蒲生長官会見要旨

最終更新日:2021年2月26日

日 時:2021年2月17日(水)16:15~16:45
場 所:国土交通省会見室

会見事項

(2021年1月の訪日外国人旅行者数)
  • 2021年1月の訪日外国人旅行者数でございますが、対前年比マイナス98.3%の4.7万人となっております。
  • 引き続き国際的な人の往来について、大変厳しい状況が続いているということでございまして、変異種の関係等もあって、水際対策が更に強化が行われた結果、先月に比べても減少しているところでございます。

(2021年1月の出国日本人数)
  • 2021年1月の出国日本人数は、対前年同月比マイナス96.5%の4.9万人となりました。
  • 観光庁といたしましては、引き続き、旅行業界等と連携を密にしながら、出国日本人の状況、更には外国人の方々の関係につきましても注視してまいりたいと思っているところでございます。

(旅行・観光消費動向調査の結果(2020年年間値及び2020年10-12月期速報))
  • 2020年の日本人国内旅行消費額でございますが、前年比マイナス54.9%の9兆8,982億円ということになりました。2010年に現行調査を開始して以来、最低という形になっております、非常に残念でございます。
  • この内訳でございますが、宿泊旅行でございますけれども、前年比マイナス54.9%の7兆7,394億円、日帰り旅行はマイナス54.8%の2兆1,588億円でございました。
  • なお、この消費額でございますけれども、これにつきましては、他の政府関係の調査と同様に、例えば総務省の家計調査などと同様に、GoToトラベル事業によるような、いわゆる国の支援は除いたものになっております。従いまして、GoToトラベル事業による旅行代金の補助や地域共通クーポン、都道府県・市町村による支援、例えば県民割みたいなものもありますが、そういったものを割り引いた形での金額で集計している所でございます。
  • 日本人国内延べ旅行者数につきましては、前年比マイナス50.3%の2億9,177万人となり、2010年の現行調査開始以降、これも最低になったということでございます。このうち、宿泊旅行につきましては、前年比マイナス48.5%の1億6,036万人、日帰り旅行に関しましてはマイナス52.3%の1億3,141万人という、これ延べ人数でございますけれでども、そういう数字になっている所でございます。
  • 以上、ご説明差し上げましたように、2020年の国内旅行は、やはり新型コロナウイルスの影響によりまして、旅行消費額・旅行者数共に大きく減少いたしました。
  • なお、日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行消費額、いわゆる旅行単価とよく言われますけれども、旅行支出額でございますが、前年比マイナス9.2%の33,925円となりました。なお、旅行支出につきましては、宿泊費だけではなく、交通費や飲食費、買物代、娯楽等サービス費、参加費等が含まれている所でございます。
  • 2020年10-12月期の3ヶ月間の速報値でございます。日本人国内旅行消費額については、前年同期比マイナス46.5%の2兆6,935億円ということでございます。このうち、宿泊旅行は前年同期比マイナス43.8%の2兆2,032億円、日帰り旅行はマイナス55.9%の4,903億円でございました。
  • 日本人国内延べ旅行者数でございますが、前年同期比マイナス42.8%の7,602万人でございます。このうち、宿泊旅行は前年同期比マイナス33.5%の4,578万人、日帰り旅行につきましてはマイナス52.7%の3,024万人ということになっております。
  • 国内旅行消費額、旅行者数いずれにつきましても、前年同期に比べますと落ち込んでおりますが、国内旅行全体と宿泊旅行につきまして、7-9月期に比べますと前年比の減少幅が小さくなっておるのが見てとれますので、GoToトラベルの効果が一定程度出たのかなというふうに思っております。
  • また、日本人国内旅行の1人1回当たりの支出でございますが、こちらについては先ほど申し上げましたように、GoToトラベル事業による旅行代金の補助とか、そういったものが入っていないということは注意が必要でございますけれども、その上で昨年同期に比べますと、マイナス6.5%の35,433円となっております。この中で分析しますと、交通費が落ち込んでいるようでございまして、昨年よりも近場への旅行の割合が増えていることなどが背景として考えられると見ているところでございます。
  • いずれにいたしましても、旅行消費額全体の約8割を日本人の国内旅行が占めておりますので、地域経済の回復にとっても大きな影響を持つものでございますから、2021年におきましても、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響や、Go To トラベル事業といった政策の効果につきまして、引き続き注視してまいりたいと思っている所でございます。

質疑応答

(問)GoToトラベルなんですけれど、一時停止中でありますが、コロナウイルスの感染状況が落ち着いた地域から限定的に再開するというやり方も一つあると思いますけれども、長官のお考えを教えてください。

