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斎藤 一彦(さいとう かずひこ)

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最終更新日:2010年4月12日

常磐興産株式会社 代表取締役社長
斎藤 一彦(さいとう かずひこ)

主な経歴

1945年
福島県いわき市生まれ
1968年
中央大学法学部卒業
常磐湯本温泉観光(株)(現常磐興産(株)))入社
1994年
観光事業本部ホテルハワイアンズ総支配人  
1997年
常磐興産(株)取締役観光事業本部長
2002年
常磐興産(株)代表取締役社長

カリスマ名称

「観光による地域再生のカリスマ」
独創性ある温泉施設を次々と投入し、地域経済の再活性化に貢献している。

選定理由

独創的なアイデアと行動力で温泉施設を全国区の温泉テーマパークに育て上げ、地元雇用を創出するなど地域経済の活性化を実現し、斜陽の石炭城下町を、観光を基幹産業とする地域に転換・再生させることに貢献した。

具体的な取り組みの内容

常磐ハワイアンセンター

「黒いダイヤ」。かつて石炭はこう呼ばれた。本州最大の炭田を擁していた常磐炭砿(常磐興産の前身)は、国の基幹産業を担う自信と活気に満ちあふれ、石炭城下町であった湯本町(現在のいわき市常磐地区)も毎日がお祭りのような賑わいを呈していた。
だが、1960年代、エネルギーの主役は石油に代わる。
石炭産業は没落の一途をたどり、同時に石炭に依存していた地域経済にも大きな影響を与えた。
炭砿跡地
炭砿跡地
常磐炭砿は企業の存続と斜陽化する炭砿地域の再生を目指し、新業種への参入を模索、1964年、炭砿跡地に「日本のハワイ」をつくるという周囲を驚かせる構想を発表した。
坑内から湧出する温泉の地熱と豊富な湯量を利用すれば、東北の地でも一年間温暖な空間が創出できるとの判断から、同社は1966年、常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)をオープンした。炭坑内の温泉は、掘削の妨げになる出水でしかなく、劣悪な労働環境や生産力ダウンをもたらす “負”の資源に過ぎなかったが、これを逆に活用して“正”の経済資源に転換させたものである。
炭鉱から労働者600人を移籍し、まさに素人による手づくりのレジャー施設だったが、話題性も手伝って、集客は成功を収めていた。相乗効果で湯本温泉街にも観光客が増加していた。
このとき、生え抜き「第1号社員」として入社した新入社員の中に、斎藤氏がいた。
いわき湯本温泉街
いわき湯本温泉街

スプリングパーク、そして温泉テーマパークの創出

炭田で生まれ育った斎藤氏は、坑内から湧出する温泉に強い愛着を持っていた。そのため、温泉に特化した新しいテーマパークを創出することを考えた。

そこで斎藤氏は、従来の「つかる」だけの温泉の概念を脱し、日本で初めて水着で入浴して温泉と遊ぶ「スプリングパーク(平成2年)」を開業させた。同時に、施設名を「常磐ハワイアンセンター」から「スパリゾートハワイアンズ」と改めた。この新企画やCIは当たり、入場者数は前年比13%増という大幅な伸びを記録した。

しかしながら、直後のバブル経済崩壊で入場者数は急激に減少し、平成6年度の入場者数が100万人を割るまでとなり、オープン以来初の経常赤字を出した。斎藤氏は当時、札幌でホテルの立ち上げに携わっていたが、急遽呼び戻された。斎藤氏は、営業所の統廃合・部門独立採算制度(パーク・ホテル)の採用・新しい会員制度「遊悠倶楽部」の導入等、まずは収益基盤を強化する施策を展開した。

これが功を奏して危機的状況を脱したため、斎藤氏の独創的なコンセプトによる温泉施設の整備を推進することが方針として決まった。斎藤氏は、銭湯の発祥である江戸の庶民文化をテーマとしたギネスブック認定の世界最大の大露天風呂「江戸情話与市(平成9年)」、温泉を活用し「健康と美」を追求する施設「ウィルポート(平成11年)」、人間の五感を感応させ新しい「癒しの温泉」をテーマとした屋外施設「パレオ」等、自身の強いこだわりから生まれた話題性ある施設を次々と開業させ、既存の「ウォーターパーク(屋内温泉プール)」と併せてつごう5つの大型温泉施設を完成させた。

これらの取り組みによって、これまでの遊園地が主体であったテーマパークに加え、「温泉テーマパーク」という新ジャンルのカテゴリーを創出し、世間、業界に認知させた。これにより、スパリゾートハワイアンズは全国から注目され、いわき市は炭坑の町から東北を代表する観光地へと再生していった。

全国の大型テーマパークや老舗の遊園地などが次々と閉鎖される昨今、斎藤氏のコンセプトによって整備された温泉施設は観光客の心をつかみ、平成8年度以降、スパリゾートハワイアンズを訪れる観光客は増加に転じ、平成14年度には140万人に達するまでになっている。
また、地域に与える経済効果も大きく、平成14年度におけるスパリゾートハワイアンズによる経済波及効果は約300億円、雇用創出効果は約4000人となっている。
スパリゾートハワイアンズ
スパリゾートハワイアンズ

地域住民への貢献

斎藤氏は、入社以来一貫して「地域社会との共生なくしてスパリゾートハワイアンズの発展は成立しない。地域住民に利用していただき、愛されることこそが成長の根源である」と考えてきた。このことは、今でも斎藤氏の経営哲学のバックボーンとなっている。

斎藤氏は、地域社会との共生の一環として、地域住民限定で施設を廉価に利用できる地元会員制度「椰子の実会」を創設した。地域住民に歓迎されたこの制度は、多客期以外であっても入場者を安定的に獲得することにもつながっている。現在、年間でのべ35万人の利用があり、利用者数の2割を占めるまでになった。

また、斎藤氏は、毎年敬老の日には地域のお年寄り約4万7千人を無料招待したり、親子向けのイベントを季節ごとに開催したりするなど、地域住民への貢献策を常に打ち出している。

スタッフとの徹底的な議論

斎藤氏が新企画を打ち出すときは、スタッフと徹底的な議論をする。机をたたきながら「なぜ」「どうして」の会議は長時間、時には24時間に及ぶこともある。スタッフとの議論から、自分の考え方を固めていき、同時にスタッフ全員が自分と同じ土俵に上がることを狙っての行動である。
それだけ、斎藤氏の「温泉テーマパーク」に対する熱意は強く、またスタッフも納得した上で斎藤氏に協力することとなり、斎藤氏の独創性あるコンセプトは現在のスパリゾートハワイアンズに結実しているのである。

斎藤氏の構想には終わりはない。「温泉テーマパーク」の更なる進化として「世界の温泉娯楽場」を目指し、現在も「なぜ」「どうして」を繰り返しながらその構想の実現に取り組んでいる。
このページに関するお問い合わせ
常磐興産(株) 取締役企画室長 坂本征夫様
電話 0246-43-4213
FAX 0246-42-3322

関連情報はこちら→スパリゾートハワイアンズのホームページ

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