和田長官会見要旨

最終更新日:2021年9月24日

日 時:2021年9月15日(水)16:15~16:42
 場所:国土交通省会見室

会見事項

(2021年8月の訪日外国人旅行者数等)
  • 2021年8月の訪日外国人旅行者数は、対2019年同月比でマイナス99.0%の25,900人となりました。
  • 2021年8月の出国日本人数ですけれども、対2019年同月比マイナス96.9%の66,100人となりました。
  • 観光庁としましては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
     
(第13回観光庁長官表彰受賞者)
  • 観光庁では、観光の振興に貢献し、その業績が顕著な個人及び団体に対して、毎年、観光庁発足日であります10月1日にあわせて「観光庁長官表彰」を実施しており、今回で13回目になります。
  • 観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症により、最も深刻な影響を受けている産業の一つですが、今年はウイズコロナ、またポストコロナを見据えて、創意工夫を凝らした誘客や、需要回復時に大変有益となる取組みなど、有識者のご意見を踏まえて、9件を選ばせていただきました。
  • 個別の取り組みの内容につきましては、お手元に資料でご覧いただければと思います。
  • コロナ禍の厳しい環境においても、自らの事業にとどまらず、地域や国全体の観光振興のために取り組んでおられる観光関係者に光が当たり、勇気をもって苦境に立ち向かう皆様が少しでも増えればと考えております。
  • また、お手元には地域観光事業支援の最新の状況についても用意させていただきましたので、お目通しをいただければと思います。

質疑応答

(問)先週、政府の新型コロナウイルス対策本部の方で、ワクチン接種が進んできたことを受けて、ワクチン接種を前提に行動制限の緩和を検討していくという方針が示された訳ですけれども、こういう状況を受けて改めての質問になりますが、GoToトラベル含め、観光支援策の再開をどのように進めていかれるのか、お考えをお願いします。

(答)
  • ご指摘のとおり、9月9日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」が決定され、その中には緊急事態措置区域等との移動に関して、原則、ワクチン検査を受けた者は県をまたぐ移動について国として自粛要請の対象に含めないということ、また感染の状況を十分に踏まえつつ、ワクチン・検査パッケージも活用して、観光振興策の実施を検討するといった内容が盛り込まれております。
  • この決定はワクチン接種の進捗状況等を踏まえて、行動制限緩和の基本的な方向性を示したものであり、今後、政府全体で自治体や事業者の方々との議論を含め、国民的な議論を踏まえて、具体化を進めていくこととなると承知しております。
  • 観光関連産業に携わる皆様にとって、一筋の光と受け取られる方も多いと思いますけれども、観光振興策については、ワクチン接種の進捗状況等を踏まえて、感染対策と経済の回復を両立させる観点から、いかにして、感染拡大を防止しながら観光振興を図っていくのが適切であるのか、観光庁としましても、内閣官房等と連携して、政府の一員としてしっかり検討していきたいと考えております。

(問)いわゆるオーバーツーリズムの問題について、現在もコロナで観光はかなり止まっている状態ですけれど、コロナ禍の前には観光名所に観光客が大量に訪れて、地域住民の方々が迷惑をするというふうなことも指摘されていまして、これからコロナ収束後を見据えて、観光を振興していく中で、従来のようなオーバーツーリズムのような問題はできるだけ避けた方がいいというような問題意識が観光事業者や地域の方で高まってきているわけですけれども、そういった動きを政府としてどのように支援していかれるのか、お考えをお願いします。

(答)
  • コロナ前は、やはり一部の観光地において、急増する訪日外国人旅行者などによりまして、地域住民の生活環境に影響が生じる、いわゆるオーバーツーリズムの課題が指摘されていたところであります。
  • 高い次元での「観光先進国」を実現するためには、こうした課題に適切に対処し、「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを進めて、住民、地域住民の理解と支持を得ながら観光の発展を図ることが必要であるという風に認識しております。
  • このため観光庁では、昨年6月に持続可能な観光地マネジメントを行うための観光指標としまして、国際基準に準拠した日本版の持続可能な観光ガイドラインというものを作成し、今年度は、このガイドラインを実践するためのモデル事業を全国15カ所で実施しています。
  • インバウンド受入環境整備の補助制度を活用しまして、混雑の見える化のためのシステム整備、ここは空いている、ここは混んでいるといったものですとか、ICTを活用したゴミ箱の整備を支援しているところです。
  • 今後は、こういう取組みをさらに進めていきたいと考えておりまして、令和4年度の予算要求の中に、今申し上げたモデル事業の実施箇所数の拡大ですとか、課題の深掘り、それから持続可能な観光に継続的に取り組む中核人材の育成といったものを盛り込んでおりまして、この予算が認められれば積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  • 引き続き、地域の声をよく聞きながら、関係機関とも連携しつつ、各地域における持続可能な観光の実現に向けた取組みをしっかり進めていきたいと考えています。

