大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年6月20日(火) 10:05 ~ 10:25
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)G7交通大臣会合について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
先週16日(金)から18日(日)まで3日間、三重県の伊勢(いせ)志摩(しま)において、G7交通大臣会合を開催しました。
今回の会合では、「イノベーションによる誰もがアクセス可能で持続可能な交通の実現」をテーマに、あらゆる人々の公平で安全かつ円滑な移動の確保や、温室効果ガスの排出量の大幅な削減に取り組む必要があることなどについて、G7としての共通の方向性を確認し、会合の成果をG7交通大臣宣言としてとりまとめました。
加えて、ウクライナのクブラコフ復興担当副首相兼地方自治体・国土・インフラ発展大臣をお招きした上で、ウクライナの交通分野の復興のあり方について議論し、G7各国の共通した認識を大臣宣言に盛り込みました。また、今回の会合では、地元の方々に多大なる御協力をいただき、各国の方々に我が国の魅力を伝えることができました。
例えば、地元の高校生がグローカル学生大使となり、エクスカーションの際に英語で解説を行っていただき、各国の大臣も、そのホスピタリティに対して、大変感銘を受けていました。
また、高校生の人たちが、レセプションでは演奏や、地元の安乗(あのり)の人形劇、それから地元の食材を使って自ら、例えばお寿司を握ったり、いろいろな料理を作ってもてなすことをしていただき、先ほど申し上げましたが、各国の大臣も大変地元の皆さんのホスピタリティに対して、感銘を受けていらっしゃったことも特に強調させていただきたいと思います。
今回の会合に続いて、来月には、G7都市大臣会合を香川県高松市(たかまつし)で開催する予定です。
こちらについても、引き続き、準備に万全を期してまいりたいと思っています。
私からは以上です。

質疑応答

G7交通大臣会合の成果について

(記者)

G7交通大臣会合について、改めてなのですが、今回の会合でどのような成果が得られたか、また、成果を今後どのように生かしていくかお聞かせください。

(大臣)

まず成果についてです。
今回、G7交通大臣会合としては初めて「バリアフリー化の推進」、「地方等での移動手段の確保」、「交通分野の脱炭素化」を主要な議題として取り上げました。
これらの施策課題は、G7各国の交通部門が直面している高齢化の進行や、温室効果ガスによる気候変動といった社会的課題に起因しているものであると認識しています。
こうした施策課題に対して、G7各国が認識を共有し、取り組むべき施策の方向性を大臣宣言として取りまとめられたことは、非常に大きな成果であったと考えています。
この交通大臣会合は長らく行われていなかったこともあります。
今挙げたバリアフリーについても、地方等での移動手段の確保についても、脱炭素化についても、これまで主要議題で取り上げられてなかったことで、今回我々何を議題にしようかという議論をしたときに、ある意味で私も初めこういう課題がこれまで取り上げられていなかったことに対してびっくりしたというのが正直なところです。
非常に重要な課題ですので、これらを課題としたところです。
今後の方針については、今回の大臣宣言を取りまとめた議長国として、引き続き、G7各国や各国の民間企業等と連携しながら、G7における議論をリードし、宣言に記載された内容を着実に実施していく必要があると考えています。
こうした認識のもと、今回の大臣宣言で合意した「バリアフリーの普及・実現に向けた実務者会合」をやっていこうと決まりました。
バリアフリーについての意識についてもっと議論をして、共通の認識を持つ必要があるのではないかと感じたところです。それから、「グローバルな交通サプライチェーンの強化に向けたワーキンググループ」の設立も検討することとなりました。
検討となっていますが、設立することになると思います。
特に関心があったのは、今回太平洋側西海岸で大変大きな混乱が生じたアメリカ、カナダについては、このグローバルな交通サプライチェーンの強化に向けた連携をG7各国でしっかりやっていかなければいけないのではないかという強い問題意識が示されたところです。
それから、地域公共交通などに関するG7各国の政策集の編纂です。
日本は特に過疎化が進む地方の地域公共交通をどう守っていくかという問題意識だったのですが、各国それぞれ地域の交通課題については、それぞれ国の事情があるようですので、まずどういう課題をどの国が持っているか、それに対してどのような政策を打っているかをまず集めて、皆で勉強し合おうという意味で政策集の編纂となりました。これらについて合意したところです。
我が国がこれらの取組みをリードするとともに、我が国の交通政策を検討する際に活用したいと思っています。
また、脱炭素化に向けた取組みについては、各交通モードで取組みを進めていくにあたって、G7が協力していくことを確認したところです。
我が国としては、今回の会合での議論を土台として今後の国際機関における議論をG7がリードし、その意思決定において、G7の考えが反映されるよう、取り組んでいきたいと考えているところです。

