大臣会見

金子大臣会見要旨

2008年12月5日(金) 10:05 ~ 10:35
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議では当省に関係するのはありませんでした。特に私からご報告することはありません。

質疑応答

(問)大阪府知事が直轄事業負担金の減額を求めていまして、麻生総理も代表質問で直轄事業負担金については見直しを進めてまいりますと答弁をされていますが、今後どのような形でご検討されるのかというのがありましたらお願いします。
(答)大阪府知事の件というよりも、一般論としては、地方に財源が無いことによってこういう直轄負担金の在り方の見直しを求めておられる知事は他にもおられるのだと思います。是非この問題を知事会でどのようにしていくのか、というのをご検討頂く良いテーマではないかなと思います。そして今後は、交付税のあり方、あるいは国と地方の負担率のあり方といった仕組み、あるいは交付税の対応を検討する一つの契機であると思いますし、さらに突っ込んでいけば、国と地方の役割分担、これは地方分権改革推進委員会で議論されている訳ですけれども、そちらにも関連してくる話なので、これをあえて一般論として言えばそういう性格のものだろうと思います。

(問)昨日、総理が予算の復活折衝について形骸化しているので簡素化するようにという指示があったようですけれども、感想がありましたらお願いします。
(答)今日、総理からその話は閣議でも閣僚懇でも出なかったのですけれども、形骸化しているセレモニーをやるよりは、もっと実質的に予算編成の段階から閣僚同士でやってくれということを仰っているのだと思いますし、そういう意味では良いのではないかなと思います。

(問)整備新幹線のことを改めてお伺いしたいのですが、北海道の推進団体から、新函館と札幌までの一括認可を前提に、札幌-長万部の部分着工を求める決議が出されたことは大臣もご存じだとは思いますが、その認可と着工を分けたやり方について、昨日次官から、基本的に認可とお金を伴う着工区間は一体のものであるという認識を伺ったのですが、大臣のご見解は如何でしょうか。
(答)認可と言うからには、全体の財源問題というものが確保されていると。俗に、5条件といって、多分それだけでお分かりだと思いますけれども、そこのところが確保されずに認可はなかなか出来ないという状況です。仰るように長万部-札幌間ということで知事を含めて要望においでになられましたけれども、どのように対応していくのか宿題としてお預かりしています。

(問)基本的には次官と同様に、認可とお金を伴う着工区間は一体のものであるという整理をしているのですか。
(答)しています。

(問)3線同時着工という思いは、今のところまだ変わらないということでしょうか。
(答)結構です。

(問)雇用対策等の目的で公共事業の上積みをするべきだという議論があると思いますが、大臣のお考えは如何ですか。
(答)来年1月に入ると、派遣社員の方々の雇い止めが急速に増えてきます。今は失業率が逆に下がっていくおかしな現象が一時的に出ていますが、失業率が一気に上昇して来るというのが見えているだけに、この問題をきちんと取り上げていくというのは大変大事なテーマだと思っています。与党でチームを作って今日報告するようですが、何れにしても雇用対策にそれなりの対応をしていくと、決してここで出てきているのは公共事業ではないのだと思いますが、今日出てくる与党の雇用対策チームの対策の中では公共事業をやるべきだという話にはなっていないのではないかとの認識です。ただ、雇用に繋がるようなものというのはこれからも、昨日予算編成の基本方針で出ました通り「機動的、弾力的」という表現になりましたが、この中で、雇用に繋がる事業については政府として引き続き行っていくという方向は決めましたから、その中で公共事業が排除されるというものではありません。逆に言えば、公共事業も当然入っていくのだろうと、ただ、公共事業を行って雇用を増やすという発想ではなく、雇用に繋がる事業や財政出動をしていくという基本的な考え方だと思います。