(問)冒頭の政府の行動制限緩和策に関連してになると思うのですけれど、年内にもワクチンが接種証明のデジタル化なども進んでいくとされていますけれども、そういったものの旅行への活用ですとか、緩和に伴ってどう活用されていくべきかなどがもしあればお願いいたします。

(答)
  • 今回、「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた考え方」とともに、「新型コロナウイルス接種証明の利用に関する基本的考え方」というものも示されています。
  • この中には、今後ワクチン接種率の向上ですとか、感染防止対策の推進、それから社会経済活動の正常化に向けた取り組みとして、ワクチンの接種証明を国内で積極的に活用するということが考えられますというふうに書いてあります。
  • この中に、以前お答えさせていただきましたけれども、ワクチンというのはあくまでも個人の任意であって、そしてワクチンの接種の有無、又は証明の提示の有無によって不当な差別的取扱いは許されないというようなことが書いてあります。
  • これをどうやって活用していくかということも含めまして、これから、Go Toの再開の件もそうですけれども、様々な議論をして検討を進めたいと考えています。

(問)行動制限の緩和の件ですけれども、今後、自治体とか観光事業者との議論とかも必要になってくると思うのですけれども、そのあたりどういうふうに今後進めて、観光庁としてどういことを今後やっていくお考えでしょうか。

(答)
  • 我々の移動とか観光の分野以外でも飲食とかイベントとか様々ありますし、いろいろな専門家の皆さんの意見も聞いてかなければいけないので、内閣官房をはじめ、関係省庁ともよく連携して、また自治体や観光関係者のご意見も伺って進めていくということになると思います。
  • まだ具体的にこういう形でというのはまだできておりません。  

(問)今月、オリンピック・パラリンピックが閉幕したわけですけれども、元々は観光立国に向けて外国人旅行者の受け入れですとか、観光施設のバリアフリー対策とかを進めてきました。無観客になったことで、当時描いていたものとは違った形にはなったかと思うのですけれども、今回のオリパラをどういうふうに振り返るのか、また今回のことをどうやってレガシーとして続けていくのかが大事だと思いますけども、今後にどう活かしていくのかお願いします。

(答)
  • オリンピック・パラリンピック東京大会、これは世界中から日本にスポットライトが当たる一大イベントであります。この機会に可能な限り、日本の各地の魅力を世界中にアピールできるように取り組んできました。
  • この大会期間中に、日本政府観光局JNTOにおきまして、広く世界に向けて、日本の魅力を紹介する番組の放映ですとか、著名アスリートを起用したプロモーション動画のCM配信などを行ってきました。
  • 数を聞いてみたのですけれども、番組の視聴者数は、世界の4つのメディアにおける番組の視聴者数が5,200万人を超えています。それからCMの視聴者数は、約1億2千万人ということです。また、ニュースレターも28本出させていただいていますけれども、1,500を超えるメディアに送ったということで、一定の成果が得られていると思います。
  • 効果については、今JNTOの方で検証を行っているところですので、それを踏まえて今後のインバウンド政策に活かしていきたいという考えています。
  • それから、レガシーについてのお話もありました。オリンピック・パラリンピック大会を契機として、「真の共生社会」の実現をレガシーとすべく、バリアフリー化も進めてきました。
  • 例えば世界最高水準のバリアフリー環境を有する新幹線の実現ですとか、街にもユニバーサルデザインタクシーが沢山動いているのをご覧になっていると思いますけど、そういうものの普及ですとか、空港、また、駅舎、公共施設等のバリアフリー化も進んできました。そして、宿泊施設や観光施設におけるバリアフリー化改修等を進めてきたところであります。
  • また、ソフト面では、「観光施設におけるのバリアフリー認定制度」を設けまして、先日第一弾としまして、66施設を認定したところです。
  • こうしたハード・ソフト両面のレガシーは、来たるべきインバウンド再開に向けて、必ずや大きな足掛かりになると考えております。
  • 我が国が再び世界中の皆様をお迎えできるように、引き続き、日本の魅力や安全・安心情報の継続的な発信、また受入環境の整備などに取り組んでいきたいと思っております。
     
