房総半島は、日本列島のほぼ中央、関東地方の最南部に位置する。南房総地域は、この房総半島の富津岬と太東岬を結ぶ線から南の区域であり、西は、東京湾の浦賀水道、南東は、黒潮と親潮が交わる太平洋に面し、北部は、平坦な両総台地につながっている。東京都心とは、東京湾をはさみ40~80kmと比較的近距離に位置している。 規模については、面積は約1,188k㎡で千葉県の面積のおおむね20%を占めている。人口は約25.8万人で、千葉県の人口のおおむね4%である。人口密度は、約217人/k㎡で千葉県の約1,212人/k㎡、全国平均の約339人/k㎡に比して低くなっている。本地域は、6市、3町の区域からなり、2つの広域市町村圏全域と1つの広域市町村圏の一部が含まれている。
地形については、東西に60km、南北に50kmにわたる太平洋に突き出た三角形の地域である。面積の約80%を房総丘陵が占め、県内の最高峰愛宕山(408.2m) をはじめとして山地・丘陵が多い地形となっており、その間を流れる河川は、比較的急勾配になっている。本地域の三方を囲む海岸線は、海岸延長241kmにおよび、変化に富む美しい景観により、そのほとんどが南房総国定公園として指定されている。
気候については、夏涼しく、冬暖かい温暖な海洋性気候に属し、無霜地帯も多い。特に南部においては、嶺岡山系等が屏風の役目を果たし、北風が弱いこともあって、冬も温暖な気候となっている。年間降水量は、2,000mmを超えることも珍しくなく、近隣に比して極めて多く、高低差のある地形と相まって森林等の植生が豊かである。
土地利用については、比較的山林丘陵の多い地形のため、農地、宅地の占める割合は県内他地域(千葉県平均 農地25%、宅地15%)に比して農地19%、宅地6%と少ないが、森林面積は全県の42%を占めている。また、南房総国定公園及び4つの県立自然公園が本地域の9%を占めるなど首都近郊にあって今なお美しい自然が残されている地域である。
歴史的な背景については、古来、海路の玄関口、中継地となっており、また大消費地江戸(東京)への、酪農、果物、魚介類など特色ある生鮮食料品の供給の場としての役割を果たしてきた。さらに、温暖な気候と豊かな自然を求める文人墨客の別荘地として親しまれてきた。