第6回中長期ビジョン策定検討小委員会:議事概要

第6回中長期ビジョン策定検討小委員会:議事概要

 6月19日10:00より国土交通省(2号館)11階土地・水資源局会議室において、第6回国土審議会土地政策分科会企画部会中長期ビジョン策定検討小委員会が開催された。議事の概要は以下の通り。
 
 
 (1)事務局より、不動産情報の総合整備について説明が行われ、これをもとに議論が行われた。各委員から出された主な意見は以下のとおり。
 
 ◆不動産に係る情報として、価格情報、品質情報及び制度情報を含めた点は評価できる。
  
 ◆バブルは制御することが難しいが、何もしないわけにはいかない。不動産情報の総合整備においても、金融政策等との連携を図る必要があり、住宅価格指数等、政策に必要な情報をより強く出していくべきではないか。
  
 ◆1990年代後半から2000年にかけては、土地が一種のリスク資産であるという認識も広まり、否応なく土地を売った人もいるが、これまでは、それらの売られた土地を新しい所有者にどうつなぐかという政策的視点が欠けていた。不動産情報の総合整備は、土地を新しい所有者へとつなぐ情報提供がされるという意味でも意義がある。
  
 ◆ファンダメンタルズは安定しているという前提で、そこから離れたバブル状態を防ごうとしているように聞こえるが、実際は、ファンダメンタルズ自体が変動するため、情報の整備を行うことで不動産価格が安定するわけではない。資産価格が変動するということが明らかとなることで、国民がそれに対処しやすくなるというのがポイントなのではないか。
    
 ◆不動産に係る情報を一般の人が利用するのは、取引の時だと考えられるが、情報を持っていても、取引制度に問題があり、取引が自分の思うようにならない場合もある。取引制度ともリンクして検討すべきではないか。
  
 ◆不動産の価格関連情報の提供が増加していることは評価できるが、不動産の購入者や投資家は、価格のトレンドだけをみて意思決定をするわけではないので、単に情報量を増やせばいいというものではなく、どのような目的でどのような情報を提供するのか、検討をする必要がある。
  
 ◆個別の価格情報を充実させることも重要であるが、土地政策は、金融政策と連動していないと捉えられないものであり、今後の政策を検討するためには、不動産市場がどのような経済指標と相関性が高いのか、歴史的なデータを検証する必要がある。
  
 ◆不動産の総合情報の提供については、投資家だけを対象とするのではなく、より広い枠組みの中で検討する必要がある。また、どのような効果を期待して情報提供をするのか、なぜ国が情報提供するのかについて留意する必要がある。
 
 
 (2)事務局より、環境等新たな価値の不動産への取込み、CRE・PRE等の推進について説明が行われ、これをもとに議論が行われた。各委員から出された主な意見は以下のとおり。
  
 ○環境等新たな価値の不動産への取込みについて
 
 ◆環境性能の高い不動産は投資パフォーマンスが高いため、民間で研究が進み、ファンドが形成されている。行政の役割としては、インデックス等インフラの整備が重要なのではないか。
    
 ◆環境性能が低い不動産についての対応を検討する必要がある。
    
 ◆市場を通じて環境配慮型不動産の普及に貢献していくという方向性をより明確に示すべきである。また、環境不動産を普及させるためのインセンティブと規制のあり方について検討する必要がある。
     
 ◆日本は社会ストックの老朽化が進んでおり、ストックの更新の際には、耐震化や環境性能の向上等を図るべきである。また、主要都市においてエリアマネジメントという観点を入れていけば、産業の競争力の向上やソフトパワーの強化にもつながる。
     
 ◆環境基準は国際基準に準拠すべきではないか。会計制度と同様、後で国際基準にあわせるコストが生じるおそれがある。
    
 ◆イギリスでは、不動産の取引の際に、買い手が取引対象の不動産のエネルギー効率について情報を開示する義務を負っている。日本でも、不動産のエネルギー効率をデータベース化して国が保管する必要があるのではないか。
    
 ◆取引価格情報の提供は不十分であるため、研究者は評価手法に係る経済分析が十分に行えない。研究者向けの情報提供があっても良いのではないか。
    
 ◆外部経済・不経済に係る紛争については、外部不経済のデータを計測し、市場メカニズムを取り込んだ解決方法を構築することが重要である。
    
  ○CRE・PRE等の推進について
 
 ◆これまでの政策は、規制や誘導が中心だったが、PRE・CRE戦略の推進は、情報や知識のない自治体や企業が、適切な意思決定をするための手助けとなるものである。市場に任せていたら軌道に乗らなかったであろうものであり、その点で意味があると思う。

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