(問)先般の愛知で行われた大規模な音楽イベントで、中にはクラスターも発生したという事例がありましたけれども、中には地元では観光産業にかなり結びつくから複雑な思いがあるというふうに聞いています。この事例を観光庁としてどう受け止めているのか教えていただければと思います。

(答)
  • 様々な種類のフェス、イベントがいろんなところで行われていますけれども、観光庁としましては、開催を通じて地域の観光振興につながるようなものに対しては、後援名義をお出しするというような取組みをしてきています。
  • 最近では、やはりコロナの感染もありますので、申請時に感染拡大防止対策に関する資料を出していただいたり、また開催に当たって感染症対策に万全を期するように改めてお願いし、そして開催後に結果の報告をいただくというようなことにしています。
  • そういうような形でイベントの開催と感染拡大の防止の両立が図られるような取組みをこれからもしていきたいと思っています。

(問)まず政府の行動制限の緩和についてです。Go Toの話がありましたけれども、地域観光事業支援の隣県への拡大という議論もかねてあったと思うので、こちらについての影響をお伺いしたいのと、今回の行動制限緩和策ですと、これまでは観光支援、Go To再開を含めてステージ2以下であることが条件というようなお話であったと思うのですけども、それがステージ3以上でも出来るような可能性もあると思うのですけれども、そういった今後の拡大の際に踏むべき条件や手順などありましたら教えてください。

(答)
  • 地域観光事業支援ですけれども、これは感染状況が落ち着いているステージ2相当以下と判断した都道府県では、旅行需要の喚起策として地域観光事業支援を活用した県内旅行の割引事業を県の判断でやっていただくということになります。
  • それから、いろいろなご要望を頂いていて、これをもう少し広げたらどうだとか、そのような検討についてですけれども、先般9月11日に全国知事会から緊急提言が出ています。
  • その中には、大型連休や秋の行楽シーズンにおける都道府県境をまたぐ旅行・移動は引き続き原則延期というようなことを書いておられますので、引き続き感染状況を見極めながら、ワクチンの接種の状況とか自治体のご意見を伺いながら検討していきたいと思っています。
  • もう一点のステージ2以下というところですけれども、この9日の考え方は先ほど申し上げたとおりですけれども、Go Toトラベル事業については、この3日の分科会の提言には特段の言及がなされていません。
  • これまでもGo Toトラベル事業については、新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家の皆様のご意見を伺いながら進めてきたものでして、今後のGo Toトラベルの再開とか、先ほど申し上げた地域観光事業支援の対象拡大を含む今後の観光振興策については、先ほど申し上げたとおりワクチンの接種の進捗状況等を踏まえて、感染対策と経済の回復を両立させる観点から、いかにして感染拡大を防止しながら観光振興を図っていくのが適切なのかということについて、専門家のご意見なども伺いながら考えていきたいと思っています。

(問)民泊新法の関係でお伺いします。施行から3年経過時に必要な検討や見直しというような項目があると思うのですけれど、3年経って、しばらく経って、今の検討状況があればお伺いしたいのと、民泊の利用自体がかなり落ち込んでいるこういうときに、そもそもそういう検討が可能なのかどうかというところも含めてお聞かせください。

(答)
  • 住宅宿泊事業法の付則で検討条項があります。これは制定当時、訪日外国人旅行者が大変増えている状況であったと。それから2018年に法律が施行されていますけれども、2年後には東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されるというようなことで、安全面とか衛生面の諸課題の発生とか、また近隣トラブルなどの発生が予想されたということを受けまして、2018年の法施行から3年が経過した場合、今でありますけれども、検討を加えて、必要と認められるときは、必要な措置を講じる旨書いてあるところです。
  • しかしながら、これはご案内のとおりですけれども、新型コロナウイルス感染の拡大によりまして、法施行から1年半ほどたった昨年2月以降は、訪日外国人旅行者数が激減をしたと。そして東京オリンピック・パラリンピック大会も1年延期になったと。
  • そして法に基づく届出住宅の利用実績は2019年度比で80%の減ということでして、法制定時に想定していた状況とは大きく異なっているということです。
  • こうした状況を踏まえまして、まずは現時点における住宅宿泊事業の実態をしっかり把握したいと考えていまして、そのための調査を今後行ないながら、どういった対応が必要になるのかということを検討していきたいと思っています。