地域公共交通活性化に向けた決意について

(記者)

今国会では、地域交通法の改正が実現しました。
正に、今回のG7の交通大臣会合でも地域交通は話し合われたと思うのですけど、今後改めて、法改正の意義ですとか、今後、その地域の足を守っていくためにどのような実現性の高い施策を打っていくのか、改めて大臣のお考えをお伺いします。

(大臣)

正に、今回のG7の会合でも日本の現状を報告し、そして、こういう法律を今国会で作ったことも報告をさせていただいたところです。
今国会で成立した改正地域交通法は、一部を除いて、本年10月1日から施行することが本日の閣議で決定されました。
これまでも申し上げていますが、今般の法改正と予算措置により、地域公共交通のリ・デザインのための政策ツールが大幅に拡充されています。
国土交通省では、これを最大限御活用いただくため、法律の施行に先駆けて、全国10ブロックで説明会を開催するなど、関係者に対する制度の周知や活用の働きかけを行っているところです。
国土交通省としては、現場力も活かして地域に寄り添いながら、リ・デザインの取組みが全国各地で展開され、本年が「地域公共交通再構築元年」、このように宣言させていただきましたけれども、それにふさわしい年になるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
G7の交通大臣会合でも日本の少子高齢化・人口減少と地域の過疎化についてお話しをし、そして、どのように地域の公共交通を守っていくか、各国の大臣からは、移動の自由を確保することが、いわゆるG7各国の民主主義と法の支配という共通の価値観、その根底に位置するという認識も含めて、このG7各国で連携して移動の自由についてしっかりと共通した認識を持ってやっていこう、こういう認識も得られたところです。
そういう意味で特に高齢化がG7各国の中で最も進んでいる、これから進む、また人口減少も著しいという例も図を持って示されましたけれども、そういう中で、日本の今後の取組みについて、各国非常に大きな関心を持っていただいたと思っています。
そういう意味でも、今回、この法律改正により、新しい枠組み、予算、仕組みで取り組んでいくわけですけれども、是非成功させたいと決意しています。

6月18日(日)に北海道で起きたバスとトラックの衝突事故について

(記者)

北海道八雲町(やくもちょう)の国道で18日、トラックと都市間高速バスが衝突して、5人が亡くなる事故が発生しました。
今回の事故を受けての国土交通省としての対応をお聞かせください。

(大臣)

18日(日)正午頃、北海道(ふた)()(ぐん)八雲町の国道5号線において、自家用トラックがセンターラインをはみ出して、対向車線を走行中の高速バスに衝突し、高速バスの乗員・乗客及び自家用トラックの運転者の計5名がお亡くなりになり、また、高速バスの乗客12名が重軽傷を負うという、大変痛ましい事故が発生しました。
まずは、今回の事故でお亡くなりになられた方、またその御家族に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
また、今回の事故に遭遇された方々に対し、心からお見舞いを申し上げる次第です。
国土交通省では、事故発生後直ちに事故対策本部を設置するとともに、高速バスを運行する北都(ほくと)交通(こうつう)株式会社の運行管理の状況等について、北海道運輸局が確認を行ったところです。
引き続き、警察による捜査に協力するとともに、国土交通省としても、事実確認を進め、被害者支援など必要な対応を速やかに行ってまいりたいと思います。

国土交通省OBによる民間企業役員人事への介入について

(記者)