(答)
  • GoToトラベルに関しましては、再開に関しての期待が、旅行業界等々非常に大きいと我々も承知しておりますので、感染状況をしっかりと注視しながら、環境が整った段階で前に進めるようなことを、今色々と検討しております、その中で、どういう形で再開していくかということに関しまして、様々ななご意見をいただいております。
  • 特に先般、全国知事会のほうからも、GoToキャンペーンも入れた緊急提言というのもいただいておりまして、その中で、「感染が落ち着いている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合に限って再開」してほしいというような内容が盛り込まれていると承知しております。
  • これ以外に関しましても、感染状況がおさまっている所の取り扱いについて、やはり色々なご意見をいただいておりますので、そういったものも一つのアイデア、選択肢という形で、我々検討して参りたいと思っているところでございます。
  • いずれにいたしましても、感染状況もまばらであったり、日によってかなり変わっていく状況でありますので、しっかりとした形で、そういったものを把握しながら制度設計、何ができるかということを今検討しておりますし、そういったものを発表できる段階をしっかり待ちたいと思っている所でございます。

(問)トラベル事業の関連で、今後の運用方法なんですけれども、旅行需要の平準化に向けて、何か検討していることがあれば、例えば土日と平日の需要の関係だと、平日の割引率を上げるとか、そういったことが運用上可能なのかということも含めて、長官のお考えをお聞かせください。

(答)
  • いわゆる小規模分散型の旅行とか、その中で旅行需要を週末とか連休とかに集中するような形であると、やはり密が発生しやすいというような指摘も、分科会などで提言いただいておりますので、そういったものを平準化していくということは、大きな課題だというふうに我々も認識しております。
  • 12月の総合経済対策においても、そういった観点からの中身も盛り込まれておりますので、やはり旅行需要の平準化、平日分散ということについては、GoToの仕組みの中でそういったものができないか、色々な形で、例えば割引率の議論とか、上限の議論とか、あとは地域共通クーポンの議論とか、様々な方法はあり得ると思いますので、そういった中で、現場が混乱せずにしっかりとした効果が発揮できるようなものを制度設計した上で取り入れられないかということで、今検討しております。

(問)GoToトラベルについてなんですが、最近赤羽大臣が答弁で、国民が安心して旅行に行ける環境を作りたいということを繰り返しおっしゃっているんですが、更なる感染拡大防止策について検討していらっしゃることがあれば教えてください。

(答)
  • やはり、一旦こういった形で中断している中で再開するということに関しましては、旅行者の皆様、国民の皆様、特に旅行者に限らず、そういった旅行者が行かれるような地域の皆様にとっても安心できるような環境をしっかり醸成することが、我々は不可欠だと思っております。
  • 従いまして、今まで様々な形で、旅行者の方々に感染防止対策をお願いして参りましたが、そういったものの中で、更にブラッシュアップできないだろうかと、抜けている所はないのかというようなことも含めて、今色々と検討させていただいております。
  • そういった意味で、そういったものを更に具体化できればなということで、今、関係省庁との相談も必要になって参りますので、そういったものも視野に、今検討しているということでございますし、そういったことを行う場合に、必要な支援などもできないだろうかと、大臣も2月5日の会見で申し上げたように、今こういった非常事態宣言でGoToが止まっている中、登録事業者の方々に何か支援策はないのかという中で、やはり感染防止対策ということについてしっかり取り組んで下さる方々を支援できないだろうか、そういった面で検討を指示されております。そういった中身についても、詳細が決まり次第公表できるようにということで今取り組んでいる所でございます。

(問)東北のほうで地震がありました。観光事業者の方々の影響も大きいかと思います。窓口なども活用されているかと思いますけれども、こうした地域への支援策とか、もしくは被害状況で何か情報が入っているようなものがあればお願いします。

(答)
  • 先日の土曜日の深夜に、東北での地震が発生いたしまして、我々のほうも省内の対策本部に招集がかけられてということでございました。その中で、鉄道とか道路とかの被害状況の報告などはございましたが、我々も運輸局を通じまして、観光施設、ホテル等においての被害状況の確認をしたんですけれども、大きな被害は今のところ把握できておりません。
  • ただ一方で、やはり報道にもありましたように、観光事業者さんの中において、3.11でも大変ご苦労されて、更にはコロナで、更に今回の地震ということもあって、皆様にとって、観光という形で東北でやっていけるんだろうかというような心配があるということは我々も承知しております。報道等でもそういった報道があるのも知っております。
  • そういった意味で、今運輸局などにおきまして、観光事業者さんのご心配事、お困り事、そういったものにしっかり対応できるように、引き続き今まで作ってきていた窓口を機能させたいということでお願いしているということが一つありますのと、やはり色々と風評被害で東北は苦しんできたというような状況などもありますので、正確な情報を把握してしっかり発信できるようなことを並行してやっていきたいと思っている所でございます。

