髙橋長官会見要旨

最終更新日:2023年11月17日

日時:2023年11月15日(水)16:15~16:40
場所:国土交通省会見室

冒頭発言

(2023年10月の訪日外国人旅行者数について)
  • 本年10月の訪日外国人旅行者数等について報告があります。
  • 本年10月の訪日外国人旅行者数は、251万6,500人となり、5ヶ月連続で、単月200万人を超えました。
  • コロナ前の2019年10月と比べた回復率は、単月で101%とコロナ後、初めて100%を超えました。
  • コロナによって大きく落ち込んだ訪日外国人旅行者数が、単月とはいえ、コロナ前の2019年比で100%を超えたことは大変感慨深く受け止めており、全国各地で観光を担って下さっている皆様のこれまでのご尽力に心から敬意を表するとともに、私共と致しましては引き続き気を引き締めてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  • 本年10月の出国日本人数は、93万7,700人となりました。コロナ前の2019年10月と比べると56%の回復となっています。
 
(旅行・観光消費動向調査の結果(2023年7-9月期速報)について)
  • 本年7-9月期の日本人の旅行・観光消費動向調査の速報について報告します。 
  • 日本人国内延べ旅行者数は1億4,179万人、2019年同期比で83.7%と2022年第4四半期以降、8割台で推移しています。
  • また、日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出は、44,361円、2019年同期比で12.2%増と、2022年第1四半期以降、コロナ前を上回る数値となっています。
  • これらを掛け合わせた国内旅行消費額は、6兆2,899億円、2019年同期比で94.0%と、2022年第4四半期以降、概ねコロナ前の水準で推移しています。

質疑応答

(問)先ほど発表されたとおり、1ヶ月あたりではコロナ禍前の訪日客数を上回るという状況について、その受け止めと、今年も残り2ヶ月となっていますが、訪日客数の年間見通しなどについてお伺いできればと思います。
(答)
  • 本年10月の訪日外国人旅行者数は251万6500人となり、5ヶ月連続で単月200万人を超えています。
  • コロナ前の2019年10月と比べた回復率は、単月で101%と、コロナ後初めて100%を超える数字となりました。
  • 訪日旅行者数につきましては、個人旅行を解禁した昨年10月以降、単月の回復率は12ヶ月にわたって毎月増加しており、堅調に回復してきているものと受け止めています。
  • 全国各地で観光を担う方々への敬意については、冒頭申し上げた通りです。
  • 国・地域別に見ますと、23の市場のうち、韓国、アメリカなど14の市場からの訪日旅行者数が10月として過去最高を記録しています。
  • 年間の見通しについては、もちろん為替や国際情勢など、インバウンド市場に関わる様々な要素にも影響を受けることから引き続き注視が必要ですが、仮にということで申し上げれば、本年1月から10月までの訪日旅行者数の総数は、実績数値で1989万1100人となっており、仮に今月来月と、2019年と同等の水準が維持されれば、本年の年間の訪日旅行者数総数が2500万人前後となるものと見込んでいます。
  • オーバーツーリズムの未然防止抑制を含め、受け入れ環境整備に努めますとともに、限りないポテンシャルを有する地方への誘客、また、付加価値の高い体験消費の拡大を進めるべく、令和5年度の補正予算に必要な予算を計上しているところです。
  • インバウンド拡大による経済効果の地方部への波及と、訪日外国人旅行消費額5兆円の早期達成に向けて、全力を尽くしてまいりたいと思います。
 
