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徳永 巧(とくなが たくみ)

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最終更新日:2010年4月12日

グランドワーク大山蒜山 代表(岡山県真庭市)
徳永 巧(とくなが たくみ)

主な経歴

1956年
岡山県生まれ
1979年
岡山県落合町役場主事
1982年
岡山県落合町役場退職
自然環境調査会社を設立
1991年
「晴れの国野生生物研究会」設立
1994年
「21世紀の真庭塾」事務局
1999年
「真庭遺産研究会」設立  
2004年
NPO法人岡山環境カウンセラー協会理事

カリスマ名称

「美しい自然や文化遺産等をグリーン・ツーリズムに結び付けるカリスマ」

選定理由

県北部の9町村を含む真庭地域において、失われつつある農村固有の自然や風景、歴史遺産にスポットライトをあて、その保全と活用方法について検討することを目的に「真庭遺産研究会」を設立し、その事務局長としてこれら自然資源等を活かしたグリーン・ツーリズムやエコツーリズムを推進し、真庭地域の景観保全や観光振興に貢献している。

具体的な取り組みの内容

岡山県の真庭地域は、岡山県の県北に位置し、落合町、久世町、勝山町、湯原町、新庄村、美甘村、川上村、中和村、八束村の4町5村により構成される中山間地域である。

徳永氏は昭和58年より岡山県真庭地域を中心に、中国山地の農山村で「自然生態系と農村景観の保全」の大切さを唱え、50を超える自治体(町村)や団体に景観保全と自然生態系保全の助言指導を行い、景観保全条例の制定や自然保護計画の策定に関与してきた。

 平成3年より野生生物の専門家と野生生物保護のための研究会を組織し、中国地方を中心にオオサンショウウオなどの生息環境調査を行うと共に、真庭郡内や大山山麓で親子を対象に自然観察会を多数開催するなど、子ども達に農村の自然や生物の大切さについて教える環境学習の講師も務める。

また平成11年には、イギリスのグラウンドワーク・トラストやフランスのエコミュージアムを参考に、岡山県真庭郡において農村型グラウンドワーク組織となる「真庭遺産研究会」を設立し、その事務局長(代表)として、地域住民が大切にしたいと思っている故郷(真庭)の自然や景観、風物詩、原風景、歴史的資源、古民家、大きな木、伝統技法などの遺産的資源(ローカル農村遺産)を活かした農村観光やグリーン・ツーリズムを推進している。

その他にも西日本を中心に茅葺きサミット準備会を組織し、全国レベルのシンポジウムやフォーラムを開催するなど、全国的な活動を展開するとともに、地元企業や農家と連携し、茅葺き民家を活用する「田舎暮らし・ローテク環境観光ビジネス」に取り組んでいる。
調査風景
調査風景
大山(だいせん)でのエコツアー
大山(だいせん)でのエコツアー

真庭遺産研究会の設立と主な活動

(1)設立
「真庭遺産研究会」は、岡山県においてグラウンドワーク活動を実践する活動組織として、徳永氏の提唱のもと平成11年5月に結成された住民団体で、地域住民が大切にしたいと思っている故郷(真庭)の遺産的資源を調査、紹介することで、その保護保全をはかり「美しい日本の自然と風景の保全再生」を目指している。
会員は、真庭郡内の農家や自営業者、会社員、主婦等で構成され、これまで延べ5,000名を超える活動参加者を得てきた。
真庭遺産研究会の協議風景
真庭遺産研究会の協議風景
(2)主な活動
「真庭遺産研究会」は会発足の平成11年5月以来、地元自治体との連携で調査研究活動や環境保全活動を展開している。

主な活動として、景観シンポジウム「蒜山地域の景観の保全と形成を考える」の開催をはじめ、真庭郡内各地で古道(旧街道)シンポジウム、里川ワークショップ、水辺の環境学習会、希少植物調査会、古民家保存調査会、茅葺き民家保存活用のシンポジウム等を多数開催している。

また、久世町、落合町、新庄村、勝山町で町内の遺産資源の写真冊子を作成し、全戸(久世町と落合町)配布するほか、山陽新聞(地方新聞)に真庭の自然や風景、歴史遺産を紹介する記事連載(過去78回連載)を行うなど環境保全活動や啓発活動を行っている。

真庭郡北部は、国の特別天然記念物「オオサンショウウオ棲息地」に指定され、地域固有の生態系がみられることから、石積み護岸の復元や技法の伝承など、伝統的な川づくり工法に着目し、「里川工法」による「昔懐かしい故郷の川」の保全再生に取組んでいる。

平成15年10月および11月には、グリーン・ツーリズムや茅葺き民家の専門家、学識経験者、副知事、農政ジャーナリスト(浜美枝氏)を講師として招き、「草葺きシンポジウム」を農村(真庭地域)と都市(岡山市)で開催するほか、平成16年3月には、有名ニュースキャスター(筑紫哲也氏)、国土交通省大臣官房審議官、文化財建造物保存の第一人者を招き、「ふるさとと日本の風景とスローライフ」と題した「美しい日本の風景を語るシンポジウム」を開催するなど、古民家の再生・保全に取り組むグループが全国各地から参加する全国規模のシンポジウムも開催している。

