと理解をしております。
 
(問)先程、支援の中身を決定するのは機構だと仰いましたが、そうしますと機構が決定した場合はその内容はどうであろうと尊重すると、そういうお考えでよろしいでしょうか。
(答)機構も極めて丁寧にこの間作業をして頂いていると認識しております。
我々政府だけではなくて、ステークホルダーである関係各方面とJALは勿論のことでありますし、日本政策投資銀行、或いはJBIC、メガ3行とも様々なレベルで意見交換をして頂いているということで、同じ方向を向いてしっかりとJALの再生が出来るような努力を機構自らがして頂いていることに私は心から敬意を表したいと思っております。
そして、その上で企業再生支援機構というのは独立した機構ですので、しかも委員会制ということで、委員の方の合議制で支援決定の中身は決まるということですので、関係各方面と十分な調整をして頂いた上で最終的には機構がご判断をされると思っております。
 
(問)年金減額の件ですが、回答の締め切りが近いのですがまだ達していなくて、OBの中には2/3を超えても法的整理になったら同じではないかという疑念を持っている人もいるようなのですが、超えた場合と超えなかった場合でどう違うのかという部分で大臣が仰られることがあればお願いします。
(答)繰り返しになって恐縮ですが、どのような整理のあり方になっても機構による公的整理が行われる訳でありますが、どのような整理の中身になったとしても、JALがOB或いは現役の職員に対して協力をお願いされて、仮に2/3以上の同意が取りつけた場合には、そのスキームを尊重していただくということを我々は予てから機構側に伝えていますし、機構側もそれを尊重した再生計画を作っていただいているものと思います。
ただ2/3を超えなかった場合においてはまた違った対応になるのだろうと思います。
 
(問)先日の会見で、全日空が、日本航空が国際線を縮めた場合に手を挙げてるのであれば堂々と挙げろというお話でしたが、改めてお伺いしますが、1つのJALの経営体力を回復する手段として、一時的にでも国際線からJALが撤退するというような考え方については大臣はどのようにお考えですか。
(答)仮定のご質問にはお答え出来ないということになろうかと思いますし、こないだ会見でお答えをさせていただいたように、全日空からそういった申し出は政府に対して公式には全くございませんので検討していないということがお答えでございます。
 
(問)JALのCEOですが、外部から招くのではないかというお話が言われているのですが、どのような人物になっていただいたら良いと思いますか。
(答)これは機構と相談をしている項目の1つでございますが、JALの再生、しかも先送りをされてきたJALを抜本的に再生をさせて、私は潜在力の非常に高い会社だと思っておりますので、素晴らしい経営者に立っていただければ必ずや機構の支援策や或いは様々なステイクホルダーの協力を得てJALは再生出来ると思っておりますので、このCEOの問題というのは極めて重要な問題だと認識をしております。
 
(問)株価ですが、今日も60円台になって、特に法的整理、私的整理というよりも株主が責任が問われると、今持っている人たちは減資されてというかたちになっていますが、その辺は何か大臣の方から支援策の1つとして株主責任は問うという理解でよろしいでしょうか。
(答)その点については我々明確に機構についてお話をしておりません。
従来から申し上げているように、株価の上がり下がりには一喜一憂しないと。
私が最大の関心を持っているのは、JALが飛び続ける中でどう再生をしていくのかといったことが大事なことでございまして、最終判断については機構が関係の各方面と調整をされながら決めていかれるものと認識をしております。
 
(問)明日から3連休が始まりますが、この間に何か日航についての協議というのは今のところ予定されている訳ではない。
(答)関係各位と関係各レベルの話し合いは土日祝日関係なく行われておりますし、機構は年末年始もなく、様々な関係先と話をされておりますので、この土日祝日も色々な段階での議論がなされ、調整がなされるものだと期待をしております。
 
(問)新千歳空港ですが、中国からの受け入れ拡大に期待を寄せていらっしゃると思いますが、実際に緩和された後にどれ位就航の見通しが何時頃になるのか。
それに対する大臣の期待のお言葉をお願いします。
(答)具体的なオファーも来始めておりますし、今までが平日が昼間の時間帯でありますが、それが極めて一部しかなかったということ自体が私にとっては驚きでございました。
今回防衛省との協力を得て、訓練に支障がない範囲で最大限の枠を提供していただいたものと考えておりますし、このことによって、例えば皆さん方は分かられると思いますが、今まで週末に集中していた訳です。
そうすると1泊2日とか或いは1週間居続けるかどちらかしかいれないというような、極めて両極端な観光を北海道でやらざるを得なかった訳でありますが、それが真ん中に、火曜日と水曜日に正午から4時までという大きな4時間の枠が2つ設けられる中で、これが土日等と組み合わせるかたちでやればかなりの観光客増が期待されると思いますし、今もかなり引き合いが航空会社からも来ているという状況でございます。
 
(問)具体的にどれ位増やしたいと。
(答)具体的にはございませんが、勿論スロットの枠というのは限られている訳でありますので、ただどういう機材が就航するかによって人数が変わってきますので、最大限拡大をした枠を活用して、まずは北海道振興、海外からの観光客の受け入れというものをしっかりやらせていただきたいと思っておりますし、そのお客さんが他の日本の観光もし易くなる状況が生まれるということを期待しております。
 
