大臣会見

金子大臣会見要旨

2009年1月23日(金) 10:44 ~ 11:11
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議で当省に関係するもので法律が3件、「奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案」、「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案」、これは例の道路特定財源の一般財源化絡みです。それと「独立行政法人気象研究所法案」、これらが閣議で決定されました。私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日、ダム行政の見直しを検討する初会合が開かれました。大臣もご出席だったと思いますが、ご所見をお願いたします。
(答)最近、ダム事業が川辺川にしても大戸川にしても長い間時間を掛けて進められて、また事業が進捗してきているけれども、途中で地元の知事さん達の反対を受けるという状況が出て来ております。何故、こういう状況が起こっているんだろうか、どこに問題があるんだろうか、おそらく色々な意味があるんだろうと。河川法に何か問題があるのか、あるいは合意を取る手続きに、合意形成の仕方に問題があるんだろうか、更には最近は財政上の理由もあるようです。こういう状況を踏まえて、見直すべきところを洗い出して総点検をしたいということで、このタスクフォースにお願いをして、第1回会合を昨日開かせて頂きました。まだ昨日始まったばかりですから、結論ということではありません。これから色んな切り口が出て来るだろうなという予感があります。河川法そのものを見直すべきというご意見、あるいは河川法を見直しながら継続性の原則、自治体が変わってしまうが故に変わるのではなく、継続性、しかし、変えるということで止めるという一つの基準も作るべきではないか、止める時の手続きというのも法律上作るべきではないのか、現行制度が流域委員会で意見は通るという前提で成り立っているのではないか、もっときちんと前へ進める、あるいは止めるということについてもう少し法的な部分をしっかりすべきではないのか。国と地方の役割が文面上明確ではない。県の中の市町村との合意形成も必ずしも明確になっていないのではないか、財政上の措置についても検討する余地はあるのではないか、様々な議論が出されました。次回以降改めて検討すべき切り口というものを更に洗い出してもらって、それを前提に議論していきたいと思っています。

(問)昨日、あたごの衝突事故について海難審判であたご側に主な原因があるという裁決がありました。この結果についてどう思われますか。
(答)この裁決内容を踏まえて、関係者に適切な措置を講ずることにより二度と事故が起こらないように期待をしています。改めて亡くなられた清徳丸船長の吉清治夫さん、甲板員の吉清哲大さんのご冥福をお祈り申し上げます。

(問)閣議でも話があったと思いますが、道路特定財源が一般財源化されることについて改めて御所見をお願いします。
(答)昭和29年に出来た道路特定財源制度です。55年目で一般財源化、廃止になるということです。そういった意味で道路行政を支えた1つの大きな枠組みが変えられる、あるいは変わると。こういった枠組みを時代と共に変えていくという、1つの日本の行政システムの大きな変革だと思います。一方で、非常に不安を感じる人も多かった、こういった行政システムが変わる時というのは不安も多いです。しかし、新しい枠組みがそれに替わるものということではないですが、一般財源化はされましたが、地方の方々が必要な道路は一般財源化の中でも造れるという枠組みを作って欲しいということにそれなりに応えられるものを、交付金方式ですが、出来たのではないかと思っています。ただ一方で、道路については、一般財源化で毎年度の予算措置で今度は造り上げていくと、交通需要推計も下がっているので、ある意味、B/Cも、より厳しい採算見通しという物差しを持ってこれから取り組んでいかなければならない状況になってきています。

(問)地方の道路が造れる枠組みというのが例の新しい交付金のことだと思いますが、新しい交付金を法案に盛り込まなかった理由と、盛り込まなかったことによって法的な措置が曖昧になって予算上今後続けていけるのかどうかが不明確になったと思いますが、その辺の影響はどうでしょうか。
(答)それは全く無いと思います。まちづくり交付金は、むしろ法的措置を講ずる必要があるから講じているのでして、道路の交付金については予算措置で道路を造っていくということですから、全く問題ありません。

(問)行政の質が変わることによって色々変わったところが出てくるということで、新しい交付金もその1つだと思いますけれども、一方で、直轄のやらなければいけない事業は変わらない中で、直轄の事業費が減るということは多分工期を伸ばすか、やると言ったところを止めるか、その2つしかないと思いますが、その辺の影響は如何ですか。
(答)優先順位をより考えざるお得なくなってくるということです。より優先順位の高いところからやっていくということに尽きるのではないでしょうか。

(問)昨日のダムの会議ですが、非公開ということについては、委員の方々から強い申し出で取りまとめたということでしたけれども、あったのでしょうか。
(答)昨日、副大臣に司会をしてもらったのですが、「公開でも良い」というご意見もありました。一方で、中には「物騒なんだ」というご意見もありました。発言が公開されると身辺に危害が及ぶ状況があるようで、そういう意味で非公開にしてもらっています。ただ、どこでどのような発言があったかについては、とりあえず名前は直ぐは付さないけれどもこういう意見がありましたということについては、議事録を整理して皆様に公開します。名前をどうするかについては、改めて議論してもらうということになりました。

(問)公開したり名前を出すことによって逆に思い切った話ができないというのであれば、そもそも会の意味がなくなると思うので、それは色々な考え方があって良いと思いますが、今大臣が昨日のやりとりをご紹介された中で気になったのは、「止めるという一つの基準を作るべきではないか」という話があったのですが、昨日の会議終了後の金子副大臣の会見では、こういった趣旨の発言があったというのは無くて、私もメモを読み返したのですが、金子副大臣がご紹介して頂けるのは良いのですが、意訳した形で言われても伝わらない部分が非常に多くて、例えば大臣会見、次官会見は、ほとんど一言一句起こすことによって国民がニュアンスを知ることが出来るというメリットがあると思うので、それなりの運用をして頂きたいということを改めて強く思いました。
(答)分かりました。