(問)具体的にアイデアはお持ちですか。
(答)色々なアイデアが出始めていると思います。例えば、山の地籍調査というのがありますが、この山は誰のものか、「地籍」と言っていますが、境界線は今無いと、これはまだ我が国で20%しか出来ていない。これを行わないと山の手入れがなかなか出来ないのです。誰の山か分からないから。このまま放置しておくと、間伐作業が出来ない、段々枯れ果てて山が荒れていくという温床の1つになっています。例えば、ここにAさんとBさんの間の境界線を張っていく、杭を打ちながら縄で張っていくようですが、こういったものは、雇用を確保するという意味では、しかも地域の雇用を確保するという意味では有効な事業なのだそうです。将来に繋がりますので、その後の間伐作業といったようなことに繋がる、伐採というとそれなりのプロが居るのですが、杭を打って地籍という部分はプロではなくてもよいと、一人経験者がいて後はそれについて行くということですから比較的雇用に繋がるのだそうです。このようなイメージは色々あるものと思います。

(問)今の話ですが、実際に地籍調査に向けて何かやっているとか、具他的な計画は決まっているものはあるのでしょうか。
(答)確か与党のチームで何万人雇用という数字が出たのでしょうか。ちょっとまだ最後のまとめを聞いていないのですが。そこでは前提とされているのだと思います。これから機動的にということについては、更に機動的、弾力的に発動する時に対応していくのだと思います。

(問)川辺川ダムの件ですけれども、熊本県知事と九州地方整備局長と流域の市町村が加わった形での枠組みが一つ出来たと。九州地方整備局から流域市町村に対して今回の協議の場についての説明も今日午前中にあると聞いています。熊本県や流域の市町村に今回の協議で求める、望むことというのは何かございますか。
(答)蒲島知事がおいでになられて、ダムによらずに川と共生するという考え方を示されて、そしてこういう場で流域の皆さんと協議してみて下さいということですから、ダムによらない治水計画による治水の安全性と言いますか、この情報公開は国土交通省九州地方整備局からきちんと出させて頂きます。それを踏まえて流域の皆様に協議に参加して下さいと。ダムありきではない、という意味でどこまで治水がやれるのかということについて客観データを提出しますので、それを了とされるのか、その効果も含めてご協議頂きたいということです。

(問)今丁度、タクシーのワーキンググループが行われているのですが、2002年に規制緩和して以降6年来で大型再編の梶を切ろうとしているのですが、タクシー業界の現状と規制についてのお考えをお聞かせください。
(答)構造的に供給過剰状態が地域によって発生しているのではないかと。その結果として働く人、運転手さんに過剰労働、あるいは賃金の悪化、所得の低下と言うのでしょうか、そうした状況を引き起こしている地域があると。こういうものに対して必要な見直しをしていくべきであるという論点が審議会で議論されて、今日それがとりまとめをされるのかと思います。そういう意味で審議会の答申は受け取らせて頂きたいと思います。それを拝見させて頂きたいと思います。

(問)規制についてですが、特定業界に規制を入れていくところが市場原理と逆行するのではないかとの指摘もあると思うのですが、この辺りはどのように見ていらっしゃいますか。
(答)国が「箸の上げ下ろし」をやるよりは、地域において供給過剰が働く人、運転手さんの労働の悪化を招いているところで、関係者の皆さんで協議会を作ってもらってそこで議論してもらうという仕組みを導入していくと聞いていますが、それは1つのやり方であろうと思います。

(問)この件で労働者側の状況というのは分かりますが、その中で運賃の話も議論されており、下限と上限の幅を圧縮して運賃もこれまでより規制が強まる方向で話が進んでいますが、東京で昨年運賃を引き上げる時に、規制緩和の結果運賃の引き上げでは消費者の納得が得られないのではないかということで再検討しようということで交通政策審議会の審議が始まって、その結果運賃については、規制でどちらかというと上がるかもしれない方向に行くというのは利用者の方から納得が得られるのでしょうか。
(答)報告の中身を詳しく見てからですが、私が議論の経過を聞いている限りでは上限を設ける。つまり、利用者利便というのはきちんと考えるという前提で議論されているやに聞いています。

