旅客機を利用された際、機内アナウンスによりシートベルトの常時着用をお願いさせていただいておりますが、それは予測が困難な気流の乱れ(タービュランス)によって突然機体が揺れ、お客様が体勢を崩し、座席シート等に身体を打ち付け怪我をさせないようにお願いしております。
航空会社は、運航乗務員(パイロット)と客室乗務員(キャビンアテンダント)間で揺れの予想情報をインターフォンにて常に共有し、揺れが想定される空域を飛行する際は、早めにベルト着用サインを点灯させ揺れに備えていますが、突発的な揺れにより、お客様や客室乗務員が負傷(骨折)する事案がほぼ毎年発生しています。
負傷時の状況ですが、実はシートベルトを適切に締めていなかったため、縦揺れで体が浮き骨盤等を強打、又は横揺れで肘掛けに肋等を強打する等で負傷しています。
以下のグラフは、事故調査を行う運輸安全委員会が発行した運輸安全委員会ダイジェスト(第44号)に掲載されている過去20年間の重傷者数の推移となり、20年間で乗客18名、客室乗務員26名が重傷であったことを示しています。
当該ダイジェスト5ページ(5.負傷の状況及びシートベルトの着用状況)において、乗客18名の内、着席中に負傷した乗客8名(シートベルト着用4名、シートベルト未着用3名、抱っこ(幼児)1名)の中で、シートベルト着用していた4名の負傷者の内2名は、シートベルトの適切な着用をしていなかったことが報告されており、シートベルト未着用3名も含めると8名中5名が、着席中のシートベルトを適切に着用していれば防げた事故だったことが分かります。
(グラフの出展元)運輸安全委員会ダイジェスト第44号(令和6年3月発行)
jtsbdi-No44_all.pdf (mlit.go.jp)
右のグラフは、ICAO(国際民間航空機関)が毎年発行するSafety Report 2020年版 から2023年版におけるタービュランスによる航空事故を件数表示したものです。
当該4年間のSafety Reportにおいてもタービュランスによる航空事故が世界的にも多いことが記載されています。
(参考)ICAO Safety Report
Safety Reports (icao.int)
旅客機を利用される旅客の皆様には、我が国及び世界のタービュランスによる航空事故の発生状況をご認識いただき、着席時のシートベルトは腰の低い位置で緩みのないよう締めるようご協力をお願いいたします。
(写真の出典元:日本航空株式会社)