(問)Go Toトラベルの登録者数の推移についてお尋ねします。Go To開始以来、宿泊事業者の登録数は増加が続いているのに対して、旅行事業者は昨年末以降、減少に転じました。この背景について、旅行業界からは、倒産拡大のほか、「事業の恩恵が少ない」とか「提出書類が多くて負担になる」などの声が聞こえてきます。旅行事業者の登録解除が広がっている現状に対する受け止めと、減少の要因をどのように分析されているのか、また今後の対応についてお聞かせ願います。

(答)
  • 旅行事業者さんのGoToの登録が解除されて減ってきたという傾向は、昨年末くらいから出てきたというふうに我々承知しております。事務局を通じまして、そういった解除された方々の解除に至った理由というものをヒアリングもしてもらっております。
  • 全体で56事業者あり、そういった事業者さん達からでてくるお話の中で一番大きいのは廃業で、倒産というものもありましたが廃業という方が半分近くであったということで、廃業されてその結果、こちらのGoToの登録のほうも解除されたというケースが多いというふうに我々承知しておりますが、廃業する過程において、やはり我々のほうの手続きとか申請書類などについてやはり負担になったというようなお話などもあったやに聞いておりますので、そういった負担がやはりそういった小規模事業者さんにとって重荷になっているのであれば、そういったものを少しでも改善できる点はないかということについては、担当と事務局のほうでも今話しをしているという状況です。
  • ただ、廃業の数自体は、例年と比べて目立っているということはないというのが数字としての今の状況で、それはやはり政府全体としての様々な支援措置があるということが一つ機能しているのかなということでございますが、観光需要が中々戻ってこない中、今年どうなるかということについては、昨年、一昨年以上にしっかり注視していく必要があるということを我々は感じている所です。

(問)Go Toトラベルの停止に伴うキャンセル料の支援について伺います。実際に昨年11月から地域毎に一部で停止が始まって、年末年始には一斉停止となりまして、元々の旅行代金の35%から50%を一律に国が事業者側に支援をするという決まりだったと思います。実際に申請の受付が始まって1か月くらい経つと思うのですけれども、このキャンセル支援の総額は大体いくらくらいになりそうなのか、見積もり、推計値等がありましたら教えてください。

(答)
  • 最初に札幌市など5都市が除かれたものについては、2月16日時点で70億円以上となっていまして、12月28日から1月11日の年末年始の予防的措置として止めたものについては600億円以上くらいの規模になっています。
  • ただ、5都市の方はもう少ないかもしれませんが、年末年始に関してはこれから出てくるものもあると思いますから、そうしたものがそれぞれの事業者にとってはキャッシュとして入ってきますので、資金繰りという観点からの一定程度の支援になるのかなと思っているところです。
  • あと大臣の2月5日の会見の関係で、キャンセルに伴う支援を関係の方々へ更なる分配するなどについての一定程度のコストがかかってくるというような指摘なども踏まえて、そういった方々への追加的な費用の支援についての詳細な検討を今しています。
  • 大臣の方から、その辺についてのご説明を出来る機会が近いうちにと思って、今作業をしています。

(問)確認ですけれども、70億円も600億円もいずれも昨日16日までに既に振り込んだ額がこの額ということでしょうか。

(答)
  • 振り込んだ額ではなくて、申請総額です。
  • 2月16日時点で、5都市で70億円以上の申請、年末年始については約600億円以上の申請が来ているということになります。
  • それが段階的に振り込まれていくと、その前にいろいろと審査があるという形です。

(問)そうなると年末年始の一斉停止分については、当然今後増える見込みということでしたけれども、全体でいくらくらいになりそうという推計はありますでしょうか。

(答)
  • 精査が終わっていませんので、精査した上でと思います。
  • あと緊急事態宣言の関係も含めて支援策の全体像が見える時期がくれば、様々な形で支援しているということはしっかりと全体をお示ししたいと思います。

(問)2020年の(旅行・観光)消費動向ついて伺います。消費額で見ると過去最高だった2019年と比べると5割減程度だと思うのですけれども、Go Toの効果も含めて2020年の消費動向をどのように受けとめられているか改めて伺います。

(答)
  • Go Toの効果という形で今回いろいろと出てきた数値を見たのですけれども、7、8、9月のGo Toが始まったときに比べて、今回の10、11、12月は東京が入ったので、やはり消費動向が活発になっているということが見てとれたというのが一つあります。
  • ただ、この中身を政策効果についてもう少ししっかり分析する必要があると思っています。
  • それについては、(Go Toトラベルの)事務局の方でしっかり自分達の数値を使った上で分析するということが、実際の契約上の一つの内容になっていますので、そういった分析したものを、出来れば皆様にお示しできる機会を作りたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