天下り問題について質問させていただきます。
昨日の朝刊で、朝日新聞で出したのですが、未公表の人事情報を、OBに送信していた問題で、朝日新聞が主要な19省庁に同様の行為を行っていないか聞いたところ、国土交通省以外がやっていないと答えました。
大臣はこれまで「線引き」については、ボランティアで作って、あくまで慣習的に広く共有されてきたものだと述べてきていますけれども、今回の朝日の調査で国土交通省のこの行為が特殊だったということがよく分かったと思うのですが、大臣はどう受け止めていますでしょうか。

(大臣)

現役職員の異動情報が記載された、いわゆる「線引き」が、内示後とはいえ公表前に外部の者に共有されていたことは遺憾であり、国民の目から見ても疑惑を招きかねず、国土交通大臣として、大変重く受け止めています。
異動情報の管理を徹底するため、「線引き」については、外部への送付及び発令前の送付は一切禁止するとともに、退職者が分かる情報は載せないこととするなど、既に、これらの是正を指示済みです。
この点しっかり私が指示を出してやっていきたいと思っています。

(記者)

このアンケート調査で、他の省庁は皆さん回答があったのですが、国土交通省だけは回答がなかったのですが、同様の主旨の調査は内閣人事局もしていると思うのですが、内閣人事局への調査については回答されるのでしょうか。

(大臣)

これまで御社から国土交通省の担当者に送付されている質問状については、膨大な事実関係について確認を要する等の事情から、回答がなされていないものであると聞いていますが、詳細については、事務方にお尋ねいただければと思います。
内閣人事局に対しては、しかるべく対応をしていると思っています。

(記者)

確かに官僚の皆さん本当に忙しくて、我々が質問したことに対して、膨大な作業量があると思うので、期日が遅れたり、そういうのは重々承知しているのですが、内閣人事局に同様のことは答えているのに、朝日新聞にも同様の答えをするだけで済むはずなのに、答えないというのは作業量という問題よりも当事者としての誠実さを欠いている問題だと思うのですが、その点はいかがですか。

(大臣)

このことについても事務方にお問い合わせ願いたいと思いますが、御社からの担当者への質問は、内閣人事局に対するよりもかなり膨大な作業量を要すると私は聞いています。
事務方にお問い合わせください。

(記者)

維新と立憲が、OBのあっせん行為を禁止した天下り規制法を提出しましたが、この法案について受け止めをお願いします。

(大臣)

議員立法に対してですので、担当大臣として、国土交通省としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますし、国家公務員制度全体にかかることで、所掌外のことでもあります。
コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

(記者)

あと最後に国会が終わるので総括的な質問をさせていただきます。
結局我々の取材の問題意識としては、今OBが好き放題できるという制度について、どうなのだということをずっと紙面で投げかけ続けてきました。
結局OBについてこれだけ問題が国会で話し合われてきましたけれども、OBについては結局何の歯止めがないまま、大臣は結局自覚と猛省を促すだけという対応になっています。
また時が過ぎれば、同じようなことがどこかで起き得る、結局この何が問題かというと、市場が歪められて、最終的には日本の国益を損ねるような問題につながっていくと思います。
政治家として、このままこの問題はもうこれで終わりという考え方でよろしいのでしょうか。

(大臣)

国家公務員法全体に関わる問題で私の所掌ではありませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、国土交通大臣としては平成19年に大変な議論が行われて、国家公務員の再就職規制についての法律ができた、そして再就職等監視委員会も設立されたと認識しています。
私としては法律を厳格に守っていく、このことはしっかりと国土交通省責任者として行っていきたいと思っています。

(記者)

今回、法律についてはあれなのですけど、法律がないOBがやっていたということで、もちろん国土交通省の管轄外の話ということはわかっているのですけど、政治家として、そこを司っていた政治家として、この問題をそのままOBが好き放題できるという制度のままでいいのかというのが、私が聞きたかったことなのですけども。

(大臣)

私は、平成19年前後だと思いますが、その時の議論も議員としていました。その議論に参画させていただきました。
あらゆる角度から本当に深い議論がなされたと思います。
日本全体として、有用な人材をどのように活用していくのかという観点もあり、与野党、本当に真剣に議論をして、あの法体系が決まったと思っています。
その決められた法体系をしっかり守っていくことが、今の国土交通大臣としての私の仕事だと思っています。

ページの先頭に戻る