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東谷 望史(とうたに もちふみ)

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最終更新日:2010年4月12日

馬路村農業協同組合 代表理事組合長(高知県馬路村)
東谷 望史(とうたに もちふみ)

主な経歴

1952年
高知県生まれ
1973年
高知県馬路村農業協同組合入社
1983年
高知県馬路村農業協同組合販売課長
1999年
高知県馬路村農業協同組合生産加工課長
2000年
高知県馬路村農業協同組合生産加工課長・参事(兼務)
2001年
高知県馬路村農業協同組合代表理事常務
2002年
高知県馬路村農業協同組合代表理事専務

カリスマ名称

「特産品(ゆず加工品)と共に村をまるごとブランド化に導いたカリスマ」  

選定理由

人口約1,200人という林業で生計を立てていた過疎の山村が、昭和56年からゆず加工品の販売をはじめ、平成15年には売上が29億円を超えるまでになった。東谷氏はこの加工品の開発、生産、販売に携わるとともに、観光地や温泉など村の情報をまるごと売り込む作戦で、馬路村ブランドの確立に中心的な役割を担ってきた。この知名度アップにより、県内外から多数の視察や観光客が訪れるようになるなど、観光交流の面でも大きく貢献している。

具体的な取り組みの内容

馬路村は、高知県高知市から車で走ること2時間、周囲を1000m級の山に囲まれる人口約1,200人の典型的な過疎の山村である。村の面積のうち96%が山林であり、林業が村の基幹産業であった。しかし、長期の木材価格の低迷などで林業は徐々に衰退していった。そうした中で、安定収入が見込める農産物として目を付けたのが、自家用に栽培していたゆずだった。馬路村には100年を超えるゆずの古木があり、毎年秋には黄色い実がなり、その実を絞り料理に使うという食文化があった。そこで、昭和40年頃から馬路村ではゆずの本格的な生産に着手した。
馬路村の風景
馬路村の風景
ゆずの実る風景
ゆずの実る風景
当初はゆずを青果物として販売していたが、生産者の高齢化により手入れが行き届かなくなりゆず果実の見栄えが低下、販売に苦慮し、農協は常に赤字を抱える状況にあった。そこで、昭和50年代半ばに馬路村農協の販売課長となった東谷氏は、ゆずを青果でなく加工品として有利販売する方向を模索し始めた。そして、昭和54年に農産加工商品第1号「ゆず佃煮」を商品化。昭和55年から京阪神で販売促進を開始し、昭和56年から産地直送事業を始める。

昭和61年には、ポン酢しょうゆ「ゆずの村」、昭和63年にはゆずジュース「ごっくん馬路村」(馬路村公認飲料)を商品化した。東谷氏は、これらの商品開発に携わる一方で、営業のため、県内外への宣伝販売や物産展へ積極的に参加した。これは延べ日数にして年間80日にも上った。こうした地道な努力の甲斐もあって、徐々に馬路村産のゆずの加工品が消費者に認知されるようになった。

また、日本の101村展において昭和63年にポン酢しょうゆ「ゆずの村」が最優秀賞、平成2年にゆずジュース「ごっくん馬路村」が農産部門賞を受賞したことも、馬路村を全国区にしたきっかけの一つである。

こうした成功の背景には、「名前も知らない村の特産品は売れない。名前を知らない村へは遊びに行けない。最初は村を売るしかない。」とのコンセプトのもと、「馬路村をまるごと売り込む」という販売戦略があったからである。これは商品デザインを外部の企業に委託し、デザインを「田舎」で統一し、商品のラベルやポスターのモデルに、村の子どもや農家のお年寄りを起用するなどローカル色を前面に打ち出した。

また、少しでも馬路村に訪れてもらおうとの考えから、直販の顧客に対し、季節感あふれる馬路村の様子や楽しみ方を情報提供する「ゆずの村新聞」や馬路温泉の無料入浴券、JAや村長あてのはがきなどを同封して、馬路村に来るためのきっかけ作りなども行っている。 
ローカル色を打ち出した<br>ラベル・カレンダーのイラスト
ローカル色を打ち出した
ラベル・カレンダーのイラスト
「ごっくん坊や」
「ごっくん坊や」
ローカル色を打ち出した<br>ラベル・カレンダーのイラスト
ローカル色を打ち出した
ラベル・カレンダーのイラスト
以前の馬路村農協パンフレット
以前の馬路村農協パンフレット

成果

林業が基幹産業であった小さな過疎の村が、高知のみならず全国的にも有名になり、今や全国各地に約35万人の顧客を抱え、ゆず加工品の売上は年間29億円を超えるまでになった。農協の加工場には、馬路村役場よりも多い60人以上が働き、全国各地から年間200~300団体もの視察団や年間6万人もの観光客が訪れるようになるなど、馬路村の活性化にもつながっている。
ゆずの収穫風景
ゆずの収穫風景
ゆず搾汁工場内部
ゆず搾汁工場内部

馬路村活性化協議会への参加

平成11年には、馬路村役場、馬路村農協、馬路村森林組合、エコアス馬路村(第3セクターの木工製品製造工場)、商工会、観光協会で「馬路村活性化協議会」を設立し、農業、林業、観光を中心に馬路村の活性化ビジョンとして「馬路村まるごと販売術」を作成。当初は組織の代表のみで構成する協議会となっていたが、現在は東谷氏もこの協議会に参加し、地域活性化に向け、それぞれの組織と連携しながら各組織が体験分野に応じて活動を行えるよう観光客の受け入れ態勢を整えて、商品販売を共同のコンセプトで実施している。

各種講演活動等への取り組み

不便不利な地域でもやればできるという証明と新しい村おこしの手法としてテレビや新聞等多くのマスコミから取材されるとともに、過疎の山村で頑張る姿が共感を呼び、県内外から多くの講演依頼があり、各地で、馬路村が全国ブランドになるまでの取組を紹介している。「田舎は都会を追従するのではなくて、徹底した田舎にこだわった田舎づくりを目指す。都会があこがれる田舎を目指す」(東谷氏)。
 また東谷氏は、平成15年には、地域経済活性化に成功した実績のある「地域産業おこしに燃える人」に選定され、首相官邸での意見交換会に出席するなど、講演活動等も精力的に行い、馬路村の更なる知名度アップに努めている。

今後の取り組み

馬路村農協では、農産物直売所、パン工房「ゆずの花」や視察客のために研修室や70人収容の会議室などを併設した農協本所が完成している。これらの施設は、村の歴史を大事にしたいからとの思いから、森林鉄道の連絡所跡、車庫跡、営林署本庁舎など旧営林署関係の施設を改修したものである。これらの施設は「ごっくん馬路村」の新工場や観光客向けレストラン、商品の販売などを一体的に整備する、ミニテーマパーク計画「ゆずの森構想」の中の一環。今後、村内外からもっと多くの人に馬路村に立ち寄ってもらえるよう、平成19年を目処に交流施設の整備と新商品の開発により更なる観光受入の推進を図っていく。
ゆずの森構想のイメージ図
ゆずの森構想のイメージ図
パン工房「ゆずの花」
パン工房「ゆずの花」

参考資料

・平成16年1月3日 日本農業新聞
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このページに関するお問い合わせ
東谷氏ご勤務先(原則ご本人が対応)
電話 0887-44-2021
FAX 0887-44-2001
E-mail moti-toutani@yuzu.or.jp

関連情報はこちら→馬路村農業協同組合のホームページ

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