和田長官会見要旨

最終更新日:2021年8月2日

日 時:2021年7月21日(水)16:15~16:38
 場所:国土交通省会見室

会見事項

(2021年6月の訪日外国人旅行者数)
  • 2021年6月の訪日外国人旅行者数ですけれども、新型コロナウイルス変異株の感染拡大等を受けまして、水際措置の強化が継続されていること等によりまして、対2019年同月比マイナス99.7%、9,300人となりました。
  • それから2021年6月の出国日本人ですが、対2019年同月比マイナス98.0%、30,700人となりました。
  • 観光庁といたしましては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
  • また、お手元に地域観光事業支援の最新の状況についてもご用意しておりますので、お目通しをいただければと思います。

質疑応答

(問)今の訪日客に関連してなのですけれども、IATA(国際航空運送協会)の予測では世界の航空旅客輸送は2022年に2019年比で88%まで回復する見通し、推計を出しています。訪日客の需要はいつ頃から回復すると見込まれているかということと、合わせてどのような対策を回復に備えて講じていくのかという見解をお伺いできればと思います。

(答)
  • まずインバウンドの再開についてということですけれども、新型コロナの感染状況と深く関係していますけれども、最近ではご案内のとおりデルタ株の感染拡大でありますとか、各国の対策状況等によって、時々刻々と状況が変わっていくものでありますので、今後のインバウンドの回復時期等について予測することはなかなか難しい状況にあるというふうに思っております。
  • 一方で、状況の改善が見られた際に備えまして、今後インバウンドの再開について、どのように戦略的に進めていくべきか、観光庁としてもしっかりと考えてまいたいと考えております。
  • それから、インバウンドが再開した場合には、外国人旅行者の方々に日本の魅力を十分に実感を頂けるよう、準備を整えておくことも必要だと思います。
  • まずは今週金曜日23日から、いよいよオリンピック大会が始まります。本大会は世界中から日本が注目される一大イベントですので、日本の魅力をアピールする良い機会として、世界に向けて情報発信等に全力で取り組んでまいります。
  • それから、昨年12月に策定されました「需要回復のための政策プラン」に基づきまして、施設改修や廃屋撤去など、宿・観光地のリニューアルでありますとか、地域の自然や文化を活かしたコンテンツの磨き上げなど、国内の受入環境の整備を進めるとともに、JNTO(日本政府観光局)を通じた、我が国の多様な観光資源の魅力でありますとか、安全・安心情報の継続的な発信などを行っていきたいと考えております。

(問)冒頭で紙を配布していただいているのですが、地域観光事業支援なのですけれども、観光業界あるいは旅行業界などからは、対象エリアを近隣圏だとか同一圏域に広げてほしいという声が聞かれるほか、先日の全国知事会でも緊急提言で同じような意見が盛り込まれていたり、あるいは予約・販売期限の撤廃をしてほしいというような項目もあったかと思いますが、こうしたことに対して具体的な対応方針が決まっていましたら教えてください。

(答)
  • 地域観光事業支援につきましては、7月11日の全国知事会からの緊急提言におきまして、ご指摘いただいたように「感染状況に応じて近隣圏域での旅行も対象に加えること」等のこの支援に関するご要望を頂いているところであります。
  • Go Toトラベル事業の再開が見通せない中、感染状況等が落ち着いている地域においては、旅行需要の喚起策といたしまして地域観光事業支援を活用して旅行割引事業、これは県民割事業でありますけれども、そういったものを実施していただくことが有効であると考えております。
  • ご要請をいただきました近隣圏域への拡大などにつきましては、感染状況等を十分に注視するとともに、全国知事会の緊急提言等を含め、全国の都道府県の声を踏まえて、しっかりと検討していきたいと思います。

(問)先日発生した熱海での土石流災害に伴って、観光地の熱海としても、風評被害でお客さんが訪れなくなったりしています。こうした風評被害への対策と現状の認識をお願いいたします。

(答)
  • 熱海の件ですけれども、熱海市周辺において、ご指摘のように宿泊予約のキャンセルが生じていて、新型コロナウイルスの影響と相まって、観光産業は一層厳しい状況にあるというふうに承知しております。
  • このため、旅行者の皆様に安心して訪れていただけるように、熱海市とも連携をしながら、観光庁ホームページとかSNSにおきまして、観光地の状況について正確な情報発信というのをまず行っております。
  • 加えまして、中部運輸局内に特別相談窓口を置きまして、被災された宿泊事業者の方々から被害状況でありますとかご要望をお聞きした上で、関東経済産業局、また各労働局等と連携して、活用可能な支援策の紹介などを行っているところであります。
  • 引き続き、地域の状況を伺いながら必要な支援を実施してまいたいと考えております。
     