(問)そうすると3年経過後の検討というのは、今仰った調査を見てからの判断になるということでよろしいのでしょうか。

(答)
  • 状況が全然変わっていますので、まず実態を把握することをやりたいということです。

 (問)IRについて伺います。自治体のIR整備計画を受け付ける期間が10月1日から予定されていると思います。予定通りだと思うのですが、その審査にどのように臨まれるのかというところと、予定通り行えるのかというところも含めてお聞かせください。あと、コロナ禍でIRを行う事業者の経営が悪化していまして、自治体の実際の選定過程で撤退するような企業もあったと聞き及んでいます。訪日客の回復の見通しも立っていなかったり、あの質の高いIR計画が本当に出てくるのかという有識者の不安の声もあったりするのですけれども、コロナ禍においてもIR整備が必要だと考えるか、長官のお考えを聞かせてください。

(答)
  • IRの区域整備計画の認定申請期間が、本年10月1日から来年の4月28日までとなっていまして、これはあの予定通りこの期間でやっていきたいと思っています。
  • 申請が出てきたら、その次には審査のステージに入っていくわけですけれども、昨年12月にIR推進本部において策定されました「IR整備のための基本的な方針」において、自治体から申請があった区域整備計画のうち、法令上の要件に適合するものについて、上限3の範囲内で優れた計画を認定するための基準、これは評価基準と我々言っていますけれども、この評価基準に基づいて専門的な知識と経験を有する有識者による審査委員会が各計画の評価を行うということになります。
  • それからIRですけれども、日本で初めての試みですし、国際競争力の高い魅力のある滞在型観光の実現等の目的に適うものを作らなければいけないと思っています。
  • 計画が基準を満たすかどうか、審査委員会においてしっかり評価をいただくことが重要だと思っています。
  • それから、今コロナで事業者の経営が悪化しているけれど大丈夫かという問いですけれども、今は確かにコロナ禍の影響でインバウンドは非常に大変厳しい状況ですけれども、インバウンドが再開した場合に外国人旅行者の方々に日本の魅力を充分に実感頂けるよう準備を整えておくということが必要だと思っています。
  • IRの場合、開業の目安がだいたい2020年代後半というふうに想定していますし、長年我が国の弱点と言われてきた大型MICEの誘致、長期滞在の促進、消費単価の拡大などの解決に資するなど、観光立国の実現に向けた重要な政策の一つだと思っていまして、今からコロナ後を見据えた必要な準備を進めておく必要があると思っています。
  • 各自治体ですが、様々なリスク評価も含めてIR事業を検討した上で、コロナ収束後も見据えながら事業者の選定と区域整備計画の申請に向けた準備が着々と進められていると承知していまして、IR整備法に基づいて所要の手続きを進めていきたいと考えています。

(問)Go Toトラベル事業をもうそろそろ再開するかもしれないということなのですが、本年の2月10日に発表された利用実績について、それ以降で何か新しい利用実績の情報ですとか、中間決算等ありますでしょうか、お教えください。

(答)
  • (事務方)現時点ではあれ以降の更新はないです。

(問)資料でいただいている地域観光事業支援の状況を拝見すると、[1](県内旅行の割引事業に対する支援)の方はここに書かれていない6都府県は申請自体されていないというように見えるのですけれども、このあたりの事情ですとか、今後もし感染状況が改善したときに、その6都府県についても申請されるような見通しがあるのかどうか、把握されている範囲で教えていただけないでしょうか。

(答)
  • (事務方)申請されていません。6都府県の中では検討中のところもあるのですけれども、まだ具体的な話は聞いていないという状況です。

(問)申請されていない理由というのは、主に感染状況の関係から申請したところでまだ使える状況にないからということなのでしょうか。

(答)
  • (事務方)そういうこともあろうかと思いますけれども、具体的には伺っていませんので、県の方で検討されていると思います。
 
以上

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