(問)それとメンバーの方々を見ると、社会資本整備審議会河川分科会の委員や流域委員会の委員とか、国土交通行政に近い立場の方が大半を占めていて、大臣の「本当に見直すべきではないか」との思いに共感してもらった中での建設的な議論になるのかどうか、昨日出た意見を聞いても疑問だと思いますが、その点はどのように思われますか。
(答)昨日は第1回ですから、全て議論尽きた訳でもないので、次回以降、何処を議論すべきかについてさらに幅広い切り口が出て来ると思います。そういう中で必要なことは、新たに対応していく方法は考えても良いかなと思っています。でも、最初から今仰られたことを念頭に置きながらやっていきたいと思います。

(問)昨日の冒頭の挨拶や先程の発言でも河川法に問題があるのかもしれないとも仰っていましたが、河川法は長良川河口堰の件で問題があったので、平成9年か10年に改正され、河川整備計画等を地域住民と作りましょうという形でスキームが変わったのですが、その仕組みに今問題があるとお考えですか。
(答)私が言ったのは、河川法の中の合意形成の手続きや過程が必ずしも上手く機能しているのかと、本当に上手くいっていたらこのようなことにならないのではという素朴な疑問があるものですから、そういうことで今ぶつけているのです。

(問)消費税の件で付則についてようやくまとまりましたが、衆院選を前に議員心理が働くこともあって様々な意見が出ましたが、今回まとまったことについて経緯を振り返ってどう思われるかお聞きします。
(答)消費税議論というのは本当に皆さんが思う以上に議員はつらいんです。私も2回目の選挙の時に消費税を掲げてやらざるを得なかったのですが、いざ消費税が議論されると大変苦労するのです。そういう意味で今回選挙を前にして消費税を「何で敢えて言うんだよ」という議員心理は当然だけれども分からない訳ではありません。しかし、この景気対策で「日本が一番世界で最初にトンネルを抜けるのだ」という気持ちで、多分、今は当たり前になっているかもしれませんが、75兆円の経済対策というのは当初考えていたよりは相当大幅に膨らんだと思います。次々と対策を打った。そういう中で財政紀律というのはきちんと入れておきたいと、それから何といっても年金に係る国民負担率の引き上げの問題がありますから、3分の1を2分の1に引き上げるという約束は一方できちんと果たしていきたい。一番国民に安心を与えるべき年金が不安を掻き立ててしまうということをしてしまっては景気対策どころではありませんから、ここはきちんとやりたい。そのことに対応していくためにも消費税は必要だと。そういう意味で麻生総理というのは本当に「くそ真面目」なのかもしれません。皆さんが思う以上に「真面目」という表現が良いのか、正攻法だと私は思います。これは民主党との対峙、対比になるかもしれませんが、この部分は景気が回復してからでなければやれないのですが、景気が回復してこれをいきますと、しかしその前に景気を良くしますと、ある意味、政治・経済対策のスタンスの現れだと思っておりますので、この姿勢は評価しますし、私も税制調査会の副会長をやっていましたので、閣内に入る前からこの部分を私も方向として指示をしておりましたので、いい方向でまとまったのではないかと思います。

(問)ソマリアの海賊対策ですが、欧米のみならず中国まで派遣したり、日本はまだ何の対応も出来ていないんですが、現在どういう状況で今後どうするのかをお聞かせ下さい。
(答)与党PTで、今週とりあえず現行法の海上警備行動を出すということで進める予定になっています。ただ、そのような中で、やっぱり現行法だけでは必ずしも十分ではないものですから、3月中旬までにまとめて、今度は海賊対策法というのか、どのような名前かは別として、法律も作って対応していくという2段構えで対応することになっております。

(問)資源のみならず、食料まで輸入に頼っている日本が他の諸国に比べて対応が後手後手に回っていることについては大臣御自身がどう思われるか、ということと、海上保安庁が今後も海賊対策を担っていくならば、更に「しきしま」級も必要になり、船舶等の拡充も必要とされるんですが、お考えとして10年先か20年先になるかもしれませんが、そのような必要性があると思われますか。
(答)これから法律を3月に通常国会に提出していきたいと思っておりまして、その場合の対応は地域の制限は無いんです。 ただ、第一義的には海上保安庁がカバーするという考え方、ここはあなたの言う通りになります。マラッカ等々には海上保安庁が対応していくとなれば、それなりの装備をいずれ増やしていくということも必要になってくるんだろうと思います。ただ、今、当面言われておりますソマリア沖については、世界各国ミリタリーベーシスということで言わば軍隊です。海上警備行動を出そうというのは、日本関係船舶のエスコートという考え方で出しますが、一般法制になってくると必ずしもそれだけではない。多分、各国がエリアで責任を分担し合うということになりますと、軍隊同士の連携・分担ということになってくると思いますので、海上保安庁が整備を増やしてやれるという話では無いので、そこは分担ということが出て来ると思いますので、そういう意味で一部あなたが仰るような将来、マラッカ等々を警備をしていくための海上保安庁の装備充実ということが必要になってくるかもしれません。
(問)鴻池副長官の件ですが、先週の記者会見で2週に渡って同じ週刊誌に報じられていますが、今回は携帯電話を通じた機密漏洩の疑惑ですが、2週に渡って報じられたという状況、政権への影響というのは如何ですか。
(答)正直申し上げて分かりません。どこまで内容が事実なのか分かりませんので、コメントは致しません。

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