(問)今、少しお話になられたオーバーツーリズムについて、先般、未然防止・抑制に向けた対策パッケージを取りまとめられたところだと思いますが、今後どのように動かしていくのか、支援をする20の地域をいつ選ぶのかなど、取組についての具体的なスケジュールなどあればお伺いしたいです。
(答)
  • 先月10月18日、観光立国推進閣僚会議において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を決定したことをふまえ、経済対策に「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」が盛り込まれたところです。
  • この事業は、対策パッケージに盛り込まれた施策などに取り組む地方公共団体、DMO、あるいは民間事業者の方々等に対して、国として総合的な支援を行うものです。
  • とりわけ、地方公共団体を中心とした計画の策定、計画に基づく取組の実証、あるいは本格実施への包括的な支援を行うことを通じて、全国約20地域でオーバーツーリズム対策の先駆モデルを創出したいと考えています。
  • これらの施策の推進に向けて、先週金曜日に閣議決定されました令和5年度補正予算案において、公共・非公共予算を合わせて60億円を計上したところです。
  • 補正予算案につきましては、当然のことながら、今後国会でご審議いただくものです。
  • 成立した暁には、可能な限り速やかに地域の公募を開始したいと考えています。
  • また、各地域から意欲的な取組をぜひ積極的ご提案をいただけるよう、先月25日に観光庁のオーバーツーリズムの未然防止抑制に向けた相談窓口を設けていますが、これも活用しながら、地域の実情や課題に応じた有効な対策の提示などの支援を行うとともに、公募をさせていただく前に、地域の皆さんに対し丁寧に制度概要をご説明したいと思います。
  • 観光客の方々をどう受け入れていくかということと、住民の方々の生活の質をしっかり確保していくこと、両方とも非常に大事なことですので、その両方をきちんと両立しつつ、持続可能な観光地域づくりを進めていただくために、地域における意欲的な取組を、政府一丸となって積極的に後押しをさせていただきたいと思っています。
 
(問)先般、フランスや韓国でトコジラミの大量発生というニュースが伝えられている件について伺いたいです。何か、この件についての感想といいますか、受け止め、もしくは対策があるようでしたらお聞かせください。決してどこかの国や人を問題にしたいというわけではなく、やはり人の往来が増えることで、図らずも心配事というのは増えてくると思うのですが、そのあたりについてのお考えを聞かせていただければと思います。
(答)
  • 今ご指摘いただいたトコジラミは、通称南京虫とも呼ばれており、フランスあるいは韓国で大量発生したとという報道は私も承知をしています。
  • トコジラミ、南京虫、いわゆる病害虫などについて我が国としてどのように対応していくのかということについて、一義的にはいわゆる水際対策ということで、厚生労働省が中心となって対応していくと考えていますが、私どもとしても、例えば、厚生労働省など関係省庁からのご要請などあれば、旅行業関係団体等を通じて、注意喚起をするといったようなことも検討してまいりたいと思っています。
  • いずれにせよ、今後どういう状況になるのか、あるいはどのような課題が出てくるのか、関係省庁でどのような対応をするのかといったことを、総合的に注視していくということだと考えています。
 
(問)訪日外国人旅行者数について伺います。ここまで順調に増えてきたわけですが、今後の見通しはこのまま順調に増えていくのか、あるいは何か頭打ちになるような懸念材料がないのかということ、また政府としては、2025年までに2019年水準の3188万人を超えるという目標を立てていると思いますが、足元の動きを受け、来年2024年中にもこの目標を達成することが視野に入っているのかどうか、そのあたりを伺えますでしょうか。
(答)
  • 単月、ひと月あたりの数字ではありますが、年内に単月でもいいのでコロナ前の数字になんとか到達できればということを申し上げてまいりましたので、それを10月の数字として達成したということは、大変感慨深く思っています。
  • 今後の見通しについては、インバウンドは当然、為替なり国際情勢など、多面的、国際的な要素も受けることになるので、今この場でこれからどれぐらいの数字になるとか、何らかの制約要因を想定しているといったことを具体的に申し上げるのは、少し尚早ではないかと思いますので控えます。
  • ただ一つ申し上げたいことは、日本の地方部には限りない可能性、ポテンシャルがあるということです。
  • 日本の地方部には、まだまだ世界の方々に見出されていない、あるいはたくさんの人をお迎えしてない観光資源、あるいは日本人の生き様そのものもあると思います。
  • 地方の良さというのを、これからたくさんの方々に体験していただき、日本の良さを知っていただく余地というのは限りなくあると思っています。
  • 一部地域とか、一部時間帯とかで発生しているオーバーツーリズムについても、的確に予防措置を取っていかなければならないと思いますが、まだまだ日本は地方部中心に限りなくポテンシャルがあり、それを活かしていくということですので、先ほどおっしゃっていただいたような政府目標、それから、2030年の6000万人という大きな目標に向けてしっかり誘客を強化してまいります。
 