さらに、JR西日本と連携し、バスツアー「美しい日本の風景・秋の蒜山大山の旅」を企画開催するほか、「草葺き源流紀行」と名うって、中国地方の古民家や自然を巡るツアーを開催するなど、都市部に向けた観光・交流の場の提供を行い、新しいスタイルで農村ツーリズムに挑戦している。
茅葺き源流紀行の風景
茅葺き源流紀行の風景
JRとの連携によるエコツアー
JRとの連携によるエコツアー
蒜山(ひるぜん)高原でのエコツアー
蒜山(ひるぜん)高原でのエコツアー

成果

20年近くにわたる地元自治体と連携した農村景観や自然生態系の保全活動、景 観資源の掘り起こし活動の結果、真庭地域には美しい自然や懐かしい景観を大切に し、地域の遺産として活用しながら継承しようという住民と行政のパートナーシップ活動が根づいた。

例えば、川上村など真庭郡北部では、中国山地の自然を活かした自然観察公園が整備されたほか、エコツーリズム事業が推進され、優れた自然環境や希少な野生生物を保護保全しながら都市農村交流が進められている。

また、新庄村および勝山町では、これまでの町並み保存事業とあわせて、昔懐かしい自然や農村景観、歴史的遺産を大切にしようという気運が高まり、これら素朴な農山村の魅力に惹かれて、多くの都市生活者が訪れている。
勝山まちなみ視察
勝山まちなみ視察
保存活動中の新庄宿茅葺き民家
保存活動中の新庄宿茅葺き民家
そして、雄大で牧歌的な火山麓の農村風景が広がる蒜山地域(川上村、八束村、中和村)では、景観条例による高原農村景観の保全がはかられており、高速道路(米子道)の開通と、自然生態系を活かした観光拠点や施設(サイクリングロード、牧場自然公園、エコロジーキャンプ場など)の整備などもあって、この15年の間に観光客にして100万人もの増加をみることになり、現在、年間250万人の観光行楽客で賑わっている。
自然観察公園(津黒いきものふれあいの里)
自然観察公園(津黒いきものふれあいの里)

今後の取り組み

愛すべき田舎も、現在、過疎高齢化や産業構造の変化にともない、かつて見られた美しい農村風景や伝統文化が失われつつあり、農地や山林の荒廃も進んでいる。

このような中、求められているのが住民・NPO等による環境保全活動であるが、活動する人間が少数固定化し、行政とのパートナーシップをはかるにも情報不足、専門性不足、人材不足などの問題に直面する。
これを解決する方策として、都市農村交流が考えられるが、自然観・価値観の違いや交通距離の問題、生活文化の違いなどから多くの障害も見えてきている。

そこで、価値観や境遇を同じくする他地域農村生活者との交流を目指す。県境や町村境という行政的な区域わりは存在するものの、田舎では、似たような地域課題や「ふるさとへの思い」を抱いており、農山村ならではの温かい人情や、同じ境遇にあるものどうしの連帯感もある。そして、今や「田舎暮らし」に憧れて農山村に移住する「新しい田舎人」も数多くおり、地域での生活や集落づきあいに悩むものも多い。これら古くから田舎に暮らすもの、新しく農山村に移り住んだものを「自然との共生の実践」をテーマに、行政の枠を超えて、連携する仕組みをつくり、田舎において境遇を同じくするものが力をあわせて活動を展開するネットワークづくりを中国山地において進めている。

こうした自然や風景の保全による活性化の一環として、まず平成17年11月には、中国山地の市町村のほか、阿蘇地方や信州などの草原地域との連携による「第7回全国草原サミット・シンポジウムin大山・蒜山」の開催を予定している。
大山蒜山草原シンポジウムポスター(平成16年)
大山蒜山草原シンポジウムポスター(平成16年)
草原シンポジウム現地見学
草原シンポジウム現地見学
さらには、廃屋化していく茅葺き民家、蒜山高原の草原に産する茅(ススキ)など里山バイオマス資源に着目し、農村風景の保全に関心をもつ地域住民、地元企業、農業法人、NPO等を異業種交流的に連携させ、「スローライフ田舎暮らし」をテーマにした中山間地での環境コミュニティビジネスの事業化を進めている。
 これからは、中国地方での活動をベースに、農村に残るローカルな景観資源や風景を保全しながら活用する全国レベルの情報ネットワーク組織「日本ローカル遺産研究会」を発足させ、「美しい日本の自然と風景の保全再生」による地域資源を活かした観光交流の活性化を進めていきたいとしている。

参考資料

・平成11年5月10日 読売新聞
・平成12年2月29日 山陰新聞
・他 関連記事
このページに関するお問い合わせ
徳永氏ご連絡先(原則ご本人が対応)
電話  0867-55-2831
FAX  0867-55-2832
E-mail eac-gren@po.harenet.ne.jp

関連情報はこちら→真庭遺産研究会のホームページ

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