(問)沖縄の関係ですが、読谷村の米兵ひき逃げ事件で、昨日米兵が起訴されたのですが、県内では米兵が取り調べを拒否をしたこと等を受けて、地位協定上の問題があるのではないかという指摘も挙がっていまして、政権に対しても起訴前の身柄引き渡しを要求していなかったことについて不満の声も上がっているのですが、今後、日米地位協定の改定の必要性等について大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(答)今仰ったことで事実関係と違うのは、政府としては起訴前の身柄引き渡しをずっと求め続けてきた訳でありまして、米側がそれに応じてこなかったということでありまして私は極めて遺憾であります。
もしこういう悪質なひき逃げそして亡くなわれている訳でありますので、そういう悪質な事案というもので起訴がなければ引き渡されないということについては極めて私は米軍に対して憤りを持っております。
こういうものを運用改善するという合意がなされていた訳でありますので、日米同盟関係の信頼を失わないためにも米国に運用改善をしっかり求めていきたいと沖縄担当大臣としてもそのように考えております。(※)
 
(問)身柄引き渡しというのはいつ頃から求められていたのでしょうか。事件発生当初からでしょうか。
(答)事件発生をしてそしてそのDNAについては協力を米軍はしてくれましたけれども、一致をしたということでそういった客観情勢が整った段階で日本政府として身柄引き渡しをずっと要求をしておりましたけれども、それが成し遂げられなかったというのは極めて遺憾でありますし憤りを持っているところであります。(※)
 
(問)閣議後に前原大臣と岡田外務大臣がちょっと出るのが遅かったみたいですが、ご一緒に入られたりはしたのでしょうか。
(答)岡田外務大臣さんとは季節の挨拶ぐらいはしましたけれども、他のことでは話は今日はしてないです。
 
(問)日航がデルタかアメリカンどちらかに今月中に決まると思いますか。
(答)企業再生支援機構が今月中に支援決定を行って頂けるものと期待をしておりますけれども、従いまして今月中に何処のパートナーを選ぶかということについては時間的に難しいのではないかと思っております。
 
(問)法的整理をすると顧客離れが進んでしまうのではないかとの懸念がございます。
航空業界では大体そうなるのではないかと専門家も言ってますけれども、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)運航を継続しながら再生するためには、顧客離れというものが出来るだけ起きないようにしなくてはいけないということは当然のことでございます。
同時に抜本的な改革をやらなければ自民党政権のような先延ばしになるだけでは抜本改革にはならないし、強いてはそれは国民の税金をより多額に使う話になってしまうのではないかと思っております。
従ってその両者を両立させるような形での機構への要望の1つとして機構による公的整理が行われたとしてもですね、商法取引債券保護とか或いはマイレージがしっかりと使えるようになるということを政府として機構に対して要望しているところでございますし機構もそれについては前向きに検討して頂いているものと確信をしております。
 
(問)藤井財務大臣が辞められてその後菅さんが就任されたと、この一連の流れで政権に与える影響とかどのようにお考えでしょうか。
(答)藤井財務大臣が辞められたのはものすごく残念であります。
今日も閣議の部屋で1人居られなくなったらこれだけ空気が変わるのかという思いをいたしました。
今まで座っていたところに藤井大臣が居られないという意味ではとても残念な想いでございます。
しかしながら私も非常に可愛がって頂いた藤井大臣から辞められる前から体調のことは伺っておりましたし、相当辛いということも特に予算編成の時期にはお会いするたびに仰っておりました。
私も日本航空の再建の問題とか様々な予算折衝の中で藤井財務大臣には大変ご指導を頂いた訳でございますけれども、そういう意味では残念ではございますし、この藤井財務大臣の穴を埋めるということは大変なことであるとは思いますけれども、総理が菅さんに財務大臣を任された。
そして国家の成長戦略については引き続きやられる訳でありますけれども、国家戦略室については仙谷大臣が引き継いでやられるということでこれは総理がお決めになった以上はみんなが一致団結して藤井大臣の穴を埋めていくという気持ちで臨んで参りたいと思いますし、しっかりと藤井大臣の政権交代の直後の大変な時期に財務大臣として頑張られたその想いというものをしっかりとみんなで胸に秘めながら力を合わせて穴を埋めていきたいと考えております。
 
(問)先程の確認なのですが、起訴前の身柄引き渡しは国として米側に求めていたということですか。
(答)求めていました。(※)
 
(問)これは前原大臣なり、外務省とかどういうルートで求めていたのでしょうか。
(答)要は捜査協力、被疑者取調実現等について外交・防衛当局から米軍に働きかけていたとこういうことでございます。
被疑者取調実現等とはそういうことでしょう。具体的に申し上げると、11月10日に岡田大臣がルース大使に対して仰っておりますし、11月11日には岡田大臣からクリントン国務長官、11月25日には日米合同委員会、12月5日には岡田大臣からロブリング四軍調整官。
各方面に対して政府が捜査協力や被疑者取調実現等、つまり身柄引き渡し等を求めてきたということでございます。
 
 
以 上
 
<※>前原大臣発言中の「身柄引き渡し」とは、当該会見末尾で述べているとおり、「被疑者取調実現等」を意味してなされたものである。

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