(問)道路の関係ですが、昨日自民党、公明党の道路の協議会が行われ公共事業に限定した1兆円規模の交付金を設置することで合意したのですが、そのことで自動車関係諸税の時限的な負担の軽減するということになった訳ですが、これについての受け止めをお願い致します。
(答)財政が我が国全体で非常に厳しい状況ですから、財源、暫定税率、自動車関係諸税について現行の税率を何とか原則維持したいと。これは与党のPTでそのように議論されていると。一方で、与党税制調査会ではそのような中で道路関係諸税の一部を、今世界の自動車会社が非常に競争力を失っている状況、アメリカもビッグ3をどうやって救済するか、フランス、ドイツも非常に自動車産業がおかしくなっている中で、我が国は自動車産業の競争力をどのようにしてつけていくか。その1つの材料として、良いエンジンを搭載する、CO2削減を実現できるような搭載車に対しては自動車関係諸税を優遇していくとの考え方が出て、今議論されていると思います。いずれにせよ、抜本税制改革の時に複雑になっている自動車関係諸税あるいはタックス・オン・タックスになっている部分、消費税とのタックス・オン・タックスについて簡略化するという方向、これも既にこれまでも出ている方向ですが、それはそういった前提で財源を確保させて頂くという議論が今は行われているのだと思います。

(問)暫定税率の件ですが、閣議決定では年末の抜本税制改革で検討するという文章があったと思いますが、先日のPTで決まった中身ですと、今後の税制抜本改革で検討すると先送りされてしまった訳ですが、この件についてはどうお考えになりますか。閣議決定そのものが骨抜きにされつつあるような印象を受けますが。
(答)前者の閣議決定の表現振りが一方、後者の抜本税制改革時というのが、同次元の話なのか確認致します。

(問)蒸し返すようで申し訳ありませんが、タクシーなんですが、地域でその関係者が協議会や計画を作って、それに基づいて国がタクシーの産業抑制なり一斉減車を、それも独占禁止法の特例措置として進めていくという、とても良くできた仕組みだとは思いますが、果たして国がそこまで踏み込む必要があるのかと。悪い言い方をすれば、意欲のある業者の参入を阻んだ上で、その意欲のある業者まで減車を強いるという、それを地域で、ある意味官製談合的なやりとりを進めていくという、そのような制度は如何なものかと思いますが。
(答)ご主張としては分かりますが、全体として構造的に、今何が起こっているのかということの中で考えていく必要があると思います。規制緩和のそもそもの原点、利便性、競争性、意欲を持って、意欲を失わせないという部分がありますが、一方で、その結果起こっている現象ということも我々は考えなければいけませんから、そういう中での仕組みがどうあるのが望ましいかということが審議会で出てくる意見だと思います。
                               
(問)また、決まってからということですね。
(答)はい。

(問)PTの与党案の1兆円の話ですが、イメージ的には臨時交付金の使途と規模を拡大するイメージだと思いますが、自治体の人からすると、臨時交付金でやっている事業は継続されるのかどうかという心配の声も聞くのですが、その辺は如何ですか。
(答)一貫して、国土交通大臣室においでになられる知事さん、市町村長・議会の皆様方が一番不安に思って訴えられてきたことは、今ご指摘のあった点です。道路事業というのは、完成までに時間がそれなりにかかるという意味で、安定し、かつ、継続して枠組みが維持されるという、途中でプッツリ切れるという話は、一番地方自治体の皆さんが不安に思っていたことだと思います。そういう意味で、今度の制度は来週の月曜日に政府与党で決着するのだと思いますけれど、そこからご指摘頂いたようなことがきちんと出来るような調整をしなければいけない部分があるのかもしれません。今の段階ではまだ分かりませんが。そういう意味では、額は別として安定した枠組みが出来るように、という地方自治体の期待には応えたいと思います。

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