(問)Go Toトラベルの再開がなかなか見通しにくいというお話でしたけれども、観光業界からは、感染が落ち着いた地域から段階的に再開してほしいという声が出ていまして、この件について赤羽国交大臣の昨日の記者会見では、基本的には全国で展開する事業だということで部分的な再開には慎重な見方なのかなと思うのですけれども、ただ元々Go Toトラベルは東京抜きで始まったという経緯を考えれば、地域を限定してやることは出来ないことではないのかなと思うのですけれども、そうしたことを踏まえてGo Toトラベル再開、どういうふうに検討していかれるのかお考えをお願いします。

(答)
  • 現時点では、新型コロナウイルス感染症の状況がなかなか収束せず、緊急事態宣言が継続するという状況にありますので、まずは政府を挙げて、感染状況を早期に収束させるこということに全力で取り組むことが必要だと思っております。
  • そういう意味で、全国規模での移動を前提としているGo Toトラベル事業の再開というのは、現時点では難しいと思っております。
  • 一方で全国の観光関連事業者の方、また交通事業者の方からは、是非早く再開してほしいというご要望をいただいておりますので、状況が整った段階で再開したいという方針には変わりはありません。
  • 再開に当たっては、これまでどおり分科会の専門家の皆さまのご指導をいただきながら、ステージ2)相当以下の感染状況となることなどを前提として進めていくことになると思いますが、国民の皆さまの十分なご理解が得られるように、丁寧、かつ慎重に進めていきたいと思っております。
  • それまでの間は、先ほど申し上げた地域観光事業支援というものをご活用いただいて、取り組んでいくのかなというふうに思います。

(問)もう1点、先日の日本旅行業協会の会見で、緊急事態宣言などでツアーがキャンセルになった場合に旅行会社がキャンセル料を負担するケースがあって、それがかなりの負担になっているということで、そこに対する補償を求める声があったのですけども、この点についてどのように対応されるのか、お考えをお願いいたします。

(答)
  • 先程申し上げたとおり、まずは政府を挙げて、感染状況を早期に収束させるということだと思います。
  • そして、こうした状況の中で、皆さん非常にお困りの状況でありますので、多くの事業者にご活用いただいております雇用調整助成金の特例措置の延長が図られておりますし、また実質無利子・無担保の融資制度の延長などもありますので、まずはそれをご活用いただくということかと思います。
  • そして、緊急事態宣言の延長とか、それからオリンピックの無観客化というような事態もありますので、そうしたことも含めまして、キャンセル料の問題なども含めて、旅行業界の皆様のお話をまずはしっかりとお伺いをするということかと思います。
  • その上で、事業継続や雇用維持のための方策について、ご相談申し上げていくということかと思います。

(問)このようになかなか観光業界が厳しい状況の中でのご就任ということで、改めて長官のご所感や意気込みといったところをお聞かせください。もう一つは地域観光事業支援やGo To再開というところへの期待もあるのですけれども、一方でやはり感染状況が厳しい地域では、Go To再開まで待てないという事業者の声も取材で実際に聞いていまして、そういう観光に行くことが出来ないような地域での事業者への支援ということを、Go To再開までとか、何かお考えやご検討されていることがあれば教えてください。

(答)
  • まさにご指摘のとおりコロナの影響で観光業界は大変厳しい状況に置かれていると思っております。
  • 前職は航空局長だったのですが、航空業界も同様に大変厳しい状況でありましたけれども、同じように厳しい状況の業界の皆様といろいろとお仕事をさせていただくということなので、そういう意味で身が引き締まる思いで取り組んでいかなければならないと思います。
  • まずは何と言っても、こういう状況の中で事業の継続と雇用の維持ということが図られるように考えていくということだと思います。
  • 2点目のご質問にもありましたけれども、今そういう意味では産業横断的にはなりますけれども、雇用調整助成金とか、実質無利子無担保の融資といったものが用意されていますし、観光政策としましても地域観光事業支援という制度がありますので、まずはこういう感染状況の中なので、こういう制度を皆さんにしっかりと周知すると、知っていただきご活用いただくということが、まず第一歩なのではないかと思います。
  • それからもう一つ、やはりウィズコロナ、ポストコロナに向けて、観光政策をどういうふうにリードしていくのかということについても、同時に考えていく必要があると思っています。
  • これは、国内観光、それから来るべきインバウンドの再開に向けて、どういうふうに舵を切っていくのかというあたりについて、これから関係者の皆様のご意見・ご要望なども聞きながら、いろいろ考えていきたいと思っているところです。

(問)地域観光事業支援の関係で、4月に前売り券事業を打ち出したと思うのですけれども、その活用状況の数字があれば教えてください。自分の方で調べているとあまり広がっていないように思えるのですけれども、それに関するご所感をまずお願いします。