(問)Go Toトラベルの全国一斉停止が2か月以上続いていて、6月末までの延長期間というのも今後見直しが必要となると思うのですが、現在の検討状況と予算の執行状況について教えてください。

(答)
  • まず予算の執行状況について申し上げます。Go Toトラベル事業の予算で、本事業を利用した旅行商品を販売するために旅行業者や宿泊事業者に対しまして既に約1兆円が配分されています。
  • これが事実上使用されていると読んでいるのですけれども、そういった枠の中で商品を売っていただくという形で、実際に予約という形で売ったものもあり、売っただけでまだ我々の方に給付金の申請がまだ来ていないというものです。
  • 一方で給付金の申請が来て、国から事業者の方にお支払いしたものが、2月15日までに5,437億円が国からの支出済みとなっているところです。
  • なお、こうした中で約1兆円が事実上執行されているというのは、最初の1次補正でいただいた予算のほぼ9割が事実上執行済みになっているという中、あとは予備費とか3次補正が次の段階で来るのですけれども、総合経済対策においては6月末までを基本的な想定とするということで事業を行う形になっています。
  • 総合経済対策を作った後の環境の変化としましては、緊急事態宣言が発せられて結果として2か月強、一部の都市はもっと長くですけれどもGo Toトラベル事業が止まったという状況において、予算の執行が出来るのかというようなことを野党の方からも言われるのですけれども、やはり秋の段階に経験した非常に苦い経験として、一気に需要が盛り上がりまして、事業者に配分している予算が枯渇すると、事業者が売ろうと思っても売れないというような状況が発生したこともあったので、ある意味感染状況によって大きく変わるとは思うのですけれども、そういった事態が再来するような可能性というものも念頭に置きながら、感染状況を見て進めていく必要があると思っています。
  • 今回につきましても、6月末までという形での閣議決定ですが、実際の旅行需要の回復状況とか予算の状況、一番大きいのは感染状況をしっかり見ながら、6月末ということを念頭に置きつつも、その取扱いをどうするかということは政府全体の経済的な様々な施策の整合性も見ながら考えたいと思っています。
  • いずれにしましても今回止まっている状況を踏まえて、旅行需要が止まっている部分は、我々観光庁とすれば、しっかりもう一回盛り上げたいというのが一番大きな気持ちです。

(問)IRについてなのですが、先週大阪でIRの事業者の追加公募が始まって、新しい案では段階的に整備を進めるとされています。国の基本方針では基本的に全面開業を原則としていると思うのですが、この大阪の段階的整備についてはどのように受けとめているか教えてください。

(答)
  • 先週12日に大阪府・市の方で、IRの開業時の宿泊施設等の規模を当初計画より縮小する実施方針の修正案を公表されたということは我々も承知しています。
  • 各自治体のそれぞれのご判断、今のIRについての取組につきまして、我々としては審査する立場ですので、申請が出る前に具体的なコメントは差し控えたいと思います。
  • いずれにしましても、今回の対応というのは、やはり今回のコロナを含めた様々な経済環境の変化の中で、IRという事業を進める上での柔軟な対応ということを大阪府・市の方で考えられたということだと思っています。
  • そういう中で段階的に作るというということに関しましても、制度としてそれをNOとしているわけでもありませんし、我々としては出てくるものがしっかり審査基準を超えているかどうか、という面での審査はしっかりやっていこうというところは変わっていないところです。

(問)先ほどの質問にあった予算の執行のところで関連してお聞きしたいのですけれども、実際に執行された額が約5,000億円で、配分されているのが約1兆円ということでした。これは結構な差があるように思うのですけれども、ここで言う配分された約1兆円というのは、時期としてはいつまでのものなのでしょうか。当初Go Toが予定されていた1月末までということですか。

(答)
  • 当初は1月31日を想定して配分させていただきました。

(問)そうなると1月は1か月丸々実施できなかったわけですから、もう使われる見込みのないものも1兆円の枠の中にはあるということでしょうか。

(答)
  • 1月の中ではということですね。これは1次補正でいただいたものですから、令和2年度ということが一つと、あとは所謂繰越明許もいただいていますので、令和3年度以降も使うことについては財政法上の制約はないということになります。

(問)そうなると今既に1兆円はそれぞれの事業者に枠として配分さえているということで、1月のように使えていない部分もあると思うのですけれども、そこはGo Toが再開したら、その使われていない枠がそのまま各事業者にスライドしていくというようなイメージですか。

(答)
  • 各事業者に行っていますから、今手持ちで枠をお持ちになっているので、その中で再開に当たっての需要を吸収していくという形になろうかと思います。
  • その上で、足りなくなったという方がいらっしゃれば、我々の方も追加予算を考えるということです。

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