(問)インバウンドの人数は増えていると思いますが、消費額はどうなってるのかという観点で、質問させてください。今日ちょうど、GDPの発表がありました。「サービスの輸出」という項目にインバウンドの消費額が含まれると思いますが、私としてはちょっと意外だったのが、前期比ベースではありますがこれがマイナスとなっていました。これは、これまで高い数字を保ちGDPに寄与していたインバウンドの消費額に、一服感が出てきたということなのか、何かしらの要因分析があればお聞かせください。
(答)
  • 本日内閣府におきまして、2023年の7月から9月期四半期別のGDPの1次速報が発表されたことよく承知をしています。
  • GDPの算出そのものについては、内閣府が行っていますが、お尋ねのサービス輸出については、インバウンドの消費額も大切な要素になっており、大体2割程度の割合を占めていると承知しています。
  • これはもっと、大きな柱にしていかなければいけないわけですが、サービス輸出全体で見たときに、対前期比でマイナス0.2%、それが、統計上の技術的要因も含めて、どんな要因で全体として0.2%減ったかということについては、内閣府にお尋ねいただければありがたいと思います。
  • ただ、先ほどご指摘いただいたインバウンドの消費ということで申し上げますと、先月、皆様にご報告させていただいた、本来7月から9月期の訪日外国人消費動向調査一次速報、すなわち本年7月から9月期のインバウンドの消費額ですが、これは1兆3904億円と推計されておりまして、2019年同期比でプラス17.7%増です。
  • この数字は、四半期ベースでコロナ前の水準を初めて上回ったものでして、私どもとしては、インバウンド消費は堅調に増加していると捉えており、今後とも、インバウンド消費のさらなる拡大に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 
(問)10月の中国からの訪日客数は、2019年と比べて65%減となりました。中国の大型連休もありましたが、なかなか伸びてこない要因についてどのように考えられていますでしょうか。
(答)
  • 日中間の航空便数の回復について、引き続き、遅れが見受けられるなか、ご指摘いただきました10月の中国からの訪日者数は約26万人となっておりまして、8月10日からの中国における日本への団体旅行解禁の効果はもちろんあるものの、コロナ禍前である2019年10月の数と比較しますと、その回復率は約35%、先月ご報告した約40%より数字は下です。
  • いろいろ分析をしているところですが、一つ申し上げることは、例年ですと、中秋節というのが9月にあり、国慶節は10月にあります。
  • 例年ですと、基本的に、例えば半月など、中秋節の期間と国慶節の期間とがけっこう離れており、離れた期間であればまとまったお休みとして別々の訪日機会となるのですが、今年は中秋節が9月30日に終わり国慶節が10月1日に始まり連続しており、一つの訪日機会になったのと、トータルでの休日の期間が例年よりも減っていました。
  • 先月のご報告では、中秋節を契機としたお客様が来ていただいたと申し上げましたが、どちらかというと、そっち(中秋節)の方、前のお休み期間の方にいらっしゃったのかなと思っています。
  • 他方、一般的に1年で中国からの訪日者数がピークとなるのは夏休みシーズンで、今年7月は約30%、また8月は約36%でしたので、ならして言えば、回復率35%という数字になるのかなと思っています。
  • また、主に個人旅行客向けの商品を扱う旅行会社に聞き取りを行ったところ、中秋節、国慶節の期間を含む10月末までキャンセルが相次ぐ状況にはなく、変わらず安定した予約数を維持していたとうことです。
  • また、JNTO(政府観光局)を通じて聞き取りを行った現地の旅行会社の中では、10月中に2回目のアルプス処理水の放出があったものの、回復を実感していると回答されたケース、あるいは、新たに訪日旅行商品を企画造成中、または販売中と回答するケースが相当程度ありました。
  • いろいろな角度から見なければなりませんし、今後も注視が必要ですが、アルプス処理水海洋放出の影響は限定的であって、今年初めからの回復傾向は継続しているものと認識しています。
  • 中国からの訪日旅行者の回復傾向の継続が評価されるよう、訪日プロモーションをしっかり進めてまいるとともに、先日決定された総合経済対策に位置付けられたインバウンド関連施策を着実に実施してまいりたいと思います。
  •  
以上
 
 
 
 
 




 

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