(答)
  • まだ細かい数字までフォローできていなくて申し訳ないのですけれども、後で確認させていただいてご報告します。

(問)民泊新法の施行から3年が経ったのですけれども、3年がちょうど見直しの時期というふうに法律で定められているのですけれども、業界の方から見直しに関して180日のルールを何とかしてほしいであったり、あとは自治体による上乗せ条例が厳しいといった声があるのですけれども、その辺に関して長官のご意見がありましたらお伺いできればと思います。

(答)
  • 民泊新法が施行されて3年ということで、見直しのタイミングであるということは聞いております。
  • 民泊についても、やはりコロナの影響がありますので、ここの影響をまず見極める必要があるかなと思います。
  • その上で様々なメリットもあったと思いますし、それからご指摘いただいたような様々な課題、営業日数の問題とか、それから上乗せ条例で非常に厳しい規制をかけている県があるとか、そういったことも含めてどういう対応をしていくべきなのかということは、少し我々の方で整理させていただきたいと思いますので、もうしばしお時間をいただければと思います。

(問)先ほどのGo Toの再開の件で、現状はちょっと難しいということなのですけれども、例えば去年は東京抜きでスタートして、感染が拡大した地域については外していくというような形だったと思うのですけれども、これから再開するに当たっては例えば去年のように一部地域が外れた状況でスタートするということは基本的には考えていらっしゃらないということになるのでしょうか。

(答)
  • 再開のあり方については、これからいろいろと考えていかなればならないと思いますが、昨年と違う点としては、今年の場合には地域観光事業支援という制度が既に存在しています。
  • それをベースに先ほどからご指摘をいただいておりますけれども、近隣圏域にそういうことを拡大していく、これは感染状況が落ち着いているという前提でありますけれども、そういうことをしてもらえないかというようなご要請もいただいておりますので、そちらのアプローチからの検討というのも一つあり得るのかなと思います。
  • いずれにしてもGo To再開に向けては、感染の拡大にならないようにという前提だと思いますので、どういうやり方が一番よいのか考えてみたいと思います。

(問)既にワクチン接種を2回終えて、その経過期間が2週間を超える方が増えてきました。そういった方々から、例えば合わせて陰性証明を取るようにして旅行などをしてもよいのではないかという声も挙がってきましたけれども、それについてはどのようなお考えでしょうか。合わせて、Go Toトラベルの再開のあり方に関しましても、例えば他国では有効なワクチン接種を済まれた方ですとか、陰性証明を活用して経済を回すような形にされている国も多いようなのですけれども、その点についてもお伺いしたいと思います。

(答)
  • 例えば検査とか、ワクチン接種をどうやって旅行の需要喚起策に繋げていくかということでありますけれども、安心して旅行に行ける環境作りの一環として、これは旅行業界の方で主導されていますけれども、ツアー参加前のPCR検査などを取り入れたモニターツアーを4月に実施されていると承知しております。
  • その結果を踏まえ、6月に国内団体旅行でのPCR検査等の活用に係る事務フロー、また留意点をまとめた業界としての「手引き」をJATAやANTAの方で策定されているという動きも承知しているところです。
  • 一方で、PCR検査が受検しやすくなったですとか、それからワクチン接種も進んできたという状況の中で、陰性証明や接種証明を絡めて観光需要喚起策ができないかということについては、もちろん一つのアイディアだと思っています。
  • 一方でいろいろと課題もあると承知しておりまして、例えば陰性証明はいつまで有効なのかですとか、ワクチンを受けていない人との公平性をどうやって確保するのかといった課題もありますので、そういったことも含めて、慎重に検討していく必要があると思います。
     
(問)ワクチンパスポートが日本でも発行されるようになりまして、アウトバウンドの関係の業界からも、出来れば早めにアウトバウンドの再開をお願いしたいというような声も挙がっていまして、今30か国くらい通用するようになるというお話もありましたけれども、その点に関しましてご見解をお願い申し上げます。

(答)
  • ワクチン接種証明書の申請受付が26日から各市区町村において開始されるという旨の、官房長官のご発言があったと承知しております。
  • これを取得した方は、外国にいったときに待機、隔離の期間が無くなるとか短くなるとか、またPCR検査を受なくてもよいとか、そういった防疫措置の緩和が行われることになりますので、海外渡航が当然しやすくなるということだと思います。
  • どのような国や地域において、このような緩和措置などが受けられるかについては、外務省の方で各国との調整などを行っていると承知しております。
  • 今日、外務省から一定の国で、日本が発行する証明書が使用できるようになった旨の発表があったと聞いております。
  • それはそれでアウトバウンドには良い話なのだろうと思いますけれども、先ほど申し上げたように、それを国内で使うということになると、接種の強制とか、打たない方との差別の問題とか、様々な課題があると思いますので、政府全体で、具体的には内閣官房の方で、いろいろとご検討されていると思いますから、こちらとも連携をしながらいろいろと対応策を考えていくということだと思います。
 
以上

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