最終更新日:2010年4月12日
しおざわダッシュ村 村長(新潟県南魚沼市)
主な経歴
1951年
|
新潟県塩沢町生まれ |
1987年
|
ホテル八紘閣社長就任 |
1997年
|
塩沢町商工会 観光部長 |
1998年
|
舞子高原後楽園観光協会 会長
塩沢町観光協会 理事 |
2002年
|
塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会 幹事長 |
2003年
|
新潟県ふるさと民宿連絡協議会 会長 |
カリスマ名称
「農林漁業体験民宿の活用及び人材育成によるグリーン・ツーリズム推進のカリスマ」
選定理由
スキー観光客が大幅に減少する中で、地域に賦存する農産物、自然等の地域資源の再評価活動を行い、その地域資源を活用したグリーン・ツーリズムを進めるために「インストラクター等の人材育成、農林漁業体験民宿が連携したシステムづくり」に尽力し、「塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会」を設立するなど、地域活性化に貢献している。
具体的な取り組みの内容
塩沢町は新潟県の南に位置し、スキー・スノーボードなどのウインタースポーツと、魚沼コシヒカリで知られる「観光」と「農業」の町であるが、観光客は平成4年度の350万人をピークに年々減少し、平成14年度には240万人へと落ち込んでいる。
このような中で、小野塚氏は、地域資源の再発見と活用に取り組むため、平成10年度に塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会を発足させ、今まで、ウインタースポーツを中心とした観光しかなかった町に、豊かな自然環境(塩沢町は、豪雪地として知られ、昔から豊富で清冽な雪解け水を利用した農業が盛んで四方を越後山脈と魚沼丘陵に囲まれた魚沼盆地があり、千曲川と合流した信濃川と名を変える清流「魚野川」によって育まれた自然豊かな地域)と田舎でしか体験できないことにこだわったグリーン・ツーリズム活動を地域全体のものとして組織し、実践することで地域の活性化に大きく貢献している。
「塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会」の設立
塩沢町は、以前は就労先の乏しい出稼ぎの地域だったが、昭和24年頃、スキー客を対象とした民宿がオープンし徐々に民宿が増え、町に活気が出たが、バブル経済崩壊後、スキー客が年々減少し町の活気に陰りが見えていた。このような状況の中で小野塚氏は、初めて地場産米と他の地域の米を食べ比べる機会に遭遇し、地場産米のおいしさを実感し、魚沼・塩沢町の豊かな自然と「地場産米(魚沼コシヒカリ)」を利用した取組をしなければ、塩沢の本当の良さを忘れてしまうのではないかと危機感を持った。そこで、塩沢町の自然と農業でグリーン・ツーリズムを推進しようとしたものの、当初、誰も賛同者がいなかった。
しかし、地道な周知・啓発活動を行った結果、平成10年度には、町役場や地元農協などを主体とする、地域住民が自分自身のための「まちづくり」をし、そこを訪れる人々に「あるがまま」の地域を楽しんでもらい、地域住民の求めるもの、来訪者の求めるものそれぞれが、お互いの対等な交流関係の中から芽生えるようなグリーン・ツーリズムを推進することを設立理念とした「塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会」の設立につながった。そして、当時の町長から協議会の運営について全権委任されたことを契機に地域の主導者としての取組が始まり現在に至っている。
「塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会」の活動
(1)地区ごとの農林漁業体験民宿と交流施設
「上田の郷」を連携させ受け入れ体制を確立魚沼・塩沢地区を6つのエリア(石打エリア、宮野下エリア、舞子エリア、樺野沢エリア、吉里エリア、上田エリア)に分けて、それぞれのエリアの観光スポットや四季折々の自然の特徴を十二分に活かし、各エリアを連携させた「農林漁業体験」の受け入れ体制の確立を図っている。
(2)専門部会の充実による体験民宿の質の向上
協議会は、当初3つの専門部会(体験民宿、情報発信、体験メニュー開発)を設置し活動してきたが、平成13年にインストラクター部会を加え、さらに、平成15年には体験民宿部会の中に体験民宿女性部を加え体制の充実を図ってきており、各部会の活動も年32回におよぶなど活発な活動を展開している。
(3)選べる3つの体験
都会の生活では体験できないこと、自然体験を通じて田舎と自然のすばらしさ、人の優しさをテーマに6つの地区の特性を活かした体験活動を行っている。
ア 選べる「動」の体験
代表的な体験は、「魚沼コシヒカリ」の米を中心とした「田植え」、「稲刈り」、「草刈り」で、収穫後はみんなで食べることにしている。なかでも草刈り機を使う「草刈り」はその切れ味の良さから体験者に喜ばれている。その他、「川遊び」、「山菜採り」や「トレッキング」など体験者と地元の人が一緒に気持ちいい汗をかくことを中心に行っている。
イ 選べる「食」の体験
日本一の良食味米「魚沼コシヒカリ」を利用した「ぬか釜炊飯」(塩沢町で古くから行われていた籾殻とスギッパ(杉の葉)を燃料にしてご飯を炊く)、「餅つき」、「そば打ち」、「バーベキュー」や塩沢ならではの名産グルメの体験
ウ 選べる「創」の体験
越後名産の「笹だんご」、「塩沢つむぎ織り」、「ちまき」、「リース作り」、「南山焼き(陶芸)」や「工作体験」 った。

体験メニューの一つ、森を作ろう体験

林業尾体験
成果
塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会を立ち上げ、情報発信の一元化や体験メニューの統一、体験交流ツアーの受入などに積極的に取り組んできた結果、グリーン・ツーリズム受入人数は6,000人(11年)から10,000人(14年)に拡大した。
また、農林漁業体験民宿の登録軒数も全国の上位に位置する新潟県(104軒)内の中でも32軒と群を抜いている。これらの成果は、グリーン・ツーリズムを推進するための人材の育成に支えられたものであり、小野塚氏は自ら先頭に立ち(財)都市農山漁村交流活性化機構の主催するグリーン・ツーリズムの講座に参加し平成10年度にはインストラクターの認定、平成13年度にはコーディネーターの認定を受けている。
この他、塩沢町グリーン・ツーリズム推進協議会の独自事業である「コシヒカリ倶楽部inしおざわ」を通して得られた経験を活用して、独自の体験メニューの作成等、地域にあったグリーン・ツーリズムを推進するほか、協議会の運営を町主導から民間主導へと移行すべく協議会の先頭に立って、塩沢町におけるグリーン・ツーリズムを推進し、町全体の活性化に貢献している。
各種講演活動への取組
平成15年度に新潟県内において開催されたグリーン・ツーリズムインストラクター養成講座では、ファシリテーターとして協力するなど各地で開催される研修会において事例発表、講師などとして活躍し「グリーン・ツーリズム」の推進に寄与している。
今後の取組
塩沢町グリーン・ツーリズム協議会を中心として、「ゆとり」「やすらぎ」等を求める都市住民が納得し、地元住民が自信が持てる魅力ある地域づくり、人づくり、体験メニューの作成を行うことで、地域資源を活かしたグリーン・ツーリズムを推進し、これまでのスキーシーズン主体の観光から通年型観光へシフトすることにより、現在240万人の観光客(平成14年度)を300万人にまで拡大することを目指している。